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H-1B修正申請の必要性に関するアメリカ移民局の新たな方針

H-1Bビザ保持者及びH-1B保持者を抱える会社にとって、とても重要なアメリカ移民方方針が発表されました。当発表はH-1B修正申請の必要性についてで、今回、移民局メモの抜粋にコメントを加える形で、今回の発表内容を紹介したいと思います。

概要ですが、例えばH-1B保持者の勤務地またそのスポンサーとなっている会社の所在地そのものが変わる場合、それが元々申請した際の住所に基づいて算出された平均賃金額と異なるエリアへの移動となった場合、その移動前に必ず移民局へ修正申請を行わなければならないというものです。

2015年4月9日、アメリカ移民局のAdministrative Appeal Office (AAO) は今後の先例となるべく重要な判定を下したのですが、そのケースはMatter of Simeio Solutions, LLCと呼ばれ、先述の通り、H-1B保持者の勤務地が新たに労働認定書(LCA)を必要とするような場所への移動となった場合、会社はそのH-1B保持者に対する修正申請を行わなければならないというものです。今回の判定を受け、今後、この該当する勤務地変更は修正申請を必要とすべき重大な変更事項(Material Change)として位置づけられることとなり、その修正申請には移動後の住所に基づいて新たに認証されたLCAの提出も必要となります。

以前は、勤務地以外の重大な変更事項がないことを前提に、仮に平均賃金が変わるエリアへ移動しても労働局を通してLCAのみ認証を得れば良いという解釈もできたでしょうが、今回の移民局方針ではそれだけでは不十分であることを意味します。なお、一旦この修正申請を移民局へ行えば、その移民局からの認可を得る前でも新しい勤務地での就労が可能となります。最終結果が出るまで、勤務地の移動を待つ必要はありません。

一方、修正申請が必要ない場合の例は次の通りです。

H-1B保持者へ支払われるべき平均賃金の変わらないエリア(MSA: metropolitan Statistical Area)内での勤務地移動: 
この場合、修正申請をアメリカ移民局に行う必要はありませんが、 新たな勤務地にて、元々の申請で認証を受けたLCAを法律に則って掲示する義務はあります。これは、会社そのものが転居する、または一人のH-1B従業員が他支店へ移動する等に関わらず行う義務があります。自分のケースがMSAエリア内の移動なのか否かの判断も含め、詳しくは移民法の専門家にその対応について相談されると良いでしょう。

短期間の移動:
この場合、状況次第ですが、最大30日間(場合によっては60日間)であれば、移民局への修正申請は必要ありません。ただし、あくまでも拠点は元々の申請にある住所であることが前提で、この場合も新たにLCAを入手する必要もありません。

“non-worksite”での勤務:
H-1B保持者が“non-worksite”へ移動となる場合、アメリカ移民局への修正申請は必要ありません。ここで言う”non-worksite” とは次のような場合を指します。

– H-1B保持者が自己啓発の一環として経営会議やセミナーに参加する場合
– ある特定(一箇所)の勤務地にわずかな時間勤務する場合
– 拠点はあくまでも申請上の住所であることを前提に、職務上、別の勤務地への出張頻度が多いperipatetic(巡回)従業員については出張毎に連続して5営業日、又は業務の殆どが申請上の住所で行われる一方で時折、他勤務地への出張が発生する従業員については出張毎に連続して10営業日を越えない短期出張である場合

H-1B修正申請に関わる注意点:

– Simeio Solutions, LLC 判定時点に、対象となる住所(勤務地)変更が行われていた場合、ウェブアラート(2015年5月21日)が出されてから90日間内に修正申請を行わなければなりません。つまり、5月21日よりも前に勤務地が変わったにもかかわらず修正申請を行っていない場合は、2015年8月19日までに修正申請の必要があります。
– Simeio Solutions, LLC判定が下される前に対象となる住所(勤務地)が変更となっていた場合、移民局の前方針に従った上での非対応だという誠実性があれば、修正申請を行っていなかった事実について移民局は問題視することはないでしょう。ただし、この場合でも2015年8月19日までに修正申請の必要があります。
– もし上記対象のケースで2015年8月19日までに修正申請されなかった場合、アメリカ移民局はその対象のスポンサー会社を移民局規定違反と見なし、更に、対象のH-1B従業員についても合法的なH-1Bの維持とは見なしません。
– 修正申請が却下となった場合、仮に元々の申請自体がまだ有効で、その申請条件に伴う雇用となる場合は、元の勤務地での再雇用も可能でしょう。
– 修正申請が移民局による審査中の状況でも更なる修正申請は可能で、その場合、その更なる申請後、移民局が正式に申請書を受領すればその更なる変更勤務地での雇用は可能となるでしょう。この場合、それぞれの申請において、それぞれの申請状況が判断されますが、仮に後から提出した修正申請の審査中にH-1B保持者のステータスが有効期限を迎えてしまった上で修正申請が却下となった場合、その後の申請においてリクエストされていた修正内容や滞在延長も認められないこととなります。

以上、移民局の方針に従い、適切な対応が必要で、上記該当ケースについては2015年8月19日までに対応がなければH-1B自体が無効になる、また会社は罰則の対象となります。更に、今後対象となる勤務地の変更がある場合についても必ず修正申請を行うよう、移民局方針に従うことはとても重要です。

勤務地変更に伴うH-1B修正申請の必要性

米国移民局行政不服審査局 (USCIS AAO) は Simeio Soutions, LLC による不服申し立てに対し、H-1B保持者を抱える会社にとって重要視すべき最終判定を下しました。それは、H-1B保持者の勤務地が変わる場合(引き続き同じ会社がH-1Bビザのスポンサーで単に就労場所が変わる場合)の会社側の対応の必要性についてなのですが、H-1Bの修正申請の必要性に関しては、弊社ではこれまでH-1B上の雇用条件に重大な変更があれば移民局へ修修正申請を行うよう勧めてきました。ただ、勤務地のみの変更については、それ自体が大きな雇用条件の変更とすべきかグレーでした。少なくとも労働局に対しては新しい勤務地に基づいたLCA (Labor Condition Application) を提出する必要はありましたが、米国移民局 に修正申請をすべきかどうかについては明確ではありませんでした。実際に移民局により修正申請すべき、またすべきではない、と捉えられるような二通りの覚え書きが発行されていた程です。

今回のAAOの判定結果を受け、H-1B従業員に支払うべき最低賃金額が元々申請して認可された時のものと異なる勤務地へ転勤(同じ会社であることが前提)となる場合、修正したLCAとともに移民局へ修正申請を行わなければならない事となりました。つまり、勤務地変更は職務内容の変更や雇用の終了などと同様、重大な変更と明確に位置づけられた事を意味します。従って、雇用主は修正申請、または新規の申請を申請費用とともに移民局へ提出する必要がある、というわけです。

H-1Bは雇用主が、特定の就労場所、ポジションにおいて定められた最低賃金額を支払う義務があり、仮に最低賃金額の異なる勤務地への転勤は、職務内容などその他の雇用条件が同じだとしても、元々申請して認可されたLCAやフォームI-129には反映されていない事になります。H-1B保持者として続けて雇用を受けるためには新しい勤務地の最低賃金額に対して十分な給与を得るか、が重要なポイントとなってくるわけです。一方、もし最低賃金額が同じエリアにおける就労場所の変更となる場合は、今回の結果を受けてはその限りではありません。

今回のこの判定は2015年4月9日付けのもので、今後は実際にて就労場所が変更となる前に新しいLCAの取得とともに移民局への修正申請を行うようにしてください。なお、4月9日よりも前に勤務地の変更があった場合について、遡って修正申請をすべきかどうかについては現時点では明確にはなっていません。

繰り返しますが、今回のAAOの判定では、H-1B保持者が最低賃金額の異なるエリアへ転勤となる場合、転勤前に移民局へ修正申請が必要となります。一方、最低賃金額に変更のないエリア内での転勤については労働局へのLCA申請のみで現時点では十分でしょうとの見解です。

2016年度新規H-1B抽選完了

2015年4月7日、移民局は4月1日より受け付け開始された2016年度新規H-1B申請について、年間発給上限数である85,000件(通常枠: 65,000件、修士号枠: 20,000件)に到達した事を発表しましたが、続いて本日4月13日、4月1日から4月7日(5営業日)までの受付期間に約233,000件の新規H-1B申請書を受け取った事を発表しました。それを受け、早速、移民局はコンピューターを使った無作為による抽選を実施した模様です。なお、今回抽選に選ばれなかった申請書は、申請費用も含め、返却されます。ただ移民局によるガイドラインに反して同一の申請者に対して複数の申請をしている場合は申請が却下または取り消しとなり、また申請費用も戻ってきません。

抽選は、まず20,000件の修士号枠に対して実施され、次にその抽選に漏れた申請書と通常枠の申請書の中から残り65,000件の枠に対しての抽選が行われました。この事から単純に計算すると申請者の約3分の1のみが抽選に選ばれ、残りの60%以上は抽選に漏れてしまう事を意味し、通常枠申請に対してはそれ以上に抽選に漏れてしまう確率となります。なお、移民局は特急申請にて申請している申請書については遅くとも5月11日までには審査に着手する予定となっています。

2016年度H-1B年間発給上限到達のお知らせ

2015年4月7日、移民局は2016年度新規H-1B申請について、年間発給上限に到達したと発表しました。これから、正式に受領する申請書を無作為に選出する抽選が実施されます。

抽選はまず、2万件の米国修士号枠に対して行われ、その後、その米国修士号枠の抽選に漏れた申請と通常枠の申請に対して抽選が行われます。もし抽選に漏れた場合、申請書は申請者の元へ全て(移民局への申請費用も含む)返却されます。

尚、今回移民局は大量のH-1B申請書類受け取ったため、実際いつ抽選を行うかについてはまだ発表されておりません。

抽選に当選した場合、受領書が移民局より届きます。ただし、多くの申請が予想されていることから、移民局より受領書が届くまで、数週間など相当の時間がかかる可能性もあります。なお、特急申請(Premium Processing)をご利用のケースは、遅くとも5月11日までには審査が開始されることとなっています。

看護師の H-1Bビザについて

2015年2月18日、米国移民局 は看護職が H-1B ビザの「専門的職業」の基準を満たしているか否かを述べたメモを公表しました。

H-1B申請に重要な必要要件の一つに申請者が申請ポジションに対して関連した最低4年生大学の学士号(または同等のもの)を持っているかどうかです。このことから、 正看護師は準学士号を取得していれば就ける専門職と言う事で、多くの(登録)正看護師(RN)職はH-1Bの学歴基準に満たしていないと判断され、結果、移民局は多くの正看護師に対する H-1Bビザ申請を却下してきました。

また既に雇用されている他の看護師が学士号を持つそれら施設を通してRNポジションとしてH-1Bを申請する場合においても、認可のハードルは高く、却下の可能性が高い現状があるのです。

そのような状況下、今回のメモには、とりわけ高学歴の看護師にとって好ましい記載事項が含まれています。一つの例として、American Nurses Credentialing Center (ANCC) Magnet Recognition Program が認める健康管理機構で看護職に就く予定のH-1B申請者は審査上、優遇される旨の記載があります。これら健康管理機構や病院施設にて看護師長(ユニット、病棟、クリニック)になるためには、少なくとも学士号を必要条件としています。またこれら施設では特定の期間内に学士号レベルの看護師の割合が8割まで到達できるよう計画もされています。

更に、正看護師の H-1B ビザの取得は一般に難しいと考えられている一方、Advance Practice Registered Nursing (APRN) など上級看護師については H-1B ビザに適していると考えらます。APRN の資格を取得するための必要条件は州単位で決まっていますが、どの州も同じ証明書を発行しています。なお、今回のこのメモにはそれらARRNポジションがリストされています。例を挙げて見ると、正看護助産師 (CNM)、正臨床専門看護師 (CNS)、正ナース・プラクティショナー (CNP)、登録された正麻酔専門看護師 (CRNA) 等です。

今回のメモ発行は特に移民局の審査方針を大きく変えるものではないかもしれませんが、少なくとも移民局は、今回のメモを通して、看護師職がH-1Bでいう専門職であるという見解を持ってもらう手助けとなることでしょう。

H-4保持者(H-1B配偶者)の就労許可取得について

2015年2月24日、米国移民局はH-4保持者(H-1B保持者の配偶者のみ)の雇用に関する次の発表を行いました。

国土安全保障省 (DHS) は、来る2015年5月26日より、雇用ベースにて米国永住権申請を進めている特定のH-1B保持者の配偶者であるH-4保持者(配偶者のみ)にも就労許可を与えることを発表しました。これにともないDHSは法律を改正し、配偶者であるH-1B保持者が以下の条件を満たす場合に就労許可申請条件を満たす事としました。

  • – 雇用ベースの移民請願書(I-140)が認可されているH-1B保持者
  • – 新法 「21st Century Department of Justice Appropriations Authorization Act」により修正された「American Competitiveness in the Twenty-first Century Act of 2000」のセクション 106(a) と (b)に基づいて認可されたH-1B保持者

上記、後者のAct (法律)は、雇用ベースの米国永住権の申請中であるなど特定の条件を満たせば、H-1Bでの滞在期限である丸6年を超えて7年目以降もH-1B保持者としてアメリカに滞在し、就労を可能にするもので、つまりこの法律のもと、H-1Bのステータスで7年目以降の状況にある方が対象となる事を意味します。

DHS は、この新法を通して、永住権取得までの期間、H-1B保持者やその家族が経済上の負担やストレスを抑え、米国社会に上手く溶け込む事が出来る効果があると期待しています。言い換えれば、H-1B保持者が永住権申請中に経済的理由などからアメリカに滞在し続けることを断念する阻害要因を減らし、更に、米国企業の雇用上の混乱も最小限に押さえる事ができると考えています。

法律上、申請資格のある H-4配偶者は就労許可証申請フォームである(Form I-765) 及びそれを裏付ける補足資料を$380の申請費用とともに移民局に提出し、認められれば就労許可証を取得する事ができます。米国移民局 (USCIS) は2015年5月26日から申請の受理を開始する予定としています。一旦就労許可証を取得すれば、それが有効である限りアメリカでの雇用が可能となり、米国移民局 (USCIS)によれば、初年度に多くて179,600件の申請、その後年間約 55,000件の申請を見込んでいます。

H-1B 申請キャップ申請の提出に向けての注意事項

2016年度新規H−1B申請は2015年4月1日より受付が開始されますが、それまで残り2ヶ月を切りました。今年の申請に向けて雇用者に特にご注意して頂きたいのは、1)労働認定(LCA-Labor Certificate Applicationと呼ばれ、H-1B申請書を移民局へ申請する前に事前に労働局より認定してもらう必要のある書類。認定されたLCAは移民局へ提出の必要が有ります)の早めの申請準備と2)必要書類の収集です。

米国移民局は去年、172,500件もの新規H−1B申請書を受け取り、更に、労働局は、4月1日提出に向けて提出されたLCAが前年の20%増だったとも言われています。そのような状況下、今年は申請者の数が更に増えると見込まれているのですが、その増加はLCAの提出が増加することも意味します。したがって、申請を考えている方は、できる限り早い段階で必要書類の収集(企業関連資料、成績証明書、卒業証書、 他必要書類) やLCAを労働局へ申請することで、より確実に4月1日に向けて申請が可能となるでしょう。特に労働局への事前申請はオンライン上で行うため、混雑も予想され、更に申請から認定まで時間もかかりますので、より計画的な準備が必要です。

卒業の扱いについて:

新規H−1B申請について、移民局は、申請者の資格確認として、基本的に大学からの卒業証書を必要とするのですが、仮に大学からの卒業証書の授与が2015年3月31日までに得られない場合でも学位取得に必要な単位取得が終了していれば、学位授与だけがまだされていないという状況であれば、H−1Bを認可する例もあります。その場合、学校の学部長などからの申請者が学位取得のために全ての要件を達している等の証明書を申請書とともに提出する必要があるでしょう。

F−1(OPT)保持者の2015年9月30日までの雇用:

もしH−1B申請者がF−1ビザのもとオプショナルプラクティカル・トレーニング(OPT) を使って雇用を受けている場合、実際に新規H-1Bを申請する時点でそのOPTが有効である場合は2015年10月1日より前にそのOPT有効期限が切れる場合でも、有効期限の翌日から2015年9月30日(もしくはH-1Bの最終結果が出るまでのどちらか早い日付)までのギャップの期間は継続した雇用が可能となります(学校への届け出が必要)。ただし、H−1B申請時点ではOPTは有効でないもののその有効期限後に与えられる60日の滞在猶予期間(Grace Period)内での申請となる場合は、少なくともH-1Bの結果が出るまでの滞在延長は認められますが、就労は認められませんので、ご注意ください。

 

注意点:

移民局は、一人のH−1B申請者が同じスポンサー会社を通して複数の申請書を提出すると、申請書を却下、又は取り消します。その場合、申請料金は返金されませんのでご注意下さい。以上、今年も多くの申請が殺到し、昨年同様に抽選が予想されています。会社側にとっては、そのような不透明な中での申請となるわけですが、それでも判断が遅れ、4月の最初の5日間の営業日の間に申請を行うことができない場合は、今年の新規H−1Bによる採用ができなくなる可能性もありますので、重ねてご注意下さい。

H-4ビザ保持者の就労許可に関する最新情報

専門技術者としてH-1Bビザを持つ外国人の扶養家族にはH-4ビザが与えられるのですが、現在、H-4保持者という立場である事を基に移民局から就労許可を得る事はできません。そのような状況下、現在、移民局はH-4保持者の就労を可能とする就労許可証(EAD)の申請を認める新しい法制化へむけて最終段階に入っています。

こちら法案によれば、H-1B保持者が永住権申請で求められる3つの申請段階(一部例あり)のうち、第1段階である労働局への労働許可申請(PERM申請)、又は第2段階である移民局へのI-140申請(スポンサー会社の給与支払能力等を含む審査対象)を行ってから365日以上経過したうえで、H−1Bの7年目以降の延長申請が行われている場合、もしくはI-140申請が認可されている場合には、当H-4保持者の就労許可証の申請が可能となる、というものです。
この新しい法律の詳細はまだ決定されておりませんが、近々発表される事となっています。

2015年度新規H-1B申請が上限に到達。他のビザオプションは?

2014年4月1日より申請受付が開始された来年度新規H-1B申請は受付期間である最初の一週間で年間上限発給数(通常枠:6万5千件、米国修士•博士号枠:2万件、合わせて8万5千件)の倍以上となる172,500件もの申請が押し寄せたことで早々に受付が締め切りとなりました。この状況は弊社でも予想していましたが、移民局は早速4月10日に正式に受領する申請書類を選び出すための無作為抽選を実施しました。その後、無事当選した方々の受領書が移民局より届き始めております。一方、抽選に漏れた申請書に関しては申請書類一式そのものが戻ってくることになります。実際に申請した方が抽選に当選したかどうか判断がつかないこともあるでしょうが、最終的には受領書が届く、または申請書そのものが戻ってくることで、自身の抽選結果を把握することになります。とりわけ特急申請された方で、5月に入っても受領書が届いていないようであれば、抽選に漏れてしまっている可能性が高いようにも思われます。

さて、見事に抽選に当選した方につきましては、今後移民局より正式に審査が開始されるのですが、現在のH-1B申請におけるポジションの傾向、また審査の難易度に関してはどのような状況なのでしょうか? 最近の統計データはまだ確認できておりませんが、はっきり言えることは審査自体が大変厳しくなっているということです。年々認可率は下降する傾向にあり、とりわけコンピューター系以外のポジションに関してはその難易度が高まっているとも言えるでしょう。ちなみに2013年7月の移民局発表によれば、2012年度から2013年度にかけてコンピューター系のH-1B認可者が15%増えているのに対し、それ以外のポジションのH-1B認可数は20%減っているという興味深いデータがあります。

事実、アメリカ労働局の発表においても、コンピューター系のポジションに関するH-1B申請が未だに大多数を占めているということで、2014年度のデータではコンピューター系のポジションが全体の70%を占めたということです。なお、移民局へのH-1B申請のためには予めアメリカ労働局より労働認定(LCA)を受けなければならず、その審査過程において、労働局はポジションや給与額、就労期間など査定、審査します。参考までにコンピューター系以外の職種については5%がそれ以外のエンジニア、また同じく5%がファイナンシャルスペシャリストや会計士などの金融系のポジションと続き、残りの20%がそれら以外の業種、ポジションという全体像となっているようです。

もちろん、コンピューター系のポジションが業界としても活動が活発な分野であることも否めませんが、一方で、移民局による審査傾向においてもコンピューター系以外のポジションは厳しく審査されているということの裏付けとも捉えることはできるでしょう。言い換えれば、いわゆる“ビジネス系”のポジション(オペレーション、ビジネス開発、マーケットリサーチ、パブリックリレーションなど)に対しては審査が難しく、多くの場合、質問状なしにあっさり認可をうけることはとても難しくなっています。セールス系のポジションはここ数年難しい傾向にあった状況で、更に今ではH-1Bでは当然該当するとも考えられるマーケットリサーチ系のポジションが厳しく審査され始めているという事実はビジネス系のH-1Bポジションを考えている方にとっては非常に悩ましい傾向とも言えます。事実、移民局による「エントリーレベルのパブリックリレーションのポジションはH-1Bのポジションに条件として求められる専門職には該当しない」という判断結果を支持する連邦地方裁判所の判例(2014年4月24日)があります。

ではこれらの状況を受け、今後H-1Bビザ申請者・企業はどう対応していくべきなのでしょうか? 抽選、そして厳しい審査状況を踏まえると、特に採用する企業側においてはプランB、つまりバックアッププランを持つことも重要となってくるでしょう。例えば、一社から複数の新規H-1B申請書を提出した企業においては、統計的には半分以下しか抽選に当たらず、結果的に無事に全員認可されたとしてもH-1B従業員による人材確保は実現しません。企業の立場からすれば、EビザやLビザが条件として該当するようであれば、それも検討すべき事項です。またアメリカの大学を卒業した外国人がOPTを使用して就労(正確にはトレーニング)することも可能ですので、条件が整えば、OPT保持者の雇用も考えられます。ただOPTには期限があり、その期限後の継続的雇用に関しては引き続き、問題は残ります。確実性という意味ではやはりアメリカ市民や米国永住権保持者の採用も同時に進めていくことも会社の体力を維持するためにも無視できない状況です。

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新規H-1B申請中の渡航に関する注意事項

皆さんの中には今年、個人として、また会社として従業員の新規H-1B申請を行った方もいらっしゃるかもしれません。米国移民法は複数の政府機関によって管理されているということもあり、新規H-1B申請を行った場合、結果が下りるまで(又は早々に認可されたとしても、2014年10月1日まで)の間、渡航に制限がでてくるケースがあります。

現在、米国外にお住まいの場合

基本的に、米国外で新規H-1B申請を行う場合、認可が下り次第、米国大使館又は領事館でビザスタンプ申請を行います。H-1B申請中に例えばビザ無しで渡米される場合、その後のH-1Bビザスタンプの取得に悪影響を及ぼす可能性があります。またアメリカ入国そのものに影響を及ぼす可能性(例えば入国拒否など)もあるため、申請中の渡米はなるべく避けた方が良いでしょう。H-1Bは早くても10月1日から有効であることから、それ以前のアメリカ入国に対しては不当にH-1Bに関する就労を行うのではないかなど、本来の入国目的に疑いをかけられる可能性が考えられるためです。

現在、米国内にお住まいの場合

オプション1ステータス変更:米国内にて他のステータスから新規にH-1Bステータスへ変更される場合、H-1B申請中はアメリカ国外へは渡航出来ません。H-1Bが認可された場合、10月1日以降であればアメリカ国外への渡航は可能ですが再入国にはH-1Bビザスタンプが必要となります。その事から、スタンプ取得のため、最初の行き先は日本など母国である事が望ましいです。ビザスタンプ取得後、H-1Bが有効な間は自由に渡航が可能となります。

オプション2アメリカ国外でビザスタンプを取得してアメリカへ再入国するケース:  仮にH-1Bが10月1日より開始されるH-1Bが認可された場合、無事にビザスタンプが取得できていれば、その10日前からアメリカへのH-1Bビザでの入国が可能となります。ビザスタンプ取得後、H-1Bが有効な間は自由に渡航が可能となります。

以上、新規H-1B申請者は渡米には充分気をつけるようにしてください。

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