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アメリカ国務省によるビザ用写真の新たな要件について

アメリカ国務省は個人のビザ用写真について、メガネの着用を認めないことを発表しました。これは2016年11月1日より施行されます。ビザ用写真に関するその他の詳細な指示はこれまでと変更ありません。

ビザの申請者はデジタル版か写真原本のコピーを提出することが求められています。アメリカ国務省は、すべての要件を満たすため、ビザ用写真をプロに撮影してもらうことを推奨しています。もしご自身で撮影される場合は、以下アメリカ国務省ウェブサイトに掲載されている詳細な指示に従って行って下さい。

https://travel.state.gov/content/visas/en/general/photos.html

こちらのウェブサイトでは、申請者自身がビザスタンプのオンライン申請やフォームDS-160の申請に、写真が要件を満たしているかを確認できる「フォトツール」という機能も提供されています。大使館や領事館によっては非移民ビザまたは移民ビザの面接の際、写真の持参を求める場合があるため、ビザスタンプの面接を行う場合には、申請者は複数枚(通常2〜4枚)の同一のビザスタンプ用の写真を用意するべきでしょう。

ビザの取り消しに対する新たな施策

アメリカ国務省による外交に関する総合政策を記した刊行物にFAM(Foreign Affairs Manual)があります。今回更新された最新版(9 FAM 403.11-3)によると、DUI(Driving Under the Influence)、つまり飲酒や薬物影響下での運転は、有害な行動を伴う身体的または精神的障害を示す指標になるとして(INA (Immigration and Nationality Act) 212(a)(1)(A)(iii)の下、資格剥奪の可能性を有する)、DUIで逮捕された者の非移民ビザについて、 領事館は諮問の末取り消すことになるとしています。原則として、その個人がすでにアメリカ国内にいる場合、もしくは中断なしでのアメリカへの渡航を開始した後であれば、いかなる状況においても外国の領事官がビザを取り消すことはできません。ただし今回の新たなFAMによれば、DUIに基づく取り消しについては、この規則の例外となるようです。

DUIによる逮捕は公的安全への問題とビザ剥奪の可能性の根拠になるとして、 過去5年間に1件の飲酒関連の逮捕がある場合、もしくは過去10年間に複数の飲酒関連の逮捕がある非移民ビザの申請者には、領事官は医師による健康診断を受けさせることが求められてきました。2015年11月5日時点で、領事官と国務省は、過去5年内に起きたDUIによる逮捕または有罪判決が Watchlist Promote Hitにより現れた場合にはINA 212(a)(1)(A)によって潜在的な不適格に当てはまるとして、諮問の末ビザを取り消す権限を持っています。これはあくまでも領事官の裁量であることに注意して下さい。

ビザが取り消される前に、ビザが取り消される意向が本人に通知され、ビザが取り消されるべきでないことを提示する機会が与えられます。またビザが発行された渡航書類(例:パスポート)の提示も求められます。

ビザが実際に取り消された場合、取り消しを元に戻すための復元手続きが必要となります。具体的には、ビザの取り消し理由がすでに克服されていること、ビザの対象外となっていることを確定させた免除を申請する必要があります。言い換えれば、INA 212(a)(3)(B)下における資格剥奪の免除は国務省により請願されなければなりません。これらのことからも、DUIは現在では、深刻な犯罪として考えられ、承認を難しくするのには十分な材料となっていることを意味します。

これまでのところ、アメリカ移民法に対しては同等の改正は行われていないため、同等のDUI対象者となるアメリカに滞在中の非移民ビザステータス者に対しては、この新たなFAMの規定をもとに、アメリカ移民局はいかなる方法でも拘束することはできません。さらには、もし対象者がすでにアメリカ国内にいる場合、領事官がビザの取り消しをどのように処理するのかも、未だ明確ではありません。

私たちは未だDUIによる逮捕や記録によるビザの取り消しが行われた実際のケースについて確認できてはおりません。しかし、この新たなFAMの規定により、すべての非移民ビザステータスの外国籍者はさらなる慎重さを持つこと、またいかなる状況でも飲酒運転を避けることが賢明と言えるでしょう。

USCIS申請料に関する新提案

2016年5月4日、国土安全保障省(DHS)は、特定の米国移民局(USCIS)申請料の値上げ提案を発表しました。申請料の増価額は概ね8〜60パーセントの範囲です。しかし、EB-5グリーンカードプロセスに関連する申請料は145から186パーセントまでの範囲の増加となっており、最も顕著な増額案となっています。提案された増加の理由は、USCISが提供するサービスの総費用を補うためです。 最後にUSCISが申請料を増額したのは2010年11月23日でした。

以下は、提案された申請料金の一覧です。プレミアムプロセシング申請料($1,225)の増額は 予定されていません。申請料金が確定された際には弊所ウェブサイトにてお知らせされる予定です。

Form

現在の料金

提案額

増額率

Form1-129 Petition for Nonimmigrant Worker

$325

$460

42%

Form1-140 Petition for Alien Worker

$580

$700

21%

Form1-485 Application to AdjustStatus Includes the cost of concurrently filed Forms I-765 and 1-131

$985

$1,140

16%

Form1-765 Application for Employment Authorization

$380

$410

8%

Form1-131Application for Travel Document

$360

$575

60%

Form1-539 Application to Extend/Change Nonimmigrant Status

$290

$370

28%

Form1-90 Application to Replace Permanent Resident card

$365

$455

25%

Form N-400 Application for Naturalization – Standard Applications

$595

$640

8%

Form N-400 Application for Naturalization –Applications filed by those who meet certain requirements with respect to military service and for those with  approved fee waivers

$595

$0

N/A

Form N-400 Application for Naturalization-Applications filed by those whose family income is greater than 150% and not more than 200%of the Federal Poverty Guidelines

$595

$320

N/A

Form I-526 Immigrant Petition by Alien Entrepreneur

$1,500

$3,675

145%

Form I-924 Application for Regional Center Designation under the EB-5 Immigrant Investor Program

$6,230

$17,795

186%

Form I-924 Annual Certification of EB-5 Regional Center

$0

$3,035

N/A

Biometrics Fee

$85

$85

0%

上記一覧表が示すように、DHSが提案する新料金で重要なのはApplication for Regional Center under the Immigrant Investor Pilot Program 申請フォームI-924の補足フォーム であるI-924Aの申請料金です。このフォームは、雇用に基づく移民ビザ、第五優先(EB-5)カテゴリに使用されます。現在は申請料金 が不要な申請書ですが、新たな提案料は$ 3,035となります。さらに、これに伴い移民局は現在のフォーム名I-924Aから「Annual Certification of Regional Center」への変更も提案しています。

DHSによるもう一つの重要な提案は、フォームN-400「Application for Naturalization」、つまり米国市民権の申請における3段階のレベルの料金体系についてです。提案された3つのレベルは以下のとおりです:

第1レベル:申請費用を$ 595.00から$ 640.00へ 増額。

第2レベル:米軍に所属する申請者と 手数料免除の承認を受けた申請者への申請料金を請求しないことの継続。

第3レベル:収入がFederal Poverty Guidelines の条件を150%以上満たし、また200%以下の申請者の申請料を$ 320に減額。

最後に、 不渡小切手や生体手数料の未払いがあった場合、修正の機会を与えることなく申請受付を拒否することを禁止するルールを取りやめることもUSCISは提案しています。

2016年7月5日もしくはそれ以前にこれらの変更案に関し、我々は意見を提出することができます。この方法については以下の政府のリンクをご参照ください:

https://www.uscis.gov/news/alerts/federal-register-comment-period-proposed-uscis-fee-schedule

DHS Pilots Know Employer Program DHSが既知雇用主(Know Employer )プログラムを試験的に実施しています

2015年1月、アメリカ合衆国国土安全保障省(DHS)は、ホワイトハウスの2015年移民近代化計画の一環として、ある雇用ベースのビザ給付要求に対する裁決の合理化を最終目標とした新しい既知雇用者プログラム(Known Employer programを試験的に実施していることを発表しました。 L-1ブランケットのプログラムと同様に、このKnow Employer 試験プログラムでは、H-1BL-1A、L-1B、TNなどの非移民ビザや、EB-1-2 やEB-1-3などの移民カテゴリー等の個々の申請を行う前に、このプログラムに参加している米国雇用主は、自社が参加資格の必要最低要件を満たしているかどうか事前審査を受けるための申請を移民局に対し行うことができます。

推奨申請プロセス:

具体的には、試験プログラムへの参加許可を得た雇用者は、() 雇用主の企業構造および運営や財務状況に関する文書やその他の証拠と、(ii)フォームI-950 (Application for Predetermination under Known Employer Program) をインターネット上のウェブライブラリー「Known Employer Document Library (KEDL)」にアップロードします。また、KEDLにアップロードした文書へは、 合衆国税関・国境警備局(CBP)および米国務省(DOS)が それぞれの審査の補助として利用する目的でアクセスすることが可能です。

移民局はその後、提出された書類を審査し、 雇用主が申請するカテゴリーそれぞれに定められる企業要件を満たしているかどうかを事前に決定します。 

アメリカ移民局が雇用者の事前決定要求を承認した場合、その後雇用主は個々のケースで自社に関する文書を再提出することなく、従業員それぞれに関する嘆願書または申請書のみを提出するだけで十分となるでしょう。これは移民局が個々の 嘆願や申請において、ビザ申請上の職務内容や従業員のビザ取得のための有資格性など残りの要件のみ審査するということを意味します。 

試験プログラム(1年間)に参加する5社: 

試験プログラムの開始日である2016年3月3日時点では、 Citigroup, Inc、Ernst & Young LLP、Kiewit Corporation、Schaeffler Group USA, Inc 、Siemens Corporationの5社が本プログラムへの参加を発表しています。

試験期間は1年間と予定されていますが、アメリカ移民局は当局の裁量で試験期間を終了させたり延長させたりすることができます。従って、この試験プログラムが実行期間中に他の雇用主のために延長されるかどうか、または1年を超過して延長するかどうか、ましてやプログラムが最終的に成功するかどうかを現時点で判断するには時期尚早です。 

プログラムの目標:

プログラムが成功した場合にアメリカ移民局が本プログラムに期待していることは: 

  • 雇用者が提出する書類や移民局が保管する書類の量の削減
  • 雇用ベースの嘆願書や申請書の裁決の一貫性の促進 
  • 移民局内のより良い効率化を達成するための審判プロセスの合理化
  • 入国管理局や領事の効率性と一貫性を高めることを目的とし、CBPとDOSへのより良いサポートの提供

繰り返しますが、この試験プログラムはまだ開始したばかりです。したがって、この雇用ベース給付申請・裁定プロセス合理化の可能性についてあまり期待しすぎるのは時期尚早と言えるでしょう。

詳細についてはこちらをご覧ください。:
https://www.uscis.gov/working-united-states/known-employer-pilot

ビザ免除プログラムの改定

皆さんの中には既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、米国政府は、2016年1月21日を開始日として、ビザ免除プログラムの改定を行いました。こちら、昨年のビザ免除プログラムの改定及びテロリスト渡航防止法の施行を受けてのもので、下記に該当する方は、今後アメリカに入国の際は、ビザ免除プログラムではなく、B-1ビザなど、特定のビザを取得した上でのアメリカ入国が求められます(下記、日本国政などビザ免除プログラムの参加国籍であることを前提としています)。

  • 2011年3月1日以降にイラン、イラク、スーダンまたはシリアに渡航または滞在したことがある方(ビザ免除プログラム参加国の軍または外交目的による渡航に対しては、限られた例外有り)
  • 日本人などビザ免除プログラム参加国の国籍と、イラン、イラク、スーダンまたはシリアのいずれかの国籍の二重国籍をもつ方

上記の該当者は、今後のアメリカ渡航の前に、アメリカ大使館・領事館にてビザ申請を行うようにしてください。なお、商用、医療、人道的理由などによる緊急の際は、アメリカ大使館・領事館による迅速に対応が期待できます。

なお、イラン、イラク、スーダンまたはシリアへの渡航が下記の理由である場合など、国土安全保障省長官が法執行機関やアメリカの国家安全保障上の利益になると判断した場合には、上記の制限を免除する場合があります。

  • 国際機関、地域機関、政府機関の代表として公務を遂行するための渡航
  • 人道支援を行うNGOを代表して任務を遂行するための渡航
  • ジャーナリストとして報道目的のための渡航
  • 「包括的共同作業計画」( 2015年7月14日)の合意後に合法的な商用目的のためのイランへの渡航
  • 合法的な商用目的によるイラクへの渡航

なお、これら免除を受けられるかは個別に審査されます。

また、2016年2月18日、国土安全保障省は、イラン、イラク、スーダン、シリアに加え、リビア、ソマリア、イエメンの3ヶ国を該当国として追加すると発表しました

オバマの移民法改正案DAPA最高裁判所へ

201411月、大統領命令により、約4百万人の違法移民に対する救済措置が定められました。これが実行されると、米国籍者あるいは永住者の親である違法移民は、強制退去処分の適用除外とされ、就労許可証 が与えられるということになります。

しかし、この大統領命令は、テキサス州法務長官(共和党)などが違憲だとして訴訟に持ち込み、テキサス州連邦裁判事から差し止め命令が下されました。

連邦最高裁は、オバマ大統領の要求に応え、今年4月にこの件について判断を下すとしています。

この大統領命令が合憲と認められると、移民局には短期間で大量の申請が殺到することになります。オバマ大統領の任期が来年1月までで、後任の大統領がこの命令を取り消す可能性があるからです。

(re:http://www.reuters.com/article/us-usa-court-immigration-implementation-idUSKCN0UY1BH, https://news.vice.com/article/the-supreme-court-will-determine-the-fate-of-millions-of-undocumented-immigrants-obama)

新年明けましておめでとうございます

2016年移民法の行方 

20164月から受付開始される新規H-1B 2017年度)申請について、2016年も近年同様、抽選となることは疑いのないことでしょう。先日オバマ大統領は、L-1またH-1Bを持つ従業員の割合が会社全体の少なくとも50%を占める会社からの申請費用(通常の$325申請費用、トレーニング費、Fraud費に加えて必要とされる申請費用の一つで、それら割合が50%に至らない会社は対象外)を50%値上げすることに署名したものの、多くの会社が対象外の会社からの申請であることから、新規H-1B申請者の数が減ることの打開策とはなり得ないでしょう。

アメリカにおいて急激に拡大しているIT産業を背景に、関連する会社からのH-1B申請は増えることが予想されています。数学、科学、エンジニアリング等を専攻としたアメリカの学位を取得した留学生(特にインド人や中国人)の多くは引き続きアメリカに滞在しアメリカでの仕事を希望していることから、そのこともまた新規H-1Bの申請数を増やす決定的要因ともなっています。

一方、アメリカで学位を取得した多くの海外留学生が、このH-1B年間発給枠に伴う抽選の実施が要因で、卒業後H-1Bにてアメリカで就労したくとも実現せず、自国への帰国を余儀なくされている現状もあります。 

また2016年はH-1BL-1保持者に対する会社への監査訪問が引き続き実施され、その実施数は増えることも予想されています。

更に、カリフォルニア州サンバーナディーノ郡でのテロによる銃乱射事件を受け、ビザウエーバープログラムを使ってのアメリカ入国がより厳格化されることでしょう。結果、Bビザなどの非移民ビザの取得が求められるケースが増え、アメリカ大使館でのビザ取得までにかかる時間が長くなることが予想されます。

2016年はアメリカ大統領選挙の年でもあることから移民関連事項は重要視されることでしょう。例えばドナルドトランプ氏が掲げるように、事実、移民問題が選挙のキャンペーンとしても利用されています。今後の選挙運動の内容には注目したいところです。これら移民法を良い方向へ導く可能性を秘めたキャンペーンが繰り広げられる一方、実態とすれば、移民法にとってあまり好ましくない法案があることも否めません。

デビッド シンデル

SW Law Group, P.C.

安全措置計画の最新情報

政府による安全措置計画の最新情報:ビザ免除プログラム(VWP)の規制強化を下院が可決

以前ホワイトハウスがビザ免除プログラム(VWP)に対する新たな安全措置計画を行使する予定であるとの記事を掲載しましたが、最近その安全措置計画が新たに課す事項に関する最新情報が発表されました。

パリ及びカリフォルニア州サンバーナディーノにおけるテロ事件を受けて、下院は、ビザ免除プログラムの規制強化に関する法案を賛成407票、反対19票にて可決しました。本法案は、過去5年間にイラク、イラン、シリア、又はスーダンに渡航した外国人がビザなして米国に入国する事を防ぐものです。本法案は上院でも可決され、本年度末迄には成立する見通しです。

本法案が成立された場合には、2016年4月1日迄に、すべての渡航者が、顔画像等の生体情報を含むICチップを搭載するE-パスポート(IC旅券)を提示する事を義務付けます。又、2011年3月以降にイラク及びシリアへ渡航したほとんどの外国人が、ビザ免除プログラムにて米国に入国する事を防ぎ、対面インタビューを含む、正式なビザ申請を課す事となります 。但し、ビザ免除プログラム加盟国を代表して軍事任務を遂行する為 、又は、ビザ免除プログラム加盟国の政府職員として正式な任務を遂行する為にそれらの国に渡航した場合には、この規制は適用されません。

エスタ(米国電子渡航認証)登録は、本法案にかかわらず従来通り義務づけられ、エスタにて米国に入国する渡航者は、現状況における厳しいセキュリティーチェックの対象となる事が予想されます。又、ビザ免除プログラムを利用して米国を訪れる全ての渡航者にはエスタ登録が義務づけられており、エスタ申請が承認されても必ずしも米国への入国が許可されるという訳ではない事を理解しておいて下さい。

パリ同時多発テロ事件以降のESTAによる安全強化について

12月7日月曜日、先月のパリでのテロ攻撃を受けて、 ホワイトハウスがビザ免除プログラム(ビザ免除プログラム)についての新たな安全措置計画を発表しました。現在38カ国がビザ免除プログラムに加盟しており、 加盟国から旅行やビジネスでアメリカを訪問する際は、米国大使館や海外領事館で米国ビザを取得することなくアメリカへ入国することが許されています。この場合渡航者はESTAによって審査され、経歴等のチェックは受けません。

 

今回の新たな安全措置では、「テロリストの避難所」とされる場所や紛争地域とされる国に渡航した者を選別、識別できるようESTAシステムが変更されます。またビザ免除プログラム加盟国からの旅行者は、セキュリティチップが埋め込まれたパスポートの使用を求められることになるでしょう。ホワイトハウスは、ビザ免除プログラム加盟国と国際刑事警察機構との間で共有される情報量が増えるといった、関係機関間での協力が増えることを議会が認めることも期待しています。国土安全保障省は60日以内に安全強化勧告と関係機関間での協力をオバマ大統領に提供することを期待されています。より一層の安全措置が実施されるべきであり、ビザ免除プログラム加盟国の渡航者はESTA申請の間、さらなる選別が行われること、そしてこれまでよりも時間がかかることを想定しておくべきでしょう。

フォームI-9:I-9の完成と雇用者の義務に関する基本的情報

米国市民また非市民が米国の会社に米国内で雇用された場合、従業員および雇用主の両者は、従業員の身元と就労許可の有無を証明するために使用されるフォーム、I-9の記入を行わなければなりません。フォームI-9は米国移民局(USCIS)のウェブサイトhttp://www.uscis.gov/i-9 より入手することが可能です。フォームは定期的に更新されますので注意が必要です。常に最新のフォームを使うようにしてください。本記事では、従業員の米国内での就労許可を確認するためのフォームI-9と、そのフォーム作成における雇用主の義務について、その基本情報を紹介します。

新しく採用された従業員は、就業初日にフォームI-9のセクション1を完成する必要があります。ただし、採用オファーを受ける前には決して完成させてはいけません。セクション1には氏名、住所、誕生日、米国ソーシャルセキュリティーナンバーなどの基本情報を回答します。さらに、従業員は自身の市民権または移民上のステータスについて証言し、身元と就労許可を証明する期限の切れていない書類の原本を提示する必要があります。

提出可能な書類一覧は説明欄から確認できます。一覧Aには身元と就労許可があることの両方を証明できる書類例が記載されています。一覧Bには身元証明のみが可能な書類の例、一覧Cには就労許可があることのみ証明できる書類の例が記載されています。従業員は、一覧Aから書類を一点提示するか、もしくは一覧Bと一覧Cからそれぞれ一点ずつ合わせて提示することも可能です。重要なのは、雇用主が提出書類を指定することはできないということです。雇用主は従業員が提出した書類を参考に、従業員が就業を開始した日から三日以内にフォームI-9セクション2を完成させなければなりません。なお、提出される身分証について、雇用主は原本の確認が必要ですが、それら複製コピーを撮っておくことも可能です。雇用主が書類の複製コピーを作成する場合は、新しく採用する従業員全員に対して平等に実施すること、または再確認のためでなりません。複製コピーはフォームI-9と一緒に保管しなければなりません。

完成したフォームI-9は 雇用関係が始まった日から三年間、もしくは従業員の雇用が終了した日から一年間のどちらか期間の長い期間、雇用主が保管しなければなりません。完成したフォームはその都度移民局へ提出する必要はございません。これらのフォームは監査査察の際にすぐに開示できるようにしていなければならず、国土安全保障(DHS)や労働省(DOL)、司法省(DOJ)の役人の開示要求を受けてから三日以内に開示しなければなりません。雇用主は完成したフォームI-9を人事記録と一緒に保管してもよいですが、 I-9の監査に準拠しやすいように、USCIS はこれらフォームと人事記録を別々に保管することを推奨しています。さらに、フォームI-9と従業員の人事ファイルを一緒に保管していた場合はすべての情報が監査役に渡ってしまう可能性がありますが、これらを別々に保管することで、万が一、監査役にフォームI-9の保管ファイルごと渡したとしても、その従業員に関する他の個人情報の開示を制限することができます。

フォームの完成や保管を適切に行わなかったり、また監査時に法的に義務のあるフォームI-9の開示ができなかったりした場合、違反一件につき110ドル以上11000ドル以下の罰金を民事処罰として徴収されます。

フォームI-9に関する雇用主の疑問に対する答えの多くはUSCISの Handbook for Employers: Guidance for Completing Form I-9 (Form M-274) に記載されており、また就労許可や身元の証明として提出可能な書類のサンプルも収録されています。このハンドブックはUSCISのウェブサイト(http://www.uscis.gov/i-9)より入手することが可能です 。

実際に監査対象となった場合、慌てて日付を遡ってI-9フォームを修正したり、改めての作成を模索する方もいるかもしれませんが、監査官に対してはGood Faith defenseを意識の上、如何なる詐欺や偽造は許されません。後付けのものは付箋をして対応するなど、真摯に監査官に向き合うことは重要でしょう。

【関連ページ】
I-9(従業員就労資格確認書)