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2016年3月のVisa Bulletinについて

家族ベース及び雇用ベースのグリーンカードの優先日(Application Final Action Dates及びファイリングの優先日(Dates for Filing Applicationsを掲載した 2016年3月度のビザブレティンが先日米国国務省により発表されました。

EB-2 Indiaはカットオフデートが2.5ヶ月前進しましたが、EB-3 Indiaは1ヶ月進んだのみでした。EB-2 Chinaのカットオフデートは5ヶ月の前進があり、EB-3 Chinaにおいては8ヶ月も前進しました。日本人を含む国々の申請カテゴリーにおいては、EB-3のカットオフデートが201611日となりほぼ待ち時間がない事となります。

尚、雇用ベース の永住権の優先日一覧は以下の通りです。(Cは現行を意味します)

雇用ベ その他 中国(本土) インド メキシコ フィリピン
1st C C C C C
2nd C 2012年8月1日 2008年10月15日 C C
3rd 2016年1月1日 2013年6月1日 2004年7月15日 2016年1月1日 2008年3月15日
Other Workers 2016年1月1日 2007年2月1 2004年7月15日 2016年1月1日 2008年3月15日
4th C C C C C
Certain Religious Workers C C C C C
5th
Non-Regional
Center
(C5 and T5)
C 2014年1月22日 C C C
5th
Regional
Center
(I5 and R5)
C 2014年1月22日 C C C

尚2016年2月8日の時点では、米国移民局は、3月中に家族ベース及び雇用ベースのファイリング日(Dates for Filing Applicationsに基づくグリーンカードの出願を受け付けるかどうかは発表しておらず、おそらく間もなくそれに関する情報が発表されるのではないかと思われます。

[Sources: https://travel.state.gov/content/visas/en/law-and-policy/bulletin/2016/visa-bulletin-for-march-2016.html

オバマの移民法改正案DAPA最高裁判所へ

201411月、大統領命令により、約4百万人の違法移民に対する救済措置が定められました。これが実行されると、米国籍者あるいは永住者の親である違法移民は、強制退去処分の適用除外とされ、就労許可証 が与えられるということになります。

しかし、この大統領命令は、テキサス州法務長官(共和党)などが違憲だとして訴訟に持ち込み、テキサス州連邦裁判事から差し止め命令が下されました。

連邦最高裁は、オバマ大統領の要求に応え、今年4月にこの件について判断を下すとしています。

この大統領命令が合憲と認められると、移民局には短期間で大量の申請が殺到することになります。オバマ大統領の任期が来年1月までで、後任の大統領がこの命令を取り消す可能性があるからです。

(re:http://www.reuters.com/article/us-usa-court-immigration-implementation-idUSKCN0UY1BH, https://news.vice.com/article/the-supreme-court-will-determine-the-fate-of-millions-of-undocumented-immigrants-obama)

H-1B 保有者の運転免許証更新について

多くの州において、H−1B保有者の運転免許証は、有効なH−1B認可証の期限迄となっています 。よくあるケースとしては、H−1B延長申請が通常申請にて申請された数ヶ月後に、申請が未だ審査中であり 、免許証の期限も切れる事に気づく事が あります。このような場合はどのように対処すればよいのでしょうか。

米国移民局は、H−1B延長申請が審査中である限り、I-94に記載してある滞在期限が切れた後も最長240日間迄同じ雇用主の元にて就業する事を認可しています。 H−1B保持者は、延長申請が審査中に米国外に旅行する事は避けなければなりません。申請書の受領書があれば、免許証を一時的に更新するDMVもありますが、カリフォルニア州のDMVでは、延長申請が審査中の場合免許証を更新する事ができず、免許証が切れた場合でも、グレースピリオドはありません。このような場合、H−1B保有者は、審査中の申請書を特急申請にアップグレードする、 又は特急申請が不可である場合には、他の交通手段を確保する必要がある事を雇用主と協議するのが良いでしょう。

H−1B延長申請が認可されたら、H−1B保持者は免許証の更新手続きを始めるができます。詳細は、DVMのウェブサイトを参照して下さい。又、免許証を更新する場合には、以下の書類を持参して下さい。

  • オリジナルの認可証
  • H−1B申請書のコピー

新たな免許証が発行される迄、DVMは約60日間有効の仮免許証を発行する事となります。

L-1 及び H-1B の追加費用の値上げ

L-1及びH-1B申請には2010年8月から2015年9月30日まで、総従業員数50人以上の会社でその50%以上の従業員がH-1B、L-1A、L-1B保持者である場合、追加申請費用がかかっていました。それが2015年12月18日に2016年度予算案が議会を通過したことで復活し、これまでの費用から値上がりし、L-1申請に対しては$2,250から$4,500へ、H-1B申請に対しては$2,000から$4,000となりました。

なお、在日アメリカ大使館、領事館でも2015年12月21日よりこの条件に該当する特定のブランケットLビザ申請に対し$4,500が課されています。これは通常の$190のビザ発行費用と$500のLビザ詐欺防止費に追加される費用です。もしこの条件に当てはまる場合、I-129SフォームのPart1Aの二つの質問にYesと回答し、ビザ面接の際にこの費用を支払う必要が有ります。なお、移民局申請もそうですが、L-2はこの費用に該当しません。

ちなみにこの費用は新規及び延長申請ともに必要です。ただ、この条件に該当するスポンサー会社は全体のほんの一部に過ぎず、多くの場合は該当しないのですが、今後、通常ケースにおいても申請費用の値上げという流れが近く及んでこないとも限りません。今後に注目です。

新年明けましておめでとうございます

2016年移民法の行方 

20164月から受付開始される新規H-1B 2017年度)申請について、2016年も近年同様、抽選となることは疑いのないことでしょう。先日オバマ大統領は、L-1またH-1Bを持つ従業員の割合が会社全体の少なくとも50%を占める会社からの申請費用(通常の$325申請費用、トレーニング費、Fraud費に加えて必要とされる申請費用の一つで、それら割合が50%に至らない会社は対象外)を50%値上げすることに署名したものの、多くの会社が対象外の会社からの申請であることから、新規H-1B申請者の数が減ることの打開策とはなり得ないでしょう。

アメリカにおいて急激に拡大しているIT産業を背景に、関連する会社からのH-1B申請は増えることが予想されています。数学、科学、エンジニアリング等を専攻としたアメリカの学位を取得した留学生(特にインド人や中国人)の多くは引き続きアメリカに滞在しアメリカでの仕事を希望していることから、そのこともまた新規H-1Bの申請数を増やす決定的要因ともなっています。

一方、アメリカで学位を取得した多くの海外留学生が、このH-1B年間発給枠に伴う抽選の実施が要因で、卒業後H-1Bにてアメリカで就労したくとも実現せず、自国への帰国を余儀なくされている現状もあります。 

また2016年はH-1BL-1保持者に対する会社への監査訪問が引き続き実施され、その実施数は増えることも予想されています。

更に、カリフォルニア州サンバーナディーノ郡でのテロによる銃乱射事件を受け、ビザウエーバープログラムを使ってのアメリカ入国がより厳格化されることでしょう。結果、Bビザなどの非移民ビザの取得が求められるケースが増え、アメリカ大使館でのビザ取得までにかかる時間が長くなることが予想されます。

2016年はアメリカ大統領選挙の年でもあることから移民関連事項は重要視されることでしょう。例えばドナルドトランプ氏が掲げるように、事実、移民問題が選挙のキャンペーンとしても利用されています。今後の選挙運動の内容には注目したいところです。これら移民法を良い方向へ導く可能性を秘めたキャンペーンが繰り広げられる一方、実態とすれば、移民法にとってあまり好ましくない法案があることも否めません。

デビッド シンデル

SW Law Group, P.C.

安全措置計画の最新情報

政府による安全措置計画の最新情報:ビザ免除プログラム(VWP)の規制強化を下院が可決

以前ホワイトハウスがビザ免除プログラム(VWP)に対する新たな安全措置計画を行使する予定であるとの記事を掲載しましたが、最近その安全措置計画が新たに課す事項に関する最新情報が発表されました。

パリ及びカリフォルニア州サンバーナディーノにおけるテロ事件を受けて、下院は、ビザ免除プログラムの規制強化に関する法案を賛成407票、反対19票にて可決しました。本法案は、過去5年間にイラク、イラン、シリア、又はスーダンに渡航した外国人がビザなして米国に入国する事を防ぐものです。本法案は上院でも可決され、本年度末迄には成立する見通しです。

本法案が成立された場合には、2016年4月1日迄に、すべての渡航者が、顔画像等の生体情報を含むICチップを搭載するE-パスポート(IC旅券)を提示する事を義務付けます。又、2011年3月以降にイラク及びシリアへ渡航したほとんどの外国人が、ビザ免除プログラムにて米国に入国する事を防ぎ、対面インタビューを含む、正式なビザ申請を課す事となります 。但し、ビザ免除プログラム加盟国を代表して軍事任務を遂行する為 、又は、ビザ免除プログラム加盟国の政府職員として正式な任務を遂行する為にそれらの国に渡航した場合には、この規制は適用されません。

エスタ(米国電子渡航認証)登録は、本法案にかかわらず従来通り義務づけられ、エスタにて米国に入国する渡航者は、現状況における厳しいセキュリティーチェックの対象となる事が予想されます。又、ビザ免除プログラムを利用して米国を訪れる全ての渡航者にはエスタ登録が義務づけられており、エスタ申請が承認されても必ずしも米国への入国が許可されるという訳ではない事を理解しておいて下さい。

なぜ米国市民権を申請するのか?

米国市民権権を取得することやアメリカに 居続けられるかどうかは、外国籍の人達にとっては大きな関心事の一つです。”Naturalization(帰化)”と“Permanent residence(永住)”の違いとは何でしょうか。生まれながらにしてアメリカ国籍を持つ人の多くは、NaturalizationとU.S. permanent residence を混同しているようです。Naturalizationとは、米国市民権を申請し取得するための手続きであるのに対して、U.S. permanent residentというのは継続的にアメリカに滞在し、働くことができる資格を得るための手続きを言います。この二つは全く異なります。米国市民には米国永住権保持者では得られない恩恵があります。米国市民権を取得するために長期間にわたり米国に滞在してきた米国永住権保持者ですらその違いに気づいていないこともあり、更に、米国市民になるための手続きには様々な要件が存在するのです。

 

なぜ外国籍の人々が米国市民権を必要とするのか、 以下3つの理由に分けて紹介していきます。また手続きの際に立ちはだかる3つの潜在的な問題についても触れてみたいと思います。

 

まず一つ目は、米国市民権を取得することで、海外渡航が簡単になるということ。ほとんどの外国籍の人々は海外渡航に関して制限を持つ国の出身者であり、自国またはアメリカ以外の国へ渡航しようとする場合、事前にビザの取得が求められます 。米国市民としてアメリカのパスポートを持つことで特定の国への渡航の自由度は広がります。迫害などの理由で亡命してきた人は、新たなビザの確認のためや自国を訪れる時に行われる綿密な調査を回避することもできるのです。

 

二つ目は、米国市民権保持者は、特定の家族をアメリカに移民させたい場合、彼らのスポンサーになることができます。外国籍の人の中には、母親、父親、兄弟、姉妹、子供といった直近の家族がアメリカ国外におり、自らが彼らのスポンサーとなってアメリカに呼び寄せたいと願う人もいます。米国市民権を持つものだけしかアメリカに呼び寄せることができない特定の家族が申請カテゴリーの中には存在します。アメリカへの家族の呼び寄せについて、申請上、家族の種類によって年間発給割り当て数が存在するため、長い待ち時間、また手続きにも遅れが生じている種類もあります。例えばアメリカ永住権保持者も特定の家族のアメリカへの呼び寄せも可能ですが、米国市民に帰化することを最初のステップとすることで、時間の短縮や呼び寄せることのできる家族の幅を広げることが可能となります。国会調査サービスによる家族ベースの移民政策の報告によると、2013年会計年度に米国市民権保持者のスポンサーにより合法的に滞在、就労ができるステイタスを得た人は約650,000人にのぼるとのことです。

 

三つ目は、米国市民権を得ることで、アメリカで市民としてのあらゆる条件を満たした状態で生活できることです。投票権、陪審員への参加、そして米国市民でなければ不可能なアメリカ政府での仕事にも就くこともできます。米国市民権によって恩恵を得られる可能性は広がりますが、それと同時にアメリカ社会の一員としての責任も求められます。

 

Naturalizationの申請手続きについて考えるにあたり、注意すべき落とし穴とは何でしょうか?

 

ほとんどの米国市民権申請はスムーズに進んでいるようですが、申請者の中にはこれまでの犯罪歴や状況が米国市民権の取得にどのように影響を及ぼすかについて留意すべき方々もいます。よくある事例は以下の通りです。

 

離婚や養育費の支払い義務について。申請者が負担する離婚歴や養育費の支払い義務がある場合、申請者はそれらが米国市民権の申請に与える影響について考慮する必要があります。現在進行中の支払い義務等があれば、それについて詳細に説明した文書を提出することも有効です。アメリカ政府は、養育費の支払いやその他離婚に関係した支払い義務などの滞留に対しては非常に重要視するため、申請者の米国市民権取得に悪影響を与えかねません。

 

また刑事事件におけるいかなる逮捕歴や有罪判決も、たとえその事件が完了していたり、すでに最終判決が下されていたとしても、Naturalizationの申請に影響を与える可能性があります。申請者は刑事事件の逮捕歴や有罪判決がNaturalizationの申請に与える影響を認識しておく必要があり、申請の障害となりうるであろう、逮捕なのか有罪判決なのかを決定づける詳細な内容についても十分に確認しておく必要があります。刑事事件であることが決定的な場合、厳しい判断が下される可能性があり、また著しくモラルに反した犯罪であれば、申請に大きな悪影響を与えかねません。

 

Naturalization申請のタイミングも重要です。米国永住権保有者が米国市民権の申請要件を満たすには、申請者本人が継続的に米国に存在することが絶対条件です。もし申請者が6ヶ月や1年を超えて海外に渡航または居住する場合、米国永住権の申請目的である、居住の継続性を断つことになってしまいます。また アメリカでの必要居住期間を満たす前に申請するなど、申請が早すぎた場合も問題になります。

 

米国市民権の申請を考える際には、犯罪歴などを持たないようにすること、そして申請の時期についてしっかりと確認することが、途中でつまずくことなくスムーズに手続きを進めるために重要なことと言えるでしょう。

アメリカ移民局のL−1Bビザ審査状況

会社特有の専門能力を持つ従業員を企業内転勤者としてアメリカに派遣する際、L-1Bビザが申請オプションとなる場合が多くあります。アメリカ移民局の発表によると、2015年会計年度においてアメリカ移民局が受け取った、L-1B申請総数は13,626件で、そのうち、約76%(10,368件)の申請が認可され、約25%が却下されたとのことです。現在、2,116件のL−1Bビザ申請が審査中となっています。

 

2014年会計年度のL−1Bビザ申請の却下率は35%に達していましたが、その数は大きく減少傾向にあると言えます。

 

参照:

http://www.aila.org/infonet/uscis-performance-data-l-1b-petitions-for-fy2015

http://nfap.com/wp-content/uploads/2015/03/NFAP-Policy-Brief.L-1-Denial-Rates-Increase-Again.March-20151.pdf

 

パリ同時多発テロ事件以降のESTAによる安全強化について

12月7日月曜日、先月のパリでのテロ攻撃を受けて、 ホワイトハウスがビザ免除プログラム(ビザ免除プログラム)についての新たな安全措置計画を発表しました。現在38カ国がビザ免除プログラムに加盟しており、 加盟国から旅行やビジネスでアメリカを訪問する際は、米国大使館や海外領事館で米国ビザを取得することなくアメリカへ入国することが許されています。この場合渡航者はESTAによって審査され、経歴等のチェックは受けません。

 

今回の新たな安全措置では、「テロリストの避難所」とされる場所や紛争地域とされる国に渡航した者を選別、識別できるようESTAシステムが変更されます。またビザ免除プログラム加盟国からの旅行者は、セキュリティチップが埋め込まれたパスポートの使用を求められることになるでしょう。ホワイトハウスは、ビザ免除プログラム加盟国と国際刑事警察機構との間で共有される情報量が増えるといった、関係機関間での協力が増えることを議会が認めることも期待しています。国土安全保障省は60日以内に安全強化勧告と関係機関間での協力をオバマ大統領に提供することを期待されています。より一層の安全措置が実施されるべきであり、ビザ免除プログラム加盟国の渡航者はESTA申請の間、さらなる選別が行われること、そしてこれまでよりも時間がかかることを想定しておくべきでしょう。

フォームI-9:I-9の完成と雇用者の義務に関する基本的情報

米国市民また非市民が米国の会社に米国内で雇用された場合、従業員および雇用主の両者は、従業員の身元と就労許可の有無を証明するために使用されるフォーム、I-9の記入を行わなければなりません。フォームI-9は米国移民局(USCIS)のウェブサイトhttp://www.uscis.gov/i-9 より入手することが可能です。フォームは定期的に更新されますので注意が必要です。常に最新のフォームを使うようにしてください。本記事では、従業員の米国内での就労許可を確認するためのフォームI-9と、そのフォーム作成における雇用主の義務について、その基本情報を紹介します。

新しく採用された従業員は、就業初日にフォームI-9のセクション1を完成する必要があります。ただし、採用オファーを受ける前には決して完成させてはいけません。セクション1には氏名、住所、誕生日、米国ソーシャルセキュリティーナンバーなどの基本情報を回答します。さらに、従業員は自身の市民権または移民上のステータスについて証言し、身元と就労許可を証明する期限の切れていない書類の原本を提示する必要があります。

提出可能な書類一覧は説明欄から確認できます。一覧Aには身元と就労許可があることの両方を証明できる書類例が記載されています。一覧Bには身元証明のみが可能な書類の例、一覧Cには就労許可があることのみ証明できる書類の例が記載されています。従業員は、一覧Aから書類を一点提示するか、もしくは一覧Bと一覧Cからそれぞれ一点ずつ合わせて提示することも可能です。重要なのは、雇用主が提出書類を指定することはできないということです。雇用主は従業員が提出した書類を参考に、従業員が就業を開始した日から三日以内にフォームI-9セクション2を完成させなければなりません。なお、提出される身分証について、雇用主は原本の確認が必要ですが、それら複製コピーを撮っておくことも可能です。雇用主が書類の複製コピーを作成する場合は、新しく採用する従業員全員に対して平等に実施すること、または再確認のためでなりません。複製コピーはフォームI-9と一緒に保管しなければなりません。

完成したフォームI-9は 雇用関係が始まった日から三年間、もしくは従業員の雇用が終了した日から一年間のどちらか期間の長い期間、雇用主が保管しなければなりません。完成したフォームはその都度移民局へ提出する必要はございません。これらのフォームは監査査察の際にすぐに開示できるようにしていなければならず、国土安全保障(DHS)や労働省(DOL)、司法省(DOJ)の役人の開示要求を受けてから三日以内に開示しなければなりません。雇用主は完成したフォームI-9を人事記録と一緒に保管してもよいですが、 I-9の監査に準拠しやすいように、USCIS はこれらフォームと人事記録を別々に保管することを推奨しています。さらに、フォームI-9と従業員の人事ファイルを一緒に保管していた場合はすべての情報が監査役に渡ってしまう可能性がありますが、これらを別々に保管することで、万が一、監査役にフォームI-9の保管ファイルごと渡したとしても、その従業員に関する他の個人情報の開示を制限することができます。

フォームの完成や保管を適切に行わなかったり、また監査時に法的に義務のあるフォームI-9の開示ができなかったりした場合、違反一件につき110ドル以上11000ドル以下の罰金を民事処罰として徴収されます。

フォームI-9に関する雇用主の疑問に対する答えの多くはUSCISの Handbook for Employers: Guidance for Completing Form I-9 (Form M-274) に記載されており、また就労許可や身元の証明として提出可能な書類のサンプルも収録されています。このハンドブックはUSCISのウェブサイト(http://www.uscis.gov/i-9)より入手することが可能です 。

実際に監査対象となった場合、慌てて日付を遡ってI-9フォームを修正したり、改めての作成を模索する方もいるかもしれませんが、監査官に対してはGood Faith defenseを意識の上、如何なる詐欺や偽造は許されません。後付けのものは付箋をして対応するなど、真摯に監査官に向き合うことは重要でしょう。

【関連ページ】
I-9(従業員就労資格確認書)