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新年明けましておめでとうございます

2016年移民法の行方 

20164月から受付開始される新規H-1B 2017年度)申請について、2016年も近年同様、抽選となることは疑いのないことでしょう。先日オバマ大統領は、L-1またH-1Bを持つ従業員の割合が会社全体の少なくとも50%を占める会社からの申請費用(通常の$325申請費用、トレーニング費、Fraud費に加えて必要とされる申請費用の一つで、それら割合が50%に至らない会社は対象外)を50%値上げすることに署名したものの、多くの会社が対象外の会社からの申請であることから、新規H-1B申請者の数が減ることの打開策とはなり得ないでしょう。

アメリカにおいて急激に拡大しているIT産業を背景に、関連する会社からのH-1B申請は増えることが予想されています。数学、科学、エンジニアリング等を専攻としたアメリカの学位を取得した留学生(特にインド人や中国人)の多くは引き続きアメリカに滞在しアメリカでの仕事を希望していることから、そのこともまた新規H-1Bの申請数を増やす決定的要因ともなっています。

一方、アメリカで学位を取得した多くの海外留学生が、このH-1B年間発給枠に伴う抽選の実施が要因で、卒業後H-1Bにてアメリカで就労したくとも実現せず、自国への帰国を余儀なくされている現状もあります。 

また2016年はH-1BL-1保持者に対する会社への監査訪問が引き続き実施され、その実施数は増えることも予想されています。

更に、カリフォルニア州サンバーナディーノ郡でのテロによる銃乱射事件を受け、ビザウエーバープログラムを使ってのアメリカ入国がより厳格化されることでしょう。結果、Bビザなどの非移民ビザの取得が求められるケースが増え、アメリカ大使館でのビザ取得までにかかる時間が長くなることが予想されます。

2016年はアメリカ大統領選挙の年でもあることから移民関連事項は重要視されることでしょう。例えばドナルドトランプ氏が掲げるように、事実、移民問題が選挙のキャンペーンとしても利用されています。今後の選挙運動の内容には注目したいところです。これら移民法を良い方向へ導く可能性を秘めたキャンペーンが繰り広げられる一方、実態とすれば、移民法にとってあまり好ましくない法案があることも否めません。

デビッド シンデル

SW Law Group, P.C.

安全措置計画の最新情報

政府による安全措置計画の最新情報:ビザ免除プログラム(VWP)の規制強化を下院が可決

以前ホワイトハウスがビザ免除プログラム(VWP)に対する新たな安全措置計画を行使する予定であるとの記事を掲載しましたが、最近その安全措置計画が新たに課す事項に関する最新情報が発表されました。

パリ及びカリフォルニア州サンバーナディーノにおけるテロ事件を受けて、下院は、ビザ免除プログラムの規制強化に関する法案を賛成407票、反対19票にて可決しました。本法案は、過去5年間にイラク、イラン、シリア、又はスーダンに渡航した外国人がビザなして米国に入国する事を防ぐものです。本法案は上院でも可決され、本年度末迄には成立する見通しです。

本法案が成立された場合には、2016年4月1日迄に、すべての渡航者が、顔画像等の生体情報を含むICチップを搭載するE-パスポート(IC旅券)を提示する事を義務付けます。又、2011年3月以降にイラク及びシリアへ渡航したほとんどの外国人が、ビザ免除プログラムにて米国に入国する事を防ぎ、対面インタビューを含む、正式なビザ申請を課す事となります 。但し、ビザ免除プログラム加盟国を代表して軍事任務を遂行する為 、又は、ビザ免除プログラム加盟国の政府職員として正式な任務を遂行する為にそれらの国に渡航した場合には、この規制は適用されません。

エスタ(米国電子渡航認証)登録は、本法案にかかわらず従来通り義務づけられ、エスタにて米国に入国する渡航者は、現状況における厳しいセキュリティーチェックの対象となる事が予想されます。又、ビザ免除プログラムを利用して米国を訪れる全ての渡航者にはエスタ登録が義務づけられており、エスタ申請が承認されても必ずしも米国への入国が許可されるという訳ではない事を理解しておいて下さい。

パリ同時多発テロ事件以降のESTAによる安全強化について

12月7日月曜日、先月のパリでのテロ攻撃を受けて、 ホワイトハウスがビザ免除プログラム(ビザ免除プログラム)についての新たな安全措置計画を発表しました。現在38カ国がビザ免除プログラムに加盟しており、 加盟国から旅行やビジネスでアメリカを訪問する際は、米国大使館や海外領事館で米国ビザを取得することなくアメリカへ入国することが許されています。この場合渡航者はESTAによって審査され、経歴等のチェックは受けません。

 

今回の新たな安全措置では、「テロリストの避難所」とされる場所や紛争地域とされる国に渡航した者を選別、識別できるようESTAシステムが変更されます。またビザ免除プログラム加盟国からの旅行者は、セキュリティチップが埋め込まれたパスポートの使用を求められることになるでしょう。ホワイトハウスは、ビザ免除プログラム加盟国と国際刑事警察機構との間で共有される情報量が増えるといった、関係機関間での協力が増えることを議会が認めることも期待しています。国土安全保障省は60日以内に安全強化勧告と関係機関間での協力をオバマ大統領に提供することを期待されています。より一層の安全措置が実施されるべきであり、ビザ免除プログラム加盟国の渡航者はESTA申請の間、さらなる選別が行われること、そしてこれまでよりも時間がかかることを想定しておくべきでしょう。

フォームI-9:I-9の完成と雇用者の義務に関する基本的情報

米国市民また非市民が米国の会社に米国内で雇用された場合、従業員および雇用主の両者は、従業員の身元と就労許可の有無を証明するために使用されるフォーム、I-9の記入を行わなければなりません。フォームI-9は米国移民局(USCIS)のウェブサイトhttp://www.uscis.gov/i-9 より入手することが可能です。フォームは定期的に更新されますので注意が必要です。常に最新のフォームを使うようにしてください。本記事では、従業員の米国内での就労許可を確認するためのフォームI-9と、そのフォーム作成における雇用主の義務について、その基本情報を紹介します。

新しく採用された従業員は、就業初日にフォームI-9のセクション1を完成する必要があります。ただし、採用オファーを受ける前には決して完成させてはいけません。セクション1には氏名、住所、誕生日、米国ソーシャルセキュリティーナンバーなどの基本情報を回答します。さらに、従業員は自身の市民権または移民上のステータスについて証言し、身元と就労許可を証明する期限の切れていない書類の原本を提示する必要があります。

提出可能な書類一覧は説明欄から確認できます。一覧Aには身元と就労許可があることの両方を証明できる書類例が記載されています。一覧Bには身元証明のみが可能な書類の例、一覧Cには就労許可があることのみ証明できる書類の例が記載されています。従業員は、一覧Aから書類を一点提示するか、もしくは一覧Bと一覧Cからそれぞれ一点ずつ合わせて提示することも可能です。重要なのは、雇用主が提出書類を指定することはできないということです。雇用主は従業員が提出した書類を参考に、従業員が就業を開始した日から三日以内にフォームI-9セクション2を完成させなければなりません。なお、提出される身分証について、雇用主は原本の確認が必要ですが、それら複製コピーを撮っておくことも可能です。雇用主が書類の複製コピーを作成する場合は、新しく採用する従業員全員に対して平等に実施すること、または再確認のためでなりません。複製コピーはフォームI-9と一緒に保管しなければなりません。

完成したフォームI-9は 雇用関係が始まった日から三年間、もしくは従業員の雇用が終了した日から一年間のどちらか期間の長い期間、雇用主が保管しなければなりません。完成したフォームはその都度移民局へ提出する必要はございません。これらのフォームは監査査察の際にすぐに開示できるようにしていなければならず、国土安全保障(DHS)や労働省(DOL)、司法省(DOJ)の役人の開示要求を受けてから三日以内に開示しなければなりません。雇用主は完成したフォームI-9を人事記録と一緒に保管してもよいですが、 I-9の監査に準拠しやすいように、USCIS はこれらフォームと人事記録を別々に保管することを推奨しています。さらに、フォームI-9と従業員の人事ファイルを一緒に保管していた場合はすべての情報が監査役に渡ってしまう可能性がありますが、これらを別々に保管することで、万が一、監査役にフォームI-9の保管ファイルごと渡したとしても、その従業員に関する他の個人情報の開示を制限することができます。

フォームの完成や保管を適切に行わなかったり、また監査時に法的に義務のあるフォームI-9の開示ができなかったりした場合、違反一件につき110ドル以上11000ドル以下の罰金を民事処罰として徴収されます。

フォームI-9に関する雇用主の疑問に対する答えの多くはUSCISの Handbook for Employers: Guidance for Completing Form I-9 (Form M-274) に記載されており、また就労許可や身元の証明として提出可能な書類のサンプルも収録されています。このハンドブックはUSCISのウェブサイト(http://www.uscis.gov/i-9)より入手することが可能です 。

実際に監査対象となった場合、慌てて日付を遡ってI-9フォームを修正したり、改めての作成を模索する方もいるかもしれませんが、監査官に対してはGood Faith defenseを意識の上、如何なる詐欺や偽造は許されません。後付けのものは付箋をして対応するなど、真摯に監査官に向き合うことは重要でしょう。

【関連ページ】
I-9(従業員就労資格確認書)

ICEによる2014年会計年度の就労サイト調査及び法的措置に関する報告書

ICE (U.S. Immigration and Customs Enforcement)(米国移民・関税執行局)は、就労サイトの調査及び法的措置、就業者や雇用者の刑事上及び行政上の逮捕、会計年度毎に徴収された罰金に関する情報を含む、2014年会計年度の報告書を発表しました。

 

ICEは、法的権限を駆使して 犯罪や移民/関税に関する違反の調査を行い 、その包括範囲は、人権侵害、薬物/武器/その他危険物等の不法持ち込み、人身売買、幼児ポルノ、知的財産権の侵害、就労不可外国人の不法就労等にも及びます。

 

ICEがこの度発表した情報は以下の通りです。

 

  1. 米国にて就労不可である外国人を故意に雇用した事に関して、172人の雇用者及び斡旋業の逮捕。

 

  1. 1,320件の監査通知 (就労者の就労資格確認に関するForm I-9監査)を送達し、合計罰金額が$16,206,022となる637件の最終命令を発行。

 

  1. 278の企業及び個人と政府間の業務停止措置。

 

  1. IMAGE (ICE Mutual Agreement between Government and Employers)(政府と雇用者間の相互合意プログラム)のコーディネイターによる、11,258人の雇用者への2,357回のプレゼンテーション、及び34 の新たな IMAGE 公認パートナーの追加。

 

ICEは今後も、米国にて就労不可な外国人を故意に雇用する者、不法就労者を虐待/悪用する者、密輸者、個人情報悪用者を特定/摘発する事に焦点をあてて

就労サイト調査及び法的措置を継続していく方針です。又、それに加えて、

E-Verify(移民局による新規就者の就労資格の確認システム)等の合法な雇用を促すシステムを使用する事を雇用者に奨励し、Form I-9監査、業務停止命令、罰金等を通じて、雇用者のコンプライアンスを助長していく方針です。

 

 

移民局による審査の遅れ

現在、移民局による審査期間に大変長い時間がかかっているようです。例えば、バーモントサービスセンターのH-1B申請について、移民局のオンラインケースステータス一覧(2015年8月31日時点)では、アメリカ国外から又はアメリカ国内でのステータス変更申請で約4.5ヶ月、また延長申請で約3ヶ月となっています。ただ弊社のケースの実態からすると、もっと審査時間がかかっているようです。今年4月に申請した新規H-1B申請においても、まだ最終結果が出ていないものもあります。その他O-1ビザなどでも移民局による発表では2週間となっていますが、1ヶ月以上かかっているケースもあります。

 

審査期間の長期化は特定のビザの種類に限らず、全体的な問題にもなっているようで、弊社のお客様でもなかなか結果が分からず困っている方もいます。その場合、もし申請が通常申請であれば、特急審査申請に切り替えることも検討する必要があるでしょう(特定のI-129申請など)。その場合、申請費用が追加で$1,225かかりますが、審査期間を縮め、スケジュール感を把握するという意味では、方法となり得るでしょう。今後審査期間が速くなることを望みます。

 

アメリカ社会保障局の新規則

2015年9月9日よりソーシャルセキュリティーカードの申請に関するアメリカ社会保障局の規則が変わります。申請には必要な申請フォームと滞在資格など必要な補足資料の提出が求められるのですが、今回、オンラインでの申請が可能となります。

 

これまではSS-5と呼ばれるフォームを記入し、社会保障局やソーシャルセキュリティーカードセンターに郵便または持参することでの提出方法のみでした。

 

ただ、ソーシャルセキュリティーカードの変更を必要としている人はオンラインではなく、ソーシャルセキュリティーオフィスでの申請が求められます。オンラインによる申請は近く可能となる見込みです。

 

これらオンラインによる方法が導入されることで、これまで懸念されていたソーシャルセキュリティーオフィスの混雑が少なからず解決されることが期待されます。

 

米国出国者の生体データ採取開始(テストプログラム)

米国の出入国管理を行うCBPは、 米国を出国する外国人旅行者の生体データ採取を開始したと発表しました。

米国を出国する外国人旅行者から、指紋とパスポート情報を専用の手持式 機械で読み取り、その旅行者が米国に入国した際に採取されたデータと照合して本人確認を行うというものです。

現時点ではアトランタ国際空港でのみ実施されていますが、今秋までに、シカゴ・ダラス(テキサス)・ヒューストン・ロサンゼルス・マイアミ・ニューアーク・ニューヨーク・サンフランシスコ・ワシントン-ダラスの各空港でもテストを開始するとのことです。テストは来年6月まで行われ、採取されたデータとその解析をもとに、将来の出国管理における生体データ採取システム構築に役立てる模様です。

プレクリアランス

2015年5月29日、アメリカ国土安全保障省は、アメリカへの出発前に、アメリカ国外の空港内でアメリカ入国審査を行う(プレクリアランス)対象国を増やす予定であると発表致しました。新しく対象となる国は日本、ベルギー、ドミニカ共和国、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、トルコ、イギリスの9ヶ国です。現在、国土安全保障省は各国と交渉しており、交渉が成功した場合には、これら国からアメリカ行きの直行便に乗る搭乗者全員に、各国からの出国前に空港内でアメリカの入国審査が行われることになります。

 

今回の発表では、渡米する前にアメリカの入国審査を行う事で、テロ対策の他、アメリカ入国手続きの円滑化、アメリカと各国間における商工業の利便性など、様々なメリットがあります。現状では既にカナダなど6ヶ国でプレクリアランスが実施されており、昨年度は約160万人の旅行者の審査が行われました。国土安全保障省のジョンソン長官は、よりスムーズな入国審査と航空安全、更に国土安全保証のためには、各国との協力が必須であり、今回更なるプレクリアランスが実現すればアメリカと各国の両方にとって有益であると、前向きに交渉を進める意志を示しました。

 

アメリカと日本の間でプレクリアランスの交渉が成功した場合には、東京の成田空港が対象空港となります。成田空港でのプレクリアランスの契約が成立されるまでは、まだ長い道のりが想定されるでしょうが、早い実現を期待したいです。

 

 

 

 

公立学校における身分証明書の必要性

1982年の最高裁判決により、米国では、不法移民であっても、小学校から高校までの公立学校に無料で通学できる権利が憲法によって保障されています。しかしNYの一部の公立学校では、入学手続きの一環として、生徒とその保護者のビザステータスを証明する書類の提出を求めていました。つまり憲法で保障されているはずの、不法移民の子供たちの公教育へのアクセスを阻害することを意味しています。NY州検事総長によると、このたび、こういった手続きを行っていた14郡にまたがる20の学区において、生徒や保護者のビザステータス確認を入学手続きの必要事項から削除することに同意したとのことです。