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H-4保持者(H-1B配偶者)の就労許可取得について

2015年2月24日、米国移民局はH-4保持者(H-1B保持者の配偶者のみ)の雇用に関する次の発表を行いました。

国土安全保障省 (DHS) は、来る2015年5月26日より、雇用ベースにて米国永住権申請を進めている特定のH-1B保持者の配偶者であるH-4保持者(配偶者のみ)にも就労許可を与えることを発表しました。これにともないDHSは法律を改正し、配偶者であるH-1B保持者が以下の条件を満たす場合に就労許可申請条件を満たす事としました。

  • – 雇用ベースの移民請願書(I-140)が認可されているH-1B保持者
  • – 新法 「21st Century Department of Justice Appropriations Authorization Act」により修正された「American Competitiveness in the Twenty-first Century Act of 2000」のセクション 106(a) と (b)に基づいて認可されたH-1B保持者

上記、後者のAct (法律)は、雇用ベースの米国永住権の申請中であるなど特定の条件を満たせば、H-1Bでの滞在期限である丸6年を超えて7年目以降もH-1B保持者としてアメリカに滞在し、就労を可能にするもので、つまりこの法律のもと、H-1Bのステータスで7年目以降の状況にある方が対象となる事を意味します。

DHS は、この新法を通して、永住権取得までの期間、H-1B保持者やその家族が経済上の負担やストレスを抑え、米国社会に上手く溶け込む事が出来る効果があると期待しています。言い換えれば、H-1B保持者が永住権申請中に経済的理由などからアメリカに滞在し続けることを断念する阻害要因を減らし、更に、米国企業の雇用上の混乱も最小限に押さえる事ができると考えています。

法律上、申請資格のある H-4配偶者は就労許可証申請フォームである(Form I-765) 及びそれを裏付ける補足資料を$380の申請費用とともに移民局に提出し、認められれば就労許可証を取得する事ができます。米国移民局 (USCIS) は2015年5月26日から申請の受理を開始する予定としています。一旦就労許可証を取得すれば、それが有効である限りアメリカでの雇用が可能となり、米国移民局 (USCIS)によれば、初年度に多くて179,600件の申請、その後年間約 55,000件の申請を見込んでいます。

2015年3月のビザブルテンの発表

米国永住権(移民ビザ)の申請の種類によっては年間の発給数に制限が設けられており、その制限数以上の申請がある場合、永住権の最終段階(アメリカ国内でのAOS申請もしくは米国外でのアメリカ大使館での面接を通しての申請)へ進むことができない場合があり、このビザブルテンを通して、自分自身の永住権申請のスタート日に対し、永住権申請の最終段階へ進めことができるかを確認することができます。ビザブルテンにはカットオフデート(優先締切日)としてその日付が記されており、自分自身の永住権申請のスタートの日(プライオリティーディーデート(優先日))と比較することで、自分自身の申請が最終段階へ進めるかを確認できるというわけです。基本的に家族ベースの申請であれば移民局に申請書(I-130申請など)を提出した日、雇用ベースの申請であれば、労働認定書(PERM)を労働局に提出した日になります。逆に言えば、自分自身のプライオリティーデートがカットオフデートに到達していなければ、最終段階へ進めず、待ちの状態が続くことを意味します。なお、このビザブルテンは毎月発表され、それなりの優先日の動きを確認することができます。

 

3月ビザブルテンに記載された優先日の動き

  • インド人向けのEB-2 カテゴリーが16ヶ月進む(2005年9月1日=>2007年1月1日)
  • インド、中国、メキシコ、フィリピンを除く全世界の申請者向けの EB-3カテゴリーが5ヶ月進む (2014年1月1日=>2014年6月1日)
  • 中国人向けのEB-2カテゴリーが6ヶ月進む(2010年9月1日へ)
  • 中国人向けのEB-3カテゴリーは現在では中国向けのEB-2カテゴリーよりプライオリティーデートが進んでいる。

 

雇用ベース

(EB)

右に記載されていない国 中国大陸 生まれ インド メキシコ フィリピン
第1カテゴリー 有効 有効 有効 有効 有効
第2カテゴリー 有効 2010年

9月1日

2007年

1月1日

有効 有効
第3カテゴリー 2014年

6月1日

2011年

10月22日

2004年

1月1日

2014年

6月1日

2014年

6月1日

その他の

労働者

2014年

6月1日

2005年

8月15日

2004年

1月1日

2014年

6月1日

2014年

6月1日

第4カテゴリー 有効 有効 有効 有効 有効
特定の宗教労働者 有効 有効 有効 有効 有効
第5カテゴリー 有効 有効 有効 有効 有効

 

インド人向けのEB-2カテゴリーの日付は大幅に以前と比べて早まりましたが、実質的には未だ8年もの遅れがあります。その一方、EB-5 カテゴリーの移民投資プログラムは変わらず有効な状況が続いていますが、今後、街の状況が発生する可能性はあります。

このような状況下、国務省は先3ヶ月について、次のような予測をしています。

雇用ベース第2カテゴリー:

  • インド、中国、メキシコ、フィリピンを除く全世界の申請者向けのカテゴリーは引き続き有効の状態が続く
  • 中国人向けは月ごとに3−6週間前進する
  • インド人向けは4−6ヶ月前進する

雇用ベース第3カテゴリー:

  • インド、中国、メキシコ、フィリピンを除く全世界の申請者向けのカテゴリーは次の数ヶ月で急速に前進する
  • 中国人向けは今後数ヶ月で急速に前進するものの、需要の増加 も予想されていることから、6カ月以内にカットオフデートに調整が入る
  • インド人向けは最大で2週間前進する
  • メキシコ人向け はインド、中国、フィリピンを除く全世界の申請者向けのカテゴリーと同様の動き
  • フィリピン人向けはインド、中国、メキシコを除く全世界の申請者向けのカテゴリーと同様の動き

尚、このカットオフデートは常に前に進むだけではなく、日付が後退することもありますので、雇用者、被雇用者ともにそれに合わせた計画が必要となります。

H-1B 申請キャップ申請の提出に向けての注意事項

2016年度新規H−1B申請は2015年4月1日より受付が開始されますが、それまで残り2ヶ月を切りました。今年の申請に向けて雇用者に特にご注意して頂きたいのは、1)労働認定(LCA-Labor Certificate Applicationと呼ばれ、H-1B申請書を移民局へ申請する前に事前に労働局より認定してもらう必要のある書類。認定されたLCAは移民局へ提出の必要が有ります)の早めの申請準備と2)必要書類の収集です。

米国移民局は去年、172,500件もの新規H−1B申請書を受け取り、更に、労働局は、4月1日提出に向けて提出されたLCAが前年の20%増だったとも言われています。そのような状況下、今年は申請者の数が更に増えると見込まれているのですが、その増加はLCAの提出が増加することも意味します。したがって、申請を考えている方は、できる限り早い段階で必要書類の収集(企業関連資料、成績証明書、卒業証書、 他必要書類) やLCAを労働局へ申請することで、より確実に4月1日に向けて申請が可能となるでしょう。特に労働局への事前申請はオンライン上で行うため、混雑も予想され、更に申請から認定まで時間もかかりますので、より計画的な準備が必要です。

卒業の扱いについて:

新規H−1B申請について、移民局は、申請者の資格確認として、基本的に大学からの卒業証書を必要とするのですが、仮に大学からの卒業証書の授与が2015年3月31日までに得られない場合でも学位取得に必要な単位取得が終了していれば、学位授与だけがまだされていないという状況であれば、H−1Bを認可する例もあります。その場合、学校の学部長などからの申請者が学位取得のために全ての要件を達している等の証明書を申請書とともに提出する必要があるでしょう。

F−1(OPT)保持者の2015年9月30日までの雇用:

もしH−1B申請者がF−1ビザのもとオプショナルプラクティカル・トレーニング(OPT) を使って雇用を受けている場合、実際に新規H-1Bを申請する時点でそのOPTが有効である場合は2015年10月1日より前にそのOPT有効期限が切れる場合でも、有効期限の翌日から2015年9月30日(もしくはH-1Bの最終結果が出るまでのどちらか早い日付)までのギャップの期間は継続した雇用が可能となります(学校への届け出が必要)。ただし、H−1B申請時点ではOPTは有効でないもののその有効期限後に与えられる60日の滞在猶予期間(Grace Period)内での申請となる場合は、少なくともH-1Bの結果が出るまでの滞在延長は認められますが、就労は認められませんので、ご注意ください。

 

注意点:

移民局は、一人のH−1B申請者が同じスポンサー会社を通して複数の申請書を提出すると、申請書を却下、又は取り消します。その場合、申請料金は返金されませんのでご注意下さい。以上、今年も多くの申請が殺到し、昨年同様に抽選が予想されています。会社側にとっては、そのような不透明な中での申請となるわけですが、それでも判断が遅れ、4月の最初の5日間の営業日の間に申請を行うことができない場合は、今年の新規H−1Bによる採用ができなくなる可能性もありますので、重ねてご注意下さい。

米国外での指紋採取について

再入国許可申請(Re-Entry Permit申請)またグリーンカードの更新申請を行った方はご存知かと思いますが、申請書の提出後、米国内で指紋採取を行わなければなりません。この現状は、とりわけ一時的に米国外を生活拠点としている申請者にとっては非常に不憫な状況となっています。代理人として申請書を作成している我々もこの状況は改善されないものかと常々思っているところでもあります。

そのような状況下、移民局より非常に興味のある発言がありました。その内容によれば、現在、移民局は、一般的に海外で審査することのできる申請の種類に対してのみ米国外での指紋採取を可能としている一方、申請者が自国など米国外でのオフィスで指紋採取ができればいかに負担が減るかについて十分理解しており、その事が大きな弊害となっていることもまた理解している、とのことです。それらを踏まえ、 再入国許可申請やグリーンカードの更新申請を行った申請者が米国外のオフィスで指紋採取が行えるよう方針の見直しを行う、とのことで、実際、局内ではそのレビューが終了し、近く、好ましい発表があるかもしれません。少なくとも移民局がこの問題を認識しているという現状はとても良い状況と言えるでしょう。

指紋通知書発行の遅れ

永住権保持者へのアメリカ国内でのステータス変更申請、永住権が認可されるまでの就労許可申請及び渡航許可申請、永住権の更新申請、更には永住権保持者が一時期米国を離れる際に申請する再入国許可申請等、申請プロセスの一つとして申請者は移民局指定のローカルの移民局オフィスにて指紋採取を行う必要があります。

最近、移民局のバーモントサービスセンターが米国移民弁護士協会へ報告した内容によると、現在、指紋採取のスケジュールシステムに問題が発生しているとの事です。米国東海岸に在住の申請者であれば、移民局のバーモントサービスセンターが管轄しているのですが、東海岸の在住者で、2014年12月から 2015年1月に申請したケースについて、指紋通知書が届かないなどの問題が発生しているようです。 現在、移民局は、専門業者を雇い、問題解決に取り組んでおり、2015年2月12日辺りには、当問題によって通知書をまだ受け取っていない申請者に対して指紋採取要請の通知書を発送できる予定となっています。

米国移民局を通してのI-130申請書の審査状況

I-130申請とは、配偶者や21歳以上の子供など家族をスポンサーとして永住権を申請する最初の申請ステップですが、この申請は、限られた状況においては、在外アメリカ大使館へ申請する事ができ、そこから管轄の米国移民局へ審査可能かのリクエストがなされます。現状、仮にI-130申請者が在外の米国大使館での最終インタビューを希望する申請であっても、全申請の99%において、I-130申請書はアメリカ国内にある米国移民局(シカゴロックボックス)への申請書の提出が求められています。しかし、つい5年程前までは、アメリカ国外に住む申請者は、その居住地を管轄する在外米国大使館を通してこのI-130申請を行う事ができました。このように現在ではほぼ全てのケースにおいて米国移民局への申請が求められる事で、5年程前に比べて、最終的に永住権を取得できるまで、追加で5ヶ月かそれ以上の審査期間を想定しなければならない状況となっています。

このような状況のもと、移民局は特定の緊急事態においては国務省が管轄する在外米国大使館に審査を行う権限を与える事もあります。その特定の緊急事態については下記に示す状況が例としてあげられます:

  • 海外に駐留する米国軍人が新しい任務や勤務地変更について突然指令を受けた場合(この場合、米国軍人がビザのスポンサーとなっている事を想定)
  • 永住権のスポンサーとなる家族または永住権受益者が、即時の渡米を必要とするような医学的な緊急事態に直面している場合
  • 永住権のスポンサーとなる家族または永住権受益者が、個人の安全に対して、差し迫った脅威に直面している場合
  • 永住権受益者が、あと数ヶ月程度で、永住権を取得できる対象年齢でなくなってしまう場合
  • 永住権のスポンサーとなる家族または永住権受益者が永住権申請のための最終面接のために申請を管轄する国を訪れているが、永住権のスポンサーとなる家族がアメリカ人へ帰化したことで、永住権受益者に対して新しい別のカテゴリーでの申請が必要となる場合
  • 永住権のスポンサーとなる家族が子供を養子にしたことで、アメリカへの出国が緊急な事態となっている場合

シカゴロックボックスでフォームへI-130申請書を提出しなければならない申請者は、現在の正しい申請方法について www.uscis.gov/I-130 から情報を入手する事ができます。

なお、ここ12ヶ月(2013年12月1日〜2014年11月30日)において、481件のケースについて特例的に国務省(在外米国大使館)で審査できるよう移民局に対してリクエストが出されました。これらリクエストのうち、388件(80.7%)に対して、国務省での審査が認められました。それら国務省での審査が認められなかった要因としては、ケースが通常のアメリカ国内での移民局審査プロセスがなされる事を前提とした場合、その前にアメリカにどうしても戻らなければならない緊急の状況であることの説明が不十分だった事のようです。もしご自身の申請が米国大使館での審査を可能とするものとなれば、永住権取得までの期間を大幅に短縮する事ができるでしょう。

PERM:雇用と申請要件の近代化を追求する米国労働局

永住権申請の第一ステップとなる労働局への申請は通称PERMと呼ばれ、このPERMが始まって10年が経ちました。労働局はこのPERM申請を通して米国移民外国人労働者の永住雇用に対する労働認定の手続きを管理するとともに、米国で永住権保持者としてこれらの労働者を雇用したい企業の責任範囲についても規制しています。そのような中、ここ10年、米国経済も大きく変動し、それに伴う労働環境およびその需要と供給のバランスにも大きな変化が見られており、PERM申請についても情報技術と科学分野における申請を中心に、昨年度だけで7万件以上もの申請がありました。

しかしながら、ここ最近の情報技術の進化や時代の流れにより多くの業界のニーズや常識に変化が見られ、労働局も様々な指摘を受けている背景がある中、ここまで労働局はPERM申請上の必要要件や審査プロセスや方針に対する見直しをほとんど行っていないのです。

このような状況の変化および指摘に応えるべく、労働局はPERMプログラムおよびそれに関連する規則に対する見直しを開始する予定です。その見直しの一環として、PERMプログラムそのものが米国の労働力の変化に合わせて近代化され、かつ対応できるものの構築を目指すこととしているようです。概要は以下の通りです。

  • 米国内労働力について職種別の労働力不足や余剰の判定を行うオプション、そしてそれら労働力の過不足を整理する方法の確立
  • 米国における求人活動に必要な必要条件を時代の流れに沿ったものとするための新しい実務的な方法の確立
  • 雇用主の義務を明確化し、PERM上のオファーポジションが米国の労働者に完全に開放されていることを保証するための雇用主の義務の明確化
  • 申請プロセスの見直しと特急申請の可能性
  • タイポなど申請上本質的な部分に対する間違いについては修正を認めるなど審査方針の見直しの可能性

米国労働局は、雇用主および企業側のニーズに応えるべく、かつ米国移民システムの本来の目的に合わせたPERMプログラムのデザインの構築を目指し、現PERMシステムの更なる検証を行うこととしています。