カテゴリー別アーカイブ: H-1B

最近のアメリカ移民法事情

バイデン政権誕生から数ヶ月が経ち、またCOVID-19による影響がまだ残る中、アメリカ移民法も少しずつ変化が出てきています。

まずはトランプ大統領による大統領令により制限されていた在外アメリカ大使館でのH-1BやLビザ査証面接や永住権申請が4月1日より解禁となり、現在では、在日アメリカ大使館・領事館では、通常ケースでのビザ面接が可能となっています。ただ一部B-1/B-2ビザ は人道的理由などで緊急で渡航する場合を除き、申請は受け付けていない状況は続いています。

在日アメリカ大使館・領事館の面接の空き状況ですが、東京アメリカ大使館は比較的数カ月先までの予約を受け付けている一方で、大阪神戸アメリカ領事館は数週間先や特定の曜日など面接が希望通り取れないような状況が続いています。またアメリカに既にビザを持って滞在している人が日本に帰国してビザを更新する場合は特に不便で、日本では入国後の14日間の隔離が必要なことから、その隔離後の面接及び面接後のビザ発行までの期間を考慮すると長期間アメリカを離れなければならない状況ともなっています。一方で、政府の定める条件に該当する方は、面接なしでの郵送でのビザ更新申請が可能となっていますので、検討されても良いでしょう。尚、郵送での更新申請でも日本への帰国は必須ですので注意ください。

一方、移民局申請に目を向けて見ると、全体的には、好ましい好ましくない両側面において、引き続きCOVID-19による影響が残っています。好ましくない面と言えばやはり引き続きの審査期間の長期化です。急ぎの場合など、時間のコントロールが必要な場合は、特急審査申請の利用も考慮が必要な状況となっています。ただ申請書への署名はオリジナルではなくコピーでも受け付けてくれる状況は続いており、また審査過程において指紋採取が必要なアメリカ国内での雇用ベースの永住権申請や再入国許可証の申請などは、以前に取得した指紋データを政府が使うことで、改めての指紋採取なしに最終結果が出ている状況でもあります。

更に最近では、アメリカ国内における滞在延長申請(I-539申請)のうち、主たる申請者の扶養家族の滞在延長申請に対して求められていた指紋採取が2021年5月17日より先2年間一時停止となりました。対象はH-4、L-2、E-1/E-2/E-3の扶養家族ビザに対してで、現在審査中の方でも2021年5月17日までに指紋採取の通知書を受け取っていない、または新規の申請でも2021年5月17日から2022年5月23日までに移民局が申請書を受け取ったケースが対象となります。以前は指紋採取自体がなかったのですが、指紋採取が義務化されて以降、例えば、移民局へ特急審査申請を使って主たる申請者と同時に家族の滞在延長を申請したとしても、主たる申請者は早々に認可される一方で家族は長期間、結果が出ない、という状況が現実として存在していました。日本への帰国に懸念がある方は、朗報かと思います。

また移民局は、去る4月27日、バイデン大統領による大統領令に則り、H-1B、L-1A、L-1B、Eビザなど、非移民ビザ延長申請においては、最初の申請の審査内容及び判定内容等に従った上での延長審査を行うことを発表しました。これは非常に大きなニュースで、これまでは、延長申請において、スポンサー会社も職務内容も雇用条件も全く変わらない単なる延長申請でも、最初の申請の審査内容や認可という結果そのものを踏襲することなく、全て見直した上での延長審査がなされていました。そのことにより多くのケースで質問状が発行されるなど、追加の労力と時間を要していました。今後は、それらも改善されていくのでは無いかと考えております。

今後は、ワクチン摂取も進んでくれば、国際間での人流も活発化することも予想され、移民大国アメリカもまた活気を取り戻すのではないかとも期待しています。上記、皆様に直接関係がありそうな事例を取り上げましたが、その他不法滞在者や不法入国者への扱い、永住権申請の審査要項(パブリックチャージに関する事項など)の緩和化など、事実、トランプ大統領による厳しい移民政策からの緩和化も感じられます。

弊社では引き続き、皆様に最新情報をお届けできればと考えておりますが、それがいずれも明るい話題であることを願うばかりです。

新規H-1Bビザ申請状況について

皆さんの多くが2022年度の新規H-1Bの登録を行ったことかと思いますが、こちら登録は2021年3月25日をもって終了しており、その機会を逃した方は、特定のH-1Bスポンサー企業での新規H-1B申請を除き、2022年度の新規H-1B申請はできないことになります。

こちら移民局への本申請前の事前登録申請は、昨年と同様の方法をとっており、新規H-1Bビザ申請における雇用主(または代理人)は開設したmyUSCISアカウントを通して登録に関する情報を記入した上で、登録費用にかかる$10 を支払い、オンライン提出することで新規H-1B登録が完了致します。尚、雇用主は同時に複数の新規H-1Bビザ申請者(受益者)を登録することができます(同じビザ受益者が複数登録することは認められてはおりません)。登録が完了すれば、確認番号が発行され、それぞれの雇用主に送付されてくることになります。

なお、今年も早々にH-1B年間発給枠数以上の登録応募があった旨、移民局よりは発表があり、早速、3月中に移民局により無作為による抽選が実施され、それぞれの雇用主に当選発表がmyUSCISアカウントを通して送られました。

当選者は、2021年4月1日から移民局への新規H-1Bビザ申請が可能となっておりますが、6月30日までの提出期限がありますので、注意が必要です。当選者で移民局への申請予定の方は早めの申請をお勧めします。尚、今年は、特急審査サービスの利用も4月1日時点から可能となっておりますので、早々に結果を知りたい方々は$2,500の申請費用を支払うことで可能となります。なお、すでに通常申請で申請した方も後追いで、特急審査サービスにアップグレードすることも可能ですので、なかなか結果が出ない方など、今後、利用も検討しても良いかもしれません。

尚、昨年の当選者で、その後、移民局により認可を受けた方々のうち、新規にアメリカ国外からH-1Bにてアメリカに入国を希望していた方が、トランプ大統領による大統領令によりビザ査証面接を受けることができないという状況がありました。政府の定める例外的状況を除いては、新規のH-1Bビザ取得が不可の状態だったのですが、その大統領令も3月31日をもって満期を迎えました。そちら延長されることもなかったため、現在では、通常通り、在外アメリカ大使館、領事館でのH-1B面接が可能となっております。ただ、今後のパンデミックの行方次第では、アメリカ大使館の対応もどうなるか分かりませんので、早め早めの対応が望ましいでしょう。

弊社では、引き続き、皆様にこのトピックに関する最新情報を、随時報告できればと考えております。

米国移民局による2022年度の新規H-1Bビザ申請抽選登録期間について

米国移民局(USCIS)は、新規H-1Bビザ申請の抽選プロセスにおける規制改正及び新規ルールの有効期限を2021年12月31日まで延ばすと発表致しました。当新規ルールは、新規H-1Bビザ枠に対し、米国労働省(Department of Labor: 通称DOL)による職業雇用統計(Occupational Employment Statistics、 通称:OES)が定める一般賃金(Prevailing Wage)に基づき、4つの特定の地域における特定の職業賃金レベルのうち、高いレベルから順に正式に選択する内容となっております。しかし、当新規ルールの有効期限が延長された事により、2021年12月31日までは、米国移民局(USCIS)は新規H-1Bビザ抽選の当選者を無作為に抽選するこれまでの方法で抽選が行われる事を意味します(年間上限数以上の登録応募があった場合)。

また、米国移民局(USCIS)は、2021年2月5日に2022年度の新規H-1Bビザ申請に基づく応募登録を、2021年3月9日の正午(東部時間)から2021年3月25日正午(東部時間)まで受け付けると発表致しました。尚、新規H-1Bビザ申請の応募登録に当たって、雇用主(または代理人)は雇用先と新規H-1Bビザ申請者である従業員の情報を登録することが求められます。

新規H-1Bビザ申請における雇用主(または代理人)はmyUSCISアカウントを通して登録に関する情報を記入した上で、登録費用にかかる$10 を支払い、オンライン提出することで新規H-1B登録が完了致します。尚、雇用主は同時に複数の新規H-1Bビザ申請者(受益者)を登録することができます。尚、登録が完了すれば、確認番号が発行され、それぞれの雇用主に送付されてきます。

米国移民局(USCIS)は、もし登録者数がH-1Bの年間上限枠数を超えた場合、当選者を無作為に抽選し、それぞれの雇用主に当選発表をmyUSCISアカウントを通して通知します。

尚、雇用主による新規H-1Bビザ申請は、H-1Bビザ抽選で当選された申請者のみに対して行うことが可能です。

新規H-1B登録に関する詳しい登録方法について、米国移民局(USCIS)は詳細をすでに発表しておりますので、そちら参考にされても良いと思います。

弊社では、引き続き、皆様にこのトピックに関する最新情報を、随時報告できればと考えております。

*本記事は2月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

米国国土安全保障省によるH-1Bビザ抽選プロセスの変更について

米国国土安全保障省(The Department of Homeland Security: 通称DHS)は、2021年1月8日、新規H-1Bビザ抽選の当選者を無作為に抽選する代わりとして、新規H-1Bビザ枠に対し、米国労働省(Department of Labor: 通称DOL)による職業雇用統計(Occupational Employment Statistics、 通称:OES)が定める一般賃金(Prevailing Wage)に基づき、4つの特定の地域における特定の職業賃金レベルのうち、高いレベルから順に正式に選択する規制改正及び新規ルールを公開致しました。尚、通常(学士号)枠とマスター(修士号)枠の発給枠対象の抽選順については、これまで同様で、当ルールによる変更はないとされています。

この当規制は、2021年1月8日から60日後に有効となり、2022年度の新規H-1Bビザ抽選より実施される見通しです。

尚、今回発表された移民局による新規抽選プロセスの旨は下記の通りです:

  • 実際に新規H-1Bビザをスポンサーする会社が、申請上、ビザ受益者に支払うと誓約するオファー賃金額について、そのオファー額(レベル設定と同額かそれ以上の額)が、職業雇用統計(OES)にて定められている一般賃金レベル(全4レベル)のどのレベルを基準としているかで優先順位が変わり、高いレベルから順に選択されることとなります。一般賃金レベルの優先順位としては、賃金率が最高レベルであるレベル4が第一優先され、その後、レベル3、レベル2、そしてレベル1の順で割り当てが行われます。
  • 一般の賃金統計が使用された賃金が職業雇用統計(OES)の賃金レベルよりも低い場合、職業雇用統計(OES)の賃金レベル1と同じカテゴリーとして見做します。
    複数の拠点を勤務地とする申請の場合、それぞれの勤務地域に対して会社が支払うと誓約したオファーの賃金額に対し、最も低いレベル設定の地域の職業雇用統計(OES)が考慮されます。
  • 特定のオファーポジションに対して、職業雇用統計(OES)がない場合、当ポジションの要件に値すると考えられる一般賃金レベルを考慮致します。
  • その優先順位の高い順からの選択段階で、特定の賃金レベルにおいて、実数が年間発給制限を超えた場合は、コンピュータによる無作為の抽選が実施されます。

なお、今回の新しい方針を受け、米国国土安全保障省(DHS)は、職業雇用統計(OES)による一般賃金と新規ポジションに伴う情報を、新規H-1B申請オンライン事前登録の際に利用されるフォームに追加する方針を示しています。

以上、新しい方針についてですが、この先、当ルールは、連邦裁判所にて対抗されるか、バイデン政権により保留状態に置かれるか、もしくは支障なく有効となる、など先行きはっきりしません。内容や解釈が変わる可能性もありますので、上記はあくまでも現状として捉えてください。

SW Law Groupでは、これらの変更、及び米国移民局(USCIS)の様々な実施と審査裁定の傾向を引き続き監視し、できる限り最新の情報を随時お客様にお知らせしていけたらと考えております。

米国地方裁判所によるH-1Bビザ新規制の無効化について

連邦裁判官は、トランプ政権によって打ち出された専門職ビザの発給数を制限する2つの新規制を無効としました。

米国地方裁判官のジェフリー・ホワイト氏は12月1日火曜日に、トランプ政権による2020年10月に発表されたH-1Bビザプログラムに関する規制変更を無効としました。この規制は、海外からの熟練した外国人労働者を雇用する際の賃金要件と、専門職の新規H-1Bビザ雇用に対して企業に新たな制限を課す内容のものでした。また、政府関係者によると、この無効化の背景には、米国内で多数の失業者数が出ているのは新型コロナウィルスが要因であること、新規H-1Bビザ申請のおよそ3割が却下されてしまう可能性があることが挙げられています。

尚、ホワイト氏は、トランプ政権は必要な手順に従わず「透明性に欠ける」と指摘し、この変更規制に関しては、新型コロナウィルスがもたらした経済危機に対する緊急対策であったとの主張がありますが、10月に発表された規則は数ヶ月もの思索の後に実施されたこともあり、根拠が不十分であると主張しました。
尚、ホワイト氏は「新型コロナウィルスがもたらした経済危機は、被告(トランプ政権)の制御可能範囲外の出来事ではあったものの、それに対する早い対策を講じることは被告の制御範囲内であった」とも述べました。

さらに、ホワイト氏は「被告側は、行政手続法に基づく通知と要件によって提供されるべき合理的かつ思慮深い正当な理由があることを示すことはなかった」 と主張しました。

全米国商工会議所は、国内の様々な大学と共同で、トランプ政権が打ち出した新規制の公的意見聴取期間が不十分であったことに加え、この新規性によって賃金要件が変更されたことで、外国労働者に支払う賃金が大幅に上昇することとなり、それが原因で多数の解雇者が発生するとされ、トランプ政権を起訴した、という経緯です。

参考まで、トランプ政権が打ち出していた新規則は下記の内容の通りです:

  • 2020年10月8日から、米国労働省は、H-1Bや雇用ベースの永住権申請等に必要な賃金査定においてレベル分けされている平均賃金額を引き上げました。この暫定規則により、H-1B, H-1B1, E-3とI-140(移民申請)に該当する特定のビザ申請のエントリーレベルの最低賃金が全体のほぼ中間に位置する45%の位置の金額に設定されました。この規則により、ほとんどのH-1Bビザ労働者の最低賃金が引き上げられたため、エントリーレベルの賃金額に反映されていない新卒外国労働者を雇用することは現実的ではなくなっていました。この規則は、本来あるべきH1Bビザの規定に反するとも考えられ、現状、当判決はまだ最終的なものではないものの、今回の裁判官の判決は称賛に値するものでしょう。
  • 米国国土安全保障省による、「専門職」と雇用者と従業員の関係(労使関係)に関する規制上の定義にもいくつか重要な変更が加わっていました。これらの変更は、2020年12月7日から適用され、H-1Bビザを取得するための要件がさらに厳しくなる、とされていました。

今後の見通し

今後、トランプ政権はおそらくこの決定に対して上訴し、これらの規則の復活を要求するであろうとも推測されています。弊社では、引き続き、皆様にこのトピックに関する最新情報を、随時報告できればと考えております。

米国国土安全保障省による新規H-1Bビザ抽選プロセスの重要な変更について

米国国土安全保障省(The Department of Homeland Security:通称DHS)は、連邦官報に対し、米国移民局(the United States Citizenship and Immigration Services:通称USCIS)による新規H-1Bビザ申請の抽選プロセスにおける規制改正の提案をしました。

この当規制が最終決定した場合、米国移民局(USCIS)は新規H-1Bビザ抽選 (通称:H-1B lottery) の当選者を無作為に抽選する代わりとして、新規H-1Bビザ枠に対し、職業雇用統計 (Occupational Employment Statistics、通称:OES) の一般賃金 (Prevailing Wage) が高いレベルから順に選択することになります。尚、これらの職業雇用統計(OES)による一般的な賃金レベルは、関連する標準職業分類コード (Standard Occupational Classification Codes) 、及び対象となる雇用分野に基づいています。

尚、今年実施された新規H-1Bビザ抽選プロセスは、新規H-1Bビザ申請書の提出を希望する雇用主は、新規H-1Bビザ抽選に応募するためには最初に各H-1Bビザ申請予定者の事前登録が必要でした。当選枠は年間上限の85, 000件で、米国移民局(USCIS)は年間上限発給数を超えるH-1B事前登録応募を受理した場合、適切に登録をした登録者の中から、コンピューターを使用した無作為による抽選が実施されました。しかし、今回の米国国土安全保障省(DHS)による提案は、無作為による抽選ではなく職業雇用統計(OES)の一般賃金 (Prevailing Wage) が高い順から選択されることになります。

尚、連邦官報が規制改正の提案を公表した後、米国国土安全保障省(DHS)は関係者に対し30日間の意見聴取期間を設けるということです。尚、米国国土安全保障省(DHS)が、当該関係者から収集した当規制変更に関する意見等を見直した後に最終規制を発行するということです。

弊社では、引き続き、皆様にこのトピックに関する最新情報を、随時報告できればと考えております。

*本記事は11月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。


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米国労働省と米国国土安全保障省、雇用ベースのビザの賃金要件とH-1Bビザ申請の規制基準に関する新規規則を発表

米国労働省及び米国国土安全保障省は、雇用ベースのビザの賃金要件とH-1Bビザ申請を裁定するための規制基準を変更する暫定の新規規則の2項目を発表しました。

始めに、第1項目目の賃金条件の変更に関する新規規則は、2020年10月8日から新規と申請中の賃金判定の両方に適用されます。加えて、第2項目目のH-1Bビザの新規規則は、60日後となる2020年12月7日からの適用となり、同日、又はその後に申請された新規の申請書が対象となります。尚、既に申請済みで現在審査中の申請書の判定においては、現在の規則に基づいて審査されるということです。

従って、これらの変更点は、行政手続法で定められている標準評価(Standard Review)と意見聴取期間(Comment Period)を経ない形で、労働省と国土安全保障省によって施行されることを意味します。 米国労働省及び米国国土安全保障省は、行政審査の要件を無視し、経済的な大変動に伴うパンデミックに即時に対応する必要性を強調することで、当規則の変更を正当化しようとしているのでしょう。これらの変更の最大の目的は、米国人労働者を保護すること、またH-1Bビザプログラム設定に至る歴史的およびH-B本来の法定的な主目的と一致させることのようです。

永住権ベースおよび一時的な雇用ベースのビザ申請 に必要な一般賃金率の引き上げについて

労働省は、一般賃金決定(Prevailing Wage Determination:通称PWD)または労働条件申請(LCA)を必要とする、永住権ベースおよび一時的な雇用ベースのビザ申請の両方に必要な一般賃金率を引き上げています。これらのビザの場合、労働省は、特定の地域における特定の職業の賃金に関する調査に基づいて、「賃金レベル」を4つの層に分けています。

これまでは、特定の専門職に対して、賃金レベルが17%に位置するエントリーレベルの賃金額設定においても雇用ベースのビザ請願が可能でした。しかしながらこの新しい暫定規則では、それが45%にまで引き上がったことで、おおよそ全体の中央値の賃金レベルの支払いが必要になることを意味します。

尚、専門職のビザカテゴリーであるH-1B, H-1B1, E-3とI-140の申請に該当する新しい賃金レベルは、以下の通りです:

賃金レベル PW 1: 17% から 45%
賃金レベル PW 2: 34% から 62%
賃金レベル PW 3: 50% から 78%
賃金レベル PW 4: 67% から 95%

H-1Bビザの専門職(および雇用者と従業員の関係)の定義の変更について

2つ目の新規則が発表されたことにより、移民局の「専門職」に関する規制上の定義にもいくつか重要な変更が加わっています。この規則は、主に情報技術(IT)職員、および第3機関での労働派遣社員の配置を対象としています。この規則によると、2019年に認可されたH-1Bビザ申請の56%が「IT業界関連」であったのに対し、2004年にはわずか32%でした。特に、この規則は「IT業界関連」についての定義はしておらず、「ソフトウェア開発」の役割に対する申請の裁定について具体的に説明しています。したがって、「IT業界」には非常に幅広いカテゴリーの申請が含まれているようにみられます。

新規則によるIT業界対象の変更の一部は以下の通りです。

  • 移民局の規制によりH-1Bビザの専門職枠に関する 「契約労働者」という言葉を削除します。
  • それは、その仕事が投機的でないことを明確にしています。つまり、申請者は、一時的または将来の契約労働枠に対して外国人労働者を雇用しないということです。
  • それは、雇用者と従業員の関係(労使関係)をより厳密に定義し ており、新規則において国土安全保障省は、雇用主と従業員の関係を確立するために、雇用者は従業員に対し「雇用、支払い、解雇、監督」の全てを遂行することを示す必要があると主張しています。尚、単に、次のいずれかを実施するという証拠を示すだけでは十分ではありません。

全体的な変更の簡単な要約として、国土安全保障省はH-1Bビザ規制について次の修正点を加えています。

  • H-1Bビザ受益者の雇用予定の職業内容が専門職であるかどうかを決定するための規制の定義と基準の改訂。そうすることで、用語としての法定定義に対してより具体的な一貫性が維持されることになります。
  • 専門職の仕事の裏付けとなる証拠を要求する。新規則によると、特定の専門分野で必要な学位と特定の専門的職務との間に直接的な関係があることを示す相当量の証拠提出が必須となります。
  • 現地企業訪問およびその他のコンプライアンス調査を実施する権限を保持し、企業側が現地企業訪問を許可しなかった場合の対処を規制する権限の体系化を実施する。
  • H-1Bビザ申請において一般的な旅行要件を排除する。
  • 第3機関での労働派遣社員の配置の最大有効期間を1年に制限する。
  • (要求された雇用期間未満が認可される場合における)特定のH-1Bビザ認可について書面で説明する。

尚、新規則によると、必要な学位分野と職務との直接的な関係の証拠が必要になります。これはこれまで移民局の規制で明確に述べられていませんでしたが、弊社SW Law Groupでは、この数年、このことが移民局による審査裁定の傾向であるとし、この関連情報、資料をH-1Bビザ申請書の1部として常に提出し続けてきました。

尚、もう1つの注目すべき変更点は、「Normally: 通常」、「Common: 一般的」、および「Usually: 普段」(業界にとって)という単語が移民国籍法に含まれていないため、規制から削除されたことです。また、申請者は、特定の専門分野の学士号またはそれに相当する学位が米国での職業に最低限必要であることを明確にする必要があり、それに対して、移民局は裁定基準を変更するに至りました。尚、新規則により、このことを証明するために、特定の専門分野の学士号が常に職業全体の要件であることを示す必要があります。又は、申請者は、そのポジションが他の裁定基準等を満たしていることを証明する場合があります。これらには、関連業界内の職業上の要件、申請者の特定の要件、または職務が非常に専門的、複雑、または独特であるため、特定の専門的な職務を遂行する必要性があることを証明すること等が含まれます。

しかし、実際には、移民局は何よりもまずこれらの規制の最初の基準に従って審査しているようです。というのも、移民局は、特定の専門分野の学士号が常に職業全体の要件であるかどうかを判断する際に活用する、労働省の職業ハンドブック(Occupational Outlook Handbook )を主に活用し、この基準に基づいて、質問状(および場合によっては却下通知)を発行します。

なお、弊社SW Law Groupでは、このことについても以前から申請要項として適応してきました。

弊社SW Law Groupは、1年以上前にH-1Bビザ申請の審査裁定におけるこの傾向に気づき、(移民局の規則に明示的に記載されていませんが) 長い間、これらの傾向に従って申請書を準備してきました。 もちろん、これは将来の結果を保証するものではありませんが、現在規制で成文化されている移民局の審査裁定の傾向に対応する準備は既に整っています。

発効日、および今後について

既にお伝えしましたが、この 2つの暫定的新規則は、次の異なる時期に有効になります。

  • 賃金条件の変更に関する新規規則は、2020年10月8日から新規と申請中の賃金判定の両方に適用されます。
  • H-1Bビザに関する新規規則は、60日後となる2020年12月7日からの適用となり、同日、又はその後に申請された新規の申請書が対象となります。尚、既に申請済みで現在審査中の申請書の判定においては、現在の規則に基づいて審査されるということです。

これらの規則に対して、今後多くの異議申し立て(訴訟)が発生することが予想されます。私たちは、これらの変更、及び移民局の様々な政策の実施と審査裁定の傾向、および訴訟を引き続き監視し、アップデートされた情報を随時お客様にお知らせしていけたらと考えております。

米国移民局による申請費用及び申請フォームの変更について

2020年10月2日より、米国移民局(USCIS)は、新しい申請費用による申請受付の開始と共に、いくつかの主要な雇用ベースの移民申請フォームの変更と特急審査申請サービスの審査期間を変更するということです。

新申請費用について:

新申請費用は下記をご参照下さい。

Form Current Fee Final Fee Percentage Change
NONIMMIGRANT
I-129H1 $460 $555 21%

I-129H2B(Named Beneficiaries)

 

$460 $715 55%
I-129H-2B(Unnamed Beneficiaries) $460 $385 -10%
I-129L(Includes L-1A,L-1B and blankets) $460 $805 75%
I-129O $460 $705 53%
L-129E & TN I-129CW(includes E-1,E-2,E-3,TN and CW) $460 $695 51%
I-129MISC(includes) H-3,P,Q,R $460 $695 51%
I-539,Application to Extend/Change Nonimmigrant status(Online Filing) $370 $390 5%
I-539,Application to Extend/Change Nonimmigrant status(Paper Application) $370 $400 8%
IMMIGRANT
I-140,Immigrant Visa Petition $700 $555 -21%
I-526,Immigrant Petition by Alien Entrepreneur $3,675 $4,010 9%
I-485,Application to Adjust Status $1,140 $1,130 -1%
I-485,Application to Adjust Status for applicant under the age of 14 $750 $1,130 51%
I-765,Application for Employment Authorization(Non-DACA) $410 $550 34%
I-765,Application for Employment Authorization(DACA) $410 $410 0%
I-131,Application for Travel Document $575 $590 3%
Biomentrics Fee(NON-DACA) $85 $30 -65%
Biomentrics Fee(DACA) $85 $85 0%
Total Fees for Adjustment of Status Applications bundle–I-485 with I-765,and I-131 $1,225 $2,270 85%
I-90,Application to Replace Permanent Resident Card(online filling) $455 $405 -11%
From I-90,Application to Replace Permanent Resident Card(paper filling) $455 $415 -9%
CITIZENSHIP
N-400,Application for Naturalization(online) $640 $1,160 81%
N-400,Application for Naturalization(paper filing) $640 $1,170 83%

新しい申請フォームについて:

米国移民局は、いくつかの雇用ベースの移民申請フォームの新しいバージョンを発行する予定ですが、それらが正式に利用可能になる具体的な日付は明確にされていません。なお、主な非移民就労ビザカテゴリー(H-1B、L-1O-1ビザなど)については、そのビザカテゴリー毎にI-129フォームの各エディションを作成し発行する予定のようです。

特急審査申請の変更点について:

特急審査申請サービスの申請費用は変更されませんが、米国移民局は審査申請期間をカレンダー暦の15日から営業日の15日(もしくは追加1週間)に変更されるということです。尚、営業日には、連邦の休日は含まれません。

永住権保持者へのステイタスの変更(AOS)申請に関する新しい費用について:

永住権保持者へのステイタスの変更(AOS)申請費用は、 $ 1,130の申請費用に加え別途で労働許可証および一時渡航許可証(Advance Parole) の申請ごとに、それぞれ$ 550および$ 590の申請費用を支払う必要があるということです。これらの新しい費用は、全非移民ビザステイタス保持者からの変更申請に適用されるということです。

会計年度2021年の新規H-1B申請について:

米国移民局は今年の8月中旬に、2021年度新規H-1B申請の2回の抽選を実施しました。 2020年10月2日より前に提出される申請については、現在使用されている申請費用と申請フォームが適用されます。一方、 2020年10月2日以降の申請については、新しい申請費用と申請フォームが適用されるということです。

差し止めの可能性について:

米国移民局による新しい申請費用と申請フォームに関する規制は、現在、カリフォルニア州の連邦地方裁判所で係争中の訴訟で異議が唱えられています。カリフォルニア地方裁判所がこの規則に対して差し止め命令を出した場合、米国移民局は現在使用している申請費用スケジュールと申請フォームに戻すよう要求される可能性があるようです。

国益に基づく入国禁止措置例外規定の基準 (8月12日発表国務省によるガイドライン)

2020年6月22日、トランプ大統領はH-1B、L-1、およびJ-1など一部の非移民ビザ申請者のアメリカ入国を一時的に禁止する大統領布告10052(Presidential Proclamation 10052)を発表しました。この大統領布告では、「米国の国益」に基づき例外規定となるビザ申請者についても定められています。

さらに2020年8月12日、今度は米国国務省が、この「米国の国益」に基づく入国禁止措置例外対象についてのガイドラインを発表しました。

入国禁止措置の対象外となるH-1Bビザ申請者

  • 新型コロナウイルス対策・治療に従事する公衆衛生・医療関係者及び研究者。またはがんや伝染病など、公益性の高い分野で進行中の医学研究に従事する公衆衛生・医療関係者。
  • 米国の重要な外交政策目的を達成するため、または条約・契約上の義務遂行のために、米国政府機関または政府関連団体からの要請に基づいて渡航する場合。
  • 同じ米国企業で、同じポジションでの雇用を同じH-1Bビザで継続するために再渡米する場合。
  • 専門的技術者・上級レベルの管理職者・またはその他の緊急かつ継続的な米国の経済回復促進に必要な労働者で、次の5つのうち少なくとも2つの条件を満たす申請者。
    1. 雇用企業が、米国内でのH-1B社員による引き続きの業務遂行を必要としていること。
    2. 雇用企業のビジネスが社会的に重要なインフラ(例えば化学、通信、ダム、防衛産業、緊急サービス、エネルギー、金融サービス、食糧・農業、政府施設、医療・公衆衛生、IT、原子炉、輸送、水道システムなど)に関わるものであり、さらに申請者の職務が以下2つの条件のいずれかを満たすこと。
      1. 上級レベル (senior level) のポジションである、または職務内容が企業のビジネス全般の管理と成功に必要で重要な機能を果たすものであること。
      2. ビザ申請者の職務内容および専門資格が、申請企業に重要かつ特殊 (unique) な貢献をもたらすものであること。
    3. H-1B申請者の給与額が、労働局が定めるその職種の平均賃金額 (prevailing wage) を少なくとも15%上回る場合。
    4. 雇用される専門職に関連する分野において申請者が受けた教育・トレーニング・あるいは経験が経歴として卓越したレベルである場合。
    5. 大統領布告のためビザ発行が却下されることにより、雇用企業に財政的に大きな打撃となること。例えば、雇用主が財務上または契約上の義務を果たすことができない、事業継続が不可能となる、または、パンデミック前の事業レベルに戻ることに遅延またはその他の障害が生じる恐れがある場合。

入国禁止措置対象外となるL-1Aビザ申請者:

  • 新型コロナウイルス対策・治療に従事する公衆衛生・医療関係者及び研究者。またはがんや伝染病など、公益性の高い分野で進行中の医学研究に従事する公衆衛生・医療関係者。
  • 米国の重要な外交政策目的を達成するため、または条約・契約上の義務遂行のために、米国政府機関または政府関連団体からの要請に基づいて渡航する場合。
  • 同じ米国企業で、同じポジションでの雇用を同じL-1Aビザで継続するために再渡米する場合。
  • 雇用企業のビジネスが社会的に重要なインフラ(例えば化学、通信、ダム、防衛産業、緊急サービス、エネルギー、金融サービス、食糧・農業、政府施設、医療・公衆衛生、IT、原子炉、輸送、水道システムなど)に関わるものであり、申請者がその企業の上級レベル (senior level) の管理職 (manager) または重役 (executive) として赴任する場合。 さらに、申請者の職務が以下3つの条件のうち少なくとも2つを満たし、新しい法人または駐在事務所・支店を設立するための赴任でない場合。
    1. 上級レベル (senior level) の重役 (executive)、または管理職者(manager)。
    2. ビザ申請者に海外の関連企業で複数年の勤務経験があり、その結果培った卓越した知識や技能があること。この知識や技能は、現地で新規雇用した場合、長期間にわたるトレーニングを要するもので、さらに会社の多大な経済的負担なしには取得できない知識や技能であること。
    3. 重要なインフラに関わる企業のビジネスの運営に不可欠な役割を果たす場合。
    4. 注意:新規に法人または駐在事務所・支店を設立する目的で渡米するL-1Aビザ申請者は、上記の3つの条件のうち2つが満たされ、さらに直接的または間接的に5人以上の米国労働者を雇用しない限り、渡米が認められない可能性が高い。

入国禁止措置対象外となるL-1Bビザ申請者

  • 新型コロナウイルス対策・治療に従事する公衆衛生・医療関係者及び研究者。またはがんや伝染病など、公益性の高い分野で進行中の医学研究に従事する公衆衛生・医療関係者。
  • 米国の重要な外交政策目的を達成するため、または条約・契約上の義務遂行のために、米国政府機関または政府関連団体からの要請に基づいて渡航する場合。
  • 同じ米国企業で、同じポジションでの雇用を同じL-1Bビザで継続するために再渡米する場合。
  • 雇用企業のビジネスが社会的に重要なインフラ(例えば化学、通信、ダム、防衛産業、緊急サービス、エネルギー、金融サービス、食糧・農業、政府施設、医療・公衆衛生、IT、原子炉、輸送、水道システムなど)に関わるものであり、その企業の技術者として赴任する場合。さらに、申請者の職務が以下3つの条件の全てを満たす場合。
    1. 申請者の予定職務内容および専門知識が、雇用企業に重要かつ特殊 (unique) な貢献をするものであること。
    2. 申請者の専門知識が重要なインフラビジネスに関連したものであること。
    3. ビザ申請者には海外の関連企業で複数年の勤務経験があり、その結果培った卓越した知識や技能があること。この知識や技能は、現地で新規雇用した場合、長期間にわたるトレーニングを要するもので、さらに会社の多大な経済的負担なしには取得できない知識や技能であること。

入国禁止措置対象外となるJ-1ビザ申請者

  • 米国の国益向上のために外国政府と米国内の行政機関(連邦政府、州政府、または地方行政府)の間で取り交わされた覚書、基本合意書、その他の取り決めに基づいて実施される交換プログラムに参加する場合。また、その取り決めが大統領公布の発効日より前に発効している場合。
  • 米国政府機関が主催するプログラム(DS-2019フォームのプログラム番号が「G-3」で始まるプログラム)に参加するインターンまたは研修生の場合。米国の緊急かつ継続的な経済回復に貢献する、米国政府機関による交換プログラムに参加する場合。
  • 重要な外交政策に関連する場合(時間的制約のある重要な外交政策目標を達成するための交換プログラムに参加する場合のみ)。

入国禁止措置対象外となるH-4, L-2, J-2ビザ申請者

上記で国益に基づく例外規定と認められたH-1B, L-1, J-1申請者に同行する場合、配偶者または未成年の子供には、家族ビザが認められ、入国できます。

今後の見通し及び問題点

今回の入国禁止措置には、その法的根拠・権限に対して異議を申し立てる訴訟が複数起こされています。連邦裁判所が入国禁止措置の差止を命ずる可能性は高いと見ています。その中で発表された国務省ガイドラインは、入国禁止措置により企業や外国人労働者が被ったとされる損害に対処するための試みとも言えるかもしれません。

本来、H-1BまたはL-1ビザの資格条件審査は移民局が行うものであるため、大使館の領事が改めて審査する資格条件はないはずなのですが、このガイドラインは、法的根拠なしに、大使館独自の資格条件を設定してしまっています。また、国益に基づく例外規定を国務省のガイドラインとしたことにより、判断は国務省の裁量内と位置付けられることになり、(議論の余地はあるものの)裁判で係争できる範囲外とみなされることになります。

今回の国務省ガイドラインは、一部の外国人や企業にとってはビザ取得(及び米国入国)の可能性を生み出したと言えるでしょう。しかし、問題は、そもそも移民局申請(注: H-1BビザもL-1ビザも大使館でのビザ申請の前に移民局の認可が必要)の時点で大量の文書による証拠提出が必要とされる審査プロセスに、それとは全く別の、独立した、(しかしやはり文書による証拠提出が必要な)審査プロセスをこの国務省ガイドラインが確立させたということです。企業は、国益による入国禁止措置例外(NIE)であると大使館領事が判定してくれるかどうか、いつ、どのような基準で判定されるのか、明確な説明もない中で、全くの新しい基準と要件に沿って申請書類を準備する必要があるのです。

手続き方法に関して言えば、第一に、NIEの判定が行われる前に、大使館での緊急面接予約が承認される必要があります。これには米国渡航が緊急を要するものであるという証明も必要になります。第二に、大使館領事は、明確な基準や指標なしにNIEかどうかを判断する必要に迫られます。パンデミックによるビザ面接停止のため生じている業務の遅延や、前代未聞の審査・手続きであるという事実を考慮に入れると、果たして審査を完了するのにどれくらいの時間がかかるか不透明です。

特にH-1Bビザ申請者は、米国での雇用を再開・継続するわけでない場合、上記にもあるとおり、非常に難しい基準を満たさなければなりません。「米国の緊急かつ継続的な経済回復促進」のために、彼らの渡航は「必要不可欠」でなければならないのです。これは(具体性に欠ける条件のため)広い解釈の余地がありますが、おそらく実際には非常に狭い範囲で判断されるでしょう。担当領事によって異なった判断をする可能性があるとも考えられます。さらに、これらの基準を満たしていても、H-1B申請者は、「重要なインフラ関連のビジネスに従事する企業」にとって「重要で」「特殊 (unique) な」貢献をしていることを証明する必要があります。しかしこの「特殊性 (uniqueness)」は、移民法上ではH-1Bビザの条件とされていないのです。またさらに、これらの条件を満たしても、申請者が米国外から遠隔で業務を遂行できる場合は、ビザ申請資格がないとされます。

L-1Aビザの場合、移民法上の要件である管理職 (manager) であるだけでは十分ではないことになります。国務省のガイドラインでは、「上級レベル」の重役または管理職でなくてはならないとされていますが、これははっきりとした定義がありません。また、移民法上のL-1ビザ資格条件は、米国外の関連企業で「少なくとも1年」雇用されていることですが、この国務省ガイドラインでは「複数年 (multiple years)」の雇用が必要であるとされています。 しかしこの「複数年」についても、何年なのか、定義がありません。

弊社では、現在の非移民ビザ及び移民ビザの入国禁止措置が少なくとも1箇所の連邦裁判所によって差し止められることを願っています。今回の国務省ガイドラインはある程度望ましい方向に進んでいるように見受けられますが、実際の内容は非常に曖昧で、具体性に欠け、定義がはっきりしない基準が多く含まれています。

例外規定ガイドラインの原文はこちらを参照ください。

米国移民局、2020年10月2日施行予定の新申請費用を発表

米国土安全保障省 (Department of Homeland Security:通称DHS) は、2020年7月31日に永住権、及び米国市民権等のビザ発行に伴う申請費用の変更を正式に決定したことを発表しました。尚、施行日は2020年10月2日からとされており、同日、又はその日付以降に提出される申請書においては下記の通り変更された申請費用を支払う対象になります。尚、主に弊社で取り扱っているビザの申請費用の変更は以下の通りです:

I-129フォームによる非移民ビザ申請費用:

これまで均一料金であったI-129フォームによる非移民ビザ申請費用($460)は次のように変更されます:

  • L-1ビザ: $805
  • H-1Bビザ: $555
  • E-1/E-2/TNビザ: $695
  • Oビザ: $705

I-539フォームによる申請費用:

$400

I-131フォームによる申請費用:

$590

I-765フォームによる申請費用 (DACA: Deferred Action for Childhood Arrivals 対象者を除く):

$550

I-140フォームによる移民ビザ申請費用:

$555

DACA対象者以外の指紋採取費用:

$30

I-485フォームによる申請費用:

$1,130

米国移民局移民申請費用:

$190

N-400フォームによる米国市民権申請費用:

$1,170

尚、全ての変更された申請費用を含むリストはこちらをご参照下さい。