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H-1Bビザの代替としてのB-1ビザ

B-1ビザは、一般的に、海外で雇用されたまま合法的な事業活動を行うために米国に入国する外国籍の申請者が取得できる非移民ビザの一種です。B-1ビザ保持者は、米国において生産的雇用に従事することは禁じられていますが、Foreign Affairs Manual(“FAM”)は、H-1Bビザ(高度な専門知識を要する職業に就くための就労ビザ)の取得資格があり、外国で給与の支払いを受けながら、特定かつ限られた期間、H-1Bの業務を行うために米国に入国した外国籍の申請者が、限定的な状況においてB-1ビザを利用することを認めています。

FAMには、H-3ビザ(米国雇用主での業務を通して技能取得を目標とするトレーニングビザ)の取得資格があり、特定のトレーニングを受ける為に米国に入国した外国籍の労働者に対しての類似の規定が見られます。

H-1Bビザの代替としてのB-1ビザは、米国大使館もしくは領事館へ直接申請ができる非移民ビザであります。生産的業務を行う為に、米国に入国する外国籍従業員に対する一時的な解決策となります。

H-1Bビザの代替としてのB-1ビザを取得するには、米国に派遣される従業員は、下記の要件を満たさなければなりません。

  1. 従業員またはディレクターは、熟練した労働者でなければならず、通常のH-1Bビザで求められる“専門技術者”の要件を満たさなければなりません。
  2. 従業員またはディレクターは、雇用に関連する分野で米国の学士号に相当する学位を取得している、またはそれに相当する経験があること。
  3. 従業員またはディレクターが、米国に滞在する間、外国の会社からの雇用が維持されていること。

H-1Bビザの代替としてのB-1ビザにより、一時的なプロジェクトを柔軟に計画することができます。外国の会社は、従業員がクライアントと働いたり、さらには親会社の米国子会社や関連会社で就労する為に、従業員を米国へ派遣することができます。

H-1Bビザの代替としてのB-1ビザは、橋渡し的なビザであり、長期間に渡り使用するべきではありません。当ビザは、通常、最長1年発給されます。ビザ取得の成功の可能性を高める為に、下記のことを行なわなければなりません。

  • ビザ申請先となる領事館が当ビザの申請に適しているかを調査し、もし適していれば、適格な申請に対しどのような特別な要件を課しているかを調査する。領事館の中には、これらの種類のビザの発給を一律に拒否しているところもあれば、様々なレベルの審査基準を適用している領事館もあります。弊所としての理解では、日本の米国大使館及び領事館は、状況が許せばH-1Bビザの代替としてのB-1ビザを発給しています。
  • Bビザと面接の通常の準備に加え、H-1Bビザの代替としてのB-1ビザに適格であること、申請者の資格、報酬の源泉、及び付随費用の取扱いについて詳述した雇用主のレターを準備することが重要です。
  • 米国での雇用計画がより長期に変更となる可能性と将来のビザの適性への影響を注視する。

米国大使館のEビザ申請の現状

Eビザは、日系企業の多くが米国に駐在員等を派遣する際に使いますが、最近、在外米国大使館・領事館(以下“大使館”)に対する申請方法の変更また審査状況等に変化が感じられます。

日系企業であれば日米間で相当額の貿易を行っている、また米国事業に相当額の活動的投資をしている(または予定)場合、Eビザの適用が考えられます。Eビザ取得者は経営者・管理職または会社運営に不可欠な高度の専門知識を有する特殊技術者とされており、会社として新規にEビザを申請する場合、まずは大使館に対し申請者となる会社をEカンパニーとして企業登録する必要があります。

まず企業登録について、その申請には指定された通常の申請フォームに加え会社がEビザ条件を満たすかどうかを証明するための膨大な会社関連の補足資料の提出、また一人目のビザ取得予定者に関するフォームや関連資料の提出が求められ、提出後は月単位に及ぶ審査期間がかかっています。一人目の面接が無事完了したら会社が正式に登録され、二人目のビザ申請以降は個人面接のみでビザ取得が可能となります。なお、大使館は登録企業に対し、Eビザ企業としての資格を引き続き保有しているか定期的に審査を行っています。

これまでのEビザ登録申請は紙媒体での郵送申請でしたが、今年7月より、指定されたフォーマットにて書類を電子上で取りまとめ、Eメールで送る必要があります。提出書類も全体で70ページまたは50MB以内に収める必要があり、日本の最上位の親会社が非上場企業または個人事業主の場合、また日本株式市場で上場している企業の場合で求められる書類が異なり、更には提出フォームの記載についての明確かつ詳細なガイドラインも設けられました。とりわけ、昨今のコロナ渦において登録審査も長期化していた経緯もあり、審査期間の短縮化に対する意図も感じられます。

またEビザ申請にはグリーンプログラムというものがあり、大使館主導のプログラムで、Eビザ面接時の提出書類の量を減らすことを目的としています。Eビザ登録企業が米国人また永住権保持者の従業員が500人以上いる、10億ドル($1 billion)の貿易取引額(E-1)または, 10億ドル ($1 billion) 以上の売上高 (E-2) がある、資産合計額が1億ドル以上ある、等の企業はこれに該当します。こちら手続きの必要はなく、該当企業には、新規企業登録またはビザ申請時に大使館より連絡が入ることになっています。これまでは条件を満たしていても特に連絡を受けることはありませんでしたが、弊社でも該当企業は積極的に連絡を受けるように感じています。

また、既にEビザを保持している申請者のビザ更新申請でもその審査状況に変化が感じられます。これまでは提出フォーム上、会社状況に変更がなければ、申請者個人に関する事項が主たる審査対象と考えられましたが、例えば日系企業において、日本の最上位の親会社が非上場企業である場合等は会社の半数以上のオーナーが引き続き日本企業または日本人個人であるか、またE-1貿易会社であれば引き続き貿易条件を満たしているか、財務状況がどうか、等々を確認すべく、ビザ更新申請(面接等)に、新規企業登録申請に求められる同等レベルの情報資料の提出を求めてくる場合があります。そちら証明できなければ、ビザ更新できないことになりますので、久しくビザ更新していないような会社は注意が必要でしょう。

これら変化は現状良い面と不都合な面の両面が存在するとも言えますが、長い目で見れば、審査期間の短縮化や申請方法及び審査の簡略化につながるものと大きく期待しています。