月別アーカイブ: 2016年3月

2017年度新規H-1B申請における特急審査の遅れ

近年の新規H-1Bの申請数を考慮すると、2017年度の新規H-1B申請も抽選となる可能性がとても高いでしょう。ここ2014年度から2016年度の新規H-1B申請について、受付期間となる4月1日からの最初の5営業日に学士号枠と修士号枠とも年間上限数を上回る申請を受け付けたことで、新規H−1B申請の抽選が行われました。

米国移民局は受け取った申請数をチェックし、申請者数が年間上限数である65,000 件(学士号枠)及び20,000件(修士号枠)に達した時点で公表することになっています。もし米国移民局が年間上限数以上の申請を4月1日から最初の5営業日内で受け取る場合、当局は無作為に新規H−1B申請の数を絞るため、コンピューターによる抽選システムを使用します。米国移民局は選択されなかった全てのH−1B申請は申請費用とともに申請者に返却し、またその5営業日よりも後に届いた申請書も受け付けないとしています。

そこで、特急審査申請の受付数と新規H−1B申請者数が最初の5営業日内で年間発給上限数に達する可能性を考え、米国移民局は一時的に特急審査の審査期間について調整しました。まずは全てのH−1B申請のデータ入力を優先させるために、米国移民局は新規H-1B に対する特急審査申請の処理について、遅くて2016年5月16日までは開始できない可能性があるとしています。

すなわち、雇用者は特急審査申請したとしても認可通知や質問状、または新規H-1B申請の否認結果について、 2016年5月31日以前には米国移民局からは何らアクションが得られない可能性があることを意味します。ただ一方で、予想よりも前倒しで特急審査が開始されることも示唆しています。

サイエンス/技術系(Science, Technology, Engineering, 又はMath、略してSTEM)を専攻する学生のOPT期間に関する修正法案

2016年3月11日、米国国土安全保障省はSTEMを専攻している外国人学生のOPTにおける修正法案を発表しました。修正法案では、STEMを専攻するF-1ビザ学生のOPT期間を当初の12ヶ月からさらに追加で24ヶ月延長できるとしています。すでにSTEM専攻の学生でOPTの延長の下働いている学生は、特定のの状況下、また特定の期間枠内でのみ、追加で7ヶ月の延長申請ができます(現在29ヶ月間のOPTが可能なため)。さらに、STEM専攻のF-1ビザ学生は、複数の専攻課程を卒業した場合、最高2つのSTEMの延長期限を持つことになるようです。また条件を満たすために、以前に取得したSTEMの学位を使用することも可能です。これらの修正法案は2016年5月10日に施行予定です。学校関係者、学生、雇用主がこの新法案を理解する手助けとして、The Student and Exchange Visitor Program (SEVP) は、移行計画、トレーニングプラン、一連のよくある質問の情報を含めたサイトを構築しました。
(https://studyinthestates.dhs.gov/stem-opt-hub)

この修正法案の一部には、雇用者は 、STEM専攻のOPTの学生の学習目的や、学生の目標達成の助けとなるような雇用者側の約束を明確にした正式なトレーニングプランが必要になる、としています。

DHS Pilots Know Employer Program DHSが既知雇用主(Know Employer )プログラムを試験的に実施しています

2015年1月、アメリカ合衆国国土安全保障省(DHS)は、ホワイトハウスの2015年移民近代化計画の一環として、ある雇用ベースのビザ給付要求に対する裁決の合理化を最終目標とした新しい既知雇用者プログラム(Known Employer programを試験的に実施していることを発表しました。 L-1ブランケットのプログラムと同様に、このKnow Employer 試験プログラムでは、H-1BL-1A、L-1B、TNなどの非移民ビザや、EB-1-2 やEB-1-3などの移民カテゴリー等の個々の申請を行う前に、このプログラムに参加している米国雇用主は、自社が参加資格の必要最低要件を満たしているかどうか事前審査を受けるための申請を移民局に対し行うことができます。

推奨申請プロセス:

具体的には、試験プログラムへの参加許可を得た雇用者は、() 雇用主の企業構造および運営や財務状況に関する文書やその他の証拠と、(ii)フォームI-950 (Application for Predetermination under Known Employer Program) をインターネット上のウェブライブラリー「Known Employer Document Library (KEDL)」にアップロードします。また、KEDLにアップロードした文書へは、 合衆国税関・国境警備局(CBP)および米国務省(DOS)が それぞれの審査の補助として利用する目的でアクセスすることが可能です。

移民局はその後、提出された書類を審査し、 雇用主が申請するカテゴリーそれぞれに定められる企業要件を満たしているかどうかを事前に決定します。 

アメリカ移民局が雇用者の事前決定要求を承認した場合、その後雇用主は個々のケースで自社に関する文書を再提出することなく、従業員それぞれに関する嘆願書または申請書のみを提出するだけで十分となるでしょう。これは移民局が個々の 嘆願や申請において、ビザ申請上の職務内容や従業員のビザ取得のための有資格性など残りの要件のみ審査するということを意味します。 

試験プログラム(1年間)に参加する5社: 

試験プログラムの開始日である2016年3月3日時点では、 Citigroup, Inc、Ernst & Young LLP、Kiewit Corporation、Schaeffler Group USA, Inc 、Siemens Corporationの5社が本プログラムへの参加を発表しています。

試験期間は1年間と予定されていますが、アメリカ移民局は当局の裁量で試験期間を終了させたり延長させたりすることができます。従って、この試験プログラムが実行期間中に他の雇用主のために延長されるかどうか、または1年を超過して延長するかどうか、ましてやプログラムが最終的に成功するかどうかを現時点で判断するには時期尚早です。 

プログラムの目標:

プログラムが成功した場合にアメリカ移民局が本プログラムに期待していることは: 

  • 雇用者が提出する書類や移民局が保管する書類の量の削減
  • 雇用ベースの嘆願書や申請書の裁決の一貫性の促進 
  • 移民局内のより良い効率化を達成するための審判プロセスの合理化
  • 入国管理局や領事の効率性と一貫性を高めることを目的とし、CBPとDOSへのより良いサポートの提供

繰り返しますが、この試験プログラムはまだ開始したばかりです。したがって、この雇用ベース給付申請・裁定プロセス合理化の可能性についてあまり期待しすぎるのは時期尚早と言えるでしょう。

詳細についてはこちらをご覧ください。:
https://www.uscis.gov/working-united-states/known-employer-pilot

米国にて就労できる期間を最長3年間とする規定発表予定

米政府は、米国の大学にてScience, Technology, Engineering又はMathematics (STEM) を専攻する外国人学生が、 米国にて就労できる期間を最長3年間とする規定を今週金曜日(3月11日に発表する予定です。)
これによって、現在のSTEM OPT (Optical Practical Training program)の最長期間が更に7ヶ月延長される事となります。尚、本規定は、2016年5月10日から有効となります。

ビザ免除プログラムの改定

皆さんの中には既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、米国政府は、2016年1月21日を開始日として、ビザ免除プログラムの改定を行いました。こちら、昨年のビザ免除プログラムの改定及びテロリスト渡航防止法の施行を受けてのもので、下記に該当する方は、今後アメリカに入国の際は、ビザ免除プログラムではなく、B-1ビザなど、特定のビザを取得した上でのアメリカ入国が求められます(下記、日本国政などビザ免除プログラムの参加国籍であることを前提としています)。

  • 2011年3月1日以降にイラン、イラク、スーダンまたはシリアに渡航または滞在したことがある方(ビザ免除プログラム参加国の軍または外交目的による渡航に対しては、限られた例外有り)
  • 日本人などビザ免除プログラム参加国の国籍と、イラン、イラク、スーダンまたはシリアのいずれかの国籍の二重国籍をもつ方

上記の該当者は、今後のアメリカ渡航の前に、アメリカ大使館・領事館にてビザ申請を行うようにしてください。なお、商用、医療、人道的理由などによる緊急の際は、アメリカ大使館・領事館による迅速に対応が期待できます。

なお、イラン、イラク、スーダンまたはシリアへの渡航が下記の理由である場合など、国土安全保障省長官が法執行機関やアメリカの国家安全保障上の利益になると判断した場合には、上記の制限を免除する場合があります。

  • 国際機関、地域機関、政府機関の代表として公務を遂行するための渡航
  • 人道支援を行うNGOを代表して任務を遂行するための渡航
  • ジャーナリストとして報道目的のための渡航
  • 「包括的共同作業計画」( 2015年7月14日)の合意後に合法的な商用目的のためのイランへの渡航
  • 合法的な商用目的によるイラクへの渡航

なお、これら免除を受けられるかは個別に審査されます。

また、2016年2月18日、国土安全保障省は、イラン、イラク、スーダン、シリアに加え、リビア、ソマリア、イエメンの3ヶ国を該当国として追加すると発表しました