最近のニューヨークタイムズの記事によると, デビッド・ビア氏が、アメリカ合衆国がこれまで以上に合法移民の受け入れを拒否していることを示すCato研究所によって発表された新しい分析を明らかにしたと伝えています。
米国移民局のデータによれば、現在の政権下において、2016年度以来、移民申請の却下率が37% と大幅に増加していることを示しています。これらの却下には、渡航許可証、就労許可証、グリーンカード等の申請など、全ての種類の移民、非移民申請が該当します。ただ、このデータは、米国市民権の申請、若年期に入国した不法移民の若者に対して強制退去処分を猶予する米国の移民政策 (通称DACA: Deferred Action for Childhood Arrivals) や 一時的な保護プログラム (Temporary Protective Status programs: 通称TPS) の申請は該当していません。
なお、2015年度と比較すると、全体的な却下率は 7.9% でした。なお、2018年度の現時点では、却下率が既に11.3% あります。これを数字で表すと、2015年度は442,725件の却下が記録されており、2018年度は620,311件の却下数が記録されることが予測されています。
なお、最も劇的な却下率の増加が見られたのは一時渡航許可証(Advance Parole) に関する申請でした。一時渡航許可証は永住権申請者などに発行される渡航許可のことで、永住権申請中に渡米する際の入国許可証になります。 一時渡航許可証の却下率は 2015年度の6.9% から2018年度の 18.1% に増加しました。
さらに、非移民労働者の申請(I-129)の却下率は、2015年度の17.7% から2018年度の 22.6% に増加しました。なお、雇用ベースの米国国内での永住権 (グリーンカード)保持者のステイタス変更申請(I-485 )の却下率が 2015年度の5.5% から2018年度の 7.9% に増加しました。
これらの却下率が増加した理由には、米国への合法移民の受け入れを正当化しないという解釈に基づいた現在の政権の執行命令の影響であるということのようです。
以上のことから、合法移民に対する申請の却下率の増加により、米国移民局に申請書を申請する際はこれまで以上に念入りに申請準備を行う必要があります。このように却下率が増加している状況ですが、実施出来る最適な対策としては、申請書を徹底的に文書化し、明確に説明し、出来るだけ多くの証拠書類を提出することでしょう。又、その他の移民申請オプションを検討する必要もあるかもしれません。
なお、現時点では、2018年度の最終的な却下数を正確には予測することは出来ませんが、歴史上最多のケースを却下していることは既に明らかであり、今後も却下率がどのくらい増加するかが判明するのは時間の問題のようです