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2015年9月のビザブルテンの発表

ビザブルテンはアメリカ国務省により公的に発表されるもので、家族ベース、雇用ベース、そして抽選ベースの永住権申請について、国別そして永住権申請のカテゴリー別に、申請が可能となる日付を一覧表にして毎月提供しています。

 

その一覧表にある日付はカットオフ日と呼ばれ、 この日付に対して申請者の永住権申請開始日(プライオリティーデートと呼ばれ、例えば、EB3カテゴリーであれば、PERMを労働局にオンライン提出した日付)がそのカットオフデートに到達すれば、永住権の最終段階申請(アメリカ国内でのAOSステータス変更申請、または在外アメリカ大使館での面接を通した申請)段階へ進むことができます。この日付は基本的に毎月進むのですが、時折、停滞する、更には日付がバックデートすることもあります。月毎にその動きは異なり、特定の永住権カテゴリーに申請が集中する、また特定の国に対しては、割り当てられた年間発給数以上の申請が集中すれば、このカットオフデートは動かずに停滞することになります。 この停滞は、とりわけ、9月の会計年度末に顕著になります(政府の会計年度は10/1~9/30)。

 

今回、9月のビザブルテンが発表されましたが、雇用ベースの永住権申請カテゴリーのひとつであるEB-2に関し、中国及びインド国籍の申請者に対して大きな停滞期間が発生することが発表されました。そのカットオフデートは2006年1月1日です。8月のカットオフデートと比べると中国人に対しては7年、インド人に対しては2年、停滞期間がバックデートし、延びたことことになります。10月の新会計年度になれば、新たにビザ発給数がそれぞれのカテゴリーに対して有効になりますので、恐らくこの日付は戻るものと考えられますが、絶対を保証するものではありません。

 

なお、EB3カテゴリーは僅かではありますが、進みました。日本人を含む国々の申請者カテゴリーについては一ヶ月進み、現在のカットオフデートは2015年8月15日です。これは、ほぼ待ち時間がないことを意味します。一方、中国、インド、フィリピン人申請者に対するEB3カテゴリーは約半年進み、2004年12月22日がカットオフデートとなっています。インド人についてはここ2ヶ月で10 ヶ月の動きでしたので良い状況だと思われます。

アメリカ社会保障局の新規則

2015年9月9日よりソーシャルセキュリティーカードの申請に関するアメリカ社会保障局の規則が変わります。申請には必要な申請フォームと滞在資格など必要な補足資料の提出が求められるのですが、今回、オンラインでの申請が可能となります。

 

これまではSS-5と呼ばれるフォームを記入し、社会保障局やソーシャルセキュリティーカードセンターに郵便または持参することでの提出方法のみでした。

 

ただ、ソーシャルセキュリティーカードの変更を必要としている人はオンラインではなく、ソーシャルセキュリティーオフィスでの申請が求められます。オンラインによる申請は近く可能となる見込みです。

 

これらオンラインによる方法が導入されることで、これまで懸念されていたソーシャルセキュリティーオフィスの混雑が少なからず解決されることが期待されます。

 

National Visa Center の誤送信

2015年7月30日、ナショナルビザセンター(NVC)は永住権申請中の申請者に対し、NVCへの最後の連絡をNVCからの連絡から1年内に行ったにもかかわらず、NVCの最後の連絡から1年以上何も返答がなかったことを理由に永住権申請プロセスを停止する旨を記載した通知を2015年7月29日に 誤って発送したと発表しました。

その後、NVCは 対象者に対し、引き続き審査する旨を記した訂正の通知を発送しました。もし自身のケースで、当誤通知を受け取ったにもかかわらず訂正の通知を受けていない場合は、NVCへ連絡を取るようにしてください。

在日アメリカ大使館、領事館でのEビザ申請について

既にアメリカ大使館、領事館にEビザ会社として登録されているアメリカの会社にEビザ従業員を日本から派遣させる場合など、ビザ取得のために、日本での面接が必要となります。

これまでは、1年に1度、DS156Eフォームとともに会社の財務情報等会社情報をアメリカ大使館、領事館へ提出する事で会社登録を適切に維持する事が出来ていました。

ただ、現在では、その必要性はありません。

アメリカ大使館、領事館の新しい方針では、1年間に複数の従業員のEビザを提出する企業は会社の財務情報を1年に一部のみ提出すれば良い状況に変わりはありませんが、提出方法及びタイミングとすれば、最新の財務諸表が作成された後、もしくは納税申告後に誰かがビザを申請する際に提出する事が望ましい、となっています。

 

なお、現在では各従業員の面接時、DS156Eフォームの全て(Part I~PartIII) の提出が必須となっております。

同じ情報がDS160フォームにも記載されますが、こちら新しい方針により全ページの提出が必須ですのでお気をつけください。

こちら提出を忘れると、その場で追加記入させられる、場合によっては、後日の提出を求められる事で、その日に面接結果が出ないという事も考えられます。

米国出国者の生体データ採取開始(テストプログラム)

米国の出入国管理を行うCBPは、 米国を出国する外国人旅行者の生体データ採取を開始したと発表しました。

米国を出国する外国人旅行者から、指紋とパスポート情報を専用の手持式 機械で読み取り、その旅行者が米国に入国した際に採取されたデータと照合して本人確認を行うというものです。

現時点ではアトランタ国際空港でのみ実施されていますが、今秋までに、シカゴ・ダラス(テキサス)・ヒューストン・ロサンゼルス・マイアミ・ニューアーク・ニューヨーク・サンフランシスコ・ワシントン-ダラスの各空港でもテストを開始するとのことです。テストは来年6月まで行われ、採取されたデータとその解析をもとに、将来の出国管理における生体データ採取システム構築に役立てる模様です。

PERM申請に求められる平均賃金額の決定要因とは

 

永住権申請の第一ステップであるPERM申請において、永住権をスポンサーする会社が、オファーする永住権ポジションに対し職務内容及び雇用条件を決定したら、会社が支払うべき平均賃金額を労働局に対してリクエストしなければなりません。この金額は最終的に永住権が取得できた際には会社が支払わなければならない最低の金額でもあり、この平均賃金額について把握することはその後の求人活動を無駄なく進め、また永住権申請の第2ステップ以降の申請をスムーズに進めることができるかどうか等の大変重要な鍵ともなります。

 

労働局はSOCジョブポジション、雇用場所、学歴、職歴、出張の必要性、部下管理の必要性、資格の必要性、外国語能力の必要性等々を基に平均賃金額を決定しますが、現在、その決定には約60日にかかっています。

  1. Occupation Code (SOC) ジョブタイトル

平均賃金額を労働局へリクエストする際、希望のSOCジョブタイトルをリクエストフォームに記載します。これは労働局が参照するポジション一覧にあるジョブタイトルで、スポンサー会社側も各ポジションに対して求められる雇用条件やポジションレベル等を同様に確認することができます。実際、全ての永住権オファーポジションが完全にSOCジョブタイトルに当てはまるとは限らないため、労働局は、希望されたSOCジョブタイトルが実際の永住権申請上のオファーポジション及び職務内容に対して適切かどうかを判断します。

  1. 雇用場所

平均賃金額リクエストには、雇用場所を記入します。平均賃金額は雇用場所によっても異なり、仮に本社と実際の雇用場所が異なる場合は、実際の雇用場所に基づいて賃金額は決定されます。もし雇用場所が特定の状況で複数にまたがる場合などは、本社の所在地に基づいて平均賃金が決定されます。

  1. 学歴、職歴

一旦、ジョブタイトルと雇用場所が決まれば、そのポジションに必要とされる学歴や職歴を平均賃金額リクエストフォームに記載することになります。オファーポジションに対して通常求められる学歴や職歴はSOCから確認できますが、それよりも高い条件設定とすると平均賃金はその分高くなります。例えば、雇用条件として4年生の学士号が一般に求められるポジションに対し、修士号を必要条件とすれば賃金レベルが一段階上がり、更に博士号を必要条件とすると賃金レベルが二段階上がることになるでしょう。また、この条件設定は永住権の申請カテゴリであるEB2(学士号プラス5年の職歴または修士号を雇用条件とする)やEB3(一例として学士号プラス5年未満の職歴を雇用条件とする)を決定する要因ともなります。

  1. 出張の必要性、部下管理の必要性、資格の必要性、外国語能力の必要性

オファーポジションの雇用条件として出張の必要性、部下管理の必要性、資格の必要性、外国語能力の必要性を付ける場合、通常、その条件ごとに賃金レベルが上がります。ただ、ポジションによってはそれら条件が必然である場合もあり、その場合は、賃金レベルは上がらないこともあります。なお、外国語能力を必要条件とする場合、その必要性に対する理由が求められることになるでしょう。

結論

上記の通り、それぞれの要因によって平均賃金額が決定され、オファーポジションに対して雇用条件が増やす、また高学歴や長い職歴を求めるほど、平均賃金額が高くなることになります。より詳しい情報は2009年11月発行のワークシート(平均賃金決定方針)を参考にすると良いでしょう。

プレクリアランス

2015年5月29日、アメリカ国土安全保障省は、アメリカへの出発前に、アメリカ国外の空港内でアメリカ入国審査を行う(プレクリアランス)対象国を増やす予定であると発表致しました。新しく対象となる国は日本、ベルギー、ドミニカ共和国、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、トルコ、イギリスの9ヶ国です。現在、国土安全保障省は各国と交渉しており、交渉が成功した場合には、これら国からアメリカ行きの直行便に乗る搭乗者全員に、各国からの出国前に空港内でアメリカの入国審査が行われることになります。

 

今回の発表では、渡米する前にアメリカの入国審査を行う事で、テロ対策の他、アメリカ入国手続きの円滑化、アメリカと各国間における商工業の利便性など、様々なメリットがあります。現状では既にカナダなど6ヶ国でプレクリアランスが実施されており、昨年度は約160万人の旅行者の審査が行われました。国土安全保障省のジョンソン長官は、よりスムーズな入国審査と航空安全、更に国土安全保証のためには、各国との協力が必須であり、今回更なるプレクリアランスが実現すればアメリカと各国の両方にとって有益であると、前向きに交渉を進める意志を示しました。

 

アメリカと日本の間でプレクリアランスの交渉が成功した場合には、東京の成田空港が対象空港となります。成田空港でのプレクリアランスの契約が成立されるまでは、まだ長い道のりが想定されるでしょうが、早い実現を期待したいです。

 

 

 

 

H-4保持者の就労許可について

アメリカ国土安全保障省は2015年5月26日よりH-1B保持者の配偶者であるH-4保持者に対する就労許可申請の受付を開始しました。これまで長期に渡り議論されてきましたが、ようやく法制化に至りました。

ただ、注意すべき点がいくつかあります。まず申請が可能となるのはH-4 をもつ配偶者に対してのみで、子供は申請対象とはなりません。仮にH-4をもつ子供が就労をするのに十分な年齢に達していても申請は認められません。一方で、就労条件は特になく、アメリカにおいて、どの業界のどのポジションでの就労が可能で、フルタイムまたパートタームのどちらでも構いません。

更に、H-4を持つ配偶者でも以下のような申請条件があります。

  • 2000年に施行されたAC21法のもと、配偶者であるH-1B保持者がアメリカ永住権を申請中で、満期の6年を超えて7年目以降のH-1B申請がアメリカ移民局より認可されている事。

H-1B修正申請の必要性に関するアメリカ移民局の新たな方針

H-1Bビザ保持者及びH-1B保持者を抱える会社にとって、とても重要なアメリカ移民方方針が発表されました。当発表はH-1B修正申請の必要性についてで、今回、移民局メモの抜粋にコメントを加える形で、今回の発表内容を紹介したいと思います。

概要ですが、例えばH-1B保持者の勤務地またそのスポンサーとなっている会社の所在地そのものが変わる場合、それが元々申請した際の住所に基づいて算出された平均賃金額と異なるエリアへの移動となった場合、その移動前に必ず移民局へ修正申請を行わなければならないというものです。

2015年4月9日、アメリカ移民局のAdministrative Appeal Office (AAO) は今後の先例となるべく重要な判定を下したのですが、そのケースはMatter of Simeio Solutions, LLCと呼ばれ、先述の通り、H-1B保持者の勤務地が新たに労働認定書(LCA)を必要とするような場所への移動となった場合、会社はそのH-1B保持者に対する修正申請を行わなければならないというものです。今回の判定を受け、今後、この該当する勤務地変更は修正申請を必要とすべき重大な変更事項(Material Change)として位置づけられることとなり、その修正申請には移動後の住所に基づいて新たに認証されたLCAの提出も必要となります。

以前は、勤務地以外の重大な変更事項がないことを前提に、仮に平均賃金が変わるエリアへ移動しても労働局を通してLCAのみ認証を得れば良いという解釈もできたでしょうが、今回の移民局方針ではそれだけでは不十分であることを意味します。なお、一旦この修正申請を移民局へ行えば、その移民局からの認可を得る前でも新しい勤務地での就労が可能となります。最終結果が出るまで、勤務地の移動を待つ必要はありません。

一方、修正申請が必要ない場合の例は次の通りです。

H-1B保持者へ支払われるべき平均賃金の変わらないエリア(MSA: metropolitan Statistical Area)内での勤務地移動: 
この場合、修正申請をアメリカ移民局に行う必要はありませんが、 新たな勤務地にて、元々の申請で認証を受けたLCAを法律に則って掲示する義務はあります。これは、会社そのものが転居する、または一人のH-1B従業員が他支店へ移動する等に関わらず行う義務があります。自分のケースがMSAエリア内の移動なのか否かの判断も含め、詳しくは移民法の専門家にその対応について相談されると良いでしょう。

短期間の移動:
この場合、状況次第ですが、最大30日間(場合によっては60日間)であれば、移民局への修正申請は必要ありません。ただし、あくまでも拠点は元々の申請にある住所であることが前提で、この場合も新たにLCAを入手する必要もありません。

“non-worksite”での勤務:
H-1B保持者が“non-worksite”へ移動となる場合、アメリカ移民局への修正申請は必要ありません。ここで言う”non-worksite” とは次のような場合を指します。

– H-1B保持者が自己啓発の一環として経営会議やセミナーに参加する場合
– ある特定(一箇所)の勤務地にわずかな時間勤務する場合
– 拠点はあくまでも申請上の住所であることを前提に、職務上、別の勤務地への出張頻度が多いperipatetic(巡回)従業員については出張毎に連続して5営業日、又は業務の殆どが申請上の住所で行われる一方で時折、他勤務地への出張が発生する従業員については出張毎に連続して10営業日を越えない短期出張である場合

H-1B修正申請に関わる注意点:

– Simeio Solutions, LLC 判定時点に、対象となる住所(勤務地)変更が行われていた場合、ウェブアラート(2015年5月21日)が出されてから90日間内に修正申請を行わなければなりません。つまり、5月21日よりも前に勤務地が変わったにもかかわらず修正申請を行っていない場合は、2015年8月19日までに修正申請の必要があります。
– Simeio Solutions, LLC判定が下される前に対象となる住所(勤務地)が変更となっていた場合、移民局の前方針に従った上での非対応だという誠実性があれば、修正申請を行っていなかった事実について移民局は問題視することはないでしょう。ただし、この場合でも2015年8月19日までに修正申請の必要があります。
– もし上記対象のケースで2015年8月19日までに修正申請されなかった場合、アメリカ移民局はその対象のスポンサー会社を移民局規定違反と見なし、更に、対象のH-1B従業員についても合法的なH-1Bの維持とは見なしません。
– 修正申請が却下となった場合、仮に元々の申請自体がまだ有効で、その申請条件に伴う雇用となる場合は、元の勤務地での再雇用も可能でしょう。
– 修正申請が移民局による審査中の状況でも更なる修正申請は可能で、その場合、その更なる申請後、移民局が正式に申請書を受領すればその更なる変更勤務地での雇用は可能となるでしょう。この場合、それぞれの申請において、それぞれの申請状況が判断されますが、仮に後から提出した修正申請の審査中にH-1B保持者のステータスが有効期限を迎えてしまった上で修正申請が却下となった場合、その後の申請においてリクエストされていた修正内容や滞在延長も認められないこととなります。

以上、移民局の方針に従い、適切な対応が必要で、上記該当ケースについては2015年8月19日までに対応がなければH-1B自体が無効になる、また会社は罰則の対象となります。更に、今後対象となる勤務地の変更がある場合についても必ず修正申請を行うよう、移民局方針に従うことはとても重要です。

L-1ビザの就労(滞在)期限とビザスタンプの期限について

日本から駐在としてアメリカにて就労される方の多くはL-1ビザを取得します。最近、弊社でも問い合わせを受けるのですが、ビザスタンプの期限が就労(滞在)期限であると勘違いしている方が多くいらっしゃいます。

例えば、アメリカ移民局を通して新規に3年有効なL-1の認可を受けたとします。その認可を受けて、ビザスタンプ取得のため、在外アメリカ大使館、領事館で面接を受ける訳ですが、現在、アメリカ大使館では、移民局の認可期間が3年であるにもかかわらず、5年有効なビザスタンプを発行します。その場合、ビザスタンプをよく確認すると右下にPEDという日付があり、この日付が移民局認可の期限日と一致するはずです。つまり、この日付が、アメリカでの就労及び滞在期限となる訳です。加えて言えば、このケースを例にとると、それ以降のアメリカでの就労、雇用については、有効なビザスタンプがある一方で、PEDまでに新たに移民局へ延長申請を行うなど必要があるという訳です。それにもかかわらず、5年有効なビザスタンプがあれば、PED以降も更なる延長申請の認可なくL-1保持者としてのアメリカ入国が可能と思い込んでしまう恐れがありますので、注意が必要です。あくまでもLビザスタンプはアメリカに入国する際に有効であるべき通行手形のようなもので、状況によっては確実に滞在を許可するものではなく、PEDが有効である、また有効なアメリカ移民局からの認可証をセットで示すなどの心得が必要となります。

PEDの日付は一見すると見逃しがちですが、非常に重要な日付です。また、入国の度毎にI-94の情報をオンラインからも入手し、ご自身のアメリカ滞在期限を確認する事も重要です。これら違いを気づかずにアメリカに入国し、そのまま不法滞在となってしまうという事もありますので、Lビザを保持されている方は、一度ご自身のビザスタンプそしてI-94の滞在期限を確認されてください。こちらはご家族のL-2ビザにも同様に適用されます。