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米国移民局、I-693 フォーム(健康診断とワクチン接種記録の診断書)の有効期間に関する改訂版を発表

米国移民局はI-693フォーム (健康診断とワクチン接種記録の診断書:
Report of Medical Examination and Vaccination Record) の有効期間に関する改訂版を発表しました。

一般的に、アメリカ国内での永住権保持者への身分変更申請(AOS申請)をする全ての申請者は、移民局により指定された医師によって診断されたI-693フォームを提出することが申請の必須条件となっています。ちなみに、I-693フォームは申請者が米国永住権保持者となる際、その本人が適切な健康状態であるか否かの判断基準に使用される書類です。

2018年11月1日より、このI-693フォームが改訂されたことにより、今後、AOS申請者は移民局に申請書を提出する前の最長60日以内に指定の医師によって診断されたI-693フォームを提出することが必須となります。その一方で、I-693フォームは医師が健康診断書に署名した次の日から2年間有効となります。

なお、この改訂版は米国移民局による申請審査運用の効率性の向上と、審査官が申請者に対して、有効期限内の最新のI-693フォームを提出するよう要請する回数を減らすことが目的のようです。I-693フォームの有用性については、申請書が提出されたタイミングの健康状態の確認により焦点が置かれることになり、米国移民局による審査中である申請書など、ケースによっては、その間、I-693フォームの有効期限が最長化される可能性もあるということです。

この件に関してご不明な点や懸念がある場合は、お気軽に弊社のオフィスにお問い合わせください。

米国税関国境警備局、カナダでのマリファナの合法化と国境横断に関する声明を発表

2018年9月21日に米国税関国境警備局 (通称 CBP:The United States Customs and Border Protection) は、カナダでのマリファナの合法化と国境横断に関する声明を発表しました。

その声明によれば、カナダでのマリファナの合法化は、米国税関国境警備局による米国の法律に基づいた規制物質の施行には影響しないということです。なお、米国連邦法に基づき、マリファナの販売、所持、生産、運搬、及びそれらの手助けとなるような行為は引き続き違法となります。なお、米国入国を希望する海外からの旅行者の入国に関しては、最終的に米国連邦法に基づいて規制されています。なお、海外から国境横断する外国人やこの法律に違反して米国の港等から入国する外国人は、移民と国籍法に基づき、差し押え、罰金、及び・又は逮捕の対象となる可能性があり、入国も制限される可能性があります。

一般的に、海外からの旅行者で、薬物の乱用また薬物の中毒者とみなされる者、その関連する前科がある者又は前科があることを認める者、又は州、米国、又は外国において規制されている物質に関連する法律や規制に対する本質的違反行為 (又はその行為を試みたり、違反しようと陰謀すること) があるとみなされる場合、米国への入国が許可されません。

この件に関してご不明な点や懸念がある場合は、弊社のオフィスにお問い合わせください。

移民裁判所への出頭命令 (NTA) 発行指針における最新情報

2018年9月27日、米国移民局は2018年6月28日に米国移民局より発行された裁判所への出頭命令 (通称NTA: Notices to Appear) 発行に関する新指針についてテレカンファレンスを開きました。

裁判所への出頭命令とは
裁判所への出頭命令(フォーム名:I-862)は、米国国外退去に該当すると考えられる外国人に発行される書類です。裁判所への出頭命令を受けた外国人は、米国から退去する必要があるか、又は合法的に米国に残ることができる権利があるかどうかの判決を受けるために移民裁判所に出頭する必要があります。

裁判所への出頭命令の受領対象者
前回の記事でも述べたように、今回の新指針でも米国移民局の審査官が以下のケースの対象者に裁判所への出頭命令を発行するよう指示を受けています。

  1. 詐欺または虚偽が立証されているケースに加え(もしくは)申請者個人が公共の利益を得るための何らかの任意プログラムを乱用した場合。米国移民局は仮にケースが詐欺行為以外の事由により却下された場合でも、裁判所への出頭命令を発行します。
  2. 犯罪行為については、その行為によって有罪判決を受けたり起訴された場合はもちろん、 該当する犯罪行為が、申請の却下や国外退去の根拠とは見なされないような場合においても、犯罪行為とみなされる行為を犯した場合は対象となります。なお、米国移民局は、重大な犯罪行為を含むようなケースについては、該当するケースが申請審査中で最終結果が出ていないような状態であれば、NTAを発行する前に、米国移民関税執行局(通称 ICE:U.S. Immigration and Customs Enforcement) にケースを照会する可能性があります。
  3. 米国移民局が却下する米国市民権申請のケースで、その却下理由が、申請者の犯罪行為を理由として、市民権取得に求められる道徳心がないと判断された場合。
  4. 申請者が米国に不法滞在しているため申請が却下となるケース。

以下がテレカンファレンスを受けてのNTAに関する最新の追加情報です。

  1. NTA発行の対象範囲の拡張が発表されましたが、現時点では、雇用ベースのビザ申請と人道上の申請書に関しては適用外となっております。
  2. 米国移民局 の審査官は、アメリカ国内での永住権申請(AOS申請)や アメリカ国内での非移民ビザの滞在延長申請( I-539申請)において上記に述べたNTA発行の対象であるケースにおいて2018年10月1日からNTAを発行し始めています。
  3. 申請書がいつ提出されたかに関わらず、米国移民局 は、上記の基準のいずれかの証拠がありNTA発行の対象である場合はNTAを発行します。
  4. 米国移民局は、場合により、NTAの発行無しに米国税関国境警備局(CBP)にケースを照会するかもしれません。
  5. 米国移民局は、米国市民権申請者が国外退去可能な場合においてNTAを発行します。
  6. 一旦申請されたケースで、申請後に申請の取り消しが行われた場合でも米国移民局 は対象者にNTAを発行します。
  7. 米国移民局はビザ申請に対して却下通知を発行した場合、その後に通常設けられている不服申し立て可能期間の33日を待ってNTAを発行します。ただ、特定のケースについては、通常より短い不服申し立て可能期間しか与えない場合もあります。
  8. 米国移民局は仮に申請ケースが詐欺以外の事由により却下された場合でも、NTAを発行します。
  9. 犯罪行為に関し、国外退去を可能とする行為。下記参照

a. INA section 212(a)(2)
b. INA section 237(a)(2)

米国移民局は今後もこの指針について新情報を提供していくと考えられます。今後さらに適用範囲が広がる可能性もありますが、弊社では、引き続き、皆様に最新情報を随時報告できればと考えております。この件に関してご不明な点や懸念がある場合は、お気軽に弊社までお問い合わせください。

米国移民局による指針:質問状と却下予定通知書に関する最新情報と最重要点について

2018年9月6日、CISオンブズマン事務所は2018年の7月13日に米国移民局によって発行された質問状 (通称 RFE: Request for Evidence) と却下予定通知書 (通称 NOID: Notice of Intent to Deny) の最新情報に関する会議を開きました。

弊社では以前、この新指針に関する情報の記事を掲載しました。以下がこの新指針に関する最新の追加情報となっています。

  1. この新指針により米国移民局は、未完全な申請書や法的根拠のない審査対象に値しない申請書に対し、移民局審査官は、最初の申請後、これまで行ってきたような追加情報や追加資料を要求する質問状や却下予定通知書を発行することなく申請書を却下出来る権限を持つようになります。目的は、最初の申請後に追加情報や追加資料が必要となる未完全、又は審査中の一時的なステイタス維持や就労許可等を目当てとする、また締め切りに間に合わせることを目的とするような申請の数を減量するため、とのことです。

    この新指針の目的は申請者の潔白な間違いを罰したり、申請資格を満たすために必要な提出証拠書類を誤解し提出しそびれたことを罰することは目的とはしておりません。むしろ、適切な申請書の提出を奨励し、未完全の申請書や軽薄で審査の対象に値しないケースの数を減量することを重要目的としております。

  2. この新指針は2018年9月11日に施行され、2018年9月12日付け、又はその日付以降に米国移民局に届いた申請書に対し、適用が開始されました。

    2018年9月12日よりも前に米国移民局により受領された申請書はこの新指針の対象外です。これらの申請書は、2013年に施行された方針に基づいて審査されることになります。つまり、仮に米国移民局が9月12日よりも前に受領したケースの審査に1年以上かかる場合でも、2013年施行の方針に従って審査されることを意味します。

  3. DACA (通称:Deferred Action for Childhood Arrivals:若年期に入国した不法移民の若者に対して強制退去処分を猶予する米国の移民政策) 又は、DACA関連、亡命や難民関連の申請はこの新指針の対象外です。

  4. 米国移民局は、自身のウェブサイトに、申請者を支援するための操作ツールとして、ビザ等の申請時に最初から必要とされる提出書類について、新しいリストを掲載し公に発表しました。

    なお、この掲載は、あくまでも申請上の支援を目的としたものであり、この新リストは法律の変更や置き換え等を意味するものではありません。全ての申請書はこれまで通り、移民法に基づいて審査されます。なお、一つ例をあげますが、米国移民局は永住権申請に必要な健康診断書について、I-485の申請時に最初から提出すべき書類の対象とはしないことを承認しました。

  5. この新指針はケース却下後のアピール(不服申し立て)の権利に対する影響また変更はありません。

    移民局は、申請上、最初の申請段階から必要とされる証拠資料が提出されているケースにおいて、審査員がその証拠を審査し、もし追加資料や情報を必要とする場合、これまで通り、質問状を発行する可能性は十分あります。なお、移民局によるエラーに伴ってケースが却下された場合、ケースアピールをすることは可能であり、アピール自体、その手続き上のプロセスはこれまでと変更ありません。

弊社では、引き続き、皆様に最新情報を随時報告できればと考えております。この件に関してご不明な点や懸念がある場合は、お気軽に弊社までお問い合わせください。

米国移民局によるPERM認証結果に関わる質問状(I-140移民申請)の発行

最近、米国移民局は、雇用を基にした永住権申請のカテゴリーの一つである第三カテゴリー(EB-3: 技術職、専門職またその他の労働者)のI-140移民申請に関して、PERM申請の審査基準の変更を暗示するような質問状を発行してきました。

このI-140移民申請の際、その前の申請ステップである労働局申請において、労働局より認証されたETA9089フォーム(労働認定書)提出の必要があるのですが、労働局はその認定書を発行することによって、米国移民局に以下の事項を立証することになります。

  1. スポンサー会社がオファーする永住権ポジションに対し、特定の地域においてその永住権ポジションの条件に合う米国市民や永住権保持者がいないということ
  2. スポンサー会社がオファーする永住権ポジションに外国人を雇用しても、類似するポジションや条件下で働く米国人労働者の労働状況や賃金に不利に影響しないということ

スポンサー会社が労働認定書を取得するまでに、日曜日版の新聞における求人広告をはじめとする求人活動、監査(Audit)等に対する求人活動に関わる資料の提出など、労働局の規定に沿った必要プロセスをステップごとに踏んでいかなければなりません。ここで、最も重要なことは、労働認定書を取得することを目的としたPERM申請は労働局の管理下にあるということです。そのため、通常、米国移民局は労働局によって認証された労働認定書の内容に異議を唱えることはありませんでした。

しかしながら、2018年8月17日に発行された質問状によると、米国移民局は、労働局が認証した認定書の見直しを求め、労働局に既に提出した証拠書類についてもこの移民申請のステップにおいて提出を求めてきています。これが今後の移民局の標準となるか現時点では分かりかねますが、今後の移民局の動きには特に注目です。

さらに詳しくはこちらのリンクをクリックして下さい。

米国移民局の新指針である「移民裁判所への出頭命令(NTA) の施行」の延期

先日、弊社記事にて紹介した2018年6月28日に米国移民局より発表された裁判所への出頭命令(通称NTA: Notices to Appear)について、その後、その施行の延期が発表されました。この指針は、米国移民局がNTAを発行する対象範囲を広げるというもので、国外退去可能なケースで、詐欺や犯罪行為、又は、ビザ申請などが却下されたにも関わらず米国に違法滞在している証拠がある場合の外国人もNTA発行の対象になる、との内容です。この新指針の施行に向けて米国移民局は30日以内にNTA発行や米国移民関税執行局への委託(通称 RTI:Referral to Immigration and Customs Enforcement) に関する業務について、方針の見直しと政策を行うよう指示を受けていました。

以上、2018年7月30日、NTA発行に関わる新指針に対する対応の遅れにより、米国移民局は前述のNTA発行の施行を延期すると発表しました。

DUIをはじめとする非移民ビザの取り消しについて

1952年に制定された移民国籍法とその改正によると、国務長官は如何なる時でもビザを撤回し、取り消すことのできる権利を保持しています。また国務省(通称 DOS:The State Department)は、飲酒運転及び麻薬の影響下での運転(通称 DUI: Driving Under Influence)においても、その有罪判決の有無に関わらずビザの取り消しを行使しております。なお、国務省はDUIを犯した米国滞在の非移民ビザ保持者のビザ(査証)も取り消す権利も保持しています。

非移民ビザの取り消しの過程について

違反の度合いにより国務省の異なる2つの部署において非移民ビザの取り消し処理が行使されます。

(I) DUIに関しては、アメリカ大使館、領事館が非移民ビザ保持者のビザ査証の失効手続きを行います。

(II) DUI以外については、国務省の本社にある査証審査署(Visa Office of Screening, Analysis and Coordination)が非移民ビザ保持者のビザの失効手続きを行います。

なお、国務省による非移民ビザの失効が正式に有効になるのは、通常は、アメリカ滞在者に対しては、処罰を受けた非移民ビザ保持者が米国を出た後になります。

非移民ビザ失効による影響とは

多くの場合、国務省はビザの失効状を”送付可能な場合”においてのみ発行します。しかし、非移民ビザ失効状を受け取らなくてもビザの失効は有効になります。DUIケースにおいては、通常、アメリカ大使館、領事館がDS‐160フォーム(オンラインのビザ申請書)に記載されているEメールアドレスにビザ失効状を送るため、DS‐160フォーム上の情報が最新かつ有効であり続けていることが大変重要です(場合によっては米国領事館が直接該当者に電話することもあります)。なお、ビザ失効状をEメールで受け取った場合は、失効状の確認のため、関係するアメリカ大使館、領事館に直接問い合わせることも可能です。

ただ注意すべきことは、ビザの失効は処罰を受けた後の最初のアメリカ出国後が絶対ではないということです。ケースによっては、国務省による非移民ビザ失効により、アメリカ国内にて移民局に対して行う就労ビザの雇用者変更申請や延長申請が却下されたケースもあります。更に、場合によっては、非移民ビザの失効により、国外退去の処分を受けたケースもあります。なお、現在、国務省と国土安全保障省(移民局)はこのような例外的なケースを無くし、米国出国後のみビザの失効が有効になるよう、その制限について議論しています。

米国移民局による新方針:質問状発行無しの申請審査について

2018年7月13日、USCIS(米国移民局)は新しい方針を発表しました。この新指針によると、2018年9月11日より、米国移民局の審査官が適切な場合において、最初の申請後に移民局が発行する追加情報や追加資料を要求する質問状 (通称 REF:Request for Evidence)や却下予定通知書(通称 NOID:Notice of Intent to Deny)を発行せずに申請書を却下出来る権限を持つようになります。

この新指針は2013年6月3日に発行された「質問状と却下予定通知の発行命令」(”Request for Evidence and Notices if Intent to Deny”)と矛盾します。というのも、この指針は米国移民局が申請者が追加資料を提出してもその申請が許可されることは”不可能”である場合を除き、追加情報や追加資料を要求する却下予定通知又は質問状を発行すべきであるというもので、この”不可能”という定義により、審査官は質問状や却下予定通知書の発行無しに申請を却下出来る権限を制限されていました。

質問状とは

質問状とは米国移民局が申請者に対して発行する要請書で、提出されている書類の内容では申請を許可するには不十分ではあるものの、許可が下りる見込みがあるケースにおいて、申請者に追加書類・証拠の提出を要求します。

却下予定通知書とは

却下予定通知書とは米国移民局が申請者に対して発行する書類で、申請が却下されることを事前通達するためのものです。ただ、それを覆すだけの追加書類や情報の提出により許可される可能性も残されています。質問状と却下予定通知書の違いは、質問状は申請が許可されるか見通しが立たない場合に発行されるのに対して、却下予定通知書は却下される可能性がある場合に発行されます。なお、質問状には追加で必要とする情報資料が通知書に記載されている一方、却下予定通知書にはケースを却下理由をリスト化するなどして記載されています。

いつ新指針が実施されるのか

2018年9月11日より実施予定。

新指針の対象範囲

新指針の対象範囲は、新指針が実施される2018年9月11日以降に受理される全ての移民局申請が対象となりますが、若年期に入国した不法移民の若者に対して強制退去処分を猶予する米国の移民政策(通称DACA: Deferred Action for Childhood Arrivals) に関連する申請は対象外となります。なお、今回の新指針により、カリフォルニアとニューヨークの司法機関によって発行された差し止め命令には影響がありますがDACA審査に関連する質問状と却下予定通知書の方針や施行には影響しないようです。

質問状と却下予定通知書の発行が無くなることで何が却下されるようになるのか?

以前同様、米国移民局は、法的根拠が無いなど申請が許可されることは”不可能”である場合において、引き続き、質問状や却下予定通知書の発行無しに法定却下の通知を発行する予定です。法的根拠のない申請例は無数に考えられますが、分かりやすい例として、例えば家族を通した永住権申請やハードシップ申請(家族が離れて暮らすことが困難であることを理由に本来は認可できないような履歴(犯罪歴など)を免除要求する申請)など、夫婦や親戚間に対して証拠を示すのですが、そもそもその親戚関係を証明できない、また親戚関係にあってもその親戚関係は申請カテゴリーに存在しない親戚関係であるなどです。

2018年9月11日より施行開始となる新指針により、米国移民局は全権力を行使して、証拠書類の提出が不十分である申請に対しても質問状又は却下予定通知書を発行することなく却下状を発行出来るようになります。例として以下の申請が対象となります。

  • 免除申請(本来はビザの認可の妨げとなるような履歴(犯罪歴など)を免除要求する申請)に対し、十分とは言えない証拠書類しか提出されていない権利放棄の申請
  • 申請時に、規定上、提出すべき書類として求められている法定書類や証拠などの必要書類が提出されていない場合 ( 例: 家族ベースの永住権申請(アメリカ国内での永住権保持者へのステイタス変更申請)で、 ビザスポンサーの財務能力を証明(収入や財産にて証明)する供述書(I-864フォーム)の提出が必要であるにも関わらず、提出されていない場合など)

この新指針で重要なこと

以前の方針では、ケースによっては、米国移民局審査官は最初の質問状への回答を受け、引き続き不足がある状況においては追加で2回目の質問状を発行することもありましたが、この新指針により、1つの質問状にまとめて全ての追加書類および情報を要請することが勧められています。質問状を受けた申請者は要請された全ての書類や情報を返答書類としてまとめて一度に提出しなければなりません。もし一部の書類のみ返答提出された場合は、移民局の申請審査の判断に影響を及ぼし、追加要請した必要書類や情報が提出されなかったことを理由に申請を却下する可能性があるでしょう。

米国移民局のエル・フランシス・シスナ指揮官はこの方針の変更により、軽薄で審査の対象に値しないケースの数を減量し、移民局の業務の効率性を高め、移民法に基づき公正な審査をすることで業務の改善に繋がるであろうと主張しています。

今回の新指針に関して質問がある場合はお気軽に弊社までご連絡下さい。今後も新情報を随時発信していきます。

米国移民局の新指針によるHとLビザ保持者への厳しい影響

米国移民局による新指針、移民裁判所への出頭命令(通称NTA:Notices to Appear)の発行により、移民局は、米国移民局関税執行局(通称ICE: Immigration and Customs Enforcement) との協議無しに該当外国人に対して移民裁判所への出頭命令を発行するよう任務の範囲が拡大されると見られています。移民局の審査官は今後、例えば、ビザ申請が却下され、その時点で国外退去可能なケースにおいては外国人に移民裁判所への出頭命令を発行し国外退去させることになります。

この新指針によるH-1B申請者への影響はありますか?

はい、あります。H-1B申請者はH-1B延長申請の審査中は仮にその期限を超えていても、その申請が正当なものであれば、少なくとも最終結果が出るまでの最大240日間は、米国に滞在可能で、スポンサー企業の元で就労を続けることは可能です。なお、現在アメリカ移民局での特急審査サービスを使わない通常ケースのH-1B審査には約半年(180日)はかかっており、仮に有効期限のギリギリに延長申請書類を提出したとして、移民局審査が更に2ヶ月(60日)追加でかかるとすれば、240日以上の審査期間がかかることを意味しますので、最終結果が出るまでの継続的な雇用ができなくなることを意味します。更に、最終的にH-1B 延長申請が却下された場合、H-1B申請者(またその家族)は申請が却下された日付から違法で米国に滞在していると見なされ、移民局により移民裁判機関への出頭命令が発行され国外退去を求められることが想定されます。

その発行以降の国外退去プロセスの期間、H-1B申請者は米国で合法的に働く権利を失うと同時に、出頭まではアメリカ国外への出国も認められず、正当に出頭しない場合は、アメリカへの再入国が先5年は禁止されることになります。

この新指針によるL-1A申請者への影響はありますか?

はい、あります。L-1Aビザ保持者の管理者又はマネージャーとしての永住権の申請を行っている外国人はこの新指針による影響を受けるであろうと見られています。というのも、L-1A申請者が永住権を申請する際、彼らの雇用主は永住権のスポンサーとして申請を行なうことになります。申請審査に掛かる時間はとても長く、場合によっては何十ヶ月も待たなくてはならない可能性もあります。H-1B申請者と同様に、申請結果が出るまでの間にL-1Aのステータスが切れる場合、又は移民局が最終的に申請を却下した場合、L-1A申請者とその家族は申請が却下された日付から違法で米国に滞在していると見なされ、移民局により移民裁判機関への出頭命令が発行され国外退去を求められることになります。

なお、永住権申請をしていない場合でも、上記H-1Bの延長申請と同様にL-1AやL-1Bの延長申請についても期限を超えての審査結果が却下となった場合も上記と同様の制裁を受けることが想定されます。

さらに詳しい詳細はこちらのリンクをクリックして下さい。https://bit.ly/2NjCc7o

米国移民局による不正防止審査の実施

2018年6月28日、移民局のオンブズマン・ジュリー・カークナー氏は米国移民局が複数の申請タイプの審査に遅れが生じていることを認める一方で、不正申請を防止する審査の強化に関する最新の定例報告書を議会に公表しました。

なお、オンブズマン氏の事務所は独立した企業体で議会によって創立され、その創立目的は、移民申請に関する方針の変更や申請者の援助を促進することです。

不正防止審査の現地調査の強化について

2017年、移民法上の不正・偽証申請および国家安全保障・公安に関わる問題を調査する移民局の組織FDNS(Fraud Detection and National Security Directorate)は、“リスクに基づく” 不正防止へ事業の中心を移行しました。つまり、FDNSは、Targeted Site Visit and Verification Programと呼ばれる新しい現地調査と検証プログラムの施行のもと、不正リスクの高い企業や雇用主の現地調査(監査)の施行を以前より更に強化するということです。アメリカ移民局の公式ウェブサイトによると、不正リスクが高いと見なされる対象は以下が含まれます。

  • 総社員数のうち、アメリカ人労働者に対してH-1Bを保持する従業員の割合が多い企業(いわゆるH-1B-dependent employer)による申請
  • 基本的な事業情報が市販データから認証出来ない企業による申請
  • H-1Bによる雇用の場所が第三者機関であるなどオフサイト雇用に基づいた申請

上記に当てはまる企業は審査の対象としてFDNSによるランダムの抜き打ち審査(監査)の対象となる可能性があるでしょう。現地調査の対象となるビザの種類にはH-1B、L-1AとL-1Bが含まれます。

なお、この不正防止審査の強化に対応するため、FDNSは2012年の職員数756名から2018年現在で1548名と職員数が2倍以上に増加したとのことです。

最後に、この定例報告書によると、不正防止審査の効率性を図るため、米国移民局はケース管理を完全デジタル化する必要性があるとも記されています。