カテゴリー別アーカイブ: 非移民ビザ

米国移民局(USCIS)による特急審査(Premium Processing Service)サービスの拡大

米国移民局(USCIS)は、特急審査サービス(Premium Processing Service)の適用が可能となる申請の種類を拡大する最終規則を行政管理予算局(Office of Management and Budget)に提出したことで、当規則の実施に近づいたことを発表いたしました。また、当規則は、I-765 EAD(労働許可申請)及び非移民ビザ申請者の扶養家族によるビザ及び滞在延長申請延長(I-539)を含むケースを対象としています。

なお、特急審査サービスとは、移民局(USCIS)の審査制度で、特定の移民ビザ、及び非移民就労ビザ申請の審査を迅速化するためのものであり、通常正式な受領から二週間以内に米国移民局(USCIS)から申請結果を受けることが可能となるサービスです。また、当サービスを使うことにより、雇用主は通常審査の場合にかかる長時間の待機を回避することができます。なお、通常審査期間は、米国移民局(USCIS)及びケース(就労ビザのタイプ)により異なります。

現在、特急審査サービスは、H-1B, L-1、E、O、PなどI-129請願書に基づく特定の非移民ビザ申請とI-140請願書に基づく特定の移民ビザ請願申請のみが対象となっております。Form I-129請願書は、雇用主(Petitioner)が用いる請願書の一種となっており、非移民の就労ビザの大部分に用いられます。また、I-140請願書は永住権(グリーンカード)申請のための重要なステップであり同様によく使われています。現在、特急審査サービス申請一通につき、$2,500 (USD)の追加申請料金が必要となります。

また、特急審査の対象となるケース(ビザ)の種類、申請料金、実施日などといった詳細等は、現時点ではまだ不明ではありますが、弊社では、引き続き、皆様にこのトピックに関する最新情報を、随時報告できればと考えております。

※本記事は3月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

新規H-1Bビザ申請抽選発表

米国移民局(USCIS)は1月28日、2023年度(2022年10月1日~2023年9月30日)の新規H-1B就労ビザの申請登録の受け付けを東部時間3月1日正午から開始し、3月18日正午に締め切ると発表しました。なお、こちら特定の新規H-1Bに対してで、H-1Bビザ保持者が現H-1Bビザのもと転職する場合や同じ会社から延長申請する場合は登録申請の必要はありません。

新規H-1Bビザ申請における雇用主(または代理人)はmyUSCISアカウントを通して登録に関する情報を記入した上で、登録費用にかかる$10 を支払い、オンライン提出することで新規H-1B登録が完了致します。尚、雇用主は同時に複数の新規H-1Bビザ申請者(受益者)を登録することができます。登録が完了すれば、確認番号が発行され、それぞれの雇用主に送付されてきます。なお、登録者がH-1Bの年間発給数以上になれば、無作為の抽選が実施され、それぞれの雇用主に当選発表がmyUSCISアカウントに送られます。

当選者は、2022年4月1日から新規H-1Bビザ申請を米国移民局へ提出することができます。雇用主による新規H-1Bビザ申請は、H-1Bビザ抽選で当選された申請者のみに対して行うことが可能です。昨年までを例にすると、移民局への申請締め切りもありますので、実際に申請する場合は、早めの申請書類準備が求められます。

尚、新規H-1Bビザ申請の一部となる労働条件通知(通称:Labor Condition Application)は、特定の場所における特定のポジションに対し、米国労働省による職業雇用統計にて一般賃金が定められており、その一般賃金額に対して、スポンサーとなるアメリカの会社(雇用主)が、その指定金額同一もしくはそれ以上を支払うことを誓約するものです。従って、新規H-1Bビザ申請の準備を進めていく上で、勤務先と給与予定額を確実に把握する必要はあります。

最後に、新規H-1Bビザ申請費用について基本的なものを簡単に下記ご案内いたします。

特急審査費用(新規H-1Bビザ申請の審査を早めるオプション Premium Processing fee):$2,500。
(移民局が、当オプションの一時停止を発表しない限りご利用できます。)
申請費用(Filing fee):$460
米国労働者トレーニング料(American Competitiveness and Workforce Improvement Act of 1998 fee):$750(雇用主における従業員が25名以上の場合には$1,500)
詐欺防止調査料(Fraud Prevention and Detection Fee):$500
その他、会社の従業員構成等によっては別途費用がかかるものもあります。

昨年度の登録に対してはこれまで合わせて3回の抽選が実施されました。今年はどれほどの登録数に及ぶか予想は難しいですが、弊社では、引き続き、皆様にこのトピックに関する最新情報を、随時報告できればと考えております。

※本記事は2月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

H-1B、E、 Lビザ配偶者の就労許可について

H-1B, E, Lビザ配偶者の就労許可について

E、Lの配偶者ビザ、及び特定の条件下にあるH-1B配偶者ビザの保持者は、就労許可証(EAD)を取得することができますが、このほど移民局では、この種のEADの延長は、元のEADが切れる前にI-765申請書を提出していれば、就労許可が自動延長され就労を継続することができるという新しい方針を発表しました。I-9プロセス(就労資格審査)も、有効なI-94と延長申請の受理書(I-797C)と元のEADという3種類の書類が揃えば受付けられることになります。
移民局はさらに、EとLの配偶者ビザ保持者は、そのステータス自体が就労許可を持つという見解を固める方針も明らかにしました。これはつまり、EとLの配偶者ビザ保持者は今後わざわざEADを取得することなく就労が可能となるということです。

上記の新しい規則の要点をまとめると、次のようになります。

  • E、Lの配偶者ビザ、及び特定の条件下にあるH-1B配偶者ビザの保持者で、すでにEADを取得している者は、その期限前に延長申請を提出していて、なおかつ有効なI -94があれば、元のEADが延長申請ペンディング中に切れても就労許可が自動延長されているとみなされ、就労を継続できる。
  • 自動延長は(1)I -94の期限 (2)延長申請の却下日 (3)延長申請の認可日 (4)延長申請後180日目 のうちいずれか一番早い日までとされる。
  • I -9プロセスで就労許可が継続されているという証拠として有効なのは、次の書類が揃っている場合。(1)有効なI -94 (2)元のEAD期限前に受理されている(a)(17), (a)(18), もしくは (c)(26)という種別でのEAD延長申請受理書I-797C (3)有効期限が切れた元のEADコピー(同じ(a)(17), (a)(18), もしくは (c)(26)という種別で発行されたもの)
  • EとLの配偶者ビザ保持者はそのステータス自体が就労許可を持つことになるため、EADの申請は今後必要ないが、希望すれば引き続きI-765申請書を提出することにより、EADを取得することもできる。(ただし、今のところI -94上はEとLビザの配偶者と子供のステータスの区別がつかないため、移民局がこれを区別できるような新しいシステムに変更しない限り、I-9プロセスのためには引き続きEADの取得が必要となる可能性があることは注意したい。)

米国、国境再開へ

米国政府は、空路で米国へ入国する外国人(米国籍者・米国永住者以外の米国入国者)に対し、新型コロナウィルスのワクチン接種完了証明を義務づける新たな方針を最近発表しました(2021年11月8日実施予定)。これは、海外からの全入国者に対して今まで求めていたコロナウィルス検査義務に加えて必要とされるものです。

これと同時に、ブラジル、中国、インド、イラン、アイルランド、シェンゲン圏、南アフリカ、英国のいずれかの地域に最近滞在していた人を対象とする、地域ごとの入国制限は廃止される予定です。

なお、ワクチン未接種で飛行機に搭乗することを認められた渡航者に対しては、米国籍者も含め、渡航前及び渡航後により厳しい要件のコロナウィルス検査が求められることとなります。

この新方針により、多くの人にとっては米国への渡航が容易になるものの、在外アメリカ大使館・領事館でのビザ申請件数が増えることが予想され、渡航に米国ビザを必要とする人にとっては米国渡航に支障が出る可能性があります。

この新たな動きは、特定地域からの渡航者に対して入国制限を課す方針から、空路で入国する渡航者に対し個別に制限を課すというバイデン政権の方針転換を表しています。

ワクチン接種証明は、既存のコロナウィルス検査義務に追加して必要とされるものです。もともと米国外からの空路による渡航者は、渡航前72時間以内に受けたコロナウィルス陰性証明、もしくは直近のコロナウィルス治癒証明のいずれかを提出しなければなりませんでした。

新方針では、ワクチン接種完了者は、渡航前72時間以内にコロナウィルス陰性証明書を取得していれば、接触者追跡情報を提供する限り、米国に渡航することができます。ワクチン未接種の外国人はほとんどの場合入国が禁止されるのに対し、ワクチン未接種の米国籍者はコロナウィルス陰性証明があれば入国できるとされています。

※本記事は10月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

H-1Bビザの代替としてのB-1ビザ

B-1ビザは、一般的に、海外で雇用されたまま合法的な事業活動を行うために米国に入国する外国籍の申請者が取得できる非移民ビザの一種です。B-1ビザ保持者は、米国において生産的雇用に従事することは禁じられていますが、Foreign Affairs Manual(“FAM”)は、H-1Bビザ(高度な専門知識を要する職業に就くための就労ビザ)の取得資格があり、外国で給与の支払いを受けながら、特定かつ限られた期間、H-1Bの業務を行うために米国に入国した外国籍の申請者が、限定的な状況においてB-1ビザを利用することを認めています。

FAMには、H-3ビザ(米国雇用主での業務を通して技能取得を目標とするトレーニングビザ)の取得資格があり、特定のトレーニングを受ける為に米国に入国した外国籍の労働者に対しての類似の規定が見られます。

H-1Bビザの代替としてのB-1ビザは、米国大使館もしくは領事館へ直接申請ができる非移民ビザであります。生産的業務を行う為に、米国に入国する外国籍従業員に対する一時的な解決策となります。

H-1Bビザの代替としてのB-1ビザを取得するには、米国に派遣される従業員は、下記の要件を満たさなければなりません。

  1. 従業員またはディレクターは、熟練した労働者でなければならず、通常のH-1Bビザで求められる“専門技術者”の要件を満たさなければなりません。
  2. 従業員またはディレクターは、雇用に関連する分野で米国の学士号に相当する学位を取得している、またはそれに相当する経験があること。
  3. 従業員またはディレクターが、米国に滞在する間、外国の会社からの雇用が維持されていること。

H-1Bビザの代替としてのB-1ビザにより、一時的なプロジェクトを柔軟に計画することができます。外国の会社は、従業員がクライアントと働いたり、さらには親会社の米国子会社や関連会社で就労する為に、従業員を米国へ派遣することができます。

H-1Bビザの代替としてのB-1ビザは、橋渡し的なビザであり、長期間に渡り使用するべきではありません。当ビザは、通常、最長1年発給されます。ビザ取得の成功の可能性を高める為に、下記のことを行なわなければなりません。

  • ビザ申請先となる領事館が当ビザの申請に適しているかを調査し、もし適していれば、適格な申請に対しどのような特別な要件を課しているかを調査する。領事館の中には、これらの種類のビザの発給を一律に拒否しているところもあれば、様々なレベルの審査基準を適用している領事館もあります。弊所としての理解では、日本の米国大使館及び領事館は、状況が許せばH-1Bビザの代替としてのB-1ビザを発給しています。
  • Bビザと面接の通常の準備に加え、H-1Bビザの代替としてのB-1ビザに適格であること、申請者の資格、報酬の源泉、及び付随費用の取扱いについて詳述した雇用主のレターを準備することが重要です。
  • 米国での雇用計画がより長期に変更となる可能性と将来のビザの適性への影響を注視する。

米国大使館のEビザ申請の現状

Eビザは、日系企業の多くが米国に駐在員等を派遣する際に使いますが、最近、在外米国大使館・領事館(以下“大使館”)に対する申請方法の変更また審査状況等に変化が感じられます。

日系企業であれば日米間で相当額の貿易を行っている、また米国事業に相当額の活動的投資をしている(または予定)場合、Eビザの適用が考えられます。Eビザ取得者は経営者・管理職または会社運営に不可欠な高度の専門知識を有する特殊技術者とされており、会社として新規にEビザを申請する場合、まずは大使館に対し申請者となる会社をEカンパニーとして企業登録する必要があります。

まず企業登録について、その申請には指定された通常の申請フォームに加え会社がEビザ条件を満たすかどうかを証明するための膨大な会社関連の補足資料の提出、また一人目のビザ取得予定者に関するフォームや関連資料の提出が求められ、提出後は月単位に及ぶ審査期間がかかっています。一人目の面接が無事完了したら会社が正式に登録され、二人目のビザ申請以降は個人面接のみでビザ取得が可能となります。なお、大使館は登録企業に対し、Eビザ企業としての資格を引き続き保有しているか定期的に審査を行っています。

これまでのEビザ登録申請は紙媒体での郵送申請でしたが、今年7月より、指定されたフォーマットにて書類を電子上で取りまとめ、Eメールで送る必要があります。提出書類も全体で70ページまたは50MB以内に収める必要があり、日本の最上位の親会社が非上場企業または個人事業主の場合、また日本株式市場で上場している企業の場合で求められる書類が異なり、更には提出フォームの記載についての明確かつ詳細なガイドラインも設けられました。とりわけ、昨今のコロナ渦において登録審査も長期化していた経緯もあり、審査期間の短縮化に対する意図も感じられます。

またEビザ申請にはグリーンプログラムというものがあり、大使館主導のプログラムで、Eビザ面接時の提出書類の量を減らすことを目的としています。Eビザ登録企業が米国人また永住権保持者の従業員が500人以上いる、10億ドル($1 billion)の貿易取引額(E-1)または, 10億ドル ($1 billion) 以上の売上高 (E-2) がある、資産合計額が1億ドル以上ある、等の企業はこれに該当します。こちら手続きの必要はなく、該当企業には、新規企業登録またはビザ申請時に大使館より連絡が入ることになっています。これまでは条件を満たしていても特に連絡を受けることはありませんでしたが、弊社でも該当企業は積極的に連絡を受けるように感じています。

また、既にEビザを保持している申請者のビザ更新申請でもその審査状況に変化が感じられます。これまでは提出フォーム上、会社状況に変更がなければ、申請者個人に関する事項が主たる審査対象と考えられましたが、例えば日系企業において、日本の最上位の親会社が非上場企業である場合等は会社の半数以上のオーナーが引き続き日本企業または日本人個人であるか、またE-1貿易会社であれば引き続き貿易条件を満たしているか、財務状況がどうか、等々を確認すべく、ビザ更新申請(面接等)に、新規企業登録申請に求められる同等レベルの情報資料の提出を求めてくる場合があります。そちら証明できなければ、ビザ更新できないことになりますので、久しくビザ更新していないような会社は注意が必要でしょう。

これら変化は現状良い面と不都合な面の両面が存在するとも言えますが、長い目で見れば、審査期間の短縮化や申請方法及び審査の簡略化につながるものと大きく期待しています。

2021年7月の米国移民法ハイライト

米国移民局によるCOVID-19緊急事態への対応

米国移民局(USCIS)は、移民ビザ及び非移民ビザ申請に対して2020年3月1日から2021年9月30日までに発行された質問状(RFE)やビザ申請却下意思の通知(Notice of Intent to Deny)等々への回答期限を、COVID-19緊急事態への対応として、米国移民局(USCIS)により指定された回答期限からさらに60日間延長いたしました。このような期限延長施策が発表されたことにより、コロナ渦の下で米国移民局(USCIS)による申し立ての対応が困難な中、米国雇用主または外国人労働者にかかる負担が軽減されることが期待されます。なお、回答の提出先は、RFEやNotice of Intent to Denyで指定された米国移民局(USCIS)の住所に提出することが必要になります。

米国移民局(USCIS)による新規H-1Bビザ申請抽選(第2ラウンド)

米国移民局(USCIS)は、2021年7月29日に第2回目の新規H-1Bビザ申請抽選を行ったと発表致しました。なお、第1回目の抽選と同様、今回も当選者は無作為に抽選され、当選発表はそれぞれの雇用主にmyUSCISアカウントを通して通知されます。第1回目の抽選で当選されなかった外国人登録者の皆様は、抽選結果を米国雇用主を通してご確認されることをお勧めします。当選者は、米国雇用主を通して2021年11月3日までに当選通知で指定された米国移民局の住所に新規H-1Bビザ申請を提出する必要があります。

また、新規H-1Bビザ申請抽選が再度行われた背景として、2021年4月1日から6月30日の間に米国移民局が受け取った新規H-1Bビザ申請の数が、上限枠数(約85,000枠)に達しなかったからであると考えられます。

弊社では、引き続き、皆様にこのトピックに関する最新情報を、随時報告できればと考えております。

*本記事は7月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

最近のアメリカ移民法事情

バイデン政権誕生から数ヶ月が経ち、またCOVID-19による影響がまだ残る中、アメリカ移民法も少しずつ変化が出てきています。

まずはトランプ大統領による大統領令により制限されていた在外アメリカ大使館でのH-1BやLビザ査証面接や永住権申請が4月1日より解禁となり、現在では、在日アメリカ大使館・領事館では、通常ケースでのビザ面接が可能となっています。ただ一部B-1/B-2ビザ は人道的理由などで緊急で渡航する場合を除き、申請は受け付けていない状況は続いています。

在日アメリカ大使館・領事館の面接の空き状況ですが、東京アメリカ大使館は比較的数カ月先までの予約を受け付けている一方で、大阪神戸アメリカ領事館は数週間先や特定の曜日など面接が希望通り取れないような状況が続いています。またアメリカに既にビザを持って滞在している人が日本に帰国してビザを更新する場合は特に不便で、日本では入国後の14日間の隔離が必要なことから、その隔離後の面接及び面接後のビザ発行までの期間を考慮すると長期間アメリカを離れなければならない状況ともなっています。一方で、政府の定める条件に該当する方は、面接なしでの郵送でのビザ更新申請が可能となっていますので、検討されても良いでしょう。尚、郵送での更新申請でも日本への帰国は必須ですので注意ください。

一方、移民局申請に目を向けて見ると、全体的には、好ましい好ましくない両側面において、引き続きCOVID-19による影響が残っています。好ましくない面と言えばやはり引き続きの審査期間の長期化です。急ぎの場合など、時間のコントロールが必要な場合は、特急審査申請の利用も考慮が必要な状況となっています。ただ申請書への署名はオリジナルではなくコピーでも受け付けてくれる状況は続いており、また審査過程において指紋採取が必要なアメリカ国内での雇用ベースの永住権申請や再入国許可証の申請などは、以前に取得した指紋データを政府が使うことで、改めての指紋採取なしに最終結果が出ている状況でもあります。

更に最近では、アメリカ国内における滞在延長申請(I-539申請)のうち、主たる申請者の扶養家族の滞在延長申請に対して求められていた指紋採取が2021年5月17日より先2年間一時停止となりました。対象はH-4、L-2、E-1/E-2/E-3の扶養家族ビザに対してで、現在審査中の方でも2021年5月17日までに指紋採取の通知書を受け取っていない、または新規の申請でも2021年5月17日から2022年5月23日までに移民局が申請書を受け取ったケースが対象となります。以前は指紋採取自体がなかったのですが、指紋採取が義務化されて以降、例えば、移民局へ特急審査申請を使って主たる申請者と同時に家族の滞在延長を申請したとしても、主たる申請者は早々に認可される一方で家族は長期間、結果が出ない、という状況が現実として存在していました。日本への帰国に懸念がある方は、朗報かと思います。

また移民局は、去る4月27日、バイデン大統領による大統領令に則り、H-1B、L-1A、L-1B、Eビザなど、非移民ビザ延長申請においては、最初の申請の審査内容及び判定内容等に従った上での延長審査を行うことを発表しました。これは非常に大きなニュースで、これまでは、延長申請において、スポンサー会社も職務内容も雇用条件も全く変わらない単なる延長申請でも、最初の申請の審査内容や認可という結果そのものを踏襲することなく、全て見直した上での延長審査がなされていました。そのことにより多くのケースで質問状が発行されるなど、追加の労力と時間を要していました。今後は、それらも改善されていくのでは無いかと考えております。

今後は、ワクチン摂取も進んでくれば、国際間での人流も活発化することも予想され、移民大国アメリカもまた活気を取り戻すのではないかとも期待しています。上記、皆様に直接関係がありそうな事例を取り上げましたが、その他不法滞在者や不法入国者への扱い、永住権申請の審査要項(パブリックチャージに関する事項など)の緩和化など、事実、トランプ大統領による厳しい移民政策からの緩和化も感じられます。

弊社では引き続き、皆様に最新情報をお届けできればと考えておりますが、それがいずれも明るい話題であることを願うばかりです。

新規H-1Bビザ申請状況について

皆さんの多くが2022年度の新規H-1Bの登録を行ったことかと思いますが、こちら登録は2021年3月25日をもって終了しており、その機会を逃した方は、特定のH-1Bスポンサー企業での新規H-1B申請を除き、2022年度の新規H-1B申請はできないことになります。

こちら移民局への本申請前の事前登録申請は、昨年と同様の方法をとっており、新規H-1Bビザ申請における雇用主(または代理人)は開設したmyUSCISアカウントを通して登録に関する情報を記入した上で、登録費用にかかる$10 を支払い、オンライン提出することで新規H-1B登録が完了致します。尚、雇用主は同時に複数の新規H-1Bビザ申請者(受益者)を登録することができます(同じビザ受益者が複数登録することは認められてはおりません)。登録が完了すれば、確認番号が発行され、それぞれの雇用主に送付されてくることになります。

なお、今年も早々にH-1B年間発給枠数以上の登録応募があった旨、移民局よりは発表があり、早速、3月中に移民局により無作為による抽選が実施され、それぞれの雇用主に当選発表がmyUSCISアカウントを通して送られました。

当選者は、2021年4月1日から移民局への新規H-1Bビザ申請が可能となっておりますが、6月30日までの提出期限がありますので、注意が必要です。当選者で移民局への申請予定の方は早めの申請をお勧めします。尚、今年は、特急審査サービスの利用も4月1日時点から可能となっておりますので、早々に結果を知りたい方々は$2,500の申請費用を支払うことで可能となります。なお、すでに通常申請で申請した方も後追いで、特急審査サービスにアップグレードすることも可能ですので、なかなか結果が出ない方など、今後、利用も検討しても良いかもしれません。

尚、昨年の当選者で、その後、移民局により認可を受けた方々のうち、新規にアメリカ国外からH-1Bにてアメリカに入国を希望していた方が、トランプ大統領による大統領令によりビザ査証面接を受けることができないという状況がありました。政府の定める例外的状況を除いては、新規のH-1Bビザ取得が不可の状態だったのですが、その大統領令も3月31日をもって満期を迎えました。そちら延長されることもなかったため、現在では、通常通り、在外アメリカ大使館、領事館でのH-1B面接が可能となっております。ただ、今後のパンデミックの行方次第では、アメリカ大使館の対応もどうなるか分かりませんので、早め早めの対応が望ましいでしょう。

弊社では、引き続き、皆様にこのトピックに関する最新情報を、随時報告できればと考えております。

米国移民局による2022年度の新規H-1Bビザ申請抽選登録期間について

米国移民局(USCIS)は、新規H-1Bビザ申請の抽選プロセスにおける規制改正及び新規ルールの有効期限を2021年12月31日まで延ばすと発表致しました。当新規ルールは、新規H-1Bビザ枠に対し、米国労働省(Department of Labor: 通称DOL)による職業雇用統計(Occupational Employment Statistics、 通称:OES)が定める一般賃金(Prevailing Wage)に基づき、4つの特定の地域における特定の職業賃金レベルのうち、高いレベルから順に正式に選択する内容となっております。しかし、当新規ルールの有効期限が延長された事により、2021年12月31日までは、米国移民局(USCIS)は新規H-1Bビザ抽選の当選者を無作為に抽選するこれまでの方法で抽選が行われる事を意味します(年間上限数以上の登録応募があった場合)。

また、米国移民局(USCIS)は、2021年2月5日に2022年度の新規H-1Bビザ申請に基づく応募登録を、2021年3月9日の正午(東部時間)から2021年3月25日正午(東部時間)まで受け付けると発表致しました。尚、新規H-1Bビザ申請の応募登録に当たって、雇用主(または代理人)は雇用先と新規H-1Bビザ申請者である従業員の情報を登録することが求められます。

新規H-1Bビザ申請における雇用主(または代理人)はmyUSCISアカウントを通して登録に関する情報を記入した上で、登録費用にかかる$10 を支払い、オンライン提出することで新規H-1B登録が完了致します。尚、雇用主は同時に複数の新規H-1Bビザ申請者(受益者)を登録することができます。尚、登録が完了すれば、確認番号が発行され、それぞれの雇用主に送付されてきます。

米国移民局(USCIS)は、もし登録者数がH-1Bの年間上限枠数を超えた場合、当選者を無作為に抽選し、それぞれの雇用主に当選発表をmyUSCISアカウントを通して通知します。

尚、雇用主による新規H-1Bビザ申請は、H-1Bビザ抽選で当選された申請者のみに対して行うことが可能です。

新規H-1B登録に関する詳しい登録方法について、米国移民局(USCIS)は詳細をすでに発表しておりますので、そちら参考にされても良いと思います。

弊社では、引き続き、皆様にこのトピックに関する最新情報を、随時報告できればと考えております。

*本記事は2月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。