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ブランケットプログラムを通して取得した L-1ビザスタンプの更新について

現在、在外のアメリカ大使館、領事館では、ブランケットプラグラムを通して発行されるL-1ビザスタンプは5年間有効なものです。しかしながら、その一方で、移民法には新規L-1申請における最大就労可能は3年(アメリカにおける会社設立1年以上の会社)と定められていることから、満3年を超えての4年目以降の引き続きの同ステータスによる雇用及びアメリカ滞在延長のためには何らかの形での更新申請が必要な状況です。

そのような状況の中、2014年4月2日の在東京アメリカ大使館による通達によれば、現在5年間有効なL-1ビザスタンプのもと、最大3年の雇用期間後、2年以上のビザスタンプの有効期間を残した状況であっても、アメリカ大使館を通しての申請を通して、ビザスタンプの更新申請が可能となるとの見解を示しました。

移民関税執行局(CBP)は未だに明確な見解を示してはいませんが、今回のアメリカ大使館の見解を受け、この3年を超えての雇用、滞在を可能にするためには、現在ではこのビザスタンプそのものの在外アメリカ大使館、領事館を通しての更新に加え、アメリカ移民局を通しブランケットプラグラムではない個人ベースでのL-1ビザ延長申請を行う2通りの更新方法をとることになるでしょう。

以上のことからも、実際に5年のビザスタンプが発行されたとしても、やはり3年後の更新が何らかの形で必要になることを意味します。むしろ、5年間有効なビザスタンプが発行されていることで、新規にLビザスタンプの認可を受けた従業員が先5年間は一切の更新、延長申請は不要と誤解しやすい状況になってしまっている事実もありますので、引き続き、3年後(又はアメリカ大使館への申請フォーム(I-129S)に記載した雇用リクエスト期間)の更新申請が必要であることを強く認識することはとても大切です。

今後この更新方法について、政府によるより明確な法的説明とその実施方法の見解発表を期待したいと思います。

デビッド シンデル
SW法律事務所

2015年度新規H-1B申請が上限に到達。他のビザオプションは?

2014年4月1日より申請受付が開始された来年度新規H-1B申請は受付期間である最初の一週間で年間上限発給数(通常枠:6万5千件、米国修士•博士号枠:2万件、合わせて8万5千件)の倍以上となる172,500件もの申請が押し寄せたことで早々に受付が締め切りとなりました。この状況は弊社でも予想していましたが、移民局は早速4月10日に正式に受領する申請書類を選び出すための無作為抽選を実施しました。その後、無事当選した方々の受領書が移民局より届き始めております。一方、抽選に漏れた申請書に関しては申請書類一式そのものが戻ってくることになります。実際に申請した方が抽選に当選したかどうか判断がつかないこともあるでしょうが、最終的には受領書が届く、または申請書そのものが戻ってくることで、自身の抽選結果を把握することになります。とりわけ特急申請された方で、5月に入っても受領書が届いていないようであれば、抽選に漏れてしまっている可能性が高いようにも思われます。

さて、見事に抽選に当選した方につきましては、今後移民局より正式に審査が開始されるのですが、現在のH-1B申請におけるポジションの傾向、また審査の難易度に関してはどのような状況なのでしょうか? 最近の統計データはまだ確認できておりませんが、はっきり言えることは審査自体が大変厳しくなっているということです。年々認可率は下降する傾向にあり、とりわけコンピューター系以外のポジションに関してはその難易度が高まっているとも言えるでしょう。ちなみに2013年7月の移民局発表によれば、2012年度から2013年度にかけてコンピューター系のH-1B認可者が15%増えているのに対し、それ以外のポジションのH-1B認可数は20%減っているという興味深いデータがあります。

事実、アメリカ労働局の発表においても、コンピューター系のポジションに関するH-1B申請が未だに大多数を占めているということで、2014年度のデータではコンピューター系のポジションが全体の70%を占めたということです。なお、移民局へのH-1B申請のためには予めアメリカ労働局より労働認定(LCA)を受けなければならず、その審査過程において、労働局はポジションや給与額、就労期間など査定、審査します。参考までにコンピューター系以外の職種については5%がそれ以外のエンジニア、また同じく5%がファイナンシャルスペシャリストや会計士などの金融系のポジションと続き、残りの20%がそれら以外の業種、ポジションという全体像となっているようです。

もちろん、コンピューター系のポジションが業界としても活動が活発な分野であることも否めませんが、一方で、移民局による審査傾向においてもコンピューター系以外のポジションは厳しく審査されているということの裏付けとも捉えることはできるでしょう。言い換えれば、いわゆる“ビジネス系”のポジション(オペレーション、ビジネス開発、マーケットリサーチ、パブリックリレーションなど)に対しては審査が難しく、多くの場合、質問状なしにあっさり認可をうけることはとても難しくなっています。セールス系のポジションはここ数年難しい傾向にあった状況で、更に今ではH-1Bでは当然該当するとも考えられるマーケットリサーチ系のポジションが厳しく審査され始めているという事実はビジネス系のH-1Bポジションを考えている方にとっては非常に悩ましい傾向とも言えます。事実、移民局による「エントリーレベルのパブリックリレーションのポジションはH-1Bのポジションに条件として求められる専門職には該当しない」という判断結果を支持する連邦地方裁判所の判例(2014年4月24日)があります。

ではこれらの状況を受け、今後H-1Bビザ申請者・企業はどう対応していくべきなのでしょうか? 抽選、そして厳しい審査状況を踏まえると、特に採用する企業側においてはプランB、つまりバックアッププランを持つことも重要となってくるでしょう。例えば、一社から複数の新規H-1B申請書を提出した企業においては、統計的には半分以下しか抽選に当たらず、結果的に無事に全員認可されたとしてもH-1B従業員による人材確保は実現しません。企業の立場からすれば、EビザやLビザが条件として該当するようであれば、それも検討すべき事項です。またアメリカの大学を卒業した外国人がOPTを使用して就労(正確にはトレーニング)することも可能ですので、条件が整えば、OPT保持者の雇用も考えられます。ただOPTには期限があり、その期限後の継続的雇用に関しては引き続き、問題は残ります。確実性という意味ではやはりアメリカ市民や米国永住権保持者の採用も同時に進めていくことも会社の体力を維持するためにも無視できない状況です。

SW法律事務所

新規H-1B申請中の渡航に関する注意事項

皆さんの中には今年、個人として、また会社として従業員の新規H-1B申請を行った方もいらっしゃるかもしれません。米国移民法は複数の政府機関によって管理されているということもあり、新規H-1B申請を行った場合、結果が下りるまで(又は早々に認可されたとしても、2014年10月1日まで)の間、渡航に制限がでてくるケースがあります。

現在、米国外にお住まいの場合

基本的に、米国外で新規H-1B申請を行う場合、認可が下り次第、米国大使館又は領事館でビザスタンプ申請を行います。H-1B申請中に例えばビザ無しで渡米される場合、その後のH-1Bビザスタンプの取得に悪影響を及ぼす可能性があります。またアメリカ入国そのものに影響を及ぼす可能性(例えば入国拒否など)もあるため、申請中の渡米はなるべく避けた方が良いでしょう。H-1Bは早くても10月1日から有効であることから、それ以前のアメリカ入国に対しては不当にH-1Bに関する就労を行うのではないかなど、本来の入国目的に疑いをかけられる可能性が考えられるためです。

現在、米国内にお住まいの場合

オプション1ステータス変更:米国内にて他のステータスから新規にH-1Bステータスへ変更される場合、H-1B申請中はアメリカ国外へは渡航出来ません。H-1Bが認可された場合、10月1日以降であればアメリカ国外への渡航は可能ですが再入国にはH-1Bビザスタンプが必要となります。その事から、スタンプ取得のため、最初の行き先は日本など母国である事が望ましいです。ビザスタンプ取得後、H-1Bが有効な間は自由に渡航が可能となります。

オプション2アメリカ国外でビザスタンプを取得してアメリカへ再入国するケース:  仮にH-1Bが10月1日より開始されるH-1Bが認可された場合、無事にビザスタンプが取得できていれば、その10日前からアメリカへのH-1Bビザでの入国が可能となります。ビザスタンプ取得後、H-1Bが有効な間は自由に渡航が可能となります。

以上、新規H-1B申請者は渡米には充分気をつけるようにしてください。

SW法律事務所

速報:L-1Bビザの高い却下率

米国移民局は、つい先日、2012-2013年度のL-1B申請に関する受領数、認可数、質問状発行数、却下数について発表しました。L-1ビザとは特定の条件のもと、米国に支店・子会社・親会社がある米国外の企業の社員が、同種の仕事内容で米国にて働く場合に適用され、L-1AとL-1Bの2種類に分かれます。L-1AがExecutive及びManager用のビザであるのに対し、L-1BはSpecialized knowledge(会社特有の専門能力)を持つ専門家に対して発行されます。

L-1B申請に関する受領数、認可数、却下数、質問状発行数一覧

年度

サービスセンター

受領数

認可数

却下数

質問状

2012

カリフォルニア

6,784

5,109

75.3%

2,583

38.1%

3,636

53.6%

2012

バーモント

11,956

9,071

75.9%

3,485

29.1%

5,052

42.3%

2012年合計

 

18,740

14,180

75.7%

6,068

32.4%

8,688

46.4%

2013

カリフォルニア

6,642

4,110

61.9%

2,661

40.1%

3,446

51.9%

2013

バーモント

11,081

7,834

70.7%

3,581

32.3%

4,917

44.4%

2013年合計

 

17,723

11,944

67.4%

6,242

35.2%

8,363

47.2% 

総申請数の約50%近くに質問状が発行、35%が最終的に却下

一覧表を見てもお分かりのようにL-1Bビザそのものが非常に取得困難なビザであることを伺わせるのですが、最終的な却下率は2012年から2013年度にかけて約3%増えています。更に2012年度以来、カリフォルニアサービスセンターにおける却下割合がバーモントサービスセンターに比べて顕著であることも見受けられます。更に見ると、両年度とも実に申請の半分近くに対して質問状が発行されていることが分かります。質問状とは申請した書類の内容に対して移民局が追加で情報、資料を要求してくるもので、その返答に更なる負担がかかります。ここで特に興味深いのが質問状発行と却下数の関係で、移民局による却下は通常、質問状発行を通して結論付けられることから、実に質問状を受けた場合の却下率は2012年の約70%から2013年度は75%近くにまで上がっているとも言えるでしょう。

我が社の統計では申請の約95%が認可

弊社では毎年多くのL-1B申請を行っているのですが、残念ながら100%認可という結果ではありません。ケースの種類にもよりますが、質問状が届く割合は移民局の実数である50%近くまでは至らずに済んでいるものの多くのケースで質問状がくると実感しています。また最終的な却下率は約5%程といったところでしょう。移民局による厳しい審査状況は弊社でも実感しており、お客様特有の商品、サービスビザ取得者の専門能力、アメリカでの専門的ポジション、職務内容について、弊社ではお客様からできる限り多くの詳しい情報を収集し、事実に基づいて申請書に正当に反映させるべく多大な時間を使います。弊社で作成する移民局へのサポートレターは一般に20ページ以上で、質問状が来た場合の返答書のレターに関してはそれ以上である場合がほとんどです。ただ、弊社のケースに限らず、会社商品やサービスの特有性やビザ取得者の専門性、アメリカでの専門的活動内容をどれだけ詳細に説明したとしても移民局はその内容に納得せず質問状を発行し、更にその質問状への返答が移民局の理解に及ばなければ却下するという現実があるのです。

この3件に1件が却下になるという現実を受け、各企業はL-1Bでの従業員の派遣についてはビザが認可されない可能性が比較的高い確率で起こり得ることを認識する必要があります。そのことからも各企業とも派遣社員をどのように選任すべきか見直しが必要になるでしょう。またビザ申請にあたっては、その申請準備作業時間だけではなく、質問状がくる可能性があることなどからも派遣予定時期まで十分余裕を持つことも重要でしょう。一方で、もし会社がLブランケットプログラムを持っていれば、移民局を通さない申請であることからも比較的認可の割合は高いように感じられます。

ブランケット L-1ビザとは

規定以上の社員を米国に転勤させている会社はブランケットL-1(総括的申請)ビザの許可申請を行うことができます。会社としてブランケット申請が認められると交替社員が個人でLビザの申請を米国移民局に対して行う必要はなく、手続きも簡略化され申請手続にかかる時間も短縮されるなど、会社にとってはメリットが多いです。ブランケット申請をする資格としては、スポンサーとなる米国の会社が少なくとも1年以上ビジネスを行っており、且つ3ヶ所以上の関係会社をもつ場合で、過去12ヶ月の間に少なくとも10人のL-1ビザ社員を米国に転勤させているか、もしくは米国内にて関連会社合算で2,500万ドル以上の売上がある、もしくは米国内で1,000人以上の従業員を雇用している場合となります。

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