月別アーカイブ: 2015年10月

What STEM (Science, Technology, Engineering 及び Math) OPT (Optional Practical Training)の延長期間に対する草案

米国国土安全保障省は、米国で就労している外国人学生の為のオプショナルプラクティカルトレーニング(OPT) の延長期間に対する草案を最近発表しました。提案された規定は、サイエンス/技術系(Science, Technology, Engineering, 又はMath) (STEM)を専攻する外国人学生が米国にて就労できる追加期間を、現在の17ヶ月から2年間へと延長するものです。

 

従来の規定と同様に、 認可された大学にてSTEMの分野を専攻し、雇用主がE-Verifyプログラムに登録している学生のみにSTEM OPTの2年間の延長が適用されます。又従来のキャップギャップルールも同様に適用され、H-1B申請が指定期間内に申請されていれば、H-1Bステイタスが有効となる10月1日迄F−1ステイタスと就労許可(Employment Authorization)を自動的に延長する事ができます。

 

STEM OPTの延長期間が24ヶ月間迄延長される事に加え、提案されている新たな規定は、正式な育成/指導及びトレーニングプラン を雇用主に義務づけ、STEMプログラムの学生及び卒業者の為の新たな賃金保護も含みます。

 

本草案に対して、2015年10月19日から30日間一般からの意見を公募しています。その後DHSは、寄せられた意見等を参考、考慮して、最終的な規定を発表する事となります。

 

本件に関する意見等は、2015年11月18日迄にDHSに受領されなければなりません。尚、意見等は、政府の電子ドケット管理システム(Federal Docket Management System (FDMS))上の本草案に関するDHSのドケットナンバー、ICEB-2015-0002 (http://www.regulations.gov.)にアクセスし、指示に従って提出する事ができます。

 

 

L-1Bビザの新たな覚書

アメリカ移民局によるL-1Bビザの審査は日々厳しくなっており、政府発表の統計データを見ても、多くの質問状の発行、また高い却下率となっています。そこで、アメリカ移民局はL-1B条件を満たすためにどのような根拠を示すべきかについて、2015年8月17日、新たな覚書を発表しました。

まず、今回発表の覚書では、L-1Bで求められる専門的知識(“specialized knowledge”)について、specialまたは advanced knowledgeのどちらかに区別して審査することとしています。

アメリカ移民局は、special knowledgeについて、ビザスポンサー会社の商品、サービス、リーチ、設備、技術、マネジメント等の知識と定義しており、同業界において一般に得られるそれら知識に比べても明確に異なり、高度に稀なものであり、国際市場で生かされるべき知識です。一方で、それら知識は、必ずしも特許や商標で守られているなど会社特有なものである必要はありません。

またadvanced knowledgeについては、ビザスポンサー会社の特定のプロセスや手順等に関する知識や専門性としており、それらは関連業界で一般に得ることのできないもので、且つ会社内においても、既に高度に培われている、または更なる発展過程にあるべきもので、複雑で高度な理解力が求められる知識と定義しています。ただ、それら知識は、スポンサー会社内において一握りの従業員のみが有する知識までは求めていません。

更に、アメリカ移民局は申請者(ビザ受益者)の専門的知識(specialized knowledge)の有無を判断する際、次の6つの項目を重要視します。

  1. ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社で得た知識がアメリカのビザスポンサー会社のビジネスに対して著しく価値あるものか
  2. ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社において、ビザ受益者が、その専門性及び知識を通して、会社の生産性、競争力、イメージ、財務事情を著しく強化させるような業務に関わっていたか
  3. ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社での経験を通してのみ、通常得られる専門知識であるかどうか
  4. 膨大なコストや時間また会社として不都合を受け入れない限り、他個人に簡単に伝達または教育できないレベルのものであるか。(一般にそれら専門的知識を得るためには高度なトレーニングや長期の専門分野での職歴が必要であり、更にそれらにはコストや時間もかかるため、例えばアメリカのポジションに対し、ビザ受益者が持つような知識を持つものの任命が急務である場合、他者の現地採用には時間とコストがかかるだけでなく、ビザ受益者を必要なタイミングで派遣できないことで会社に多大な損害が及ぶ状況となるか)
  5. プロセスや商品の専門的知識がアメリカのビザスポンサー会社にとって特有なものでなくとも、洗練されている、複雑である、又はハイテクなものであるか
  6. アメリカのビザスポンサー会社の市場競争力を高めるものか

上記を踏まえ、今後L-1B申請にてサポートレターを作成する際、弊社提案として以下のような点に注意して専門知識の説明を行うべきでしょう(専門的内容を含みます)。

  • Specialとadvancedの知識を明確に区別すること。Specialized、special、そしてadvancedという3つの言葉を混同しないようにしましょう(Specialized = special and/or advanced.)。
  • 会社特有の知識(特許、商標、IP申請など)であることを立証できる補足資料等を提出できない限り、”proprietary(会社特有の)“という表現は使うべきではないでしょう。もちろん会社として特許等持ち、それにビザ受益者が関わっているような場合、その内容を強調すべきでしょう。
  • proprietary(会社特有の)“という表現が使えない場合、”sophisticated(洗練された)“, “complex(複雑で)” 、”highly technical(ハイテクな)“というような表現を使うと良いでしょう。
  • ビザ受益者が持つ専門的知識は一握りの従業員しか持ち合わせていない場合、明確にその顕著さを数字化すべきでしょう。例えば全従業員200名のうち10名のみが持つ卓越した知識である等。
  • 申請上の肩書きを通して、明確に“specialized knowledge”を持つことを連想させることも重要でしょう。申請ポジションが仮に管理職でもL-1Bの申請であれば、例えば内視鏡に関わる“Marketing Director”のL-1B申請を行う場合、”Marketing Director of Endoscopic Instruments”と具体化させると良いでしょう。
  • 可能な限り同業他社また他の従業員との職務内容の違いや比較について説明すると良いでしょう。特に、なぜビザ受益者の職務内容を他従業員が遂行できないかの説明があればより効果的でしょう。
  • ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社での職務内容及びアメリカでの予定の職務内容を箇条書きで書く場合、全体を100%として、それぞれに%を割り振るべきでしょう。またビザ受益者が専門知識を必要とするポジション(技術部など)であることが分かる組織図を加えると良いでしょう。L-1Bの申請でも移民局は質問状を発行し、組織図の提出を求めることがあります。
  • ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社での職務内容及びアメリカでの予定の職務内容はより詳しく具体的に書くべきでしょう。
  • ビザ受益者が成し遂げた特定業務やプロジェクトは明確にリスト化し、それらを通して具体的に金額的にいくらの功績となったかを示すこと。具体的に金額を書いた方がより効果的でしょう。
  • ビザ受益者がもつライセンス、トレーニング履歴(単なる新入社員研修ではない専門的で高度なもの(OJT含む)等)について、補足資料の提出と共に説明すべきでしょう。
  • アメリカのスポンサー会社のポジションで求められる専門知識を通して、ビザ受益者がトレイナーとして他従業員や同業他社に対してトレーニングを実施したことがあれば、補足書類の提出とともにその実績に関する説明を加えると良いでしょう。
  • 申請上のアメリカのポジションにビザ受益者以外の新しい従業員を任命する場合、その職務遂行に必要な知識の教育にどれほどの長い時間とコスト、また会社として経済的、経営的にどれほどの損失(トレーニング自体がアメリカに存在しない場合など)がでるかを説明すると良いでしょう。

更に、最近の移民局のL-1B審査傾向の一つに、ビザ受益者の専門知識の証明に、サポートレター内だけでの説明では十分ではなく関連した立証資料をどれほど提出できるかも重要視していることが見受けられることから、この覚書の内容をしっかりと把握するとともに、より戦略的に申請書類を作成するが求められます。

2017年(会計年度)移民多様化ビザ抽選プログラム — 10月1日より受付開始

2017年(会計年度)移民多様化ビザ抽選プログラム — 10月1日より受付開始

移民多様化ビザ抽選プログラム (Diversity Visa (DV) Lottery)(以下“DVプログラム”)とは?

米国は、歴史的に移民数が少ない国々の外国人に対して、毎年5万件のグリーンカード番号を無作為抽選によって選択し発給しています。高校卒業以上(又はそれと同等の教育を受けている)又は特定の職種において最低2年間の就労経験があれば応募する事ができます。応募は無料ですが、一人一件の応募に限られています。

尚、今年度は以下の国々の出生者は応募資格がありません。
バングラデッシュ、ブラジル、カナダ、中国(本土)、カンボジア、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、ハイチ、インド、ジャマイカ、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、ペルー、フィリピン、韓国、英国(北アイルランドを除く)及びその属領地域、ベトナム。香港、マカオ、台湾で出生した人は応募資格があります。応募できない国にて出生した人でも、配偶者を通じて又は両親の出生国等の一定基準を満たせば応募する事が可能です。

2017年会計年度のDVプログラムへの応募は、2015年10月1日木曜日から2015年11月3日火曜日の正午(米国東部標準時間)迄受理されます。期日以降の応募や書類による応募は受理されません。

DVプログラムの過程

  1. www.dvlottery.state.gov.のサイトにアクセスし、DVプログラムのエントリーフォーム(E-DV Entry Form 又は DS-5501)をオンラインにて提出します。尚、不完全なフォームは受理されない為、国務省のサイト(http://travel.state.gov/content/visas/en/immigrate/diversity-visa/instructions.html)に提示されている指示に従う事が大切です。
  2. フォームを提出すると確認番号(Confirmation Number)が発行されるので、2016年5月3日に抽選結果が発表される迄この番号を保管して下さい。
  3. 抽選結果は、2016年5月3日から2017年9月30日の間www.dvlottery.state.gov.のサイトに掲示されるので 、前述の確認番号を入力して抽選結果を確認する事ができます。国務省は、手紙、Eメール、ファックス、電話等による問い合わせは一切受け付けません。当選した場合には、2016年10月1日から2017年9月30日(米国の2017年会計年度)の期間中にDVビザ申請をする事ができます。

ただし、当選しても必ずしもDVビザが発給されるとは限らない事にご注意下さい。当選したという事は、あくまでもの申請資格が得られるという事であり、順位ケース番号(Rank Number: DVプログラム当選者に発行される当選手続きの為の固有の番号)が割当てられた場合に、最終手続きをする事ができるという事です。本件に関しての詳細は、国務省のDVプログラムサイト(http://travel.state.gov/content/visas/en/immigrate/diversity-visa/entry.html.)
にてご確認下さい。

10月のビザブルテンの変更について

2015年9月25日、アメリカ国務省は、当初発表していた10月のビザブルテンの内容を変更しました。今回の変更により、アメリカ国内での身分変更や在外アメリカ大使館での面接申請など、永住権申請プロセスの最終段階に進むことができる日付を示すカットオフデートが後戻りました。これは最終段階に進むための更なる待ち時間が発生することを意味するのですが、とりわけEB-2カテゴリーのインド人が2年、EB-2カテゴリーの中国人が16ヶ月、Other workersカテゴリーのフィリピン人が5年もカットオフデートが戻りました。例えば、元々発表されたビザブルテンを基に10月に身分変更申請が可能だった申請者もこれにより申請ができなくなったことになります。

今回の変更について、移民局、国務省ともに詳しい説明はありませんが、それぞれの申請カテゴリーについて、発行可能な永住権数を過大見積もりしていた模様です。

今回の変更については多くの異議が出ておりますが、現状、変更の取り消しはなさそうです。10月の申請は、今回の変更版に基づきますので、繰り返しますが、既に準備を進めていた方でも、自身の順番が来ていない場合は、10月に申請しても申請書類は受け取られませんので、ご注意ください。