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移民法最新情報、及びウェビナーでの質問事項について

6月11日、クイックUSA社の主催のもと、無事にウェビナーを終えることができました。話題も多く、短時間のセミナーでもあり、駆け足となってしまいましたが、参加された方々にはお役に立てましたでしょうか?今回の記事は、そのウェビナーにおける質問と答えをいくつか抜粋し、紹介したいと思います。更に、先日22日にトランプ大統領より発表があった大統領令についても紹介したいと思います。

ウェビナーでの質問

現在、在日本のアメリカ大使館、領事館は通常の面接によるビザ業務を一時停止していますが、郵送によるビザの更新は引き続き可能ですか?
引き続き可能です。ただ、郵送による更新申請は多々条件がありますので、下記リンクから詳しい情報を得る、また大使館へ直接お問い合わせされることをお勧めいたします。また、今回の大統領による影響も併せてご確認ください。http://cdn.ustraveldocs.com/jp_jp/jp-niv-visarenew.asp
現在、移民局はL-1ビザなど審査が厳しくなっていると聞いています。実際どのような状況ですか?
確かに年々難しくなってきております。弊社で取り扱うケースはなんとか多くは認可を得ておりますが、例えばL-1ビザであれば、移民局発表では、統計的に全体の約25%が却下となっているという数字もございます。
現在アメリカに滞在中ですが、L-1ビザについて、仮に移民局への延長申請が却下された場合、改めて会社が持つブランケットプログラムを通してアメリカ大使館、領事館にてL-1ビザ査証の申請を行うことはできますか?
可能です。ただ、移民局による却下のタイミング、またその時点でI-94が切れてしまっている状態か、等々滞在上のステイタスの問題は確認すべきでしょう。(後日、大統領令によるLビザ発行停止措置により特定のケースを除き、2020年中は、新たなL-1ビザ査証 はできません。詳しくは大統領令に関する記事を確認ください)
6月10日現在、在日本のアメリカ大使館、領事館はビザ業務を一時停止しておりますが、他の国でも同じ状況ですか?
基本的に、国務省は世界同時に動きますので、全世界で通常の面接による業務停止との認識です。ただ、特急面接など、特定の条件を満たす場合は、リクエストが認められれば、面接も可能です。
私のL-1Aの期限が間もなく満期の7年を迎えます。このままの雇用条件で継続して働きたいのですが、これ以上延長はできないのでしょうか?
おっしゃる通り、7年です。ただ、この7年の間、アメリカ国外を離れていた期間があれば、その期間分を取り戻す、Recaptureという申請方法はあります。
最近までEビザにてアメリカにて就労していましたが、解雇されてしまいました。まだI-94は十分残っていますので、そのI-94の期限まではアメリカに合法的に滞在できますか?
解雇された場合、転職等を通してステイタス変更申請等行わない場合、解雇されてから60日以内にはアメリカを出国するようにしてください。
私はEビザ保持者で、間も無くI-94が切れます。日本に帰っての郵送によるビザ査証の更新申請とアメリカ国内での移民局へのI-94の延長申請のどちらを選択すべきでしょうか?
例えば、仕事上、海外出張が必須の場合等はビザ査証取得が必要でしょう。ただ、アメリカ大使館、領事館では通常のビザ面接業務が停止しておりますので、緊急面接の対象となるかも判断材料になろうかと思います。特に海外出張等なければ、アメリカ国内でのI-94の延長も方法でしょうが、やはり最終的にはケースバイケースです。ご自身の優先順位にもよります。

以上、ウェビナーにて受けた質問の抜粋になります。本来であれば、全てを網羅できれば良いのですが、抜粋につき、ご了承ください。

また、ウェビナーでは、大統領令の話もさせていただきました。当日はまだ噂の範囲でしたが、その後、正式に発令に至り、多くの日本人、また日系企業も影響を受ける内容となっております。ただ、その中には対象外となるビザ、例外措置などもあります。現時点での弊社の解釈事項をFAQという形で取りまとめておりますので、こちらリンクからその内容をご確認ください。

https://www.swlgpc.com/jp/blog/2020/06/24/

SW Lawグループ、マネジャー
吉窪 智洋

米国移民局、2021年度の新規H-1B申請に対する事前電子登録者数がH−1B の年間上限発給数に達したと発表

米国移民局は2021年度の新規H-1B申請に対し、事前に受け付けていた電子登録者の数がH-1Bの年間上限発給数に達したと発表しました。それに伴い、米国移民局は 、適切に登録をした登録者の中から、コンピューターを使用した無作為による抽選を実施し、抽選当選者にその旨を3月31日までに通知しました。尚、これより、当選者のスポンサー会社は、その当選者に対して完全版の新規H-1B申請書を米国移民局に提出することが可能となります。

既に多くの方が確認済みかと思いますが、登録者のオンラインアカウントには、各登録者に対して下記いずれかのステータスが表示されているはずですので確認してください。

  • 「提出済み」:最初の抽選選択プロセスが完了した後も、ステータスに「提出済み」と表示され続ける場合があります。 「提出済み」の登録者は、該当年度末までは再抽選などにより、当選の可能性があるかもしれません。尚、該当度末までに、全ての登録ステータスが「当選」、「未選択」、または「却下」に変更される予定であるということです。
  • 「当選」:2021年度の新規H-1B申請書の提出が可能となることを意味します。
  • 「却下」:同一人物が複数の登録を送信した場合や、支払いが不適切であった場合。尚、重複登録として却下された場合、その会計年度に対して提出された全ての申請は無効となります。
  • 米国移民局、コロナウイルスの影響により、2021年度の新規H-1B申請書の審査に遅延が生じると発表

    米国移民局は、COVID-19(コロナウイルス)が原因で、会計年度2021年の新規 H-1B申請に関するデータ入力および受領通知の発行に遅れが生じる可能性があると発表しました。尚、米国移民局は、少なくとも2020年5月1日まで、これらのケースの審査処理等を開始しないと発表しました。

    一旦米国移民局がデータ入力を開始すると、米国移民局の各サービスセンターにて受領した順序でケースの取り込み処理をするということです。尚、米国移民局は、この申請書の受領とデータ入力の遅延が、2021年度の新規H-1B申請の裁決の遅延にもつながると指摘しています。尚、米国移民局は、一部の新規H-1B申請書はタイムセンシティブであり、出来るだけ迅速に処理することを試みると述べていますが、これらのケースの裁定がいつ完了するかはまだはっきりしていません。

    尚、米国移民局は、2020年6月30日に終了する予定の90日間の新規H-1B申請書提出期間の延長はないと発表しました。

    *本記事は4月時点に発表された内容で、この記事が皆様に読まれている頃には異なる状況となっている可能性もございますこと、ご了承ください。

第三機関(Third Party)を就労先とするH-1B申請に関する新指針(その2)

前回、 第三機関(Third Party)を就労先とするH-1B申請に関する米国移民局(USCIS)による新しい指針の概要について紹介しました。この新しい指針は既に有効なものとして扱われており、H-1B就労者の第三機関会社での雇用を計画している請願者(H-1Bビザのスポンサー会社)は、その第三機関会社での全雇用期間に対する雇用契約書、特定の業務スケジュール、そして関連する末端クライアントからの詳細な業務情報に関わる資料の提出が義務化されたという内容のものとなっています。今回は、その内容を更に掘り下げて紹介します。

業務スケジュール(タイムライン)について

H-1B申請上、第三機関会社における業務スケジュールの提出は長年必要とされていた重要な項目でもありました。ただ、今回の新指針により、単なる業務予定ではなく、業務予定をより明確に示すべく、正確な日付、関連する業者やクライアント等の名前、住所、電話番号、就労場所など、より詳細でより正確な内容のものが必要となってきています。つまり、H-1B申請の段階で、ある程度の内容が時系列上、第3機関会社との合意のもとで詳細に決定されている必要があることを意味します。

H-1B延長申請への影響について

この新しい指針はH-1B延長申請において大きな影響をもたらします。その変化に対し、ビザスポンサー会社が延長申請にて求められる提出書類(例)は以下の通りです。

  1. 延長申請の基となる最初のH-1B申請が第3機関会社での雇用であった場合、その延長申請に伴い、元の全期間における雇用の全てが、第3機関におけるH-1B雇用条件を満たす内容となっていることを示す証拠資料
  2. 最初のH-1B申請書に記載されていた通りの給料が支払われたことを示す書類
  3. 職務内容がH-1Bに求められる条件を満たす専門的なものであり、これまで、更には延長後もその雇用が継続することを証明する資料
  4. ビザスポンサー会社が、H-1B受益者に対する給与支払いや雇用上の管理など、ビザ受益者との間に明確な労使関係(Employer-Employee relationship)が存在していることを証明する資料

なお、この指針は過去に承諾された関連する指針(就労場所の変更に伴う指針など)と矛盾しない一貫したものとなっています。

最後に、繰り返しますが、この新しい指針により、もし申請上、H-1B全雇用期間のH-1B専門職としての職務内容や労使関係、更には第3機関会社(実際の就労先)におけるに雇用の実態等を証明できない場合は、移民局審査官はその裁量によりH-1Bの認証期間を限定的に短くしたり、場合によっては申請そのものを却下したり、とその審査権限を強く行使できることを示唆しています。

トランプ大統領による入国禁止令について

2017年1月27日、トランプ大統領は、イラン・イラク・リビア・ソマリア・スーダン・イエメンの7カ国の国民について、2017年4月27日までの90日間、アメリカ入国を一時的に禁止する大統領令に署名しました。

 

またこの7カ国の国籍を持たずとも、 出生が対象7カ国の一つであったりなどその国の国民とみなされるような場合、この禁止令が適用される可能性もあります。

 

さらに、対象7カ国の国籍者ではなくても、この国々と強いつながりを持っていたり、居住者である場合には、アメリカへの入国が禁じられる可能性もあります(ただし現時点で大統領令はこの点に関しては不明瞭です)。

 

ただし、上記7カ国の国民であっても、7カ国以外の国の国籍を持つ二重国籍者である場合は、この入国禁止令から除外されます。

 

発令当初は、永住権保持者(グリーンカード)も入国禁止令の対象とされましたが、その後この方針は撤回され、米国の安全保障上問題のない場合において、原則として永住者の入国は認められると訂正されました。

 

この禁止令は上記7カ国の国民で非移民ビザ(例えばB-1、H-1BやL-1)保持者について対象となるとされていますが、永住権申請中で旅行許可証 (advance parole) 所持者についても対象となる可能性が高い模様です。ただし、上記7カ国の国民であっても、外交官ビザ (A-1/A-2) や国連・国際機関関係者ビザ (G-1/G-2/G-3/G-4/NATO)、国連通過ビザ (C-2) 保持者については禁止令の対象外となっています。

 

現在米国移民局に申請中の永住権最終手続き(非移民ビザステータスから永住者ステータスへの変更申請)や帰化手続きについては、申請者がこの7カ国の国民の場合、この禁止令が解除されるまで審査が 保留される可能性が高いとのことです。禁止令は 少なくとも90日間有効となっていますが、今後、期間延長や対象国追加の可能性も考えられます。

 

またこの入国禁止措置に加えて、この大統領令では、各国アメリカ大使館で実施されていたビザ面接免除プログラムも中断するとしています。このプログラムは、非移民ビザ更新で条件が整えば大使館での個人面接を免除していたものです。ただし、現時点においては、まだビザが有効なうちの更新や前のビザが切れてから12ヶ月以内の申請であれば面接免除で手続きできる大使館もあるようです。事前に申請先の米国大使館・領事館へ 照会が必要と思われます。

 

この大統領令ではさらに、移民・非移民を問わず、今後の米国ビザ申請全般にわたる審査プロセスの大幅な見直しを求めています。詳細については、政府から随時発表が行われる見込みです。

 

また、米国政府では現在のところ新規雇用を停止しているため、移民局や労働局へのビザや永住権申請審査の遅れが予想されます。

 

今後どのように事態が発展するかについてはさらなる政府発表が待たれますが、当事務所では特に対象7カ国の国籍者には、現時点で以下について注意するよう勧告しています。

 

  • 現在米国内に滞在中の非移民ビザ保持者・永住権保持者や永住権申請者は、現時点ではアメリカ出国は避ける。再入国の際に入国を拒否されることを予期しておく必要あり。
  • 現在米国外に滞在中でアメリカへの渡航を計画している場合は、この禁止令の現在の有効期限である2017年4月27日以降も効力が延長される可能性や、旅程に遅延が発生する可能性についても備えておく必要あり。

 

なお、事態は非常に流動的であり、今後また大きな変化も予想されます。この大統領令も含め、米国移民法に関する変化については判明次第このウェブサイトでも随時アップデートしていく予定です。

 

この禁止令に対しては、当事務所でも大変な憤りを感じており、我々としても顧客の利益を保護するため全力を尽くす所存です。

 

最終更新日: 2017年2月2日