勤務地変更に伴うH-1B修正申請の必要性

米国移民局行政不服審査局 (USCIS AAO) は Simeio Soutions, LLC による不服申し立てに対し、H-1B保持者を抱える会社にとって重要視すべき最終判定を下しました。それは、H-1B保持者の勤務地が変わる場合(引き続き同じ会社がH-1Bビザのスポンサーで単に就労場所が変わる場合)の会社側の対応の必要性についてなのですが、H-1Bの修正申請の必要性に関しては、弊社ではこれまでH-1B上の雇用条件に重大な変更があれば移民局へ修修正申請を行うよう勧めてきました。ただ、勤務地のみの変更については、それ自体が大きな雇用条件の変更とすべきかグレーでした。少なくとも労働局に対しては新しい勤務地に基づいたLCA (Labor Condition Application) を提出する必要はありましたが、米国移民局 に修正申請をすべきかどうかについては明確ではありませんでした。実際に移民局により修正申請すべき、またすべきではない、と捉えられるような二通りの覚え書きが発行されていた程です。

今回のAAOの判定結果を受け、H-1B従業員に支払うべき最低賃金額が元々申請して認可された時のものと異なる勤務地へ転勤(同じ会社であることが前提)となる場合、修正したLCAとともに移民局へ修正申請を行わなければならない事となりました。つまり、勤務地変更は職務内容の変更や雇用の終了などと同様、重大な変更と明確に位置づけられた事を意味します。従って、雇用主は修正申請、または新規の申請を申請費用とともに移民局へ提出する必要がある、というわけです。

H-1Bは雇用主が、特定の就労場所、ポジションにおいて定められた最低賃金額を支払う義務があり、仮に最低賃金額の異なる勤務地への転勤は、職務内容などその他の雇用条件が同じだとしても、元々申請して認可されたLCAやフォームI-129には反映されていない事になります。H-1B保持者として続けて雇用を受けるためには新しい勤務地の最低賃金額に対して十分な給与を得るか、が重要なポイントとなってくるわけです。一方、もし最低賃金額が同じエリアにおける就労場所の変更となる場合は、今回の結果を受けてはその限りではありません。

今回のこの判定は2015年4月9日付けのもので、今後は実際にて就労場所が変更となる前に新しいLCAの取得とともに移民局への修正申請を行うようにしてください。なお、4月9日よりも前に勤務地の変更があった場合について、遡って修正申請をすべきかどうかについては現時点では明確にはなっていません。

繰り返しますが、今回のAAOの判定では、H-1B保持者が最低賃金額の異なるエリアへ転勤となる場合、転勤前に移民局へ修正申請が必要となります。一方、最低賃金額に変更のないエリア内での転勤については労働局へのLCA申請のみで現時点では十分でしょうとの見解です。

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