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米国労働省がH-1BおよびPERM申請に係るPrevailing Wage(平均賃金額)の引き上げ計画を進めることを発表しました

米国労働省(DOL)は、H-1B、H-1B1、E-3、及びPERM申請に係るPrevailing Wage(平均賃金額)の引き上げ案を進めることを発表しました。新案は昨年11月に施行される予定でしたが、2021年に連邦裁判所がトランプ政権時の規則を無効化したため、現在は労働省が制定した規則が公布されています。2022年10月に予定されていた新規則の公布は、現在2023年9月の予定となっています。

The US Department of Labor has reconfirmed its plan to propose increases in prevailing wages for the H-1B and PERM programs.

DOL has announced plans to move ahead with a proposed rule to raise prevailing wage rates for the H-1B, H-1B1, E-3, and PERM programs. A final prevailing wage rule had been scheduled to take effect  last November  but a federal court vacated the Trump-era regulation in 2021. Now, DOL is promulgating a new prevailing wage regulation. Publication of the new proposal had been scheduled for October 2022 but is now targeted for September 2023.

PERM申請の審査に時間がかかっています。

今週のPERMニュース:米国労働省は今週、永住権取得を検討または申請中の方について、審査期間の変更を発表しました。

PERM申請について
11月30日現在、労働省は3月以前に行われた申請に対する審査、1月以前に行われた申請に対する監査、及び5月以前に行われた申請に対する再審査を行っています。
 
平均的なPERMの処理期間: 
・審査:249日 
・監査が入る場合:368日 

つまり、PERMの申請から承認までは8ヶ月以上、監査対象となった場合には約1年かかっていることになります。

一般的にPERM申請の最初のステップは、PWD(Prevailing Wage Determination-

申請ポジションに対する賃金額の査定)を労働局より受けることです。

11月30日現在、National Prevailing Wage Centerでは、2022年1月以前に提出されたH-1B OESとPERM OESのケースのPrevailing Wageリクエストの処理が行われています(これはPWDの審査に、労働局による賃金調査の結果(OES wage survey)が使用されていることを意味します)。

最近は以前より、PERMが承認されるまで時間がかかる傾向にあるようです…。承認までは18~20ヶ月近くかかると思われます。今後の状況についてはwww.swlgpc.com/engをご確認いただくか、[email protected] までご連絡ください。

外国人労働者証明書審査委員会(BALCA)は先日、2つのケースについて、雇用主が履歴書のみに基づき応募者を不採用としたことを理由としてPERM認定を取り消す決定を下しました。その後BALCAは両ケースについて、外国語を流暢に話せることは該当のポジションの職務を遂行する上で不可欠であり、その募集要件が明記されていたことに同意し、これを受けて1つのケースでは取り消しが撤回されましたが、もう1つのケースでは取り消されたままでした。この対応の違いは、応募者が募集要件をどの程度満たしていたかによるものであり、どのような場合であれば履歴書が提出された時点で不採用にすることが認められるのか、という問題を提起するものです。

The Law Offices of Simone Bertollini, LLC, 2019-PER-00034 (May 31, 2022)において、BALCAは、イタリア語に堪能であることを要する職種のPERMを取り消したのは、履歴書上「(申請者が)最低限の資格を持ち、職務を遂行できた可能性を示し、したがって雇用主は面接をする義務がある 」とされる応募者を不採用にしたからだとしています。このケースでは、応募者は履歴書に「イタリア語の知識あり」と記載していました。「履歴書に、言語要件に関する情報が記載されていないわけではなかった」ため、応募者のイタリア語の「知識」がその職種の言語要件を満たす合理的な可能性があった、と判断されたのです。

2022年8月、BALCAは同様に、外国語要件を業務上定める必要がある場合、雇用主は 「米国人応募者がPERMフォーム9089に記載された職務要件を満たしていないことが履歴書上明らかであれば、応募者を不採用にすることができる 」と判示しました(T UP Trading, Inc., 2019-PER-00086 (Aug. 25, 2022))。T Up Tradingでは、雇用主はPERMフォーム9089のセクションH.14に「日本のスーパーマーケットのオーナーたちと電話、ファックス、電子メールでコミュニケーションを取るために、日本語を堪能に話し、かつ書くことができること 」が求められると記載していました。この要件の業務上の必要性は妥当であるとされたため、BALCAは、不採用者の「履歴書に、その求人の重要な募集要件に関する記載がなかったため、認定の取り消しは…支持できない」と判断しました。 この判決により、雇用主が適切な「教育、訓練、経験」の有無に基づいて応募者を採用することがフォームETA9089に示されていない場合で、重要な応募要件についての記載が履歴書にない応募者について、採用を検討する必要はないことが示されました。

外国語を必要とするポジションに対する労働許可申請については、20 CFR §656.17(h)(2) に基づき、監査の対象となりやすいことは、十分に立証されています。PERM労働者証明書を作成する際に、この要件の「業務上の必要性」を明確に文章化する方法については様々な記述があり、フォームETA 9089のセクションH.14を使用するDOLリエゾン委員会の実践資料にある監査の可能性を減らすためにすべきことに関する記述もその一つです。上記の事例では、申請書と監査対応を通じて言語要件の必要性が十分に立証されたことを認証官(CO)とBALCAが認めています。認定の取り消しは、雇用主が履歴書の記載内容に基づいて応募者を不採用にしたためです。うち1件は、履歴書に外国語の知識があることの記載があったため、応募者が最低限の資格を満たしていた可能性があり、少なくともそのポジションの面接がされるべきであった、とCOとBALCAは判断したのです。

上記ケースを踏まえ、PERM申請準備の際に外国語要件が重要な応募要件の一つになる場合における2つの大切な注意事項は以下です。

  1. 特定の外国語能力の必要性を応募要件に加えることは労働局による監査につながりやすいため、雇用主はその証拠資料を準備をし、またフォームETA 9089のH.11とH.14にて明確に説明すること。
  2. そのポジションに応募する米国人応募者が、応募書類や履歴書において、求められる言語能力を保有している可能性を示した場合、雇用主は応募者に連絡を取り、そのポジションの要件を満たしているかどうかを判断するための面接を実施すること。

PERM NEWS THIS WEEK

The US Department of Labor has updated processing times this week for our clients considering or applying for permanent residence.

PERM Processing: As of Nov. 30, the department was adjudicating applications filed in March and earlier, conducting audit reviews on applications filed in January and earlier, and reviewing appeals for reconsideration filed in May and earlier. 

Average PERM processing times: 

  • Adjudication – 249 days. 
  • Audit review – 368 days. 

SO, it’s taking in excess of 8 months to adjudicate a PERM from filing and if your case is audited, about a year.

The first step in a PERM is generally receiving a prevailing wage determination (PWD)

As of Nov. 30, the National Prevailing Wage Center was processing PWD requests filed in January 2022 and earlier for H-1B OES and PERM OES cases (this means that the PWD used a DOL wage source (OES wage survey)

In general, PERM seems to be taking longer these days.. The turnaround time is probably close to 18-20 months until certification.  Look for more updates at www.swlgpc.com/eng or write us at [email protected]

Practice Pointer: Recent BALCA Activity on Rejecting an Application Based on Foreign Language Requirements

外国人労働者証明書審査委員会(BALCA)は先日、2つのケースについて、雇用主が履歴書のみに基づき応募者を不採用としたことを理由としてPERM認定を取り消す決定を下しました。その後BALCAは両ケースについて、外国語を流暢に話せることは該当のポジションの職務を遂行する上で不可欠であり、その募集要件が明記されていたことに同意し、これを受けて1つのケースでは取り消しが撤回されましたが、もう1つのケースでは取り消されたままでした。この対応の違いは、応募者が募集要件をどの程度満たしていたかによるものであり、どのような場合であれば履歴書が提出された時点で不採用にすることが認められるのか、という問題を提起するものです。

The Law Offices of Simone Bertollini, LLC, 2019-PER-00034 (May 31, 2022)において、BALCAは、イタリア語に堪能であることを要する職種のPERMを取り消したのは、履歴書上「(申請者が)最低限の資格を持ち、職務を遂行できた可能性を示し、したがって雇用主は面接をする義務がある 」とされる応募者を不採用にしたからだとしています。このケースでは、応募者は履歴書に「イタリア語の知識あり」と記載していました。「履歴書に、言語要件に関する情報が記載されていないわけではなかった」ため、応募者のイタリア語の「知識」がその職種の言語要件を満たす合理的な可能性があった、と判断されたのです。

2022年8月、BALCAは同様に、外国語要件を業務上定める必要がある場合、雇用主は 「米国人応募者がフォーム9089に記載された職務要件を満たしていないことが履歴書上明らかであれば、応募者を不採用にすることができる 」と判示しました(T UP Trading, Inc., 2019-PER-00086 (Aug. 25, 2022))。T Up Tradingでは、雇用主はセクションH.14で、「日本のスーパーマーケットのオーナーたちと電話、ファックス、電子メールでコミュニケーションを取るために、日本語を堪能に話し、かつ書くことができること 」が求められると記載していました。この要件の業務上の必要性は妥当であるとされたため、BALCAは、不採用者の「履歴書に、その求人の重要な募集要件に関する記載がなかったため、認定の取り消しは…支持できない」と判断しました。 この判決により、雇用主が適切な「教育、訓練、経験」の有無に基づいて応募者を採用することがフォームETA9089に示されていない時、重要な応募要件についての記載が履歴書にない応募者について、採用を検討する必要はないことが示されました。

労働許可申請における外国語要件が20 CFR §656.17(h)(2) に基づく監査につながりやすいことは、十分に立証されています。PERM労働者証明書を作成する際に、この要件の「業務上の必要性」を明確に文章化する方法については様々な記述があり、フォームETA 9089のセクションH.14を使用するDOLリエゾン委員会の実践資料にある監査の可能性を減らすためにすべきことに関する記述もその一つです。上記の事例では、申請書と監査対応を通じて言語要件の必要性が十分に立証されたことを認証官(CO)とBALCAが認めています。認定の取り消しは、雇用主が履歴書の記載内容に基づいて応募者を不採用にしたためです。うち1件は、履歴書に外国語の知識があることの記載があったため、応募者が最低限の資格を満たしていた可能性があり、少なくともそのポジションの面接がされるべきであった、とCOとBALCAは判断したのです。

上記ケースを踏まえ、PERM申請準備の際に外国語要件が重要な応募要件の一つになる場合における2つの大切な注意事項は以下です。

外国語要件は監査につながりやすいため、雇用主はその要件の業務上の必要性を文書化する準備をしなければならず、それはフォームETA 9089のH.11とH.14を用いて明確に説明されなければならないこと。
そして、そのポジションに応募する米国人応募者が、応募書類や履歴書において、求められる言語能力を保有している可能性を示した場合、雇用主は応募者に連絡を取り、そのポジションの要件を満たしているかどうかを判断するための面接をしなければならない、ということです。

The Board of Alien Labor Certification Appeals (BALCA) recently issued decisions in which the underlying PERM filing was denied because the employer rejected applicants based solely on a review of the resume. In both cases, BALCA agreed that the respective employers established that foreign language fluency was a business necessity for the position and that the requirement was clearly stated; however, in one case, the denial was vacated, and in the other, it was upheld. The difference hinges on the disqualification of applicants and raises the question of when it is acceptable to reject an applicant on the face of their resume.

In The Law Offices of Simone Bertollini, LLC, 2019-PER-00034 (May 31, 2022), BALCA affirmed the denial of a PERM certification for a position requiring fluency in Italian because the employer rejected an applicant whose resume “indicated the possibility that [the applicant] was minimally qualified and could have performed the job duties, and that the Employer therefore had an obligation to interview.” In this case, the applicant did list “knowledgeable in Italian” on the resume. Because the “resume was not silent on the language requirement,” the Board found that the applicant’s “knowledge” of Italian raised the reasonable possibility that the applicant met the language requirement.

In August 2022, BALCA similarly held that when a business necessity for a foreign language requirement is established, the employer may reject an applicant “if it is clear on the face of a resume that a U.S. applicant does not meet the job requirements listed on the Form 9089.” T UP Trading, Inc., 2019-PER-00086 (Aug. 25, 2022). In T Up Trading, the employer stated in Section H.14 that the job required fluency “in Japanese for both speaking and writing to communicate with owners of Japanese supermarkets via phone, fax and email.” Id. at 2. The business necessity was not disputed, and therefore, BALCA found that because the rejected applicants’ “resumes were silent on a principal requirement for the job opportunity, the denial…cannot be sustained.” Id. at 4. This decision also highlighted that because the Form ETA 9089 did not indicate that the employer would accept an applicant based on a suitable “combination of education, training and experience,” the employer was not required to consider applicants who did not list a major requirement on their resumes.

It has been well established that a foreign language requirement in a labor certification application is an audit trigger under 20 CFR §656.17(h)(2). Much has been written about how to clearly document the “business necessity” for this requirement when preparing a PERM labor certification case, including a DOL Liaison Committee practice resource on using Section H.14 of the Form ETA 9089 to reduce the potential for an audit. In these recent cases, the certifying officer (CO) and BALCA affirm that this necessity was sufficiently established on the face of the application and through audit responses. The denials were issued because the employer in each case rejected applicants on the face of the resumes. One denial was upheld because the resume stated some knowledge of the foreign language, and the CO and BALCA agreed that the applicant may have met the minimum qualifications and should have at least been contacted to interview for the position.

When it comes to preparing PERM applications for filing, if a foreign language requirement is key to the position, members are advised of two important reminders highlighted in these recent decisions:

  1. A foreign language requirement is an audit trigger, so the employer must be prepared to document the business necessity for the requirement, and this should be clearly outlined using H.11 and H.14 of the Form ETA 9089; and,
  2. If any U.S. applicants for the position indicate in their application materials and/or resume that there is the possibility that they possess the required foreign language, the employer must contact the applicants for an interview to determine if they qualify for the position.

米国、国境再開へ

米国政府は、空路で米国へ入国する外国人(米国籍者・米国永住者以外の米国入国者)に対し、新型コロナウィルスのワクチン接種完了証明を義務づける新たな方針を最近発表しました(2021年11月8日実施予定)。これは、海外からの全入国者に対して今まで求めていたコロナウィルス検査義務に加えて必要とされるものです。

これと同時に、ブラジル、中国、インド、イラン、アイルランド、シェンゲン圏、南アフリカ、英国のいずれかの地域に最近滞在していた人を対象とする、地域ごとの入国制限は廃止される予定です。

なお、ワクチン未接種で飛行機に搭乗することを認められた渡航者に対しては、米国籍者も含め、渡航前及び渡航後により厳しい要件のコロナウィルス検査が求められることとなります。

この新方針により、多くの人にとっては米国への渡航が容易になるものの、在外アメリカ大使館・領事館でのビザ申請件数が増えることが予想され、渡航に米国ビザを必要とする人にとっては米国渡航に支障が出る可能性があります。

この新たな動きは、特定地域からの渡航者に対して入国制限を課す方針から、空路で入国する渡航者に対し個別に制限を課すというバイデン政権の方針転換を表しています。

ワクチン接種証明は、既存のコロナウィルス検査義務に追加して必要とされるものです。もともと米国外からの空路による渡航者は、渡航前72時間以内に受けたコロナウィルス陰性証明、もしくは直近のコロナウィルス治癒証明のいずれかを提出しなければなりませんでした。

新方針では、ワクチン接種完了者は、渡航前72時間以内にコロナウィルス陰性証明書を取得していれば、接触者追跡情報を提供する限り、米国に渡航することができます。ワクチン未接種の外国人はほとんどの場合入国が禁止されるのに対し、ワクチン未接種の米国籍者はコロナウィルス陰性証明があれば入国できるとされています。

※本記事は10月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

2021年7月の米国移民法ハイライト

米国移民局によるCOVID-19緊急事態への対応

米国移民局(USCIS)は、移民ビザ及び非移民ビザ申請に対して2020年3月1日から2021年9月30日までに発行された質問状(RFE)やビザ申請却下意思の通知(Notice of Intent to Deny)等々への回答期限を、COVID-19緊急事態への対応として、米国移民局(USCIS)により指定された回答期限からさらに60日間延長いたしました。このような期限延長施策が発表されたことにより、コロナ渦の下で米国移民局(USCIS)による申し立ての対応が困難な中、米国雇用主または外国人労働者にかかる負担が軽減されることが期待されます。なお、回答の提出先は、RFEやNotice of Intent to Denyで指定された米国移民局(USCIS)の住所に提出することが必要になります。

米国移民局(USCIS)による新規H-1Bビザ申請抽選(第2ラウンド)

米国移民局(USCIS)は、2021年7月29日に第2回目の新規H-1Bビザ申請抽選を行ったと発表致しました。なお、第1回目の抽選と同様、今回も当選者は無作為に抽選され、当選発表はそれぞれの雇用主にmyUSCISアカウントを通して通知されます。第1回目の抽選で当選されなかった外国人登録者の皆様は、抽選結果を米国雇用主を通してご確認されることをお勧めします。当選者は、米国雇用主を通して2021年11月3日までに当選通知で指定された米国移民局の住所に新規H-1Bビザ申請を提出する必要があります。

また、新規H-1Bビザ申請抽選が再度行われた背景として、2021年4月1日から6月30日の間に米国移民局が受け取った新規H-1Bビザ申請の数が、上限枠数(約85,000枠)に達しなかったからであると考えられます。

弊社では、引き続き、皆様にこのトピックに関する最新情報を、随時報告できればと考えております。

*本記事は7月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

EB-5ビザプログラムの期限切れの接近

EB-5プログラムとは、米国移民局により定められた政府公認の米国永住権ビザプログラムであります。つまり、米国連邦政府指定の地域センター(Regional Center)の投資案件事業の一定の条件を満たす外国人投資家がグリーンカードを取得できるように設定されている時限立法に基づく永住権取得カテゴリーの1つです。

このEB-5ビザプログラムは、米国連邦議会により、2020年9月30日までに定められていた期限が、現時点で新たに2021年6月30日まで延長されることが確定しました。通常、当プログラムは米国連邦議会により1年ごとに承認を得てきておりましたが、今年は、わずか6ヶ月間のみの延長となりました。なお、米国連邦議会が2021年6月30日以降の延長を承認しない限り、当プログラムが終了してしまうことを意味します。

現在、複数の米国連邦政府指定の地域センターに基づく法案が保留状態です。その中で最も注目すべき法案はEB-5 Reform and Integrity Actで、EB-5ビザプログラムの有効期限を2026年9月まで延長させる内容になっています。

過去の傾向では、本プログラムが一時的に期限切れになっていた期間は、米国移民局は外国人投資家によるI-526移民請願及び投資家の扶養家族によるI-485移民請願を受け付けていましたが、審査を保留する対応を行なってきました。

弊社では引き続き、皆様に最新情報をお届けできればと考えておりますが、それがいずれも明るい話題であることを願います。

最近のアメリカ移民法事情

バイデン政権誕生から数ヶ月が経ち、またCOVID-19による影響がまだ残る中、アメリカ移民法も少しずつ変化が出てきています。

まずはトランプ大統領による大統領令により制限されていた在外アメリカ大使館でのH-1BやLビザ査証面接や永住権申請が4月1日より解禁となり、現在では、在日アメリカ大使館・領事館では、通常ケースでのビザ面接が可能となっています。ただ一部B-1/B-2ビザ は人道的理由などで緊急で渡航する場合を除き、申請は受け付けていない状況は続いています。

在日アメリカ大使館・領事館の面接の空き状況ですが、東京アメリカ大使館は比較的数カ月先までの予約を受け付けている一方で、大阪神戸アメリカ領事館は数週間先や特定の曜日など面接が希望通り取れないような状況が続いています。またアメリカに既にビザを持って滞在している人が日本に帰国してビザを更新する場合は特に不便で、日本では入国後の14日間の隔離が必要なことから、その隔離後の面接及び面接後のビザ発行までの期間を考慮すると長期間アメリカを離れなければならない状況ともなっています。一方で、政府の定める条件に該当する方は、面接なしでの郵送でのビザ更新申請が可能となっていますので、検討されても良いでしょう。尚、郵送での更新申請でも日本への帰国は必須ですので注意ください。

一方、移民局申請に目を向けて見ると、全体的には、好ましい好ましくない両側面において、引き続きCOVID-19による影響が残っています。好ましくない面と言えばやはり引き続きの審査期間の長期化です。急ぎの場合など、時間のコントロールが必要な場合は、特急審査申請の利用も考慮が必要な状況となっています。ただ申請書への署名はオリジナルではなくコピーでも受け付けてくれる状況は続いており、また審査過程において指紋採取が必要なアメリカ国内での雇用ベースの永住権申請や再入国許可証の申請などは、以前に取得した指紋データを政府が使うことで、改めての指紋採取なしに最終結果が出ている状況でもあります。

更に最近では、アメリカ国内における滞在延長申請(I-539申請)のうち、主たる申請者の扶養家族の滞在延長申請に対して求められていた指紋採取が2021年5月17日より先2年間一時停止となりました。対象はH-4、L-2、E-1/E-2/E-3の扶養家族ビザに対してで、現在審査中の方でも2021年5月17日までに指紋採取の通知書を受け取っていない、または新規の申請でも2021年5月17日から2022年5月23日までに移民局が申請書を受け取ったケースが対象となります。以前は指紋採取自体がなかったのですが、指紋採取が義務化されて以降、例えば、移民局へ特急審査申請を使って主たる申請者と同時に家族の滞在延長を申請したとしても、主たる申請者は早々に認可される一方で家族は長期間、結果が出ない、という状況が現実として存在していました。日本への帰国に懸念がある方は、朗報かと思います。

また移民局は、去る4月27日、バイデン大統領による大統領令に則り、H-1B、L-1A、L-1B、Eビザなど、非移民ビザ延長申請においては、最初の申請の審査内容及び判定内容等に従った上での延長審査を行うことを発表しました。これは非常に大きなニュースで、これまでは、延長申請において、スポンサー会社も職務内容も雇用条件も全く変わらない単なる延長申請でも、最初の申請の審査内容や認可という結果そのものを踏襲することなく、全て見直した上での延長審査がなされていました。そのことにより多くのケースで質問状が発行されるなど、追加の労力と時間を要していました。今後は、それらも改善されていくのでは無いかと考えております。

今後は、ワクチン摂取も進んでくれば、国際間での人流も活発化することも予想され、移民大国アメリカもまた活気を取り戻すのではないかとも期待しています。上記、皆様に直接関係がありそうな事例を取り上げましたが、その他不法滞在者や不法入国者への扱い、永住権申請の審査要項(パブリックチャージに関する事項など)の緩和化など、事実、トランプ大統領による厳しい移民政策からの緩和化も感じられます。

弊社では引き続き、皆様に最新情報をお届けできればと考えておりますが、それがいずれも明るい話題であることを願うばかりです。

米国労働省と米国国土安全保障省、雇用ベースのビザの賃金要件とH-1Bビザ申請の規制基準に関する新規規則を発表

米国労働省及び米国国土安全保障省は、雇用ベースのビザの賃金要件とH-1Bビザ申請を裁定するための規制基準を変更する暫定の新規規則の2項目を発表しました。

始めに、第1項目目の賃金条件の変更に関する新規規則は、2020年10月8日から新規と申請中の賃金判定の両方に適用されます。加えて、第2項目目のH-1Bビザの新規規則は、60日後となる2020年12月7日からの適用となり、同日、又はその後に申請された新規の申請書が対象となります。尚、既に申請済みで現在審査中の申請書の判定においては、現在の規則に基づいて審査されるということです。

従って、これらの変更点は、行政手続法で定められている標準評価(Standard Review)と意見聴取期間(Comment Period)を経ない形で、労働省と国土安全保障省によって施行されることを意味します。 米国労働省及び米国国土安全保障省は、行政審査の要件を無視し、経済的な大変動に伴うパンデミックに即時に対応する必要性を強調することで、当規則の変更を正当化しようとしているのでしょう。これらの変更の最大の目的は、米国人労働者を保護すること、またH-1Bビザプログラム設定に至る歴史的およびH-B本来の法定的な主目的と一致させることのようです。

永住権ベースおよび一時的な雇用ベースのビザ申請 に必要な一般賃金率の引き上げについて

労働省は、一般賃金決定(Prevailing Wage Determination:通称PWD)または労働条件申請(LCA)を必要とする、永住権ベースおよび一時的な雇用ベースのビザ申請の両方に必要な一般賃金率を引き上げています。これらのビザの場合、労働省は、特定の地域における特定の職業の賃金に関する調査に基づいて、「賃金レベル」を4つの層に分けています。

これまでは、特定の専門職に対して、賃金レベルが17%に位置するエントリーレベルの賃金額設定においても雇用ベースのビザ請願が可能でした。しかしながらこの新しい暫定規則では、それが45%にまで引き上がったことで、おおよそ全体の中央値の賃金レベルの支払いが必要になることを意味します。

尚、専門職のビザカテゴリーであるH-1B, H-1B1, E-3とI-140の申請に該当する新しい賃金レベルは、以下の通りです:

賃金レベル PW 1: 17% から 45%
賃金レベル PW 2: 34% から 62%
賃金レベル PW 3: 50% から 78%
賃金レベル PW 4: 67% から 95%

H-1Bビザの専門職(および雇用者と従業員の関係)の定義の変更について

2つ目の新規則が発表されたことにより、移民局の「専門職」に関する規制上の定義にもいくつか重要な変更が加わっています。この規則は、主に情報技術(IT)職員、および第3機関での労働派遣社員の配置を対象としています。この規則によると、2019年に認可されたH-1Bビザ申請の56%が「IT業界関連」であったのに対し、2004年にはわずか32%でした。特に、この規則は「IT業界関連」についての定義はしておらず、「ソフトウェア開発」の役割に対する申請の裁定について具体的に説明しています。したがって、「IT業界」には非常に幅広いカテゴリーの申請が含まれているようにみられます。

新規則によるIT業界対象の変更の一部は以下の通りです。

  • 移民局の規制によりH-1Bビザの専門職枠に関する 「契約労働者」という言葉を削除します。
  • それは、その仕事が投機的でないことを明確にしています。つまり、申請者は、一時的または将来の契約労働枠に対して外国人労働者を雇用しないということです。
  • それは、雇用者と従業員の関係(労使関係)をより厳密に定義し ており、新規則において国土安全保障省は、雇用主と従業員の関係を確立するために、雇用者は従業員に対し「雇用、支払い、解雇、監督」の全てを遂行することを示す必要があると主張しています。尚、単に、次のいずれかを実施するという証拠を示すだけでは十分ではありません。

全体的な変更の簡単な要約として、国土安全保障省はH-1Bビザ規制について次の修正点を加えています。

  • H-1Bビザ受益者の雇用予定の職業内容が専門職であるかどうかを決定するための規制の定義と基準の改訂。そうすることで、用語としての法定定義に対してより具体的な一貫性が維持されることになります。
  • 専門職の仕事の裏付けとなる証拠を要求する。新規則によると、特定の専門分野で必要な学位と特定の専門的職務との間に直接的な関係があることを示す相当量の証拠提出が必須となります。
  • 現地企業訪問およびその他のコンプライアンス調査を実施する権限を保持し、企業側が現地企業訪問を許可しなかった場合の対処を規制する権限の体系化を実施する。
  • H-1Bビザ申請において一般的な旅行要件を排除する。
  • 第3機関での労働派遣社員の配置の最大有効期間を1年に制限する。
  • (要求された雇用期間未満が認可される場合における)特定のH-1Bビザ認可について書面で説明する。

尚、新規則によると、必要な学位分野と職務との直接的な関係の証拠が必要になります。これはこれまで移民局の規制で明確に述べられていませんでしたが、弊社SW Law Groupでは、この数年、このことが移民局による審査裁定の傾向であるとし、この関連情報、資料をH-1Bビザ申請書の1部として常に提出し続けてきました。

尚、もう1つの注目すべき変更点は、「Normally: 通常」、「Common: 一般的」、および「Usually: 普段」(業界にとって)という単語が移民国籍法に含まれていないため、規制から削除されたことです。また、申請者は、特定の専門分野の学士号またはそれに相当する学位が米国での職業に最低限必要であることを明確にする必要があり、それに対して、移民局は裁定基準を変更するに至りました。尚、新規則により、このことを証明するために、特定の専門分野の学士号が常に職業全体の要件であることを示す必要があります。又は、申請者は、そのポジションが他の裁定基準等を満たしていることを証明する場合があります。これらには、関連業界内の職業上の要件、申請者の特定の要件、または職務が非常に専門的、複雑、または独特であるため、特定の専門的な職務を遂行する必要性があることを証明すること等が含まれます。

しかし、実際には、移民局は何よりもまずこれらの規制の最初の基準に従って審査しているようです。というのも、移民局は、特定の専門分野の学士号が常に職業全体の要件であるかどうかを判断する際に活用する、労働省の職業ハンドブック(Occupational Outlook Handbook )を主に活用し、この基準に基づいて、質問状(および場合によっては却下通知)を発行します。

なお、弊社SW Law Groupでは、このことについても以前から申請要項として適応してきました。

弊社SW Law Groupは、1年以上前にH-1Bビザ申請の審査裁定におけるこの傾向に気づき、(移民局の規則に明示的に記載されていませんが) 長い間、これらの傾向に従って申請書を準備してきました。 もちろん、これは将来の結果を保証するものではありませんが、現在規制で成文化されている移民局の審査裁定の傾向に対応する準備は既に整っています。

発効日、および今後について

既にお伝えしましたが、この 2つの暫定的新規則は、次の異なる時期に有効になります。

  • 賃金条件の変更に関する新規規則は、2020年10月8日から新規と申請中の賃金判定の両方に適用されます。
  • H-1Bビザに関する新規規則は、60日後となる2020年12月7日からの適用となり、同日、又はその後に申請された新規の申請書が対象となります。尚、既に申請済みで現在審査中の申請書の判定においては、現在の規則に基づいて審査されるということです。

これらの規則に対して、今後多くの異議申し立て(訴訟)が発生することが予想されます。私たちは、これらの変更、及び移民局の様々な政策の実施と審査裁定の傾向、および訴訟を引き続き監視し、アップデートされた情報を随時お客様にお知らせしていけたらと考えております。

2022年度の移民多様化ビザ抽選プログラムの抽選登録について

国務省は、2020年10月7日水曜日の正午(米国東部標準時間)より、2022年(会計年度)移民多様化ビザ抽選プログラムのオンライン登録の受け入れの開始を発表しました。2020年11月10日の火曜日正午まで、オンラインでの応募が受け付けられるということです。

尚、2022年度は、移民多様化ビザ抽選プログラムの無作為抽選によって55,000のグリーンカード番号が発給される予定で、抽選結果は2021年の5月に発表されるとのことです。移民多様化ビザ抽選の当選者は、2021年10月1日より永住権の申請書を提出することが可能になるということです。

移民多様化ビザ抽選プログラム [Diversity Visa (DV) Lottery]とは?

米国は、 歴史的に移民数が少ない国々の外国人に対して、毎年永住権番号を抽選によって選択し発給しています。今年の応募不適格国は、バングラデシュ、ブラジル、カナダ、中国(香港を含む)、コロンビア、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアタマラ、ハイチ、ホンデュラス、インド、ジャマイカ、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、韓国、イギリス(北アイルランドを除く)およびその属領、ベトナムです。

マカオ特別行政区と台湾で生まれた個人は応募可能です。尚、応募不適格国に出生した個人でも、応募適格国で生まれた配偶者を通じて、または特定の状況においては、親の出生地を通じて資格を得ることができる場合があります。尚、応募者は、高校教育またはそれに相当するものを保持しているか、または少なくとも2年の職務経験を保持している必要があります。

尚、国務省による抽選申請指示に従い申請が完了した後、申請者は、2021年5月8日以降、抽選結果を国務省の公式Webサイトにて確認出来るようになります。


*本記事は10月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。


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2020年9月のビザブルテンの発行について

国務省 (The Department of State: 通称 DOS) は、下記の通り、2020年9月のビザブルテンを発行しました。注目すべき点は、EB-2EB-3のプライオリティーデートの進歩が無いことです。

ビザブルテン
EB-1全国籍:プライオリティーデートは現在時点有効。但し、以下国籍を除く。

  • 中国: プライオリティーデートが2018年3月1日( 22日前進。)
  • インド:プライオリティーデートが2018年3月1日( 22日前進。)

EB-2全国籍:プライオリティーデートは現在時点有効。但し、以下国籍を除く。

  • 中国: プライオリティーデートが2016年1月15日(進歩無し。)
  • インド:プライオリティーデートが2009年7月8日(進歩無し。)

EB-3全国籍:

  • 中国: プライオリティーデートが2017年2月15日(進歩無し。)
  • インド:プライオリティーデートが2009年10月1日(進歩無し。)
  • エルサルバドール、グアタマラ、ホンデュラス、メキシコ、フィリピン、ベトナム、その他の地域:プライオリティーデートが2019年4月1日(進歩無し。)

米国移民局によるステイタス変更のための日付:

米国移民局は、当会計年度において把握している申請数(各カテゴリーごとの永住権申請数)よりも多くの移民ビザ発行残数があると判断した場合、こちら www.uscis.gov/visabulletininfoのページ内にて、国務省の2020年9月のビザブルテンにあるDates for Filing Visa Applicationsの表を利用するよう指示しています。そのような指示が出ていない状況では、同ページ内にあるApplication Final Action Datesの表を利用することで米国内にていつステイタス変更の申請が提出出来るかが判定できるということです。 現時点のこの発表の限りでは、2020年9月にどちらの表を使用すべきかの決定は下されていません。上記の日付は、Application Final Action Datesです。

チャーリーオッペンハイム氏の見解:

アメリカ国務省ビザ統制報告部部長で、移民の優先カテゴリーの分析及び予測を担当するチャーリーオッペンハイム氏によると、2020年9月の分析及び予測記録はまだ発表されていないということです。弊社では、このチャーリーオッペンハイム氏による情報等が公開され次第、随時お知らせするように致します。


*本記事は9月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。