2015年1月、アメリカ合衆国国土安全保障省(DHS)は、ホワイトハウスの2015年移民近代化計画の一環として、ある雇用ベースのビザ給付要求に対する裁決の合理化を最終目標とした新しい既知雇用者プログラム(Known Employer program)を試験的に実施していることを発表しました。 L-1ブランケットのプログラムと同様に、このKnow Employer 試験プログラムでは、H-1BやL-1A、L-1B、TNなどの非移民ビザや、EB-1-2 やEB-1-3などの移民カテゴリー等の個々の申請を行う前に、このプログラムに参加している米国雇用主は、自社が参加資格の必要最低要件を満たしているかどうか事前審査を受けるための申請を移民局に対し行うことができます。
推奨申請プロセス:
具体的には、試験プログラムへの参加許可を得た雇用者は、(ⅰ) 雇用主の企業構造および運営や財務状況に関する文書やその他の証拠と、(ii)フォームI-950 (Application for Predetermination under Known Employer Program) をインターネット上のウェブライブラリー「Known Employer Document Library (KEDL)」にアップロードします。また、KEDLにアップロードした文書へは、 合衆国税関・国境警備局(CBP)および米国務省(DOS)が それぞれの審査の補助として利用する目的でアクセスすることが可能です。
移民局はその後、提出された書類を審査し、 雇用主が申請するカテゴリーそれぞれに定められる企業要件を満たしているかどうかを事前に決定します。
アメリカ移民局が雇用者の事前決定要求を承認した場合、その後雇用主は個々のケースで自社に関する文書を再提出することなく、従業員それぞれに関する嘆願書または申請書のみを提出するだけで十分となるでしょう。これは移民局が個々の 嘆願や申請において、ビザ申請上の職務内容や従業員のビザ取得のための有資格性など残りの要件のみ審査するということを意味します。
試験プログラム(1年間)に参加する5社:
試験プログラムの開始日である2016年3月3日時点では、 Citigroup, Inc、Ernst & Young LLP、Kiewit Corporation、Schaeffler Group USA, Inc 、Siemens Corporationの5社が本プログラムへの参加を発表しています。
試験期間は1年間と予定されていますが、アメリカ移民局は当局の裁量で試験期間を終了させたり延長させたりすることができます。従って、この試験プログラムが実行期間中に他の雇用主のために延長されるかどうか、または1年を超過して延長するかどうか、ましてやプログラムが最終的に成功するかどうかを現時点で判断するには時期尚早です。
プログラムの目標:
プログラムが成功した場合にアメリカ移民局が本プログラムに期待していることは:
- 雇用者が提出する書類や移民局が保管する書類の量の削減
- 雇用ベースの嘆願書や申請書の裁決の一貫性の促進
- 移民局内のより良い効率化を達成するための審判プロセスの合理化
- 入国管理局や領事の効率性と一貫性を高めることを目的とし、CBPとDOSへのより良いサポートの提供
繰り返しますが、この試験プログラムはまだ開始したばかりです。したがって、この雇用ベース給付申請・裁定プロセス合理化の可能性についてあまり期待しすぎるのは時期尚早と言えるでしょう。
詳細についてはこちらをご覧ください。:
https://www.uscis.gov/working-united-states/known-employer-pilot