アメリカに外国人として就労や就学、観光などある種の目的を持って入国をする人にとっては切っても切り離せないもので、その目的に応じて取得し、それを基にアメリカに入国し、合法的に就労、就学、または観光するために必要な許可証です。ビザにはその目的に応じて様々な種類が存在し、アメリカでの就労を一つ取ってもその就労分野やビザ取得者個人の能力や経歴に応じて様々な種類があります。自分が、そしてスポンサーとなるアメリカの会社がそのビザ取得条件をどのように満たすのか、将来的にはどのようなプランがあるのか、それらをアメリカ移民法に照らし合わせて入念に考慮することはビザ取得に向けて非常に重要となります。
ビザ取得に関わる申請審査はアメリカ移民法をもとに行われ、アメリカ移民法は、時の流れとともに日々変化しています。この複雑で、常に変化しているアメリカ移民法に関わる情報をいち早く捉え、ビザ取得のために個々のクライアントのバックグラウンドやニーズに照らし合わせて対応していくのが移民法専門弁護士の仕事となります。
インターネットが普及し、誰もが容易に情報を得られるようになった現代では、根も葉もない(しかしもっともらしい)噂が広がりがちです。もちろんそこに利便性があることは確かであるが、危険なのは、このような噂を自分の都合にあわせて単に鵜呑みにし、それに踊らされ、結果として自分のビザ取得に悪影響を及ぼしてしまうことです。また多大な時間や労力をかけてアメリカ進出のために準備を行ったとしても結果的にビザが認可されないとも限りません。ケースは一つとして同じものはなく、他人のケースが全く同じように自分のケースにあてはまるとは限らないからです。
アメリカ移民法は法的解釈が分かれる点も多い上、最終的な審査決定は各審査官の裁量に任されている部分も多く、その申請時期においても大きく結果が異なる可能性もあります。従って他人と同じようなケースでも、特にアメリカ移民法に対して普段接点のない申請者には理解しにくい別の要素が関わってくることによって、全く違う結果となることも珍しくありません。ビザの申請にはアメリカ移民法に関する深い知識と経験を要し、非常に手間と時間がかかるもので、ビザ申請を考えている人は浅はかな考えや単なる友人、知人からの噂や情報のみで判断をせず、弁護士など専門家に相談することも一つの大切な選択肢となるでしょう。
移民法に関わる主な政府機関は次の通りです。
国土安全保障省(US Department of Homeland Security)
米国移民局(US Citizenship & Immigration Service)
国境警備局(Customs & Boarder Protection)
移民関税執行局(Immigration & Custom Enforcement)
国務省(Department of State)
労働省(Department of Labor)
国土安全保障省は去る9.11米国同時多発テロを受けて設けられた新しい省であり、現在では米国移民局、国境警備局、移民関税執行局などが当省のもとで米国の国土安全管理業務を担っています。その中でも良く耳にするのが米国移民局(USCIS)と呼ばれる機関で、米国における外国人向けの就労ビザや永住権、市民権申請の審査及び発給業務を米国移民法を基に行っています。一方、空路・陸路等にて米国に入国する際、国境で最終入国審査業務を担っているのが国境警備局(CBP)です。また移民関税執行局(ICE)においては米国内に不法に滞在する不法就労者の雇用に対する取締りを行っており、最近ではICEによる企業及び不法就労者に対する調査や強制捜査、また逮捕などその活動の増加が非常に目に付きます。
皆さんがパスポートに貼り付けられるビザ査証を取得する際(2023年12月現在)、日本やカナダなどに在する米国大使館や米国領事館にて面接を受けることになりますが、それら機関は、国務省(DOS)に所属します。DOS管轄の主なビザとしてはF-1、J-1、Eビザ等があり、それらビザはUSCISの許可無く直接DOSを通してのビザ取得が可能となります。また一部永住権申請の最終審査もこれら機関を通して可能となります。
最後の労働省ですが、H-1BやH-2Bビザ申請時の労働条件査定及びその認可(LCA)、また雇用を通してのグリーンカード申請における労働証明申請審査(PERM)およびその認可があります。最近では労働局による企業への合法的雇用に関する監査も目立ち始めています。
ビザは大きく分けて「非移民ビザ」と「移民ビザ」に別れます。「非移民ビザ」は長期にわたる滞在に必要なビザで、就労や留学など滞在は一時的なもので、日本に帰ることが前提となります。「移民ビザ」とは永住権 (グリーンカード)のことで、アメリカに定住する意思のもと、取得すると永久的にアメリカに居住することが許されます(更新の必要あり)。取得方法は雇用・投資・結婚・家族呼び寄せ、応募抽選などがあり、申請は日本から、またアメリカ国内において「非移民ビザ」から「移民ビザ」へのステータス(身分)変更申請も可能です。移民ビザ取得後に一定の条件のもと、アメリカ市民になる事も可能です。
代表的な「非移民ビザ」の種類は以下の通りで、その滞在目的に応じてアルファベットにより大別されています。
A. 外交官、各国政府職員等
B. 商用、観光による短期滞在者
C. 通過ビザ(Transit Visa)
D. 船舶、航空機の塔乗員
E. 通商条約に基づいた貿易、投資
F. 留学生
G. 国際機関に勤める者
H. 一時的な就業(専門職等)、訓練
I. 外国報道関係者
J. 交換プログラム外国人
K. 米国市民の婚約者
L. 同系企業転勤者
M. 職業訓練のための短期留学
O. 科学、芸術、スポーツ等の分野で 卓越した能力を持つ者
P. 芸術家、芸能人、スポーツ選手
Q. 国際文化交流に参加する者
R. 宗教関係者
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