アメリカの政策に関する国家基金(通称 NFAP: National Foundation for American Policy) はトランプ政権下によって生み出された最近の移民法改正が与える統計的影響について調査し、その統計結果を公表いたしました。以下が、米国移民局(通称 USCIS: U.S. Citizenship and Immigration Services) とアメリカの政策に関する国家基金(NFAP) が算出した2018年度7月の統計結果です。
2017年度のH-1B申請に関する統計結果
H-1B申請の第3四半期と第4四半期の質問状の発行
(通称 RFE: Request for Further Evidence) の割合 (2017年度)
国 |
第3四半期:質問状発行割合 |
第4四半期:質問状発行割合 |
インド |
24.2% |
72.4% |
インド以外の全ての国 |
18.0% |
61.2% |
合算合計 |
22.5% |
68.9% |
参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定
H-1B申請の第3四半期と第4四半期の却下の割合 (2017年度)
国 |
第3四半期:却下の割合 |
第4四半期:却下の割合 |
インド |
16.6% |
23.6% |
インド以外の全ての国 |
14.0% |
19.6% |
合算合計 |
15.9% |
22.4% |
参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定
L-1B申請における却下の統計結果
L-1B申請の第1四半期と第4四半期の却下の割合 (2017年度)
国 |
第1四半期:却下状の割合 |
第4四半期:却下状の割合 |
インド |
36.0% |
47.8% |
インド以外の全ての国 |
14.1% |
16.7% |
合算合計 |
21.7% |
28.7% |
参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定
L-1B申請の2015年度〜2018年度の却下の割合
年度 |
却下の割合 |
2015年度 |
24.9% |
2016年度 |
24.2% |
2017年度 |
27.1% |
2018年度 第1四半期 |
30.5% |
2018年度 第2四半期 |
29.2% |
参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定
L-1A申請における却下の統計結果
L-1A申請の第1四半期と第4四半期の却下の割合 (2017年度)
国 |
第1四半期:却下状の割合 |
第4四半期:却下状の割合 |
インド |
9.5% |
16.4% |
インド以外の全ての国 |
14.3% |
23.8% |
合算合計 |
12.8% |
21.4% |
参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定
O-1申請における却下の統計
O-1申請における第1四半期と第4四半期の却下の割合 (2017年度)
国 |
第1四半期:却下状の割合 |
第4四半期:却下状の割合 |
インド |
14.7% |
79.7% |
インド以外の全ての国 |
20.5% |
27.9% |
合算合計 |
20.2% |
33.9% |
参考資料:米国移民局とアメリカの政策に関する国家基金による算定
この統計結果から分かること
- 2017年度のH-1B申請における第3四半期と第4四半期の質問状の発行数が28,711件から63,184件へと2倍以上の発行数となっております。なお、この第4四半期に発行された質問状の数はオバマ政権下の末期である同年度の第1四半期に比べると驚くべきことに、17%から69%に増加しました。
- インド人申請者は他の国の申請者に比べ比較的多くの質問状を受けています。全てのH-1B申請において、インド以外の全ての国は61%の割合で質問状が発行されていることに対し、インド人申請者への質問状の割合は72%です。これはL-1B申請に関しても同様のことが挙げられます。
- 特殊技能が必要とされるL-1B申請の却下率は、2017年度の第1四半期と第4四半期の間では合計で7%増量しました。なお、この割合は2018年も同様に継続して増加しています。
- 役員、管理職向けの L-1A申請の却下率は、2017年度の第1四半期と第4四半期の間では12.8%から21.4%と飛躍的に増加しました。
- 最後に、卓越した能力を有することが申請条件である O-1申請に関しては、2017年度の第4四半期の時点で約80%ものインド人申請者が質問状を受けることとなりました。
どの移民法改正が最も移民法に影響を与えたのかについて
2017年4月18日に制定された、トランプ政権下による大統領命令 “アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う(通称:Buy American and Hire American)” により、質問状と却下状の発行の割合は格段に上昇し続けています。特に、2017年度の第4四半期の統計結果は、同年の第3四半期の統計結果と比べ驚くべき違いが数字として現れています。
なお、米国移民局の審査官が質問状 を発行せずに申請書を却下することが出来る新たな新指針が施行されることにより、雇用者に質問状に応答する機会が与えられないため、今後更に大きな影響を及ぼすこととなるでしょう。なお、Notices to Appear (NTA:移民裁判所への出頭命令) の発行に関する新指針においても、米国移民局が、申請が却下された申請者を、適切な場合において、即座に国外退去させる権限を保持するため移民法に更に大きな影響が出てくることが予測されます。