カテゴリー別アーカイブ: 非移民ビザ

米国移民局による、2020年度第2四半期の高い質問状の発行について

米国移民局(USCIS)は、雇用者がスポンサーとなる非移民ビザのカテゴリーに関する2020会計年度の第2四半期の統計データを発表しました。そのデータ結果によると、全体的な質問状(RFE)と却下率の発行数の傾向が、雇用ベースのビザ資格を厳格にする目的で施行されたトランプ政権の大統領命令と一致していることが明らかになっています。

【2020年度第2四半期のH-1Bビザ申請に関する統計結果】

2020年度のH-1Bビザ申請における第2四半期の認可率は87.1%で、2019年度の第2四半期と比較すると、約 4%上昇しました。しかし、2015年度の全体的なH-1Bビザ認可率の95.7%と比較するとかなり低いです。

2020年度のH-1Bビザ申請における第2四半期の質問状の発行率は35.8%で、2015年度の22.3%と比較すると、非常に高くなっています。尚、質問状返答後の認可の確率は2020年度第2四半期に68.2%に増率しましたが、これはまだ2015年度の83.2%の認可率をはるかに下回っています。

米国移民局によるH-1Bビザ申請に関する統計結果
2015—2020年度(第2四半期)

会計年度 初回認可 質問状発行 質問状返答後の認可
2020年度(第2四半期) 87.1% 35.8% 68.2%
2019年度(第2四半期) 83.7% 35.3% 58.8%
2018年度(第2四半期) 79% 48.2% 59.5%
2019 84.8% 40.2% 65.4%
2018 84.5% 38% 62.4%
2017 92.6% 21.4% 73.6%
2016 93.9% 20.8% 78.9%
2015 95.7% 22.3% 83.2%

【2020年度第2四半期のL-1ビザ申請に関する統計結果】

2020年度第2四半期のL-1ビザ認可率は74.3%で、2019年度の同時期から増加しています。しかし、これはまだ2015年度の83.7%の認可率をはるかに下回っています。

2020年度のL-1 ビザ申請の質問状発行率は53.6%で、2015年度の34.3%よりも大幅に高くなっています。尚、質問状返答後の認可の確率は55.3%に増加しました。

米国移民局によるL-1ビザ申請に関する統計結果
2015—2020年度(第2四半期)

会計年度 初回認可 質問状発行 質問状返答後の認可
2020年度(第2四半期) 74.3% 53.6% 55.3%
2019年度(第2四半期) 71.8% 53.2% 51.1%
2018年度(第2四半期) 79% 42.6% 52.7%
2019 71.9% 54.3% 50.8%
2018 77.8% 45.6% 52.9%
2017 80.8% 36.2% 49.4%
2016 85% 32.1% 55.6%
2015 83.7% 34.3% 53.5%

【2020年度第2四半期のTNビザ申請に関する統計結果】
2020年度第2四半期のTN認可率は88.7%で、2015年度の95.1%よりも大幅に下回っています。

2020年度第2四半期のTNの質問状発行率は25%でした。質問状返答後の認可の確率は58%で、2015年度と比較しても15%近く低くなっています。

米国移民局によるTNビザ申請に関する統計結果
2015—2020年度(第2四半期)

会計年度 初回認可 質問状発行 質問状返答後の認可
2020年度(第2四半期) 88.7% 25% 58%
2019年度(第2四半期) 88.4% 24.5% 54.8%
2018年度(第2四半期) 85.2% 30.8% 53%
2019 89.8% 24.5% 60.1%
2018 88.2% 28.2% 59.9%
2017 91.6% 22% 64.7%
2016 90.7% 23.6% 64.2%
2015 95.1% 17.3% 74.8%

【2020年度第2四半期のO-1ビザ申請に関する統計結果】
2020年度第2四半期のO-1認可率は89%で、2017年度の最近の94.1%から大幅に低下しています。

2020年度第2四半期のO-1 質問状発行率は30.1%に増加しました。質問状返答後の認可の確率は64.8%に減少しました。

米国移民局によるO-1/O-2ビザ申請に関する統計結果
2015—2020年度(第2四半期)

会計年度 初回認可 質問状発行 質問状返答後の認可
2020年度(第2四半期) 89% 30.1% 64.8%
2019年度(第2四半期) 90.5% 27.7% 67%
2018年度(第2四半期) 93.2% 21.8% 69.3%
2019 90.8% 26.4% 66.1%
2018 92.8% 22.9% 69.3%
2017 94.1% 22% 74%
2016 92.9% 22.6% 70%
2015 92% 24.9% 69%

この統計結果から分かること

これらの傾向から分かる重要な点は、トランプ政権下による大統領命令 “アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う(通称:Buy American and Hire American)” が実現に向かっていることです。尚、H-1B、L-1、およびTNビザ申請の結果には小さな改善がありましたが、質問状発行率は増加したか、高いレベルにとどまっていました。

この大統領命令の目的は、国土安全保障省と労働省に、H-1BとL-1ビザを含むビザ保持者の非移民労働者が米国の労働者に与える影響を見直すことです。尚、この統計から推測出来ることは、将来、より高い確率の質問状発行や却下などが見込まれ、 非移民の雇用カテゴリーに対して制限がかかることでしょう。尚、弊社では、引き続き、皆様にこの問題に関する最新情報を随時報告できればと考えております。

新型コロナウィルス流行におけるビザ取得の状況

2020年5月

世界的に大流行している新型コロナウィルスの感染者数や死亡者数の多さは大変深刻な状況で、経済界に対しても様々な形で悪影響が及んでおり、アメリカ移民業界そのものにも非常に大きな影響が出ています。渡航制限を始め、アメリカ大使館、領事館のビザ業務は一時的にサービスを停止し、またアメリカ移民局も面接や指紋採取など対面によるサービスは停止状態です。先行きも不透明で、例えば、アメリカ移民局は現状6月4日以降に対面サービスを再開の予定にはしていますが、延長される可能性もあります。ビザ保持者を抱える企業またビザの新規取得やステイタス延長を必要とするビザ保持者の多くが途方にくれています。その一方で、移民問題の厳格化を一つの公約としているトランプ政権は、一部をのぞき、劇的な法的緩和策をとっていない、という事実も存在しているようです。

世界的に大流行している新型コロナウイルスにより、米国の移民政策に影響を与える変更が様々な形で生じています。今回はそれら影響について、皆さんに直接関係する主な事項をいくつか取り上げてみたいと思います。

  1. 4月22日、トランプ大統領は先60日間アメリカ国外でのアメリカ永住権の発行を停止する大統領令に署名しました。現在、在外アメリカ大使館での永住権申請審査サービスは停止しているため、影響は感じられないと判断されるかもしれませんが、これはあくまでも一つの入り口に過ぎず、今後は対象とするビザ種類の拡大、また期間の延長など考えられます。とりわけ、失業者が多く出ているアメリカにおいて、トランプ政権はアメリカ人の雇用を最優先することから、この新型コロナウィルス問題とともに更なるビザ取得の厳格化が予想されます。一方で、H-1B, L-1,Eビザなどの非移民ビザや既に永住権を持っている方々に対しては現状影響はない、とのことです。尚、この60日間の永住権の発行停止について、アメリカ市民の配偶者や子供、投資を通しての永住権、医療従事者等々に対する永住権発行は引き続き行うこと、となっています。
  2. 3月20日よりアメリカ移民局での特急審査が一時停止状態となっております。これは、無期限の停止で、いつ再開するか不透明な状況です。全てのI-129(H,L-1, E, O-1など)およびI-140申請に対するもので、このことにより申請から最終結果が出るまでのスケジュール感がつかめないことになります。ビザの種類によっては数ヶ月も待ち時間が生じており、更なる長期化も想定されます。
  3. 3月18日より米国移民局の対面による一切のサービスが停止状態となり、サービスの再開は現時点で6月4日以降となっていますが、更なる延長も考えられるでしょう。3月18日以降スケジュールされていたアポイントメントは全てキャンセルされ、今後、移民局は再開の目処がつき次第、リスケジュールされた通知書を送る予定にしています。ただ、キャンセルされたケースの数やその後に追加でスケジュールされるべきケース、またいわゆるソーシャルディスタンシングによる1日の処理能力の低下等を考慮すると、リスケジュールされるにしても、今後、相当の遅れが出ることも予想されます。またオフィスそのものも閉鎖となっており、それには米国移民局の各フィールドオフィス、asylumオフィス、申請サポートセンター(Application Support Centers)や、米国市民権申請に伴う宣誓式などが含まれます。ちなみにアメリカ移民局は、対面ではない、通常の申請書は受付け、審査は行っております。
  4. 在外アメリカ大使館、領事館における米国ビザ業務が一時停止しています。従って、4月や5月など既に面接予約を取っていた方は自動的に面接がキャンセルされることになりました。これは政府が認める緊急のケースを除き、全ての移民、非移民ビザが対象となっています。一方で、該当者のみですが、郵送でのビザ更新は可能で、現在6月以降の面接予約は受け付けている状態です。ただ、こちら早々に枠が埋まっており、今後さらに枠を増やすか、逆に、場合によっては、それら予約も自動キャンセルとなるか、先行き不透明です。尚、このようなキャセルが続く状態でもあることから、これまで3回しかできなかった面接日の変更が6回まで可能となったようです。
  5. 既にビザを取得してアメリカに滞在している人が本来であればアメリカ国外へ出国してアメリカに再入国する、また再度ビザを取得してアメリカに再入国することを予定していた方々が、アメリカ出国を見送る必要性が出たことで、多くの方が、アメリカ移民局への滞在延長申請を余儀なくされています。Eビザ査証またLブランケットに基づくLビザ査証の取得をされた方もアメリカ国内で滞在延長申請は可能です。尚、アメリカ国境管理局に出向いても単純にI-94を延長してもらえることはなく、滞在や就労延長のためには移民局への申請がこれまでのルールと基本的には変わることなく申請を行う必要があります(一部のESTA者は条件を満たせば最大30日の滞在延長が認められます)。
  6. 既にアメリカで雇用を受けているビザ保持者に対し、例えば、H-1Bビザなど、特定の就労場所において、特定のポジションそして業務内容にて、また特定の賃金を受け取ることを大前提として雇用を受けているビザの種類もあります。現在、これに対して基本的には法的緩和策は取られておらず、例えば、在宅勤務への切り替えや業務内容の変更、フルタイムからパートタイムへの雇用形態の変更など、その雇用条件変更の程度によっては、引き続き、移民局への修正申請が求められます。
  7. 一方で、アメリカ移民局は署名入り申請書類の提出に関する柔軟な対応策を発表しました。3月21日付又はそれ以降に提出されたI-129フォーム(非移民ビザ申請書)を含む全ての申請フォームにおいて、原本の署名が複製された書類でも受け付けることを発表しました。尚、 直筆の署名入りの原本が必要なフォームにおいては、米国移民局は電子的に複製されたオリジナルの署名を受け付けるということです。尚、電子的に複製されたオリジナルの署名入りの書類を提出する個人または団体は、直筆署名を含む原本の書類のコピーも保持する必要があるということです。また、3月1日〜5月1日に移民局より質問状を受けたケースは返答猶予期間に対して救済措置が取られました。

以上、弊社でも多くの方から問い合わせを受けます。弊社でもできる限りお客様への明確なアドバイスを心がけてはおりますが、このような状況下、“弊社でも分かりかねます”というアドバイスが選択肢の一つとなっています。1日も早く、状況が終息し、世界の人々がこのウィルスの恐怖から逃れ、経済活動も活性を取り戻し、正常な移民受け入れ体制に戻ることを心から切望しています。

SW Lawグループ、マネジャー
吉窪 智洋

米国移民局、2021年度の新規H-1B申請に対する事前電子登録者数がH−1B の年間上限発給数に達したと発表

米国移民局は2021年度の新規H-1B申請に対し、事前に受け付けていた電子登録者の数がH-1Bの年間上限発給数に達したと発表しました。それに伴い、米国移民局は 、適切に登録をした登録者の中から、コンピューターを使用した無作為による抽選を実施し、抽選当選者にその旨を3月31日までに通知しました。尚、これより、当選者のスポンサー会社は、その当選者に対して完全版の新規H-1B申請書を米国移民局に提出することが可能となります。

既に多くの方が確認済みかと思いますが、登録者のオンラインアカウントには、各登録者に対して下記いずれかのステータスが表示されているはずですので確認してください。

  • 「提出済み」:最初の抽選選択プロセスが完了した後も、ステータスに「提出済み」と表示され続ける場合があります。 「提出済み」の登録者は、該当年度末までは再抽選などにより、当選の可能性があるかもしれません。尚、該当度末までに、全ての登録ステータスが「当選」、「未選択」、または「却下」に変更される予定であるということです。
  • 「当選」:2021年度の新規H-1B申請書の提出が可能となることを意味します。
  • 「却下」:同一人物が複数の登録を送信した場合や、支払いが不適切であった場合。尚、重複登録として却下された場合、その会計年度に対して提出された全ての申請は無効となります。
  • 米国移民局、コロナウイルスの影響により、2021年度の新規H-1B申請書の審査に遅延が生じると発表

    米国移民局は、COVID-19(コロナウイルス)が原因で、会計年度2021年の新規 H-1B申請に関するデータ入力および受領通知の発行に遅れが生じる可能性があると発表しました。尚、米国移民局は、少なくとも2020年5月1日まで、これらのケースの審査処理等を開始しないと発表しました。

    一旦米国移民局がデータ入力を開始すると、米国移民局の各サービスセンターにて受領した順序でケースの取り込み処理をするということです。尚、米国移民局は、この申請書の受領とデータ入力の遅延が、2021年度の新規H-1B申請の裁決の遅延にもつながると指摘しています。尚、米国移民局は、一部の新規H-1B申請書はタイムセンシティブであり、出来るだけ迅速に処理することを試みると述べていますが、これらのケースの裁定がいつ完了するかはまだはっきりしていません。

    尚、米国移民局は、2020年6月30日に終了する予定の90日間の新規H-1B申請書提出期間の延長はないと発表しました。

    *本記事は4月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

米国移民局、会計年度2021年の新規H-1B の申請書類の提出を4月1日から受領すると発表

米国移民局(The United States Citizenship and Immigration Services: 通称USCIS)は、新規“H-1B申請の登録抽選に当選した登録者に対し、 会計年度2021年の新規H-1B の申請書類の提出を4月1日から受付開始することを発表しました。

米国移民局は、最初の登録期間中において、およそ275,000件の登録が確認されたと発表しています。これは、昨年の合計件数、201,011件の申請書の受理数と比較すると、37%増加したということです。全体の登録者数の約46%(126,500件)は、マスター(修士号)保持者であり、残りの54%(148,500件)は通常(学士号)保持者の登録者であったということです。さらに、40,000件を超える登録アカウントが作成され、提出された登録者数の大部分はインド国籍(67.7%)および中国国籍(13.2%)であったということです。尚、抽選の当選確率は簡単に計算すると、マスター(修士号)枠で約16%、通常(学士号) 枠で25%であったということです。

尚、新規H-1B 申請の抽選に当選した場合、 当選者は、 登録当選通知に示されている決まった期間内に適切に申請書を提出する必要があります。新規H-1B申請書の提出期間は、少なくとも90日間です。

尚、COVID-19(コロナウイルス)が原因で、米国内の多くの企業が閉鎖を余儀なくされています。したがって、新規H-1B申請抽選に当選した申請希望者の申請書を作成する全ての弁護士およびスポンサー企業が最終的に申請書を90日間で提出出来るかどうかは不明なところではあります。もし当選者が規定の90日以内に米国移民局にH-1Bの最終申請書を提出出来ない場合、その数に応じ、最初の抽選に当選しなかった登録者のために追加枠が提供される可能性があるかもしれません。というのも、米国移民局は、以前に、十分な数の申請書が提出されなかった場合、年間上限発給数を確保するために、最初の抽選に当選しなかった登録者の中からさらに抽選をすると述べていました。尚、現時点で、最初の抽選に当選できなかった全ての登録者のmyuscis ウェブサイト上のステイタスは、 “Submitted”(「送信済み」)との表記のままとなっています。

尚、弊社では、引き続き、皆様に新規H-1B 申請の方針についての最新情報を随時報告できればと考えております。ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

*本記事は4月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

コロナウイルス(COVID-19)による移民に関する変化

世界的に流行しているコロナウイルス(COVID-19)により、米国の移民政策に影響を与える変更が下記の通り生じました。

  1. 特急審査申請の一時停止。米国移民局は、2020年3月20日に、全てのI-129(H,L-1, E, O-1など)およびI-140申請に対する特急審査申請が、今後、新たな通知が発表されるまで、直ちに停止されることを発表しました。
  2. 米国移民局の閉鎖。少なくとも2020年の4月1日まで公共サービスを実施する全ての米国移民局のオフィスが閉鎖されるということです。尚、これには、米国移民局の各フィールドオフィス、asylumオフィス、申請サポートセンター(Application Support Centers)や、米国市民権申請に伴う宣誓式などが含まれます。
  3. 署名入り書類の提出に関する柔軟な対応について。米国移民局は、2020年の3月21日付又はそれ以降に提出されたI-129フォーム(非移民ビザ申請書)を含む全ての申請フォームにおいて、原本の署名が複製された書類も受け付けることを発表しました。尚、 直筆の署名入りの原本が必要なフォームにおいては、米国移民局は電子的に複製されたオリジナルの署名を受け付けるということです。尚、電子的に複製されたオリジナルの署名入りの書類を提出する個人または団体は、直筆署名を含む原本の書類のコピーも保持する必要があるということです。
  4. 領事館の停職。多くの領事館が非緊急ビザのサービスを一時停止しています。
  5. 渡航制限。過去14日以内にオーストリア、ベルギー、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、又はアイルランドに渡航した者は、 米国に渡航することが制限されています。この渡航制限は、中国本土とイランからの既存の渡航禁止規則に加えられています。
  1. 以下に該当する場合は渡航禁止規則の対象外となります。
    1. 米国市民および永住権保持者
    2. 米国市民および永住権保持者の配偶者
    3. 米国市民および永住権保持者の親または法的保護者 (その米国市民および永住権保持者である子供が未婚で21歳未満である場合 )
    4. 米国市民および合法永住権保持者の兄弟姉妹(その米国市民および永住権保持者である兄弟姉妹が未婚で21歳未満である場合)
    5. 米国市民および合法永住権保持者の法的保護下にある子供
    6. その他の特定の外国政府および保健当局者

  2. 2020年4月11日に、当局はコロナウイルスの渡航禁止令に関して再評価する予定であるということです。
  3. 有効なESTA保持者ではあるが、渡航禁止規則の対象者であり、その禁止令に反して米国への渡航を試みる渡航者は 、ESTAが失効されるとい
    うことですのでご注意ください。

連邦地方裁判所判事は、学生と交換留学生の違法滞在に関する規則において恒久的な差し止め命令を発行する

2020年2月6日、連邦地方裁判所判事は、米国移民局 (USCIS) が実施を試みている新政策のF、J、Mビザの非移民の留学生とその扶養家族において、彼らが、非移民ステイタスの滞在許可期限に違反して滞在を続けた場合、その違反時点から自動的に違法滞在であるとみなす方針の施行を禁止する、恒久的な差し止め命令を出しました。

この新しい政策に先立ち、I-94を保有するF、J、Mビザの外国人留学生は、滞在許可期間のステイタスがD / Sとなっている場合は、米国移民局や判事から特別な違反行為等を申告されていない限り、違法滞在扱いされませんでした。しかし、この新しい政策では、F、J、またはMビザの留学生が、自分のステイタスにおける滞在許可期限を誤って違反してしまった場合、気付かないうちに、米国での違法滞在を引き起こしてしまうような、遡及的な効果を持っていたようです。この政策の与える影響は大きかったであろうということです。もし外国人が米国に180日以上または1年又はそれ以上不法滞在している場合、3年または10年以上の間、米国への再入国が出来なくなる可能性があり、不許可または別の救済の放棄を認められていない限り、非移民ビザや移民ビザ申請の資格がなくなる可能性があったであろうということです。

昨年、いくつかの大学と数名がこの米国移民局による新しい政策は、法定の違法滞在規定に反し、恣意的で一時的な上、行政手続法 (APA) と米国憲法のデュープロセス条項に違反していると主張する法的な挑戦を提起しました。尚、裁判所が訴訟を審理している間、ギルフォード・カレッジ対ウルフと呼ばれる、一時的に全国的な規模での差し止め命令を出しました。尚、2020年2月6日、連邦地方裁判所のロレッタ・C・ビッグス判事は原告に味方し、法律に問題があるとしてこの政策を無効にしたというわけです。

尚、さらなる通知が発表されるまで、F、J、又はMビザの留学生は米国移民局または移民裁判官からの決定的かつ肯定的な違法存在が決定されない限りは、違法滞在と見なされないという以前の政策に基づくことができるということです。しかし、政府はこの決定を控訴すると予想されています。

尚、米国移民税関執行局 (ICE) は今月、特定のF-1ビザと他の非移民者の滞在期間をD/Sから指定の終了日に変更する規制を提案する予定であるということです

米国移民局、新規H-1Bビザ申請登録制度に関する詳細を発表する

米国移民局 (The United States Citizenship and Immigration Services: 通称USCIS) は、会計年度2021年の新規H-1Bビザ申請登録プロセスに関する詳細を発表しました。H-1Bビザ申請書の提出を希望する雇用主はH-1Bビザ抽選に応募するためには最初に各H-1Bビザ労働者の事前登録が必要になるということです。

仮に2021年の事前登録希望者がH—1Bビザの年間発給上限を超えた場合、米国移民局による新規H-1Bビザ抽選の当選者は、正式なH-1Bビザ申請書を提出するために少なくとも当選から90日の申請猶予期間が設けられるということです。尚、新規H-1Bビザ申請登録には、各登録ごとに10ドルの返金不可の申請登録料の支払いが必要になるということです。尚、まとまった申請数の登録と支払いがオンラインポータル上で受け入れられるということです。

米国移民局は、雇用主とその代表者がいつから会計年度2021年の新規シーズン用のオンライン登録アカウントの設定を開始出来るかについて自身の移民局のウェブサイト上に発表するということです。おそらく、今後数週間の間に、米国移民局は登録アカウントの設定に関するさらなる指示を発表し、プロセスに関する公衆の周知活動を実施する予定であるということです。

尚、米国移民局は、最初の新規H-1Bビザ申請の登録期間が2020年3月1日から2020年3月20日まで実施される予定であることを確定しました。実際の登録終了日については米国移民局のウェブサイト上に発表される予定であるということです。尚、米国移民局は、オンライン登録においてシステム上の技術上の不具合などで起こりうる問題がある場合、または申請数が年間上限数に満たされなかった場合には、申請登録期間を延長するかもしれないということです。

尚、年間上限の85, 000に対する抽選が終了した後は、米国移民局は遅くても2020年3月31日までに、抽選によって選択されたビザ受益者のスポンサー会社に電子版で当選結果を通知する予定であるということです。尚、米国移民局はその後数週間のうちに正式な申請書提出期間に関する正確な日程を発表する予定で、正式申請書の提出期間は少なくとも90日間は設けられる予定であるということです。

弊社では、引き続き、皆様に最新情報を随時報告できればと考えております。

トランプ政権発足以降のビザ取得の状況

2020年1月

トランプ政権発足以降、“Buy American and Hire American” (通称 “BAHA”)をテーマに掲げた大統領令(2017年4月)が様々な形で現実化してきています。直訳すれば「アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う」となるこの言葉は、アメリカで働きたい、またアメリカでビジネスを拡大したい、という外国人や外国企業にとっては、その実現に大きな壁として立ちはだかっているようにも見え、我々が取り扱うアメリカ移民法にも直結している大きな問題となっています。

この大統領令の主旨は、アメリカの従業員の賃金と雇用率を高め、アメリカの移民法を厳格に実施し管理することにより、経済的利益を保護するというものであり、現実的にビザ取得が非常に難しくなってきている、ということになります。審査期間は全般的に長期化し、これまでにはないような質問状の発行、またアメリカ国内での永住権申請においても面接プロセスが追加される等、様々な形として現れてきています。実際に、ビザ申請却下率も高くなってきています。

では、皆さんの多くが気にかけているビザの種類として、H-1BやL-1についてアメリカ移民局による最近のデータを見てみましょう。

まずH-1Bの認可率について2015年度の認可率が95.7%であったものが年々減り、2019年度(第一四半期)では75.4%まで落ち込みました。また質問状も発行割合が2015年度の22.3%から60%まで引き上がっているようです。ちなみに質問状が発行された後の認可割合については、2015年度の83.2%から61.5%まで下がっています。これら変動はとりわけ2018年度以降、顕著となっています。特にビザをスポンサーしている会社のサイズがその認可率(却下率)に影響を及ぼしているということではありませんが、IT関連の企業では却下率や質問状の発行割合が上がっているようです。

次にL-1ですが、2015年度の認可率は83.7%であったものがH-1B同様に年々減り、2019年度(第一四半期)では74.4%に落ち込みました。質問状の発行割合も2015年度の34.3.%から51.8%まで引き上がっているようです。質問状が発行された後の認可割合については、大きな変化はなく2015年度の53.5%から52.7% へと、横這いの状況です。L-1における変動の中でも質問状の発行割合が2018年度以降、顕著に増加しているようです。

これらデータでお分かりの通り、移民局による審査が厳格化しています。質問状の内容も複雑化し、これまでには見かけなかったような詳細な事項まで追加で質問を受けることもあり、その傾向に合わせてその後の書類作りを行ってもまた更に別の理由で質問状が出るなど、時間を追うごとに質問状の難易度も上がっています。故に最初に提出する移民局への申請書も多くの説明や証拠資料を提出することになるなど、その申請準備には多大な労力と時間を要することとなり、ケースの却下率が上がっている現状も考えると、申請者となる企業に至っては、アメリカにおける従業員の雇用計画が想定通りにスムーズに進まないという問題も抱えているようです。

尚、今回紹介したデーターでは新規申請と延長申請での区別ではお伝えしてはおりませんが、移民局は全てのケースを詳細に審査することを発表しており、それは延長申請ケースなど既に最初のビザ取得の際に認可を受けているケースでも新規申請同様に全てを見直しするという厳しい審査がなされることになっています。実際に、延長申請でも過去の履歴を深く追及されるなど、延長申請に対してもこれまで以上に質問状が出ています。また申請却下もこれまでは質問状の発行を一旦挟むことが今までの傾向でしたが、現在では、それも無くいきなりの却下通知が届くケースも多いようです。

以上、上記は主にアメリカ移民局の最近の傾向ですが、アメリカ大使館でのビザ申請も厳しくなってきているようです。

最後に簡単に今年の新規H-1B申請についてご紹介します。来年度(2021年度)の新規H-1B申請が今年の春から動き始めます。今年から正式なH-1B申請資格を得るための事前登録システムが導入されることになり、登録期間は2020年3月1日から2020年3月20日までの予定です。登録者がH-1Bの年間上限を超える場合は、事前登録者の中で抽選が行われ、当選結果は遅くても2020年3月31日までに当選した登録者に通知される予定となっています。当選者は2020年4月1日頃から正式な申請が開始できる見込みで、正式な申請は当選から90日の申請猶予期間が設けられる予定となっており、正式な申請は米国移民局が受領した先着順に審査されるようです。尚、現時点では特急審査申請が利用可能かどうかは未発表です。

外国人から見れば、ビザ取得上、あまり好ましい現況とは言えません。一方的な見方かもしれませんが、これがアメリカ経済に真に良い影響を与えるかは疑問かもしれません。今後の政府の動きには益々注目です。

SW Lawグループ、マネジャー
吉窪 智洋

国土安全保障省、申請手数料構造の変更を提案する

国土安全保障省は、申請費用スケジュールの変更を提案しているということです。これにより、ほとんどのビザスポンサー企業と申請者は増額された申請費用を支払わなければいけないことになる上、多くのケースの種類においては更に新しい要件が課せられる可能性があるということです。この提案に関する重要な点は下記となります。

I-129フォームについて

国土安全保障省は、I-129フォーム(非移民労働者の申請書)をビザの分類ごとに異なるフォームに分割し、その分類ごとに異なる申請費用を必要とすることを提案しているということです。尚、もしこの提案が承諾されれば、I-129フォームの提出が必要となるH-1Bビザ、L-1ビザ、OビザTNビザなどを含む、全てのビザの分類に影響することになるようです。

国境警備費について

さらに、国土安全保障省は国境警備費用に関する規定の変更を提案しているということです。 現在の規定では、従業員数が50人を超え、その50%がH-1BビザまたはL-1ビザステータスにある雇用主は、H-1Bビザの新規申請および雇用主の変更申請ごとに4,000ドルの追加申請費用を支払い、L-1ビザの新規申請および雇用主の変更申請ごとに4,500ドルの追加料金を支払う必要があります。しかしこの提案により、雇用主は、H-1BビザまたはL-1ビザの延長申請に対してもこの費用を支払う必要が出てくるかもしれないということです。

永住権保持者へのステータスの変更(AOS)申請についてさらに、国土安全保障省は、ステータスの変更申請に加え同時に申請出来る就労許可書や一時渡航許可証(アドバンスパロール)の申請費用の増額を提案しています。 現在の申請費用は1,225ドルで、この費用にはステータスの変更申請費用、就労許可書、さらには一時渡航許可証の申請費用が含まれます。 尚、このステータス変更申請の費用について、例えば就労許可書と一時渡航許可証の更新申請が必要となる場合の費用も含まれています。

尚、国土安全保障省の提案では、代わりに、新規および更新された就労許可書と一時渡航許可証のため費用を区別するということです。そのため、これら就労許可書とアドバンスパロールを含むステータスの変更申請の提出費用は2,195ドルに増額し、就労許可書と一時渡航許可証の更新(延長)には、それぞれ490ドルと585ドルが分割の上、新規設定されるということです。

特急審査申請について

現在、特急審査申請サービスは15日(カレンダー暦)以内に申請の審査および裁決が下されることを保証します。 しかし、国土安全保障省は、この特急審査申請サービスを今後は15日以内(ビジネスデイ)の裁定期間を保証するものに変更するよう提案しているということです。これにより、延べ日数とすれば、裁決が1週間程度延長される可能性があるということです。

2019年末、今後の政府の方針計画案について

国土安全保障省と国務省は、2019年秋の規制議題を発表しました。 これらの議題は、今後数か月間の各機関の移民政策の優先事項を明らかにし、 もし、これらの規則が正式に施行されるとなれば、多くの移民プログラムとプロセスに大きな影響を与える可能性があるかもしれないということです。

以下は、雇用ベースの移民政策の優先事項のハイライトです。 現時点では、提案されている最終規則の詳細については機密事項であり、公開予定日は変更される場合があるということです。(注)これらは現時点では政策案の状況であり、法制化されたものではございません。

H-1BビザとL-1ビザについて

2020年の9月に公表予定の提案では、L-1Bビザの専門知識のビザのカテゴリーと、L-1ビザの雇用および雇用主と従業員の労使関係を再定義するということです。 尚、この提案により、H-1Bビザプログラムと同様に、L-1ビザ雇用者に新しい最低賃金の支払い義務を課すこと、また、L-1ビザ従業員のオフサイトによる雇用に対する制限が課されることが期待されているということです。

尚、2019年の12月に予定されていることは、H-1Bビザ専門職の雇用および雇用主と従業員の労使関係の定義を改訂する提案であり、H-1Bビザ労働者のオフサイト配置の制限およびH-1Bビザ賃金に関する事項が含まれるということです。

最後に、20203月に予定されている事項は、H-4ビザの雇用許可を取り消す提案であるということです。

F-1ビザOPTについて

2020年の2月に公開される予定の提案は、F-1ビザおよびその他の非移民ビザの許可滞在期限について、現在D / Sという表記から具体的な日付を記載するように変更するということです。ちなみに 現時点では、許可滞在期間のステータスがD / Sとなっている外国人は、許可された活動が続く限り無期限に米国に滞在することが許可されています。

さらに、2020年の8月に公開される予定の提案は、FビザとMビザの外国人留学生のための実践的なトレーニングの規定を改訂する提案だということです。 尚、この提案により、12か月のオプショナルプラクティカルトレーニング(OPT)、STEM OPTの延長、およびカリキュラムプラクティカルトレーニング(CPT)等のプログラムの内容に制限が課される可能性があるかもしれないということです。