2018年9月27日、米国移民局は2018年6月28日に米国移民局より発行された裁判所への出頭命令 (通称NTA: Notices to Appear) 発行に関する新指針についてテレカンファレンスを開きました。
裁判所への出頭命令とは
裁判所への出頭命令(フォーム名:I-862)は、米国国外退去に該当すると考えられる外国人に発行される書類です。裁判所への出頭命令を受けた外国人は、米国から退去する必要があるか、又は合法的に米国に残ることができる権利があるかどうかの判決を受けるために移民裁判所に出頭する必要があります。
裁判所への出頭命令の受領対象者
前回の記事でも述べたように、今回の新指針でも米国移民局の審査官が以下のケースの対象者に裁判所への出頭命令を発行するよう指示を受けています。
- 詐欺または虚偽が立証されているケースに加え(もしくは)申請者個人が公共の利益を得るための何らかの任意プログラムを乱用した場合。米国移民局は仮にケースが詐欺行為以外の事由により却下された場合でも、裁判所への出頭命令を発行します。
- 犯罪行為については、その行為によって有罪判決を受けたり起訴された場合はもちろん、 該当する犯罪行為が、申請の却下や国外退去の根拠とは見なされないような場合においても、犯罪行為とみなされる行為を犯した場合は対象となります。なお、米国移民局は、重大な犯罪行為を含むようなケースについては、該当するケースが申請審査中で最終結果が出ていないような状態であれば、NTAを発行する前に、米国移民関税執行局(通称 ICE:U.S. Immigration and Customs Enforcement) にケースを照会する可能性があります。
- 米国移民局が却下する米国市民権申請のケースで、その却下理由が、申請者の犯罪行為を理由として、市民権取得に求められる道徳心がないと判断された場合。
- 申請者が米国に不法滞在しているため申請が却下となるケース。
以下がテレカンファレンスを受けてのNTAに関する最新の追加情報です。
- NTA発行の対象範囲の拡張が発表されましたが、現時点では、雇用ベースのビザ申請と人道上の申請書に関しては適用外となっております。
- 米国移民局 の審査官は、アメリカ国内での永住権申請(AOS申請)や アメリカ国内での非移民ビザの滞在延長申請( I-539申請)において上記に述べたNTA発行の対象であるケースにおいて2018年10月1日からNTAを発行し始めています。
- 申請書がいつ提出されたかに関わらず、米国移民局 は、上記の基準のいずれかの証拠がありNTA発行の対象である場合はNTAを発行します。
- 米国移民局は、場合により、NTAの発行無しに米国税関国境警備局(CBP)にケースを照会するかもしれません。
- 米国移民局は、米国市民権申請者が国外退去可能な場合においてNTAを発行します。
- 一旦申請されたケースで、申請後に申請の取り消しが行われた場合でも米国移民局 は対象者にNTAを発行します。
- 米国移民局はビザ申請に対して却下通知を発行した場合、その後に通常設けられている不服申し立て可能期間の33日を待ってNTAを発行します。ただ、特定のケースについては、通常より短い不服申し立て可能期間しか与えない場合もあります。
- 米国移民局は仮に申請ケースが詐欺以外の事由により却下された場合でも、NTAを発行します。
- 犯罪行為に関し、国外退去を可能とする行為。下記参照
a. INA section 212(a)(2)
b. INA section 237(a)(2)
米国移民局は今後もこの指針について新情報を提供していくと考えられます。今後さらに適用範囲が広がる可能性もありますが、弊社では、引き続き、皆様に最新情報を随時報告できればと考えております。この件に関してご不明な点や懸念がある場合は、お気軽に弊社までお問い合わせください。