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米国移民局を通してのI-130申請書の審査状況

I-130申請とは、配偶者や21歳以上の子供など家族をスポンサーとして永住権を申請する最初の申請ステップですが、この申請は、限られた状況においては、在外アメリカ大使館へ申請する事ができ、そこから管轄の米国移民局へ審査可能かのリクエストがなされます。現状、仮にI-130申請者が在外の米国大使館での最終インタビューを希望する申請であっても、全申請の99%において、I-130申請書はアメリカ国内にある米国移民局(シカゴロックボックス)への申請書の提出が求められています。しかし、つい5年程前までは、アメリカ国外に住む申請者は、その居住地を管轄する在外米国大使館を通してこのI-130申請を行う事ができました。このように現在ではほぼ全てのケースにおいて米国移民局への申請が求められる事で、5年程前に比べて、最終的に永住権を取得できるまで、追加で5ヶ月かそれ以上の審査期間を想定しなければならない状況となっています。

このような状況のもと、移民局は特定の緊急事態においては国務省が管轄する在外米国大使館に審査を行う権限を与える事もあります。その特定の緊急事態については下記に示す状況が例としてあげられます:

  • 海外に駐留する米国軍人が新しい任務や勤務地変更について突然指令を受けた場合(この場合、米国軍人がビザのスポンサーとなっている事を想定)
  • 永住権のスポンサーとなる家族または永住権受益者が、即時の渡米を必要とするような医学的な緊急事態に直面している場合
  • 永住権のスポンサーとなる家族または永住権受益者が、個人の安全に対して、差し迫った脅威に直面している場合
  • 永住権受益者が、あと数ヶ月程度で、永住権を取得できる対象年齢でなくなってしまう場合
  • 永住権のスポンサーとなる家族または永住権受益者が永住権申請のための最終面接のために申請を管轄する国を訪れているが、永住権のスポンサーとなる家族がアメリカ人へ帰化したことで、永住権受益者に対して新しい別のカテゴリーでの申請が必要となる場合
  • 永住権のスポンサーとなる家族が子供を養子にしたことで、アメリカへの出国が緊急な事態となっている場合

シカゴロックボックスでフォームへI-130申請書を提出しなければならない申請者は、現在の正しい申請方法について www.uscis.gov/I-130 から情報を入手する事ができます。

なお、ここ12ヶ月(2013年12月1日〜2014年11月30日)において、481件のケースについて特例的に国務省(在外米国大使館)で審査できるよう移民局に対してリクエストが出されました。これらリクエストのうち、388件(80.7%)に対して、国務省での審査が認められました。それら国務省での審査が認められなかった要因としては、ケースが通常のアメリカ国内での移民局審査プロセスがなされる事を前提とした場合、その前にアメリカにどうしても戻らなければならない緊急の状況であることの説明が不十分だった事のようです。もしご自身の申請が米国大使館での審査を可能とするものとなれば、永住権取得までの期間を大幅に短縮する事ができるでしょう。

PERM:雇用と申請要件の近代化を追求する米国労働局

永住権申請の第一ステップとなる労働局への申請は通称PERMと呼ばれ、このPERMが始まって10年が経ちました。労働局はこのPERM申請を通して米国移民外国人労働者の永住雇用に対する労働認定の手続きを管理するとともに、米国で永住権保持者としてこれらの労働者を雇用したい企業の責任範囲についても規制しています。そのような中、ここ10年、米国経済も大きく変動し、それに伴う労働環境およびその需要と供給のバランスにも大きな変化が見られており、PERM申請についても情報技術と科学分野における申請を中心に、昨年度だけで7万件以上もの申請がありました。

しかしながら、ここ最近の情報技術の進化や時代の流れにより多くの業界のニーズや常識に変化が見られ、労働局も様々な指摘を受けている背景がある中、ここまで労働局はPERM申請上の必要要件や審査プロセスや方針に対する見直しをほとんど行っていないのです。

このような状況の変化および指摘に応えるべく、労働局はPERMプログラムおよびそれに関連する規則に対する見直しを開始する予定です。その見直しの一環として、PERMプログラムそのものが米国の労働力の変化に合わせて近代化され、かつ対応できるものの構築を目指すこととしているようです。概要は以下の通りです。

  • 米国内労働力について職種別の労働力不足や余剰の判定を行うオプション、そしてそれら労働力の過不足を整理する方法の確立
  • 米国における求人活動に必要な必要条件を時代の流れに沿ったものとするための新しい実務的な方法の確立
  • 雇用主の義務を明確化し、PERM上のオファーポジションが米国の労働者に完全に開放されていることを保証するための雇用主の義務の明確化
  • 申請プロセスの見直しと特急申請の可能性
  • タイポなど申請上本質的な部分に対する間違いについては修正を認めるなど審査方針の見直しの可能性

米国労働局は、雇用主および企業側のニーズに応えるべく、かつ米国移民システムの本来の目的に合わせたPERMプログラムのデザインの構築を目指し、現PERMシステムの更なる検証を行うこととしています。

PERM申請の現状

雇用を基にした米国永住権申請の第一ステップは一部を除き労働局を通して申請を行うのですが、その申請方法はPERMと呼ばれ、その方法が実施されて10年程になります。
現在このPERMの申請者は法律に則り、ミスなく完璧に情報を記入した申請フォームを提出する事が求められています。例えば、PERMのフォームに記載すべき賃金額についてある弁護士は時給$10.14であるべきところを$10.04と誤って記載した事が理由で、修正の余地なく申請が最終的に却下となった例もあります。このPERMという申請方法が導入される前はハームレスエラールールと呼ばれるのものが存在し、簡単なタイポなどの記入ミスに関しては一旦ケースが却下となっても修正のチャンスを与えられていました。

しかしながら、現時点では最初に提出する時点から完璧な状態でなければならないのです。
例え小さな記入ミスであっても却下となることから、ケースを進める場合は再申請が必要となり、その場合は、改めてのコストと時間を要する事を意味します。現状、PERM申請をされるケースの多くがH-1Bと呼ばれる非移民ビザの7年目以降の延長を有効にすることが求められるケースが多いのですが、仮にこのPERM申請が却下となれば、その権利も失われる事から、H-1Bの7年目以降の延長申請をが必須の方にとってはアメリカでの雇用を続ける事ができない状況も考えられる事から非常に大きな問題と言えます。

近い将来労働局がこの厳しい姿勢を見直し、タイポのような明らかなミスについては修正の余地を与えるような柔軟な体制をとってもらえるよう切に願います。
(ちなみに文中の例は弊社のものではございません。いち弁護士の立場から現状を皆様に分かっていただきたく、記事にしております。)

米国永住権(グリーンカード)取得を希望している外国人労働者の雇用を考えている事業家が、移民法上検討すべき事とは?

米国における事業家による新会社を通しての新ビジネスの開始に際し、事業家としてビジネスを拡大させるために、適任な人材を確保することは非常に需要なポイントです。

例えば、あなたが自身の新事業に対し、投資家から融資を受けたものの、事業拡大には、優秀なソフトウェアエンジニアや建築家を雇う必要性があることとします。これら人材は、自身が持つ情熱と同様、あなたの会社を世界のステージへと持ち上げてくれるような、開発に対する強い気持ちを持っていることが求められます。様々に求人活動を行った結果、あなたは候補者を一名に絞り込むことができました。彼はコーディングや開発に対するエンジニアとしての経験が豊富で、あなたのアイディアを形ある製品に変えることのできる人物であると期待できそうです。そこで、最終面接において、求職者の彼が次のように尋ねてきました。「御社で働く願望はあるのですが、現状、私のH-1Bは残り2年しかありません。もし御社が米国永住権のスポンサーをしていただけるのであれば、その不安もなく安心して働き、御社に貢献できると思うのですが、ご検討していただけますでしょうか」。あなたはこの問いにどう答えますか?

人材を雇用する上で、雇用社側は賃金、労働時間、休暇、保険など、様々に検討しなければならない事項が多くありますが、ここでは移民法上、永住権を申請するスポンサー会社が、財務上注意すべきことに焦点を当てて解説します。現在、雇用を基にした米国永住権取得のためには労働局や移民局への申請が必要で、一般に新会社がその申請プロセスをスムーズに進める事は非常に困難な状況が想定されます。上記の問いに対して、永住権の申請をスポンサーする事を約束する前に、まずは、会社としてどのようなことを念頭においておく必要があるのでしょうか?

以下の3つの質問にどう答える事ができるかが一つの鍵です。

  1. 永住権をスポンサーする会社として、労働局が定める最低賃金額を当該求職者に支払う事ができるか(最低賃金額はポジションや職務内容、就労場所、雇用条件によって異なり、労働局が最終的に査定の上決定します)?
  2. 当該求職者に対し、この最低賃金額を少なくともこの先2、3年支払い続けるだけの資金力が会社にあるか?
  3. この最低賃金額をすぐに支払う予定がないとすれば、会社は移民局が指針とする会社の財政能力判断テスト(下記に説明)をパスするだけの財務能力を証明できるか?

あなたの会社は最低賃金額を支払う事ができるのか?

外国人労働者の米国永住権取得申請のスポンサーとなる会社が行うべき最初の申請ステップは労働局を通して行うPERM申請と呼ばれるものです(ケースによっては免除される申請の種類もある)。PERM申請の前には、実際に永住権申請上のポジションに対し、労働局が求める規則に従って幅広く求人活動を行い、そのポジションの雇用条件(学歴や経歴など)に合う相応しいアメリカ人や米国永住権保持者がいない事を立証して初めてPERMの申請を労働局に対して行う事ができます。実はこの事前に行う求人活動がPERM申請上最も重要なことの一つで、その雇用条件の一つであるオファー賃金額について、労働局が査定して決定する最低賃金額を会社が支払う能力にある状態であるかどうか会社として充分な検討が必要です。現在の移民法では、外国労働者のPERM申請をスポンサーする会社は、既にその最低賃金額を支払っている、又は、米国永住権が認可された時点でその金額を支払う意思があることを財務上示す必要があるのです。

仮に、あなたのスタートアップ会社が家族や友達などで構成された投資家で支えられ、現在の収入がゼロだとします。しかし、もし会社として十分な給与支払い能力があり、その新規採用者となる従業員に労働局の定める最低賃金額を最初から支払う事ができるとすれば米国永住権申請のスポンサーとなることは充分考えられます。一方で、もしスポンサー会社がこの最低賃金額を支払っていなければ、PERM申請が仮に認証されたとしてもその次の申請ステップである移民局を通しての移民申請の段階にて、その会社の財務能力の証明に対して非常に高いハードルに直面する可能性が出てきます。

求職者に対し、最低賃金額を少なくとも先2、3年支払い続けるだけの十分な資金が会社としてあるのか?

予測不可能なスタートアップビジネスにおいて、突然あなたが業界のスーパースターなることもあります。しかし、その可能性とは裏腹に、すぐにその名声は昨日の出来事になる事もあります。そのような望ましくない現実に直面した場合、投資家の会社に対する感心は薄れ、あなたの収入は低くなり、投資家も消え、従業員への給与支払いに困難が生じるなど会社として財政危機に落ち入る事も考えられます。米国の労働者と違い、あなたが雇った外国従業員はビザ上の問題もあり、簡単に会社を辞め、気軽に転職するという選択肢がない場合がほとんどで、約束された最低賃金額の支払いに頼っているのが現状です。あなたの会社の将来がはっきりせず、他社に乗っ取られる可能性があり、または融資が不足する可能性があるとしたら、新規採用予定者の米国永住権申請のスポンサーとなることを約束する事自体、その従業員の将来に危機をもたらす要因ともなり得ます。

PERM申請の下、労働局により査定された最低賃金額を支払える余裕がない場合、あなたの会社は移民局が指針とする会社の財政能力判断テストをパスするだけの財務能力を示す事ができるか?

一般的に小規模なスタートアップ企業がこのテストをパスするのは非常に困難でしょう。しかしあなたが他のビジネスで成功をとげ、銀行に十分な預金があるばかりか、あなたの事業に賛同する投資家が大勢いるとすれば、会社の財政能力を示すためのこのテストをパスするために求められる複雑な立証作業が困難とはならないでしょう。

一般的に移民局は次の三つの基準のうち、一つでもパスすれば、 永住権申請をスポンサーするに値する会社の財政能力があるものと判断します。その中には労働局により査定された最低賃金額を支払っていない場合でも可能な条件もあります。

(1)  純利益:会社の純利益が永住権申請上の最低賃金額と同じかそれ以上である事

(2)  正味流動資産:会社の正味流動資産が永住権申請上の最低賃金額と同じかそれ以上である事

(3)  永住権取得予定者が既に雇用を受けている場合:当該従業員が受け取っている給与額が、既に永住権申請上の最低賃金額と同じかそれ以上である事。

その他、会社の従業員が100名以上の従業員がいる場合は、財務担当者から会社の財政能力について手紙を出してもらう、また永住権取得予定者が既に雇用を受けている場合において当該従業員が受け取っている給与額が仮に永住権申請上の最低賃金額を下回っている場合でもそれを補うだけの会社の純利益があり、それを正当に立証できれば、移民局は会社の財政能力を認めるなど、違う形で立証できる事例もあります。

一方、会社が将来的に最低賃金額を支払う予定があることのみどれだけ説明しても、上記立証できなければ、基本的に永住権は認められません。この最低賃金額の会社による支払い能力については、労働局へのPERM申請日まで遡って判断されるため、PERM申請時点において既に上記条件を満たす会社の財政能力が必要であるという訳です。

このように、新会社における永住権申請のスポンサーは財政的に常に意識する事が求められるため、事前に良く計画することが重要で、そこには責任が伴います。今後、永住権のスポンサーを考えている方は、この点に十分注意を払うようにしてください。

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家族が再び暮らしを共にするという理念を妨げる最近の米国最高裁判所の判決

Scialabba v.Cuellar de Osorio というケースについて、先日、真二つに意見が分かれた最高裁判所の裁決がでました。両親の移民ビザ申請に含まれている扶養の子供達の永住権申請は、両親の永住権申請におけるPriority Date(移民ビザ申請が移民局または労働局(ケースの内容より異なる)により受理された日)がCurrent(申請者の永住権申請において最終移民申請に進むことのできる段階になる状態。Currentになるには申請のPriority Dateが政府の発表する日付よりも前の日付になる必要がある)になる前に“aged out”すなわち21歳(移民法上、扶養家族(子供)と見なされなくなく年齢)になった場合、その子供達は両親が申請する移民ビザの元々のPriority Dateを適用できなくなる、と定めたのです。この判決は子供を残して、アメリカを最終的な家族の永住居住地として移民した家族にとって途方もなく大きな妨げとなり、家族が米国で再び生活を共にするまでに更に長い年月がかかることを意味します。

一方、CSPA (Child Status Protection Act – 児童ステータス保護法)のもと、BIA(入国管理不服審判所)による法律のとても狭い解釈(Aged outとなってしまった子供達は、他の可能な家族ベースの永住権申請カテゴリーに自動的に切り替わることが可能な場合においては両親の申請に基づく元々のPriority Dateを維持できるという解釈)については大多数で支持されました。なお、今回結論づけられた“自動的に切り替わる”という解釈は、新しい別の永住権申請のスポンサーを必要とはしない、というもので、更に、申請上、Currentになるまでの待ち時間に途切れなく申請カテゴリーが切り替わることができる場合のみとなっています。例えば、aged outする子供が永住権保持者をスポンサーとする21歳未満の扶養の子供という申請上の立場から、aged out後、永住権保持者の21歳以上の未婚の子供(F2Bカテゴリー)、または時間に途切れが無い状態であれば、親が米国市民権を取得した後の21歳以上の未婚の子供(F1カテゴリー)等の立場での申請カテゴリーへPriority Dateを維持したまま切り替わるというケースが考えられます。

Priority dateを維持できる恩恵を受けられるaged out対象の子供の例:

上記でも簡単に紹介致しましたが、Priority Dateを維持できる例を詳しく紹介します。Joan氏はGaelというメキシコ女性と結婚している米国永住権保持者です。2人にはMateoという17歳の息子がいます。Joan氏が配偶者であるGaelの永住権申請のスポンサーとなった際、Mateoもその永住権申請に加えました。つまり、このケースは永住権保持者の配偶者と21歳未満の子供のための永住権申請で、GaelとMateoは家族ベースのF2Aという種類のメキシコ生まれの永住権申請カテゴリーに該当し、現時点では自分のPriority DateがCurrentになるまで約3年の待ち時間があります。

GaelとMateoのPriority dateがcurrentになるのを待っている間、Mateoは21歳になったため、彼はaged outとなり、母親の永住権申請カテゴリーであるF2Aカテゴリーには当てはまらなくなってしまいました。しかしながらMateoは21歳以上の未婚の成人の子供として、時間に途切れること無くF2Bの申請カテゴリーに変更できることから、priority dateをそのまま維持できることになります。あるいはその後Joanが米国市民となる場合においても米国市民の未婚の成人の子供としてF-1カテゴリーに移行することも可能性の一つとなります。このF-2BとF-1でのカテゴリーではメキシコ国籍の人は待ち時間が非常に長いため、aged out扱いとなってしまうという状況は大変不満ではありますが、その両方のケースにおいて、少なくともpriority Dateが維持できるというこの解釈は、それまでの待ち時間を使えるという意味では、有効と言えます。

Priority dateを維持できないaged out対象の子供の例:

Ritaは米国市民で、Poonamというインド国籍の妹の永住権申請のスポンサーとなっています。Poonamはインド国籍の男性と結婚し、DeepakとSapnaという14歳と8歳の2人の子供達がいます。これらPoonamの配偶者と子供達は派生的に彼女の永住権申請に加えることになり、永住権申請カテゴリーとしては米国市民の妹としてF-4が該当します。ちなみにF-4カテゴリーでのインド国籍の永住権申請の待ち時間は約12年です。

Poonamのpriority dateがcurrentになるのを待っている間、Deepakはaged outになってしまいました。その後、仮にPoonamが正式に米国永住権を取得すれば、Deepakは永住権保持者である母親、つまりPoonamの未婚の成人の息子としての永住権申請の可能性があります。しかし、この時点で永住権申請のスポンサーをRitaから永住権保持者の親に代えなければならないことから、この場合、DeepakはPoonamの元々持っていたpriority dateを維持できません。つまり、今回の判決からも分かる通り、priority dateを維持するためにはRitaからスポンサーされ続ける必要があり、一旦aged outとなってしまったら、申請上、米国市民の成人の甥っ子や姪っ子の永住権申請というカテゴリーが存在しないことから自動的に他のfamily-based categoryに切り替わることができないことを意味します。母親であるPoonamが一旦永住権を取得すれば、Poonamをスポンサーとして永住権申請を行うことが出来る一方で、それはスポンサーが変わることから自動的なカテゴリー変更とは見なされないという訳です。更に、永住権審査に対し、スポンサーが代わり永住権申請をやり直さなければならないことから、一旦時間も途切れてしまうことにもなります。このような状況では、残念ながら、これまでの待ち時間は考慮されず、新たに申請をやり直して、新たなPriority dateに基づいた申請と待ち時間を覚悟しなければなりません。

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2014年6月のビザブルテン – 永住権発給に更なる遅れ

米国国務省が2014年5月に発表した2014年6月のビザブルテンによると、雇用ベースによる第3カテゴリーの永住権申請(EB-3カテゴリー)、永住権保持者の配偶者や子供のための家族ベースによる永住権申請(F-2Aカテゴリー)など、カットオフデート(申請者自身のプライオリティーデート(永住権申請の第一ステップである労働局へPERM申請を行った日付)に対して永住権の最終段階申請(AOS申請または日本での申請)を行える、また永住権発行が可能となる日付)が大きくバックデートし、更なる待ち時間が発生することとなります。

例えば、インドやフィリピンを除くEB-3カテゴリーについては2014年5月時点ではそのカットオフデートは2012年10月1日です。しかし翌月6月にはカットオフデートが2011年4月1日となっています。つまり、1年半もバックデートしたことを意味し、労働局へのPERM申請をそのカットオフデートよりも前に行った人のみが永住権申請の最終段階に進めることになります。またF-2Aカテゴリーについても同様に5月のカットオフデートが2013年9月8日であるのに対し、2012年5月1日までバックデートしております。

さて、今回のカットオフデートのバックデートを受け、どのような影響が考えられるでしょうか?いくつか例を取り上げて紹介します。

(質問)私は雇用ベースの永住権の最終段階のAOS申請(EB-3)を数ヶ月前に行いました。尚、私のプライオリィーデートは2011年4月1日よりも後です。私の審査中(ペンディング中)のケースはどうなるのでしょうか?

(答え)現在審査中のAOS申請書はご自身のプライオリティーデートが有効になる(ビザブルテンに記載のカットオフデートよりも後の日付になる)までは審査または永住権の発行が行われることはなく、ペンディングの状態が続きます。

(質問)私は労働局へEB-3カテゴリーにて2012年9月1日にPERM申請を行いました。 2014年5月時点ではプライオリティーデートが有効ですが、どうすれば良いですか?第2段階であるI-140も無事に認可され、合法的な非移民ビザ(H-1Bビザ)も維持しており、特に不法滞在や不法就労、犯罪歴などもありません。

(答え)プライオリティーデートが2012年10月1日よりも前の場合、少しでも早い時期の申請を考えているのであれば、2014年5月中にAOS申請することで進めてください。仮に6月以降にずれ込むということであれば、少なくとも6月はAOS申請ができなくなってしまう状況となっており、今回の発表から申請までには1年以上は待ちが生じることも予想されます。もし既にAOSの申請準備を進めているのであれば、なおさら今月中の申請を急いだ方が良いでしょう。ただ、仮にAOSが5月中に無事に完了したとしても、自身のプライオリティーデートが有効になるまでは申請書の審査は行われず、ペンディング状態がしばらく続くことになります。一方で、AOS申請を行う際、同時にアドバンスパロール申請と就労許可申請を行うことができます。これらはAOS申請が認可され永住権が発行されるまでの間のアメリカ国外への出入国およびアメリカ国内での就労を許可するもので、うまくいけばAOSとの同時申請から数ヶ月以内で許可証を得ることも可能です。それはカットオフデートがバックデートしたかどうかには無関係で、とりわけ自身のプライオリティーデートが有効になるまでの時間が長ければ長くなるほど便利です。またAOS申請が審査中であれば、法的には非移民ビザが切れていてもそれら有効な許可証のみで合法的就労、渡航も可能です。ただ、弊社ではそのような状況でも最終的に永住権を取得するまでは非移民ビザをしっかりと維持していただくことを強くお勧め致しております。

(質問)私はアメリカ永住権を持つ夫をスポンサーとして自身の永住権申請を行い、現在AOS申請がペンディング中です。面接を2014年6月5日に控えているのですが、それを前に今回バックデートしてしまいました。どうすれば良いでしょう?私のプライオリティーデートは2013年9月1日です。

(答え)既に面接が設定されているのであれば、必ず必要資料を揃えて面接を受けてください。ただ面接の時点で自身のプライオリティーデートが有効ではなくなってしまっていることから、仮に面接がうまく言ったとしても永住権は発行されません。特にケースとして問題が無ければ、自身のプライオリティーデートが有効になり次第、永住権が手元に送られてくることでしょう。

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