カテゴリー別アーカイブ: 非移民ビザ

L-1 及び H-1B の追加費用の値上げ

L-1及びH-1B申請には2010年8月から2015年9月30日まで、総従業員数50人以上の会社でその50%以上の従業員がH-1B、L-1A、L-1B保持者である場合、追加申請費用がかかっていました。それが2015年12月18日に2016年度予算案が議会を通過したことで復活し、これまでの費用から値上がりし、L-1申請に対しては$2,250から$4,500へ、H-1B申請に対しては$2,000から$4,000となりました。

なお、在日アメリカ大使館、領事館でも2015年12月21日よりこの条件に該当する特定のブランケットLビザ申請に対し$4,500が課されています。これは通常の$190のビザ発行費用と$500のLビザ詐欺防止費に追加される費用です。もしこの条件に当てはまる場合、I-129SフォームのPart1Aの二つの質問にYesと回答し、ビザ面接の際にこの費用を支払う必要が有ります。なお、移民局申請もそうですが、L-2はこの費用に該当しません。

ちなみにこの費用は新規及び延長申請ともに必要です。ただ、この条件に該当するスポンサー会社は全体のほんの一部に過ぎず、多くの場合は該当しないのですが、今後、通常ケースにおいても申請費用の値上げという流れが近く及んでこないとも限りません。今後に注目です。

アメリカ移民局のL−1Bビザ審査状況

会社特有の専門能力を持つ従業員を企業内転勤者としてアメリカに派遣する際、L-1Bビザが申請オプションとなる場合が多くあります。アメリカ移民局の発表によると、2015年会計年度においてアメリカ移民局が受け取った、L-1B申請総数は13,626件で、そのうち、約76%(10,368件)の申請が認可され、約25%が却下されたとのことです。現在、2,116件のL−1Bビザ申請が審査中となっています。

 

2014年会計年度のL−1Bビザ申請の却下率は35%に達していましたが、その数は大きく減少傾向にあると言えます。

 

参照:

http://www.aila.org/infonet/uscis-performance-data-l-1b-petitions-for-fy2015

http://nfap.com/wp-content/uploads/2015/03/NFAP-Policy-Brief.L-1-Denial-Rates-Increase-Again.March-20151.pdf

 

L-1 ブランケットプログラムに基づくLビザ保持者の滞在、就労期限について

2015年10月8日、アメリカ弁護士協会とアメリカ国務省連絡委員会により発行された通達はとても重要な内容となっています。

 

Lブランケットプログラムに基づいたL-1ビザ査証申請は、アメリカ大使館、領事館での面接申請のみでビザが取得できるというメリットがあり、提出書類の中にフォームI-129Sというものがあります。面接が無事に終了し、ビザ査証が発行される際、このフォームI-129Sにビザの有効期間が手書きで記載され、ビザ査証とともに返却されるのですが、アメリカ国務省は、今回の通達のなかで、このI-129Sの有効期間の取り扱いに関する現国務省ポリシーについて、明確な解釈を示しました。

 

このI-129Sへの有効期間の記載は、アメリカ大使館、領事館の領事により行われるのですが、その日付に対し、実際に発行されるLビザ査証の有効期限、更にはアメリカ入国時に入国審査官により決定される就労及び滞在期限と異なるなど、多くの疑問が残っていました。

 

とりわけ、世界各国のアメリカ大使館や領事館、またアメリカの各州国際空港など税関国境警備局(CBP: 空港などアメリカへの入国審査機関)における審査官に対するトレーニングが未だ続いており、その状況もまた、I-129Sに記載すべき有効期間やビザの期間、またI-94の期限の決定について混乱が続いている要因のようにも思われます。

 

とりわけこの混乱は、2012年2 月のアメリカ国務省による22 CFR §41.54法の修正以降に顕著となり、国務省の発行するLビザ査証の有効期間(有効期限)と移民法上のLビザ認可期間とは全く異なるものとなりました。結果、国務省は各国との互恵協約(Reciprocity Agreement)に基づきビザ有効可能期間の上限まで有効なLビザを発行しています。日本など多くの場合、5年有効なLビザが発行されており、この期間はI-129Sに記載されるLブランケット有効期間に記載される最大期間(新規であれば3年、延長であれば2年)と異なる状況が発生しているのです。

 

このように、面接時に提出するフォームI-129Sの記入欄には就労リクエスト期間(通常、新規であれば3年、延長であれば2年)を明記している一方で、政府の発行証によってそれぞれに有効期間が異なることから、多くのビザ保持者がどの有効期間に基づいてアメリカに滞在し、アメリカで就労すべきか困惑していることでしょう。

 

なお、最近実施された連絡協議会(2014年10月9日)において、アメリカ国務省は、Lビザ査証の有効期間が充分残っている状況でも、当初ビザ認可時にI-129Sに記載された有効期限を迎えるのにあわせ、アメリカ国外にあるアメリカ大使館、領事館にて、新しいLビザ申請が可能である旨、明確に解釈発表しました。更に、アメリカ国内においても、ステータス及び滞在延長するため、アメリカ移民局に対して個人ベースでLビザ延長申請を行うことも可能です。

そこで今回2015年10月8日、アメリカ国務省はLビザ認証時にフォームI-129Sに記載される有効期間は、アメリカ移民局に対してLブランケットプログラムを通してではない個人ベースで申請したケースで移民法上認められる有効期間と同じとなることを示しました。つまりI-129Sに記載の期間が、法律上アメリカに滞在し就労できる期間である、と明確に基本方針を発表しました。

 

一方、アメリカ入国時にCBP入国審査官により決定されるI-94上の有効期限について、入国審査官は、L-1ビザ査証の有効期限またI-129Sの有効期限に関わらず、アメリカ入国時から3年という一貫した滞在及び就労期限を設定してきました。公式な発表は行われていませんが、CBPはLブランケットプログラムを通して取得したLビザ保持者によるアメリカ入国に対し、この3年の滞在許可期間をとりやめ、新しいポリシーに基づいて有効期限を与えているようです。その新しいポリシーとは、アメリカ入国時、最大で3年の滞在及び就労期間を与えるというもので、以下の条件を満たしていることを前提に決定されます。

 

  • 必要なパスポート有効期間が残っている
  • 有効期間が記載され、有効なフォームI-129Sを持っている
  • 移民法上定められたLビザ期間(L-1B: 最大5年、L-1A:7年)を超えた滞在期限を与えない

 

しかし、未だにアメリカ入国審査官は一貫性のない滞在期限を決定しているとの報告が続いており、(1) 入国時点から3年後、(2) I-129Sに記載の有効期限、(3) Lビザ査証に記載の有効期限(発行時から最大5年)、(4)パスポートの期限、等、多様です。

 

結果として、場合によっては、CBPの入国審査官によって決定されるI-94の期限がI-129Sに記載の期限より先になるということも起こっています。この場合、I-129Sの有効期限以降I-94期限までの期間は合法的に就労ができるのか、という疑問が湧いているのも事実です。

 

そのような疑問があるにもかかわらず、未だにCBPの対応は変わらず、 最終的な入国を認めるのはCBPの入国審査官であり、更に、移民局またアメリカ国務省の認証期間にかかわらず就労及び滞在期限を最終決定するのもまたCBPの入国審査官による裁量ということにもなるわけです。つまり、CBPの発行するI-94は、ビザ査証やI-129Sなど他の政府発行証書がもつ効力を上回る最たるものであることを意味し、LブランケットベースのLビザ保持者に対する就労及び滞在期限の扱いもまた、他の政府発行書類を凌ぐ扱いがなされるものとなることから、このような状況でもI-94の日付に従って雇用が継続できるとの解釈もできます。

 

しかしながら、この解釈は2015年10月8日に発表されたアメリカ国務省の示す方針とは矛盾し、国務省方針そのものが意味をなさないものともなるのですが、今回の国務省による方針内容はCBPの現方針を取り入れたものであることから、今後は、今回の国務省による方針に従うべきでしょう。

 

従って、I-129Sに記載の有効期間は移民法上定められた有効期間と一致するはずですので、その期間が合法的にアメリカでLビザ保持者として就労可能な期間となります。今後、アメリカ入国時にI-129Sの有効期限を越えたI-94の有効期限が与えられた場合、それは入国審査官による間違いであることを認識してください。

 

このようなI-94の期限日が設定された場合、I-129Sの有効期限を越えた期間の就労は行えず、入国審査官の発行するI-94は信用すべきではないとのスタンスを弊社ではとっています。I-129Sに記載の日付を優先してください。

 

ここで、十分気をつけていただきたいことは、仮にI-94の期限が残っている状況でも、I-129Sの有効期限を迎える前に必ず何らかの形で、延長申請を行うということです。大きく分けて二つありますが、アメリカ国内であれば、アメリカ移民局を通して延長申請を行う、もしくはアメリカ国外のアメリカ大使館、領事館にて新たなビザ査証とともに新たな有効期間が記載されたI-129Sを入手するという申請方法がありますので、I-129Sの有効期間についてはしっかりと覚えておくようにしてください。

What STEM (Science, Technology, Engineering 及び Math) OPT (Optional Practical Training)の延長期間に対する草案

米国国土安全保障省は、米国で就労している外国人学生の為のオプショナルプラクティカルトレーニング(OPT) の延長期間に対する草案を最近発表しました。提案された規定は、サイエンス/技術系(Science, Technology, Engineering, 又はMath) (STEM)を専攻する外国人学生が米国にて就労できる追加期間を、現在の17ヶ月から2年間へと延長するものです。

 

従来の規定と同様に、 認可された大学にてSTEMの分野を専攻し、雇用主がE-Verifyプログラムに登録している学生のみにSTEM OPTの2年間の延長が適用されます。又従来のキャップギャップルールも同様に適用され、H-1B申請が指定期間内に申請されていれば、H-1Bステイタスが有効となる10月1日迄F−1ステイタスと就労許可(Employment Authorization)を自動的に延長する事ができます。

 

STEM OPTの延長期間が24ヶ月間迄延長される事に加え、提案されている新たな規定は、正式な育成/指導及びトレーニングプラン を雇用主に義務づけ、STEMプログラムの学生及び卒業者の為の新たな賃金保護も含みます。

 

本草案に対して、2015年10月19日から30日間一般からの意見を公募しています。その後DHSは、寄せられた意見等を参考、考慮して、最終的な規定を発表する事となります。

 

本件に関する意見等は、2015年11月18日迄にDHSに受領されなければなりません。尚、意見等は、政府の電子ドケット管理システム(Federal Docket Management System (FDMS))上の本草案に関するDHSのドケットナンバー、ICEB-2015-0002 (http://www.regulations.gov.)にアクセスし、指示に従って提出する事ができます。

 

 

L-1Bビザの新たな覚書

アメリカ移民局によるL-1Bビザの審査は日々厳しくなっており、政府発表の統計データを見ても、多くの質問状の発行、また高い却下率となっています。そこで、アメリカ移民局はL-1B条件を満たすためにどのような根拠を示すべきかについて、2015年8月17日、新たな覚書を発表しました。

まず、今回発表の覚書では、L-1Bで求められる専門的知識(“specialized knowledge”)について、specialまたは advanced knowledgeのどちらかに区別して審査することとしています。

アメリカ移民局は、special knowledgeについて、ビザスポンサー会社の商品、サービス、リーチ、設備、技術、マネジメント等の知識と定義しており、同業界において一般に得られるそれら知識に比べても明確に異なり、高度に稀なものであり、国際市場で生かされるべき知識です。一方で、それら知識は、必ずしも特許や商標で守られているなど会社特有なものである必要はありません。

またadvanced knowledgeについては、ビザスポンサー会社の特定のプロセスや手順等に関する知識や専門性としており、それらは関連業界で一般に得ることのできないもので、且つ会社内においても、既に高度に培われている、または更なる発展過程にあるべきもので、複雑で高度な理解力が求められる知識と定義しています。ただ、それら知識は、スポンサー会社内において一握りの従業員のみが有する知識までは求めていません。

更に、アメリカ移民局は申請者(ビザ受益者)の専門的知識(specialized knowledge)の有無を判断する際、次の6つの項目を重要視します。

  1. ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社で得た知識がアメリカのビザスポンサー会社のビジネスに対して著しく価値あるものか
  2. ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社において、ビザ受益者が、その専門性及び知識を通して、会社の生産性、競争力、イメージ、財務事情を著しく強化させるような業務に関わっていたか
  3. ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社での経験を通してのみ、通常得られる専門知識であるかどうか
  4. 膨大なコストや時間また会社として不都合を受け入れない限り、他個人に簡単に伝達または教育できないレベルのものであるか。(一般にそれら専門的知識を得るためには高度なトレーニングや長期の専門分野での職歴が必要であり、更にそれらにはコストや時間もかかるため、例えばアメリカのポジションに対し、ビザ受益者が持つような知識を持つものの任命が急務である場合、他者の現地採用には時間とコストがかかるだけでなく、ビザ受益者を必要なタイミングで派遣できないことで会社に多大な損害が及ぶ状況となるか)
  5. プロセスや商品の専門的知識がアメリカのビザスポンサー会社にとって特有なものでなくとも、洗練されている、複雑である、又はハイテクなものであるか
  6. アメリカのビザスポンサー会社の市場競争力を高めるものか

上記を踏まえ、今後L-1B申請にてサポートレターを作成する際、弊社提案として以下のような点に注意して専門知識の説明を行うべきでしょう(専門的内容を含みます)。

  • Specialとadvancedの知識を明確に区別すること。Specialized、special、そしてadvancedという3つの言葉を混同しないようにしましょう(Specialized = special and/or advanced.)。
  • 会社特有の知識(特許、商標、IP申請など)であることを立証できる補足資料等を提出できない限り、”proprietary(会社特有の)“という表現は使うべきではないでしょう。もちろん会社として特許等持ち、それにビザ受益者が関わっているような場合、その内容を強調すべきでしょう。
  • proprietary(会社特有の)“という表現が使えない場合、”sophisticated(洗練された)“, “complex(複雑で)” 、”highly technical(ハイテクな)“というような表現を使うと良いでしょう。
  • ビザ受益者が持つ専門的知識は一握りの従業員しか持ち合わせていない場合、明確にその顕著さを数字化すべきでしょう。例えば全従業員200名のうち10名のみが持つ卓越した知識である等。
  • 申請上の肩書きを通して、明確に“specialized knowledge”を持つことを連想させることも重要でしょう。申請ポジションが仮に管理職でもL-1Bの申請であれば、例えば内視鏡に関わる“Marketing Director”のL-1B申請を行う場合、”Marketing Director of Endoscopic Instruments”と具体化させると良いでしょう。
  • 可能な限り同業他社また他の従業員との職務内容の違いや比較について説明すると良いでしょう。特に、なぜビザ受益者の職務内容を他従業員が遂行できないかの説明があればより効果的でしょう。
  • ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社での職務内容及びアメリカでの予定の職務内容を箇条書きで書く場合、全体を100%として、それぞれに%を割り振るべきでしょう。またビザ受益者が専門知識を必要とするポジション(技術部など)であることが分かる組織図を加えると良いでしょう。L-1Bの申請でも移民局は質問状を発行し、組織図の提出を求めることがあります。
  • ビザ申請条件として必要なアメリカ国外の関連会社での職務内容及びアメリカでの予定の職務内容はより詳しく具体的に書くべきでしょう。
  • ビザ受益者が成し遂げた特定業務やプロジェクトは明確にリスト化し、それらを通して具体的に金額的にいくらの功績となったかを示すこと。具体的に金額を書いた方がより効果的でしょう。
  • ビザ受益者がもつライセンス、トレーニング履歴(単なる新入社員研修ではない専門的で高度なもの(OJT含む)等)について、補足資料の提出と共に説明すべきでしょう。
  • アメリカのスポンサー会社のポジションで求められる専門知識を通して、ビザ受益者がトレイナーとして他従業員や同業他社に対してトレーニングを実施したことがあれば、補足書類の提出とともにその実績に関する説明を加えると良いでしょう。
  • 申請上のアメリカのポジションにビザ受益者以外の新しい従業員を任命する場合、その職務遂行に必要な知識の教育にどれほどの長い時間とコスト、また会社として経済的、経営的にどれほどの損失(トレーニング自体がアメリカに存在しない場合など)がでるかを説明すると良いでしょう。

更に、最近の移民局のL-1B審査傾向の一つに、ビザ受益者の専門知識の証明に、サポートレター内だけでの説明では十分ではなく関連した立証資料をどれほど提出できるかも重要視していることが見受けられることから、この覚書の内容をしっかりと把握するとともに、より戦略的に申請書類を作成するが求められます。

L-1査証上の注意書(annotation)

最近、L-1査証上の注意書(annotation)が改定された模様です。これまでは、通常のL-1・ブランケットのL-1の区別なく、「認可されたI-797またはI-129Sを入国審査で提示する必要あり (must present approved I-797 or I-129S at POE)とされていましたが、新しい表記では、通常のL-1の場合「認可されたI-797を入国審査で提示する必要あり (must present approved I-797 at POE)」とされ、ブランケットのL-1の場合は「I-129Sを入国審査で提示する必要あり (must present I-129S at POE)」とされるようになりました。

これから新しくL-1査証を取得する場合は、この表記に間違いがないかどうかを確認するようにしてください。

2015年7月21日、アメリ移民局はH-1B保持者の勤務先変更による修正申請の必要性に関する最終ガイダンスを発表する。

 2ヶ月程前、弊社では、The Administrative Appeals Office (AAO)が、2015年4月9日のMatter of Simeio Solutionsケースを受け、H-1B保持者の勤務先変更(労働認定書(LCA)を必要とするような場所への勤務地変更)による修正申請の必要性について、今後の先例となるべく重要な判定を下した記事を紹介しました。

今回、それに基づき、最終ガイダンスが出されたのですが、勤務地変更が今年の4月9日から8月19日までに発生した場合、H-1Bのスポンサー会社である雇用主は2016年1月16日までにアメリカ移民局への勤務地変更に基づく修正申請が必要となります。以前紹介した記事では2015年8月19日までの修正申請の必要性ということでしたが、更に5ヶ月間期限が延びたことになります。これは大きな変更事項です。特に自分の会社が複数の場所にてビジネスを行っている場合、支店間異動など同じ会社内での異動でも勤務地変更により修正申請の必要性があるというわけです。

一方、アメリカ移民局は、このMatter of Simeio Solutionsケースによる判決よりも前に勤務地の変更があり、アメリカ移移民局への修正申請を行っていないケースに関しては、基本方針として、却下やケース取り消し等の対象とはしないとし、この場合、新しい期限(2016年1月16日)までの修正申請の必要性はあくまでもオプション扱いとしました。

尚、2015年8月19日以降にH-1Bの勤務地変更がある場合は、勤務地が変更となる前に修正申請をアメリカ移民局に行う必要がありますので、注意してください。

アメリカ移民局の基本方針でもあるのですが、H-1Bの雇用に重大な変更事項があれば、その変更に対する修正申請を必要としています。今回のこの勤務地変更に関しては、最初の申請において、労働認定書(LCA)を通して新しい勤務先について触れていない限りは修正申請を必要とする重大な変更に該当することになります。つまり、職務内容などその他の雇用条件が全く同じで単なる勤務地が変更するケースにまで重大な変更の定義が拡大したことを意味します。

今年の8月19日以降にH-1B保持者の勤務地が変更となる場合のその他の注意事項として、繰り返しになりますが、基本的には、新しい勤務地での雇用開始前に、勤務地が変更となる旨を示した修正申請書をアメリカ移民局へ提出していなければなりません。一方で、H-1Bポータビリティーという法律は適用対象となりますので、正当に申請が行われていれば、最終結果が出る前に新しい勤務場所で就労開始が合法的に可能となります。

なお、2015年4月9日より前に勤務地が変更となった場合のアメリカ移民局への修正申請の不必要性については先述の通りですが、その一方で、今回の最終ガイダンスでは、アメリカ移民局は追及する意志がない、という表現となっていることから、ケースによってアメリカ移民局は修正申請を行わなかったケースに対してもケース取り消しなどの裁定を下す裁量を持ち続ける事も意味します。従って弊社では、2015年4月9日より前に勤務地が変更になったケースについても、そのリスクを回避するため、修正申請をすべきであろうという立場をとっております。アメリカ移民局は、勤務地変更を行わなかった事への追及を質問状(RFE)やケース却下または取り消し予告通知書(NOIR、NOIDなど)を通して既に行っているようで、もしそうであれば、今回の最終ガイダンスの前に発表されたガイダンスに基づいて追及を続ける可能性もあるでしょう。

その他、アメリカ移民局の言う重大な雇用条件の変更と位置付けられるケースとして、例え勤務地変更が、労働認定書(LCA)を必要としないような場所への勤務地変更であっても職務内容が大きく変わる、また同一の会社の雇用でも第3会社(他社)を勤務場所とする場合も含みます。なお、ここで言う労働認定書(LCA)とはH-1B申請時に必要な書類で、勤務場所やポジションによって査定された会社が支払うべき平均賃金が記載されるもので、 例えば同じカウンティー内であれば基本的に同じ賃金額で、労働認定書(LCA)を必要とするかしないかの意味は、平均賃金の異なるエリアへの異動となるかどうかを意味します。

一方、アメリカ移民局は、短期間の勤務地移動についても言及しており、1年のうち、最大30日間(場合によっては60日間)であれば、アメリカ移民局への修正申請は必要ないとしています。ただし、あくまでも拠点は元々の申請にある住所であることが前提です。同様に、上記にも触れていますが、H-1B保持者へ支払われるべき平均賃金の変わらないエリア内での勤務地移動の場合もアメリカ移民局への修正申請の必要はありません。ただ、 その他の職務内容などの雇用条件は同じである事が前提で、新たな勤務地にて、元々の申請で認証を受けたLCAを法律に則って掲示する義務はあります。これは、会社そのものが転居する、または一人のH-1B従業員が他支店へ移動する等に関わらず行う義務があります。

今回のアメリカ移民局による最終ガイダンスは期限の延長という意味では救済措置も含みますが、平均賃金額の変わるエリア外への移動時の修正申請の必要性を義務化した事に対しては会社にとっては多大な負担とも言えるガイダンスとも言えるでしょう。

 

 

在日アメリカ大使館、領事館でのEビザ申請について

既にアメリカ大使館、領事館にEビザ会社として登録されているアメリカの会社にEビザ従業員を日本から派遣させる場合など、ビザ取得のために、日本での面接が必要となります。

これまでは、1年に1度、DS156Eフォームとともに会社の財務情報等会社情報をアメリカ大使館、領事館へ提出する事で会社登録を適切に維持する事が出来ていました。

ただ、現在では、その必要性はありません。

アメリカ大使館、領事館の新しい方針では、1年間に複数の従業員のEビザを提出する企業は会社の財務情報を1年に一部のみ提出すれば良い状況に変わりはありませんが、提出方法及びタイミングとすれば、最新の財務諸表が作成された後、もしくは納税申告後に誰かがビザを申請する際に提出する事が望ましい、となっています。

 

なお、現在では各従業員の面接時、DS156Eフォームの全て(Part I~PartIII) の提出が必須となっております。

同じ情報がDS160フォームにも記載されますが、こちら新しい方針により全ページの提出が必須ですのでお気をつけください。

こちら提出を忘れると、その場で追加記入させられる、場合によっては、後日の提出を求められる事で、その日に面接結果が出ないという事も考えられます。

H-4保持者の就労許可について

アメリカ国土安全保障省は2015年5月26日よりH-1B保持者の配偶者であるH-4保持者に対する就労許可申請の受付を開始しました。これまで長期に渡り議論されてきましたが、ようやく法制化に至りました。

ただ、注意すべき点がいくつかあります。まず申請が可能となるのはH-4 をもつ配偶者に対してのみで、子供は申請対象とはなりません。仮にH-4をもつ子供が就労をするのに十分な年齢に達していても申請は認められません。一方で、就労条件は特になく、アメリカにおいて、どの業界のどのポジションでの就労が可能で、フルタイムまたパートタームのどちらでも構いません。

更に、H-4を持つ配偶者でも以下のような申請条件があります。

  • 2000年に施行されたAC21法のもと、配偶者であるH-1B保持者がアメリカ永住権を申請中で、満期の6年を超えて7年目以降のH-1B申請がアメリカ移民局より認可されている事。

H-1B修正申請の必要性に関するアメリカ移民局の新たな方針

H-1Bビザ保持者及びH-1B保持者を抱える会社にとって、とても重要なアメリカ移民方方針が発表されました。当発表はH-1B修正申請の必要性についてで、今回、移民局メモの抜粋にコメントを加える形で、今回の発表内容を紹介したいと思います。

概要ですが、例えばH-1B保持者の勤務地またそのスポンサーとなっている会社の所在地そのものが変わる場合、それが元々申請した際の住所に基づいて算出された平均賃金額と異なるエリアへの移動となった場合、その移動前に必ず移民局へ修正申請を行わなければならないというものです。

2015年4月9日、アメリカ移民局のAdministrative Appeal Office (AAO) は今後の先例となるべく重要な判定を下したのですが、そのケースはMatter of Simeio Solutions, LLCと呼ばれ、先述の通り、H-1B保持者の勤務地が新たに労働認定書(LCA)を必要とするような場所への移動となった場合、会社はそのH-1B保持者に対する修正申請を行わなければならないというものです。今回の判定を受け、今後、この該当する勤務地変更は修正申請を必要とすべき重大な変更事項(Material Change)として位置づけられることとなり、その修正申請には移動後の住所に基づいて新たに認証されたLCAの提出も必要となります。

以前は、勤務地以外の重大な変更事項がないことを前提に、仮に平均賃金が変わるエリアへ移動しても労働局を通してLCAのみ認証を得れば良いという解釈もできたでしょうが、今回の移民局方針ではそれだけでは不十分であることを意味します。なお、一旦この修正申請を移民局へ行えば、その移民局からの認可を得る前でも新しい勤務地での就労が可能となります。最終結果が出るまで、勤務地の移動を待つ必要はありません。

一方、修正申請が必要ない場合の例は次の通りです。

H-1B保持者へ支払われるべき平均賃金の変わらないエリア(MSA: metropolitan Statistical Area)内での勤務地移動: 
この場合、修正申請をアメリカ移民局に行う必要はありませんが、 新たな勤務地にて、元々の申請で認証を受けたLCAを法律に則って掲示する義務はあります。これは、会社そのものが転居する、または一人のH-1B従業員が他支店へ移動する等に関わらず行う義務があります。自分のケースがMSAエリア内の移動なのか否かの判断も含め、詳しくは移民法の専門家にその対応について相談されると良いでしょう。

短期間の移動:
この場合、状況次第ですが、最大30日間(場合によっては60日間)であれば、移民局への修正申請は必要ありません。ただし、あくまでも拠点は元々の申請にある住所であることが前提で、この場合も新たにLCAを入手する必要もありません。

“non-worksite”での勤務:
H-1B保持者が“non-worksite”へ移動となる場合、アメリカ移民局への修正申請は必要ありません。ここで言う”non-worksite” とは次のような場合を指します。

– H-1B保持者が自己啓発の一環として経営会議やセミナーに参加する場合
– ある特定(一箇所)の勤務地にわずかな時間勤務する場合
– 拠点はあくまでも申請上の住所であることを前提に、職務上、別の勤務地への出張頻度が多いperipatetic(巡回)従業員については出張毎に連続して5営業日、又は業務の殆どが申請上の住所で行われる一方で時折、他勤務地への出張が発生する従業員については出張毎に連続して10営業日を越えない短期出張である場合

H-1B修正申請に関わる注意点:

– Simeio Solutions, LLC 判定時点に、対象となる住所(勤務地)変更が行われていた場合、ウェブアラート(2015年5月21日)が出されてから90日間内に修正申請を行わなければなりません。つまり、5月21日よりも前に勤務地が変わったにもかかわらず修正申請を行っていない場合は、2015年8月19日までに修正申請の必要があります。
– Simeio Solutions, LLC判定が下される前に対象となる住所(勤務地)が変更となっていた場合、移民局の前方針に従った上での非対応だという誠実性があれば、修正申請を行っていなかった事実について移民局は問題視することはないでしょう。ただし、この場合でも2015年8月19日までに修正申請の必要があります。
– もし上記対象のケースで2015年8月19日までに修正申請されなかった場合、アメリカ移民局はその対象のスポンサー会社を移民局規定違反と見なし、更に、対象のH-1B従業員についても合法的なH-1Bの維持とは見なしません。
– 修正申請が却下となった場合、仮に元々の申請自体がまだ有効で、その申請条件に伴う雇用となる場合は、元の勤務地での再雇用も可能でしょう。
– 修正申請が移民局による審査中の状況でも更なる修正申請は可能で、その場合、その更なる申請後、移民局が正式に申請書を受領すればその更なる変更勤務地での雇用は可能となるでしょう。この場合、それぞれの申請において、それぞれの申請状況が判断されますが、仮に後から提出した修正申請の審査中にH-1B保持者のステータスが有効期限を迎えてしまった上で修正申請が却下となった場合、その後の申請においてリクエストされていた修正内容や滞在延長も認められないこととなります。

以上、移民局の方針に従い、適切な対応が必要で、上記該当ケースについては2015年8月19日までに対応がなければH-1B自体が無効になる、また会社は罰則の対象となります。更に、今後対象となる勤務地の変更がある場合についても必ず修正申請を行うよう、移民局方針に従うことはとても重要です。