然るべき非移民ビザステイタスを持っている人が、アメリカでの就労のために、特定の条件のもと取得できるものがこの労働許可証(EAD)です。なお、この労働許可証(EAD)それ自体はアメリカ滞在ステータスを認めるものではありません。労働許可証を取得できる代表的な状況の一つとして、F-1 OPTがあります。F-1学生ビザで政府の定める教育機関(大学や大学院)の卒業に合わせて、申請して認可されればOPTと呼ばれる1年間有効な就労許可証を取得することができます。こちら、基本的には大学などの教育機関で学んだ専攻に関連している就労である必要があり、位置付けとしてはトレーニングになります。定期的に学校への報告も必要になります。ステイタスはあくまでもF-1です。なお、STEM OPTと呼ばれる種類があり、STEMの略の元になっているScience、Technology、Engineering、Mathに関連する専攻で卒業した人は更に2年(合計3年)の就労資格が与えられます。ただ、STEM OPTを利用の場合は、受け入れる会社がE-Verifyと呼ばれるシステムを導入している必要があります。
その他の代表的な状況は、家族ベースや雇用ベースでのアメリカ国内での永住権申請において、最終申請ステップであるAOSと呼ばれる申請の際に労働許可証を同時申請することができます。もちろん永住権を取得できれば永住権そのもので就労はできるのですが、永住権審査に非常に長い時間がかかっており、その救済措置の一つとして、認可されれば最終審査ステップの審査待ちの間に限り労働を認めるものになります。1年または2年の有効期限が与えられますが、労働許可証とともに出入国許可証も与えられますので、仮に永住権審査に時間がかかるとしてもその間は、それら労働許可証と出入国許可証にて永住権と同様の滞在ができるとも言えるかもしれません。
その他、特定の状況下でH1Bの配偶者であるH-4保持者やJ-1保持者の配偶者であるJ2保持者にも就労許可証が与えられます。
なお、上記労働許可証ですが、通常の非移民就労ビザ(H-1B やL-1、主たる申請者のE-1やE-2など)に求められるような雇用条件は基本的にはなく、労働許可証があれば、縛りなく就労をすることが可能な場合がほとんどです。
なお、これまでL-1の配偶者のL-2保持者、E-1やE-2保持者の配偶者に対しても申請が認められれば労働許可証が与えられ、その許可証のもと就労が可能でしたが、現在適用が変わり、アメリカ入国時点やアメリカ国内においてステイタス変更認可の際、ステイタスそのものにSという文字が自動的に付与されるようになり(例:L-2S)、その付与があれば、労働許可証を別途取得することなく、そのステイタスそのものでアメリカでの就労が可能になりました。