月別アーカイブ: 2020年3月

コロナウイルス(COVID-19)による移民に関する変化

世界的に流行しているコロナウイルス(COVID-19)により、米国の移民政策に影響を与える変更が下記の通り生じました。

  1. 特急審査申請の一時停止。米国移民局は、2020年3月20日に、全てのI-129(H,L-1, E, O-1など)およびI-140申請に対する特急審査申請が、今後、新たな通知が発表されるまで、直ちに停止されることを発表しました。
  2. 米国移民局の閉鎖。少なくとも2020年の4月1日まで公共サービスを実施する全ての米国移民局のオフィスが閉鎖されるということです。尚、これには、米国移民局の各フィールドオフィス、asylumオフィス、申請サポートセンター(Application Support Centers)や、米国市民権申請に伴う宣誓式などが含まれます。
  3. 署名入り書類の提出に関する柔軟な対応について。米国移民局は、2020年の3月21日付又はそれ以降に提出されたI-129フォーム(非移民ビザ申請書)を含む全ての申請フォームにおいて、原本の署名が複製された書類も受け付けることを発表しました。尚、 直筆の署名入りの原本が必要なフォームにおいては、米国移民局は電子的に複製されたオリジナルの署名を受け付けるということです。尚、電子的に複製されたオリジナルの署名入りの書類を提出する個人または団体は、直筆署名を含む原本の書類のコピーも保持する必要があるということです。
  4. 領事館の停職。多くの領事館が非緊急ビザのサービスを一時停止しています。
  5. 渡航制限。過去14日以内にオーストリア、ベルギー、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、又はアイルランドに渡航した者は、 米国に渡航することが制限されています。この渡航制限は、中国本土とイランからの既存の渡航禁止規則に加えられています。
  1. 以下に該当する場合は渡航禁止規則の対象外となります。
    1. 米国市民および永住権保持者
    2. 米国市民および永住権保持者の配偶者
    3. 米国市民および永住権保持者の親または法的保護者 (その米国市民および永住権保持者である子供が未婚で21歳未満である場合 )
    4. 米国市民および合法永住権保持者の兄弟姉妹(その米国市民および永住権保持者である兄弟姉妹が未婚で21歳未満である場合)
    5. 米国市民および合法永住権保持者の法的保護下にある子供
    6. その他の特定の外国政府および保健当局者

  2. 2020年4月11日に、当局はコロナウイルスの渡航禁止令に関して再評価する予定であるということです。
  3. 有効なESTA保持者ではあるが、渡航禁止規則の対象者であり、その禁止令に反して米国への渡航を試みる渡航者は 、ESTAが失効されるとい
    うことですのでご注意ください。

2020年4月のビザブルテンの発行について

国務省 (The Department of State: 通称 DOS) は、下記の通り、2020年4月のビザブルテンを発行しました。注目すべき点は、EB-1とEB-2のプライオリティーデートにわずかな進歩があった一方で、中国とインドを除く全ての地域でEB-3へのプライオリティーデートの進歩はありませんでした。

ビザブルテン
EB-1全国籍:
中国: プライオリティーデートが2017年6月8日( 7日前進。)
インド:プライオリティーデートが2015年5月1日( 62日前進。)
エルサルバドール、グアタマラ、ホンデュラス、メキシコ、フィリピン、ベトナム、その他の地域: プライオリティーデートが2019年6月1日(93日前進。)

EB-2全国籍:プライオリティーデートは現在時点有効。但し、以下国籍を除く。
中国: プライオリティーデートが2015年9月1日( 18日前進。)
インド:プライオリティーデートが2009年5月25日(3日前進。)

EB-3全国籍:
中国: プライオリティーデートが2016年4月15日(25日前進。)
インド:プライオリティーデートが2009年1月22日(7日前進。)
エルサルバドール、グアタマラ、ホンデュラス、メキシコ、フィリピン、ベトナム、その他の地域:プライオリティーデートが2017年1月1日(変更無し。)

米国移民局によるステイタス変更のための日付:
米国移民局は、当会計年度において把握している申請数(各カテゴリーごとの永住権申請数)よりも多くの移民ビザ発行残数があると判断した場合、こちら www.uscis.gov/visabulletininfo のページ内にて、国務省の2020年4月のビザブルテンにあるDates for Filing Visa Applicationsの表を利用するよう指示されます。そのような指示が出ない場合は、ページ内にてApplication Final Action Datesの表を利用することで米国内でいつステイタス変更の申請が提出出来るかが判定できるということです。 現時点のこの発表の限りでは、2020年4月にどちらの表を使用すべきかの決定は下されていません。上記の日付は、Application Final Action Datesです。

チャーリーオッペンハイム氏の見解:
アメリカ国務省ビザ統制報告部部長で、移民の優先カテゴリーの分析及び予測を担当するチャーリーオッペンハイム氏によると、2020年4月の分析及び予測記録はまだ発表されていないということです。弊社では、このチャーリーオッペンハイム氏による情報等が公開され次第、随時お知らせするように致します。

ご質問がある場合は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

国土安全保障省、2020年2月24日から、新しい公的支援補助に関する規則の施行を発表

2020年2月24日から、外国籍者のビザ申請希望者が公的扶助を受けながら米国に滞在するかどうか、またビザ取得後もビザの延長申請やステイタスの変更申請時においても公的補助が必要になるかどうか等を米国移民局が判断し決断する権利が拡大される規則が施行されました。尚、この規制に異議を唱える複数の連邦裁判所で訴訟が続いている中、最高裁判所が国土安全保障省がこの規制を実施することを許可しているため、国土安全保障省はイリノイ州を除く全ての州でこの規制を実施することができるということです。

米国移民法に関する現在の指針によると、永住権保持者へのステイタス変更申請を希望する外国人で、現金援助を受けて主に米国政府に依存する可能性が高いと判断された場合にのみ、この公的支援に関する規制の対象となるであろうということです。しかし、この新しい規制には、36ヶ月間に12ヶ月以上にわたり、より広範な公共給付金 (一部の非現金給付を含む) を使用する外国人も含むように定義は拡大されているということです。

したがって、2020年2月24日から、永住権保持者へのステイタス変更申請者は、最低限、各申請者の年齢、世帯規模、所得、金融負債、公共給付補助、健康、教育やスキル等が新たに審査の対象になるということです。尚、該当する申請者は、クレジットヒストリーとクレジットスコアのレポートや健康保険の適用範囲に関する詳細などを提出する必要があるということです。尚、米国移民局は、申請者が自給自足出来ることを宣言する新しいI-944フォームを提出することも要求しています。尚、難民、亡命者や、その他の特別な移民のカテゴリーに該当する者は、この新しい規制から免除されるということです。

尚、この規則は、2020年2月24日又は、それ以降に特定の公的給付を受けているか、または特定の公的利益を受ける許可を受けているかについて、滞在延長やステイタスの変更を求める非移民者に対してそれら情報の開示も求めています。もし、外国人が現在のビザのステイタスを得てから、36ヶ月の期間内に12ヶ月以上の給付を受けていた場合、それは彼らの申請書の審査に悪影響を及ぼす可能性があるということです。しかし、非移民ビザの申請者は、上記に述べた公的扶助を受けるかの判断基準の対象ではなく、I-944フォームを提出する必要もありません。同様に、人道的および被害者の分類などの特定の非移民カテゴリーは免除されるということです。

尚、国務省は、移民と非移民ビザ申請のための独自の公的給付補助規制を確定し実施しました。米国移民局は、新しい規制の要件が組み込まれたステイタス調整および非移民の申請フォームを発表されました。尚、2020年2月24日からは、新しいI-129、I-485、I-539、I-864、およびI-864Aフォームのみ受け付けられるということです。

連邦地方裁判所判事は、学生と交換留学生の違法滞在に関する規則において恒久的な差し止め命令を発行する

2020年2月6日、連邦地方裁判所判事は、米国移民局 (USCIS) が実施を試みている新政策のF、J、Mビザの非移民の留学生とその扶養家族において、彼らが、非移民ステイタスの滞在許可期限に違反して滞在を続けた場合、その違反時点から自動的に違法滞在であるとみなす方針の施行を禁止する、恒久的な差し止め命令を出しました。

この新しい政策に先立ち、I-94を保有するF、J、Mビザの外国人留学生は、滞在許可期間のステイタスがD / Sとなっている場合は、米国移民局や判事から特別な違反行為等を申告されていない限り、違法滞在扱いされませんでした。しかし、この新しい政策では、F、J、またはMビザの留学生が、自分のステイタスにおける滞在許可期限を誤って違反してしまった場合、気付かないうちに、米国での違法滞在を引き起こしてしまうような、遡及的な効果を持っていたようです。この政策の与える影響は大きかったであろうということです。もし外国人が米国に180日以上または1年又はそれ以上不法滞在している場合、3年または10年以上の間、米国への再入国が出来なくなる可能性があり、不許可または別の救済の放棄を認められていない限り、非移民ビザや移民ビザ申請の資格がなくなる可能性があったであろうということです。

昨年、いくつかの大学と数名がこの米国移民局による新しい政策は、法定の違法滞在規定に反し、恣意的で一時的な上、行政手続法 (APA) と米国憲法のデュープロセス条項に違反していると主張する法的な挑戦を提起しました。尚、裁判所が訴訟を審理している間、ギルフォード・カレッジ対ウルフと呼ばれる、一時的に全国的な規模での差し止め命令を出しました。尚、2020年2月6日、連邦地方裁判所のロレッタ・C・ビッグス判事は原告に味方し、法律に問題があるとしてこの政策を無効にしたというわけです。

尚、さらなる通知が発表されるまで、F、J、又はMビザの留学生は米国移民局または移民裁判官からの決定的かつ肯定的な違法存在が決定されない限りは、違法滞在と見なされないという以前の政策に基づくことができるということです。しかし、政府はこの決定を控訴すると予想されています。

尚、米国移民税関執行局 (ICE) は今月、特定のF-1ビザと他の非移民者の滞在期間をD/Sから指定の終了日に変更する規制を提案する予定であるということです