アメリカに外国人として就労、就学、観光などの目的で入国する際、ビザは不可欠な許可証です。ビザは、目的に応じて取得され、合法的にアメリカに滞在するための基盤となります。
多様な種類が存在し、例えば就労ビザ一つをとっても、その分野、個人の能力、経歴によって細分化されています。
ビザ取得に向けては、申請者自身とスポンサーとなるアメリカの企業が、ビザ取得条件をどのように満たすか、そして将来的なプランをアメリカ移民法に照らして入念に検討することが非常に重要です。
このページでは、そもそもご自身にビザが必要なのか・不要なのかの判断材料や、ビザの種類や仕組み、ビザ取得における移民法弁護士の役割なども解説いたします。
目次
ビザが必要な方・不要な方
ビザが必要
渡航目的が観光・短期商用以外の方
- アメリカで学校に通いたい(留学)
- アメリカで働きたい(就労)
- アメリカに移住したい(永住)
- 婚約者や配偶者として家族を呼び寄せたい
- アメリカでインターンシップをしたい
など、目的に応じた適切なビザを申請する必要があります。
90日を超えて滞在したい方
- 観光や商用目的であっても、90日を超える滞在を予定している場合はビザが必要です。
ビザが不要
ESTA(エスタ)を利用できる方
基本的に下記の条件に当てはまる場合は、「ESTA(エスタ)」という電子渡航認証システムを利用できるため、ビザを申請する必要はありません。
- 日本など、ビザ免除プログラム加盟国のパスポートを持っていること。
- 滞在目的が観光または短期商用であること。
- 滞在期間が90日以内であること。
- 有効なパスポートと往復または次の目的地への航空券を持っていること。
- その他、過去のオーバーステイ(滞在期間超過)、犯罪歴、不適切な渡航目的、等がないことも利用の可否を決める要因にもなります。
ビザの種類
アメリカビザは大きく分けて「非移民ビザ」と「移民ビザ」に別れます。
「非移民ビザ」は長期にわたる滞在に必要なビザで、就労や留学など、滞在は一時的なもので日本に帰ることが前提となります。
「移民ビザ」とは永住権(グリーンカード)のことで、アメリカに定住する意思のもと、取得すると永久的にアメリカに居住することが許されます(更新の必要あり)。
取得方法は雇用・投資・結婚・家族呼び寄せ、応募抽選などがあり、多くの場合、申請は日本から行います。
ただ、アメリカ国内において「非移民ビザ」から「移民ビザ」へのステータス(身分)変更申請も可能です。
さらに、移民ビザ取得後に一定の条件のもと、アメリカ市民になる事も可能です。
ビザの種類一覧や申請の流れ、ステータス変更などは下のページにまとめていますのでご覧ください。
ビザに関わるアメリカ政府の仕組み
移民法に関わる主な政府機関は次の通りです。
・国土安全保障省(US Department of Homeland Security)
└米国移民局(US Citizenship & Immigration Service)
└国境警備局(Customs & Boarder Protection)
└移民関税執行局(Immigration & Custom Enforcement)
・国務省(Department of State)
・労働省(Department of Labor)
- 国土安全保障省(US Department of Homeland Security)
└米国移民局(US Citizenship & Immigration Service)
└国境警備局(Customs & Boarder Protection)
└移民関税執行局(Immigration & Custom Enforcement) - 国務省(Department of State)
- 労働省(Department of Labor)
国土安全保障省(DHS)とその役割
国土安全保障省(DHS)は去る9.11米国同時多発テロを受けて設けられた新しい省であり、現在では米国移民局、国境警備局、移民関税執行局などが当省のもとで米国の国土安全管理業務を担っています。
その中でも良く耳にするのが米国移民局(USCIS)と呼ばれる機関で、米国における外国人向けの就労ビザや永住権、市民権申請の審査及び発給業務を米国移民法に基づいて行っています。
一方、空路・陸路等にて米国に入国する際、国境で最終入国審査業務を担っているのが国境警備局(CBP)です。
また移民関税執行局(ICE)においては米国内に不法に滞在する不法就労者の雇用に対する取締りを行っており、最近ではICEによる企業及び不法就労者に対する調査や強制捜査、また逮捕などその活動の増加が非常に目に付きます。
国務省(DOS)とその役割
皆さんがパスポートに貼り付けられるビザ査証を取得する際(2025年9月現在)、日本やカナダなどに在する米国大使館や米国領事館にて面接を受けることになりますが、それら機関は国務省(DOS)に所属します。
DOS管轄の主なビザとしてはF-1、J-1、Eビザ等があり、それらビザはUSCISの許可無く直接DOSを通してのビザ取得が可能となります。
また一部永住権申請の最終審査もこれら機関を通して可能となります。
労働省(DOL)とその役割
労働省の主な役割は、H-1BやH-2Bビザ申請時の労働条件査定及びその認可(LCA)、また雇用を通してのグリーンカード申請における労働証明申請審査(PERM)およびその認可があります。
最近では労働局による企業への合法的雇用に関する監査も目立ち始めています。
ビザ取得における移民法弁護士の役割


ビザ取得に関わる申請審査はアメリカ移民法をもとに行われ、アメリカ移民法は、時の流れとともに日々変化しています。
この複雑で、常に変化しているアメリカ移民法に関わる情報をいち早く捉え、ビザ取得のために個々のクライアントのバックグラウンドやニーズに照らし合わせて対応していくのが、私たち移民法専門弁護士の仕事となります。
インターネットが普及し、誰もが容易に情報を得られるようになった現代では、根も葉もない(しかしもっともらしい)噂が広がりがちです。もちろんそこに利便性があることは確かですが、危険なのは、このような噂を自分の都合にあわせて単に鵜呑みにし、それに踊らされ、結果として自分のビザ取得に悪影響を及ぼしてしまうことです。
また多大な時間や労力をかけてアメリカ進出のために準備を行ったとしても結果的にビザが認可されないとも限りません。
ケースは一つとして同じものはなく、他人のケースが全く同じように自分のケースにあてはまるとは限らないからです。
アメリカ移民法は法的解釈が分かれる点も多い上、最終的な審査決定は各審査官の裁量に任されている部分も多く、その申請時期においても大きく結果が異なる可能性もあります。
従って他人と同じようなケースでも、特にアメリカ移民法に対して普段接点のない申請者には理解しにくい別の要素が関わってくることによって、全く違う結果となることも珍しくありません。
ビザの申請にはアメリカ移民法に関する深い知識と経験を要し、非常に手間と時間がかかるもので、ビザ申請を考えている人は浅はかな考えや単なる友人、知人からの噂や情報のみで判断をせず、弁護士など専門家に相談することが一つの大切な選択肢となるでしょう。
よくある誤解:ビザがあっても入国が保証されるわけではない
パスポートにビザが貼られていても、アメリカへの最終的な入国許可は、空港や国境にいるCBP(国境警備局)の入国審査官が判断します。
これは、ビザが「入国申請の許可証」であって、「必ず入国できます」という保証書ではないからです。
入国審査では、渡航目的や滞在期間について質問されることがあります。
正直かつ明確に答えられないと、入国を拒否される可能性もゼロではありません。
もし不安なことがあれば、私たちのような専門家に相談し、事前にしっかりと準備しておきましょう。
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